日本共産党 田村智子
コラム

【08.07.18】ビーチバレー会場は芝生広場?

「オリンピック予定地」の視察

2016年夏のオリンピック、現在4つの都市が開催候補地となっています。
そのなかでもっとも地元市民の賛同が少ないのが東京都。

こんなに暮らしが大変なときに、暮らし支援策をわきにおいて、大型開発てんこ盛りのオリンピック招致に突き進む――都政のあり方が問われています。

どれだけ税金をつぎこむことになるのか、どんな施設がどこにつくられようとしているのか、
党都議団の視察に私も参加しました。

1週間前にも訪ねた築地市場からスタートして(築地市場移転の問題は、これまでもこのコーナーで取り上げたので、今回は省略)、メインスタジアム予定地の晴海ふ頭へ。
その敷地の狭さに驚きました。ここに10万人のスタジアム?

周辺は運河、高層マンション。地震などの災害が起きた場合、逃げ場がありません。
大変なパニック状態になるのではと、想像するだけで恐ろしくなります。
駅までの道のりは遠いし、期間中、移動のときには身動きできないほどの渋滞が起きるのは必至です。

トライアスロン予定地のお台場海浜公園では、若者2人と居合わせました。
「オリンピック予定地の視察しているんです。ここはトライアスロンなんですけど」
せっかくなので市民の率直な声をと、話しかけてみました。
「えっ! ここで泳ぐの? トライアスロンの山はどこに?」
「無理でしょ、それは」
即答でした。

ここではトライアスロンの国際試合を開催したことはあるそうですが、
和歌山から来たという二人には、こんな人工の海で、ビルに囲まれ、水質もいまいちの海が「泳げる」海とは思えなかったようです。

次は、ビーチバレー会場。えっ!芝生の公園じゃない!――視察団からどよめきが起りました。(もちろん、私も大いに声をあげました)
どこにビーチが? どこに海が? 目の前にあるのは運河と呼べるような光景。
わざわざ芝生に砂をいれて、ビーチバレー会場にするという説明にため息がでます。
考えてみれば、東京で広い砂浜というのが無理。島に行くしかないのでは?

夢の島では、2003年に建てたばかりの青少年スポーツ施設(青年の家をなくした代わりにつくった施設)を、おそらく取り壊すことになるだろう、ということもわかりました。
公園の緑をつぶすだけでなく、真新しい施設まで…。

一方で、既存のスポーツ施設への予算縮減は目にあまります。
辰巳国際水泳場は、先日、新記録が連発したところ。
しかし、ロッカーが壊れても修理さえしないのが現状だといいます。(この日は中に入れず、利用している方からお聞きしました。)
1964年の東京オリンピックの会場のひとつ、駒沢オリンピック記念体育館。
体育館の中は、外よりも蒸し暑いほど。クーラーがないのです。
「利用している方からクーラーをつけてほしいという声はないのですか?」
案内してくれた職員の方に聞くと、「利用者会議では毎年、要望が出されます」

オリンピックの本来の目的は、市民がスポーツに参加すること。
その延長に最高の競技の場としてのオリンピック開催があるはずです。
ところが、東京都がやっていることは、イベント誘致、そのための巨大開発でしかありません。

観るほどに、話を聞くほどに、怒りがめらめらと燃え立ってきます。
現場を観れば、無理に無理を重ねての招致であることは明々白々。
さめた世論、という段階をさらに一歩進めなければと思います。

石原都知事、もう、あなたの「思いつき」と「トップダウン」はいい加減やめなさい!!
都民、国民のきっぱりとした意見をつきつけましょう!

(写真はビーチバレー会場。緑がいっぱいですね。撮影は、同行した谷川智行さんです。)