日本共産党 田村智子
コラム

【07.09.17】「シッコ」を観ました

「シッコ」を観ました

会場が明るくなってもしばらく席を立てませんでした。
衝撃と感慨と、それから言いようのないエネルギーが身体に満ちてくるような時間。

アメリカの医療制度の問題を始めて知ったのは、7〜8年ほど前だったと思います。
たまたま書店で手にした推理小説の文庫。
アメリカ原住民の問題に触れているらしい、と思って買ったのですが、
「シッコ」が描く医療制度への鋭い告発もこめられていたのです。

この数年、「なんという本だったかな」と、自宅の本棚でその本をさがしたり、
書店で、推理小説の文庫本をはじから見たりしているのですが、
タイトルも、出版社も思い出せないのです。

主人公は医者。アメリカ原住民の女性をめぐる殺人事件。
誰か、思い当たる方いませんか?

その後も、これまたタイトルが思い出せない映画。
「シッコ」で議会証言する女性医師の映像がありましたが、
おそらく彼女を取り上げた映画だったと思います。

保険会社に雇われた医者。
保険適応にならないという判断をくだすために働く。
自分の決定が、患者の治療をストップさせ命を奪うことに苦悩し、
ついには、保険会社と病院が契約をするという制度そのものを告発する側に立つ。

そしてもう1本。
これはレンタル・ビデオ店でも何本も置かれている「ジョンQ」。
作られた話ではありますが、「シッコ」につながる映画です。

「助け合って生きていくことは、人間としての本来の姿ではないのか」
敬虔なキリスト教信者だというムーア監督の思いが深くこめられていて、
告発の重さだけでなく、あたたかさが伝わってきます。
「行動しよう」「起ち上がろう」というよびかけとともに。

他人事ではありません。
キューバやイギリスやフランスにできて、なぜ日本でできないのか。
アメリカ国民にムーア監督が投げかけた問いは、同じように私たちに響いてきます。