日本共産党 田村智子
コラム

『せかいいち うつくしい ぼくの村』

アフガニスタンの村、くらしに思いをはせて

小林豊 作
ポプラ社(初版1995年12月)


新宿区にあるポプラ社のビル。
ここで月に1度、志茂田影樹さんが絵本の読み聞かせをしています。
私も一度、観客(?)として足を運んだことがありました。

開会までの時間、ロビーで自社発行の絵本がならぶ本棚をみていました。
そこで何気なく手にしたのが、この本でした。

色鉛筆で描いたようなやさしい絵、風景画として飾れそうな明るくやわらかい絵。
お話も、村の日常をゆったりとつづっています。
ところが最後のページに凍りつきました。

「この としの ふゆ、
村は せんそうで はかいされ、
いまは もう ありません。」

あとがきには、アフガニスタンの村がモデルだと書いてありました。
絵本で衝撃を受けるのは、何度目でしょうか。

山間ののどかな村、世界一と誇る果物、バザールの華やかさ、
これがアフガニスタンの本当の姿なのかと、思い知らされたのです。

私たち同じような美しい故郷を持ち、私たち同じように、日々の営みを続け、
子どもたちが働いたり、学校に行ったり。
その国に容赦なく爆弾を落とすことが、何をもたらしているのか。

私が受けた衝撃をなんとか伝えたい、
それから数日後の街頭宣伝で初めてこの本にふれて演説をしました。
試行錯誤をして、その後は、屋内の集会で話をするときに、この本を持ち歩きました。

私たちは、国際支援だと言いながら、その国のことを、その国の国民のくらしを、どこまで知っているのだろう。
国際支援の第一歩は、その国のことを知ることではないのか、と気づかせてくれました。

こうして、大人の前では何度も手にしている本ですが、
子どもたちには実は1度しか読んでいないのです。
娘が「戦争の話は怖い」と拒否。
怖い場面は何もでてきません。それでも「せんそう」という言葉に身体が固くなり、心が拒否するのでしょう。

本当は、どの国の子どもも同じでしょう。
「せんそう」はいや、と誰だって感じているでしょう。
子どもたちを「戦争からの解放する」責任は、私たちにあります。