コラム
【06.03.10】東大赤門と共同作業所
「合格発表を見に来る受験生への激励を」ということで、赤門前に日本共産党の宣伝カーが堂々とつけられました。
東大法学部の学生さんが、高すぎる学費がどれだけ学生の学問と健康をむしばんでいるか、赤裸々に告発。
私が早稲田大学1年のとき、学費値上げが許せないと思ったその学費より、今の国立(独立行政法人)大学の方が高いのです。いったいどこまで値上げするのか。
私はというと、「なぜ学ぶのか、何を学ぶのか、正面から向き合ってほしい」というエールからはじめました。
受験やテストが勉強の目的になってしまっている日本。入学とともに、学ぶ目的を見失いがちになったのは、私自身の経験でもあります。
学習到達度世界一という結果が出たフィンランドでは、テスト以外に「学ぶ動機づけ」がなければならないと、競争教育を徹底して排除しているそうです。
新たな知識の獲得、発見、これは本来、喜びのはず。学ぶ喜びが根底にあってこそ、労苦をいとわず学問にとりくめるのではないかと思います。
合格できなかった人にも、大きな学ぶ意味を今一度つかんでほしいという願望もこめての演説となりました。
赤門を後にして向かったのは、葛飾区内の障害者共同作業所です。
いよいよ4月から「改悪」障害者自立支援法が施行となる、いったいどんな影響が、ということを具体的にお聞きしようと、障害者団体をいくつか訪問しているのです。
はじめに所内を見学。小学校の理科の授業で使う教材の箱詰め、1個の工賃は5・5円とのこと。「うちの息子も、こういうのをもって帰ってきましたよ」と私。
クッキーなどのお菓子を作り、包装する仕事、給食をつくり配送する仕事、どれも責任をもった仕事の内容であることがわかります。
食堂に張られた「今年の目標」、「給料を増やしたい」「貯金したい」というものがいくつもありました。
4月からは、工賃は受け取るけれど、それを上回る費用負担が、ほとんどの障害者にのしかかります。
施設運営も大変です。所長さんの試算では、来年度は2000万円もの減収になりそうだというのです。
いったいどうやってのりきるのか、「人件費カットしかありえない」。いま、職員のみなさんと頭を悩ませているそうです。
障害者本人にも重い負担、事業所も火の車、「いったいだれが喜ぶんでしょう」という声が起こるのは当然です。