コラム
【08.08.28】なぜ「ペシャワール会」の人が・・・
アフガニスタンからの悲報に
昨日、アフガニスタンで邦人男性が拉致というニュース。
「連れ去られたのは、ペシャワール会の伊藤和也さん」という言葉に、ドキッとしました。
「遺体で発見」のニュースには、涙がこぼれそうになりました。
ペシャワール会、直接、会の方と面識があるわけではありません。
けれど、アフガニスタンへの空爆が始まろうとしていたとき、
空爆開始後、自衛隊派兵が狙われたとき、
何度も国会議員を前に、アフガニスタンの実情を伝えていたのが、ペシャワール会の中村哲医師だったのです。
秘書をしていたとき、お話する姿に接したこともありました。
武力による報復では、憎しみの連鎖がつくられるだけ。
現地の飢えをなんとかしなければ、テロの根源を断ち切ることはできない。
殺しながら支援することはできない。
発せられるメッセージの力強さは、自衛隊派兵をやめさせようという私たちの運動にも大きな励みとなっていました。
それだけではありません。
昨年秋頃から、私は各地で、「戦争に絶対協力しない新しい日本をつくろう」とよびかけてきましたが、
その際に、ペシャワール会の活動、中村医師の言葉を何度も何度も紹介してきたのです。
会ったこともない伊藤さんが、なんだか知人のような気持ちさえして、
訃報に悔しさ、悲しさがこみあげるのをどうすることもできませんでした。
「遺体で」とニュースが告げたとき、「えっ」と思わず声をあげ絶句した私に息子が反応しました。
「どういう事件なの?」
砂漠になりそうな土地に水をひいて、なんとか農作物がとれるようにってがんばっていたん人が、殺されてしまったんだよ。
怒ったような口調になってしまいました。
「どうして、いい人が殺されてしまうの?」
きっと、ペシャワール会のことを少しでも知っている人はみな、同じ思いでしょう。
現地のアフガニスタンの多くの人たちも、悔しくて悔しくて仕方ないでしょう。
空爆開始から7年、外国人の誘拐事件などなかった国が、7年間で激変しているのです。
事件を伝える「赤旗」は、今年に入ってなお最大規模の空爆が、アメリカを中止とする多国籍軍によって続けられていることを報じています。
子どもの犠牲があまりに多く、「もう我慢の限界」と現政権さえも怒りの声明を発していることも。
それなのに、自衛隊をインド洋だけでなくアフガニスタンに上陸させて活動することを検討すると政府は言い、
民主党の前原氏は、復興支援活動をしている職員を護衛するために武装した自衛隊をつけることが必要と発言する。
NGOのみなさんが聞いたら、「わたしたちを殺すつもりか」と怒りの声があがりそうです。
軍服を着た人に守られることが危険なのです。
非軍事、武力を認めない、ことが、こんなに切実に求められているときはないのです。
中村医師の無念のインタビュー。
「ここまで治安が悪化しているとは」という言葉の重みを正面から受け止めなければなりません。