日本共産党 田村智子
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【14.05.20】 内閣委員会 NIH法案について

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 健康・医療戦略推進法案第二条、基本理念では、創薬や先端的医療機器技術、再生医療などの実用化、産業化、海外への展開を掲げ、国はこの基本理念に沿った施策を行う責務、地方公共団体にも基本理念にのっとった施策を行う責務を課しています。
 地方公共団体についてはどのようなことが期待されるのでしょうか。

○政府参考人(中垣英明君) 今委員御指摘のとおり、健康・医療戦略推進法案第四条では、地方公共団体は、健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出に関し、国との適切な役割分担の下、地方公共団体が実施すべき施策として、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する旨を規定いたしておるところでございます。
 この趣旨でございますけれども、地方公共団体につきましても、国との役割分担をしつつ、健康長寿社会の形成に向けて当該地域にとって必要な施策を企画立案し、実行に移していくべきであるというこの旨を法案に定めたものでございます。
 したがって、法案の趣旨を踏まえまして、各地方公共団体におきましては、地域の研究開発でありますとか産業の状況に応じた特色ある様々な取組が進められることを期待しているというものでございます。

○田村智子君 推進法八条は、国、地方公共団体、研究機関、医療機関及び事業者の間の連携を図るための施策を講ずることとなっていますが、どのようなものが想定されるのでしょうか。また、これまでの政府の施策で八条に該当する施策というのはあるのでしょうか。

○政府参考人(中垣英明君) 健康長寿社会の形成に向けましては、施策の実施主体、又はそれに協力する主体でございます国、地方公共団体、研究機関及び事業者のそれぞれが相互に連携を図って施策の効果的な実施を図ることが必要であります。そのため、健康・医療戦略推進法案では連携の強化について規定しておるところでございます。
 具体的にでございますけれども、例えば、国、研究機関及び医療機関の連携といたしましては、研究機関における基礎的な研究の成果を医療機関における人を対象とした臨床研究につなぐといった国の支援によります橋渡し研究でありますとか、地方公共団体、また研究機関及び事業者の連携としては、地方公共団体が間に入って、地方の大学にある研究シーズを地域に根差した民間企業で実用化につなげ、地域発の産業振興を行うといった施策が当たるものと考えておるところでございます。

○田村智子君 これは、文科省の知的クラスターなどもこういうものに当たるのではないかというふうに思いますが、よろしいでしょうか、文科省が進めている知的クラスター。

○政府参考人(中垣英明君) はい、該当するものと考えております。

○田村智子君 国と連携したそういう研究に地方自治体も取り組んでいくことになると。じゃ、具体的にどういうことが起こるのか。
 神戸市は、二〇〇二年に文科省の知的クラスターに指定をされています。現在、ポートアイランドに理研などライフサイエンス関係の研究機関、企業、先端医療センター等の高度専門病院群などを集めた医療産業都市、その構築を進めています。これは言わば、今確認をいたしました推進法の基本理念、あるいは四条、八条を先取りしたものだというふうに考えます。
 十五日に行われた参考人質疑で兵庫県保険医協会の武村参考人が、ここで何が起きているのかということを具体的に述べられました。
 神戸市は、医療産業都市の一画に神戸市立医療センター中央市民病院を移転しました。この病院は元々ポートアイランド内に建設をされていて、阪神・淡路大震災の際に、神戸大橋の損傷による通行止め、周辺の液状化などにより、三次救急機関として機能しなかったという痛苦の経験を持っています。それにもかかわらず、更に海側に、僅か一・三キロですが、移転をして新築する。しかも、九百十二床あった病床を七百床に減らしてしまいました。多くの市民や医師会が計画段階から強く反対したのは当然のことだと思います。
 神戸市は移転の理由として、臨床部門の核とするために先端医療センターの隣に移転する必要があるというふうに説明しました。先端医療センターを運営する先端医療振興財団の井村理事長は、中央市民病院の患者などを対象に最先端医療の応用研究を進めている、このためにも、また救急事態への対応に際しても市民病院があると便利と語りました。当時の先端医療センター長はラジオ番組で、やっぱり中央市民病院の患者さんや一般の人が必要である、新しい医療が生まれるためには膨大な人体実験が必要でしょうとまで述べました。
 先端医療センターで開発を進める臨床研究の被験者を中央市民病院の患者から集める、被験者が急変をしたら中央市民病院に救急搬送する、だから移転が必要だったということを赤裸々に語っておられるわけです。
 法案が目指す基本理念に沿った自治体の施策、国との連携の施策、これで目指すのはこういう神戸市のようなことなのでしょうか。官房長官、お願いします。

○国務大臣(菅義偉君) 地方公共団体についても、国との役割を分担しながら、地域の経済や産業の状況を踏まえて、健康長寿社会の形成に向けて当該地域にとって必要な施策を企画立案し、実行していくべきである、そのことをこの法案には趣旨として書き込んでおります。
 なお、この地域の医療提供体制というのは、都道府県が中心となって、それぞれの地域の実情を踏まえて、関係者の意見を聞いた上で医療計画を策定し、これに基づいて医療行政が行われているというふうに理解をいたしております。
 神戸市の事例についても、そうした地域の医療提供体制の確保という問題も含め、様々な点を総合的に考慮した上で対応していると、このように聞いております。

○田村智子君 現実には市民や県民に何がもたらされているのか。神戸市は、三百八十二億円の建設費だけでなく、毎年五十億円もの市税を病院の運営費として投入をしています。一方で、中央市民病院の二次救急患者の受入れ停止は、二〇一二年、二千七百十八時間、これは移転前の二〇一〇年の二・七倍にも及びます。市民病院機構の菊池理事長は、病床数が減ったから救急の受入れができなくなったと認めておられます。また、中央市民病院が担ってきた高度医療も、臨床研究レベルの先端的医療以外は受けにくくなっているという声も聞かれます。
 市民、県民への影響はこれにとどまりません。兵庫県立こども病院も二〇一五年に医療産業都市に移転の予定です。子供の病院をわざわざ液状化や津波被害のおそれがある埋立地に移す、しかも周辺は様々なウイルスなどを保管する研究機関が集中をしている。周産期センターを持つ中央市民病院の目と鼻の先に総合周産期センターを持つ県立こども病院を移転させる。医療界、県民、自治体からの疑問や反対がどれだけ出されようとも、強引にこうした計画が進められようとしています。
 神戸市は、研究成果を市民にいち早く還元し、市民の健康、福祉の向上ということを掲げていますが、実際には市の中心部から更に離れた場所に病院が移転をすることで、一般患者さんへの利便性は低下をしています。救急医療機能も低下をしています。医療産業都市は地域医療を犠牲にして成り立っているというのがこの神戸の実態だと思うんです。
 この法案によって、同じように結果として地域医療が犠牲になりかねないというふうに危惧をしますが、官房長官、いかがですか。

○国務大臣(菅義偉君) 先ほど申し上げましたけれども、この地域の医療提供体制というのは、都道府県が中心となって、地域の事情を踏まえて地域の皆さんから様々な意見を聞きながらその計画を実行しているというのが基本であります。
 今御指摘をいただいておりますこの神戸市の市民病院の移転についても、病院の開設者であります独立行政法人の神戸市民病院機構が住民を始め関係者の皆さん等の意見を聞きながら、また兵庫県とも相談しながら適切に実行したというふうに聞いております。
 いずれにしろ、この法案によって、地域の医療提供体制についてこのような考え方が特段の影響を受けるものではないというふうに考えています。

○田村智子君 中央市民病院の移転も一万三千を超える市民の反対署名というのが集められたんですよ。医師会もこうした病院の移転には反対ということを言い続けてきた。これで地域の皆さんの意見聞いていたなんというのは全然成り立たない議論だというふうに思いますよ。
 続けます。
 推進法第二条の基本理念には先端的医療技術の展開も盛り込まれています。医療機関と医療機器メーカーの海外展開の支援、外国人患者受入れ支援などを行うMEJを中核とすることが想定をされています。
 医療機器の国際展開というのが、その利益や成果を日本の国民にも還元をするという仕組みづくりとともに行われるということを私も否定はしません。しかし、医師、看護師不足の中で、海外に展開するんだとか外国の患者さんも受け入れるんだとか、こういうことには疑問を抱かざるを得ません。
 神戸医療産業都市では、生体肝移植等を行うKIFMECというのが行われています。それから、二〇一六年度開設予定のアイセンター眼科病院、これが国際展開の中核施設として位置付けられて、海外からの患者の受入れや医師の海外派遣を行う計画となっています。KIFMECでは当初、海外からの患者を対象に年間五十例の生体肝移植を行うというふうにしていました。アイセンターでは、iPS細胞を使った目の網膜の再生医療だけではなくて、日本では保険適用であります白内障や緑内障の手術も行うということが言われています。
 海外から患者を受け入れた生体肝移植というのは、臓器移植に関するイスタンブール宣言に抵触する臓器売買のリスクが指摘をされて、兵庫県も営利を目的とした生体肝移植を行わないと医療計画に盛り込んだ上で病院を認可せざるを得ませんでした。
 海外からの患者は日本の公的医療保険の対象外です。当然、全額自費診療で、その値段というのは医療機関が自由に価格設定をすることができます。保険診療よりも収益が上がる海外の患者を優先するのではという懸念が今広がってきています。だから、医師会始め医療関係者が様々な働きかけを、懸念を表明するということを行う事態となっています。
 法案が目指す海外展開によって同じような問題が全国的に起こるということはないでしょうか、官房長官。

○国務大臣(菅義偉君) まず、神戸の今御指摘をされています生体肝移植については、現地の医療関係者によりますと、国内外の患者を問わず、他の病院で対応できないなどの事情を踏まえて行われるものであって、海外の患者を優先するものではないということであります。
 また、今回の法案では、我が国の優れた医療品、医薬品、そうしたものを世界に先駆けて開発することによって、国際的な医療ニーズを踏まえ、世界に流通をし、日本の医療技術そしてサービスの国際展開を推進していこうというものであります。御指摘のような問題にも配慮しながらしっかり対応していきたいと思います。

○田村智子君 これは、今でも医師の不足から、入院がなかなか決まらないとか手術の期間がなかなか決まらないという事例は全国でも起きているわけですよ。これが先端医療となれば、ますますこういう事例というのは起こってくると思うんです。それでも海外からどんどん受け入れていくと。倫理上の問題や医師不足から引き起こされる問題というのを危惧せざるを得ません。
 では次に、先端的医療技術の開発による経済効果についてもお聞きをいたします。
 神戸医療産業都市の経済効果、これについて神戸市は、二〇一〇年度、一千四十一億三千百万円の経済効果があるという試算を出しています。これまでに市や国が投じた税金は一千三百億円ですから、それとの関係でどこまで経済効果が上がっているかということは疑問に思わざるを得ませんし、これは武村参考人からも指摘をされました。
 神戸市は、いやいや、進出企業は増えているんだと、こういうことも強調されています。しかし、二〇一〇年には、この十年間で進出した医療関連企業の約三割が撤退したと日経新聞は報道しています。さらに、国の補助金も含めて二十二億円を投じられて設立した国際医療開発センター、これは半年余りで破綻をして、市の外郭団体が八億円の負債共々引き取るという事態になっています。しかも、税金投入して進めた臨床研究、治験段階の医療、これは何も兵庫県民や神戸市民でなければ受けられないというものではないんですね。なぜ国の税金ではなくて、市や県がそこに巨額のお金を投じていかなければならないのかという疑問も起きてくるわけです。
 先ほど指摘した公立病院の移転のデメリットと比較しても、県民、市民にとって果たしてどういうメリットがあるんだろうか、そのメリットが大きいということが言えるんだろうかと、これは私は到底言えないというふうに思うんです。
 法案が目指す経済成長は、地域医療の機能低下、自治体の財政負担の増加などのデメリットと比較して、これを超えるというものになるのかどうか、これも、官房長官、お答えください。

○国務大臣(菅義偉君) 神戸市の事例については医療法に基づき適切に進められるというふうに聞いております。さらに、地域医療の機能低下等の大きなデメリットは生じていないということであります。
 いずれにしろ、今回の法案というのは、医療分野の研究開発を戦略的に推進をして世界最高水準の医療を実現をしていくとともに、健康・医療に係る産業を戦略産業として育成していくことが重要であるという認識の下に推進体制を整備をする極めて重要なものであるというふうに考えています。

○田村智子君 現実に起きていることと官房長官の答弁というのは非常に乖離があるように感じます。
 推進法第五条は、大学、研究開発法人に対して先端的、学際的、総合的な研究を行うよう責務を課しています。この大学、研究開発法人には大学病院や国立がんセンターを始めとするナショナルセンターが含まれていて、健康・医療戦略本部などで研究の方向性が決められ、基本理念に沿った研究や運営を行うことになります。
 こういう方向を強めると、これらの高度医療機関が担ってきた三次救急医療などの政策医療、あるいは高度医療も含みますけれども、こういうものや地域医療に果たす役割というのが後退するのではないか、こういう懸念がありますが、官房長官、いかがですか。

○国務大臣(菅義偉君) 今度の法案、推進法の第五条においては、基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進とその成果の円滑な実用化というものが求められております。そういう中で、大学や研究開発法人等の研究機関が医療分野の研究開発やその成果の普及、人材の育成に積極的に努めるとともに、医工連携などの融合分野の研究に努めるべきであるというふうに期待をいたしております。
 一方、政策医療への影響については、こうした研究を進めることが例えば難治性、希少性の疾患といった政策医療の充実にもつながるものと考えておりまして、地域医療の確保については従来から医療法に基づき計画的に進められており、この法案が成立したからといって特段に支障が生ずるとは思いません。

○田村智子君 これは人も施設も限界があるわけです。そして、今まで作られてきた計画に新たなものがどんどん加わっていく。そのときに起きる矛盾ということに対して、余りにもそれは検討されていないと言わざるを得ません。
 次に、研究推進体制の問題についてお聞きをいたします。
 これ、十三日の委員会ではSTAP細胞をめぐる問題も議論されました。私はちょっと違った角度から議論したいと思います。
 推進法十八条の医療分野研究開発推進計画は集中的かつ計画的に研究開発を進めるために策定をされ、具体的な目標と達成期間も定めることとなっています。期限を切って成果を出すということが求められており、それがなかなか成果につながっていない、次につながらないと、こう判断をされれば研究が打ち切られるということもあるのでしょうか。

○政府参考人(菱山豊君) 医療分野研究開発推進計画に基づきまして医療分野の研究開発を推進するに当たりましては、研究事業や採択した研究課題につきまして、その成果を適切に評価することが大変重要だというふうに考えております。
 このため、この計画に基づきまして研究開発の中核組織として研究管理の実務を担う日本医療研究開発機構におきまして、個別の研究課題の評価に当たってプログラムディレクターが外部の専門家の評価も得ながら課題ごとの目標の達成度について評価を行うこととしております。機構は、こうした評価結果を踏まえまして、その後の研究計画や研究費の配分の見直しに適切に反映していくということになっております。

○田村智子君 これは、見直しを行うということは研究が打ち切られることがあるということです。これ、研究打ち切られると多くの研究員などが行き場を失うことになります。こうした競争的資金では、プロジェクト限定で研究員を雇うことしかできないんです。
 国立大学や独法の研究機関の運営費交付金、どんどん減らされて、基盤的な人材確保に苦労する状況が生まれています。参考人質疑でも、運営費交付金というのは、これは言わば大学のお米でございます、今は人件費を払うだけでもうほとんど手いっぱい、それも払えない大学も増えている、これはかなり危機的な問題と名古屋大学総長の濱口参考人が述べておられました。
 研究開発法人の研究職員の状況をまとめた資料を配付しています。見ていただきたいんですけれども、これ、足下に研究機関を有しない法人を青くマーカーをして、そして研究職員が百人以上の法人を肌色でマーカーをいたしました。さらに、任期付研究員プラス非常勤職員、期間限定の皆さんですね、この割合が研究職員全体の五〇%を超えているところを赤く囲みました。逆に、任期の定めのない職員の割合が五〇%を超える法人、これが緑で囲っています。これ、一目瞭然なんです。厚労省、文科省所管の研究法人に赤枠がずらりと並ぶわけです。
 中でも、任期付研究員の割合、理研は突出しています。二千百十七人の研究職員の約七五%、研究の現場は五年たてば全員が入れ替わる、こんな巨大組織は世界でも珍しいのではないか、こういう指摘が報道されていましたが、成果を出さなければ人も組織もなくなってしまう、こういう事態なんです。こういう組織の実態がSTAP細胞論文の問題の温床ではないかと考えますが、文科省、いかがですか。

○政府参考人(山脇良雄君) 委員御指摘のとおり、理化学研究所では、現在、研究職員の約八割が任期制となっております。一方、今般のSTAP論文における研究不正の要因につきましては、研究者本人の倫理の欠如でありますとか、シニアな研究者を始めとする研究チームの責任分担の不明確さ、理研としてのチェック機能やプロセス管理の問題など複合的な要因があったと考えられます。これを踏まえまして、理研におきましては研究不正再発防止のための対応について検討がなされているところでございます。
 具体的には、外部有識者から構成される研究不正再発防止のための改革委員会で検討が実施されているところでございますが、この改革委員会におきましては、これまでのところ、研究者が任期制の身分であることが今回の研究不正の要因であったという指摘はなされていないというふうに聞いているところでございます。
 いずれにしましても、理化学研究所は、今般の研究不正の問題についてしっかりと要因分析を行いまして、それを踏まえた再発防止対策を講じることが重要であると考えております。

○田村智子君 これ、非正規で研究を打ち切られるかもしれない、成果出さなきゃいけない、そういうことが温床になって倫理の欠如が生まれているんじゃないかと、この問題、ちゃんと見るべきだと思います。
 今回の法案で中核的な役割を果たすことが期待される理研を始めとするナショナルセンターなどを見ると、非常勤職員を含めると研究職員の八割が非正規職員。これは、特定国立研究開発法人に指定された産業技術総合研究所が二千六百九十六人の研究者のうち七五%が任期なしであることと比べても極めて異常だというふうに思います。
 政府が引き続き重視すると言った基礎的研究には、長期的な視野や安定した体制が求められます。創薬などの臨床研究も、一定の成果や実用化までは、これは少なくとも五年や十年は掛かると言われています。ほとんどが非正規の研究員で、常に成果を上げなければ次のポストがなくなる、こういう下では不正への誘引圧力というのは緩和がされません。法案が強化すると言っている医療分野での研究開発能力は、むしろ弱くなっていくという懸念が拭えません。
 こうした医療研究の基盤、土台が崩れかねないという事態、基盤的経費である運営費交付金の大幅な増額が今こそ急務だと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

○国務大臣(菅義偉君) まず、この人材でありますけれども、人材は、新たな価値を生み出し、競争力を強化するための原動力であって、優れた研究者を確保することができるのかどうか、そのことがイノベーション創出を大きく左右するものであります。そのために、研究者の活躍の場が広がり、彼らが将来に向けてキャリアアップを描くことができるように、適材適所で安心をして働くことができる体制をつくることが極めて大事だというふうに考えております。
 そのために、総合科学技術会議における検討を経て、昨年六月、閣議決定をいたしました科学技術イノベーション総合戦略においては、国内外の優秀な人材の流動化の促進や、人事・給与制度の改革、多様な人材がリーダーシップを発揮できる環境の構築などを打ち出しているところであります。この推進本部においては、このような政府全体の方針の下に、関係する研究開発法人の能力を活用し、医療分野の研究開発を戦略的に、総合的にしっかりと推進していくことになるというふうに思います。

○田村智子君 終わります。