コラム
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【09.02.19】障害者自立支援法の見直し
厚生労働省の説明に大きな矛盾
自立支援法のスタートから3年、ようやくにして「見直し」が行われます。法律で「3年後との見直し」を決めているため政府は否が応でも見直しをしなければならないのです。
厚生労働省は見直しの原案をどうしようとしているのか、衆議院議員会館の会議室で直接説明を受けました。
私たちの要求は「廃止・出直し」。
毎年障害者のみなさんが厚生労働省を取り囲んで要求してきたのも「当事者の声を聞いて出直して」というものです。
その一番の柱は「サービスに応じて負担の一部を負担する」という「応益負担」の原則を撤回せよ、というものです。
障害者が当たり前の生活をおくるために必要とする支援は「サービス」なのか。
これでは「障害も自己責任」と言っているようなものです。
当事者のみなさんが涙を流し、人間の尊厳をかけて訴えてきたこの要求。
政治を大きく動かしています。
厚生労働省は様々な負担軽減の措置をとらざるをえなくなり、「実際の負担を軽くして事実上の収入に応じた負担(応能負担)にしている」と弁解。
与党のなかでも「応能負担に制度を変えるべき」との意見をまとめたという報道もありました。
厚生労働省の説明では判然としなかったため、私たちの質問はまずこの問題に集中しました。
「実態としての応能負担というのが与党の案なのか」
「応能負担とすべきとの内容と聞いている」(厚労省)
これが本当ならば、さらに大きな見直しが必要になります。
実は、障害者のみなさんが「サービスを選んで、サービスに応じて日々の費用を負担する」しくみだから、施設の運営に必要な国からの給付金も「日払い方式」となったことで、大変な事態が広がっているのです。
30人定員の施設で毎日30人が通所するわけではありません。
体調によって来られない方、入院が必要になる方、いろいろです。
でも30人と28人、25人で運営費が変わるのでしょうか。
人件費、光熱費、施設維持費、土地代等々、変わるはずがありません。
「あと5年したら施設は破産状態」
「人件費を削る以外に道はなく、ボーナスカット、給与カットでしのいでいるがもう限界」
特に通所施設の悲鳴はあまりに深刻です。
「利用者の負担が応能負担になるのならば、施設への給付金を日払いとする理由はどこにあるのか」
「月払いにすると、利用者がひと月に複数の施設を利用することができなくなる」(厚労省)
説明を聞いたとたん、頭の中は「????」
色々なやりとりの後、もう一度確認しました。
「本当に複数の施設を利用できなくなるのか。そんなことを指摘する意見はない」
今度は厚生労働省は答えをごまかしました。
結局、国からの給付金を増やしたくない、ということしか残らないのです。
一ヶ月に数日しか利用しない障害者も一人とカウントして給付金を出すのはいや。
障害者が複数施設を利用したとき、「月払い」だと、利用した施設全てに給付金を払うことになる。
それを「無駄だ」というのでしょうか。
説明を聞く場ではありましたが、参加した地方議員、予定候補者からは厳しい意見が次々と出されました。
「見直すにあたっての基本的な見解はどうなっているのか。当事者の意見を聞いて見直すというが、それではこれまでは充分聞いていなかった、反映していなかったと認めてのことか」
「現場を見たことはあるのか」等々。
私もしつこく「日払い」問題で食い下がってしまいました。
はっきりしない回答に失望も感じつつ、しかし、自民党政治の限界がはっきりみえているだけに、政治が変えて「出直しさせよう」という意欲もわいてきます。
障害者自立支援法も「廃止・出直し」で野党は一致しているのですから!
国民の要求で政策が動くとき、どんどん声をあげましょう!