日本共産党 田村智子
コラム

【08.10.07】「受ける方も本当に苦しい」――保育園民営化の現実

保育士のみなさんとの懇談

都内のある市で、保育の現場で働くみなさんと、政治の今と未来について語り合いました。
社会福祉法人の保育士のみなさん。一般の親子にも開放されている「子育て広場」の運営にも関わっています。
この「子育て広場」も見せていただきましたが、部屋に入っただけでわくわくするし、ほっとするし。ほんとにすばらしい部屋でした。

おもちゃはほとんど手作り。
フェルトでつくったままごとセットは、おにぎりのご飯の部分とのりをわけていて、これは家の娘でも喜びそう。(写真にとればよかったのですが、手にして遊んでみるのに夢中で忘れてました。残念・・・)

懇談では、まず私から、子どもに焦点をあてつつ、政治の現状と打開の方向を話しました。

――自国が「子どもを生み育てやすい国」と思うか聞いた国際調査(内閣府05年実施)では、「そう思う」がスウェーデン98%、アメリカ78%、フランス68%などに対し、日本では48%と半数以下です。
――2万人の待機児童を解消するためには、90人規模で230ヶ所程度の保育所建設が必要です。70年代には、公立だけで毎年500〜600ヶ所もの保育所がつくられており、政府・自治体がやるきになれば一気にできます。

これは、日本共産党の総選挙政策(各分野ごとの細かなもの)の記述の一部です。
私自身が、「うんうん」とうなずいたり、「そうなんだ!」と驚きながら学んだので、懇談の場でもその実感もこめて話をしました。

交流の時間には、公立保育所の民営化についての真剣な意見交流になりました。
自分の子どもが通う保育所が民営化対象。保護者のなかでは、それがどういう問題かがわからないまま、事態がすすんでいく。なんとかしたいけれど、どうしたらいいのか…。

園長先生も発言してくれました。
株式会社が安値で落札して民営化する、こんなことで、保育はどうなってしまうのか。
民営化される保育所のお母さんたちが、「引き受けてほしい。選定事業所に名乗りをあげてほしい」と直談判にきた。

その保育所に行ってみたが、子どもたちが庭で笑い声を響かせて遊んでいた。なぜこんな素敵な保育所を民営化しなければならないのか。なぜ運営主体を変える必要があるのか、涙がこみあげてきた。

保育士が全部入れ替わり、細かなところで保育のやり方も変わる、その負担は子どもにも保護者にも保育士にもどれだけ重いか。
なぜこんなことにエネルギーを使わなければならないのか。

聞いていて私も憤りの涙がこみあげてきました。
自治体の予算削減のために子どもに犠牲を強いるのか、子どもに関わる予算まで削減対象にするのか、保育士の給料は公務員並みでは「高すぎる」ということなのか。

民営化の問題は、対象となった保育所だけの問題になりがちですが、その根っこにある保育施策の方向を見抜いて、もっと大きな運動にしていかなければと思います。

子どもたちの今と未来に私たちはどう責任を果たすのか。
総選挙でも大きな争点にしていきましょう。