日本共産党 田村智子
コラム

【08.09.05】公営住宅をふやす政策が必要だ

収入基準引き下げ撤回を国交省に申し入れ

 
今年2月、公営住宅への入居条件が変更されるというので国土交通省から説明を受けました(2月22日付けのコラム参照)。
その際にも怒りの声が次々あがり、あらためて政府交渉等の必要性を痛感しました。

都営住宅を追い出される、家賃が値上げされる、収入基準を超えているからと応募さえできなくなる――こんな事態を生むわけにはいきません。
党都議団として、国土交通大臣に申し入れることになり、私も党都委員会副委員長として同席しました。

「公平・適格な入居基準となるよう」「収入の一番低い層が入居できるよう」等々、収入基準を引き下げる理由が並べ立てられました。
根拠となる数字は、「収入分位25%まで」というもの。
収入順に世帯を並べて、下から4分の1まで、という意味です。

これにより、平均月収(2人世帯、税控除後)20万円→15.8万円と、5万円近くも基準を引き下げたのです。
収入限度を超えていれば、家賃を5年間にわたってじわじわと値上げしていく。
場合によっては公営住宅から退去してもらう。
こうした方針(公営住宅施行令)の撤回を強く強く求めました。

こんなに貧困が問題になって、住むところを失う心配が広がって、
ホームレス、ネットカフェや深夜喫茶で夜を明かす人が増えていて、
年金は減額、保険料は値上げで、暮らしが大変になっていて、
なぜ「追い出し」「応募の足きり」のような施策が出てくるのか!

たんたんと説明する役人に、思わず食いついてしまいました。
「公営住宅法に収入分位25%などという基準があるのですか? 貧困層が増えているときに、住宅保障をどうするのかを考えるのが住宅政策ではないのですか?」

公営住宅法第1条(この法律の目的)
「この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」

同席した都議、区議のみなさんからも強い口調で要請が続きました。
それらの声をまとめる形で、笠井亮衆院議員が、役人を諭すように発言。
「政治が変わり目になっている。
住宅政策も、公営住宅法をゆがめるようなやり方ではなく、
この法律の目的にそって、どういう政策が必要かを見直すときではないのか」

都営住宅の不足は、石原都政の責任があまりに大きい。
応募者は増え続け、年間20万世帯。ところが新規建設ゼロが9年間も続いています。
それどころか、都営住宅の用地を民間に売却までしています。
都民の財産をなんだと思っているのでしょうか。

町を歩けば、「なんとか都営住宅に入れないか」という方に次々と出会います。
年金生活の方、収入が安定しない若い子育て世帯、生活費をぎりぎりまできりつめて暮らす家族・・・。
応募していれば当たるかもしれない、そこにわずかな希望を持っている方もいました。
収入基準引き下げは、そのわずかな希望さえも奪いかねません。

必要なのは大幅な公営住宅の増設だ!
そのことを国にも都にも、なんとしても認めさせなければなりません。