日本共産党 田村智子
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【12.04.18】地域活性化・共生社会に関する調査会――被災からの復興に焦点をあてて

被災地海岸部の国立公園化、仮設住宅の仕様の改善を

○田村智子 被災地の復興については、津波で洗われた地域を今後どのような土地活用をしていくかということが一つの大きな課題になっていると思います。
 私もこの調査会で視察に伺った陸前高田市で寄せられた要望についてまずお聞きをしたいんですけれども、陸前高田市の市長さんからは、津波で洗われた部分のあの相当の面積部分を津波で被害に遭った方々の慰霊のための記念公園あるいは津波被害を後世に伝えていくための記念公園として、国立公園としての設置を強く私どもも要望を受けました。
 恐らく直接陸前高田市から復興庁ないし国土交通省にも届いている要望ではないかと思いますので、これが今検討がされているのかどうか、また、もし国立公園として整備をするということになれば、ハードルがあるとすればどのような問題をクリアすることが必要なのか。質問通告もない下での質問ですので、分かる範囲で構いませんのでお答えいただければと思います。

○末松義規 復興副大臣 陸前高田市からそのような御要望をいただいているのは私たちも承知しております。
 ただ、国立公園ということでございますので、国の管理と国の費用が全部入るわけなんですけれども、そういったところが、いろんなほかの地域からも、国で面倒を見てもらった形のそういった記念館とかいろんなことを今承っておりますので、そういった中で、ちょっと県とかそういったところとの調整とかいうことにもなろうかなということを今考えております。
 ちょっと詳細については、今ちょっと手元に資料がございませんので、この程度で御勘弁いただきたいと思います。

○奥田建 国土交通副大臣 国土交通省の方で、委員御指摘の国立公園というものとは違うかもしれませんけれども、一つのメモリアルパーク、慰霊の公園ということでの検討はさせていただいているところであります。
 職務を担当する政務官の方で、例えば沖縄の平和祈念の公園であるとか、そういったところの視察というものも進めております。もうちょっと詳しく、局長の方からもお話しさせてよろしいですか。

○加藤利男 国土交通省都市局長 お答えを申し上げます。
 ただいま副大臣から御答弁させていただいたとおりでございますが、内部に検討委員会を設けておりまして、この検討委員会には三県の副知事さん、それと復興庁の方にも御参画いただいて中間的な取りまとめを行いまして、そのときには、公園、都市公園全体の整備の方針をどう考えるかということで、基本的な考え方を中間的に取りまとめております。またその中で、国の関与、これは、御指摘いただきました国営公園の整備をどう考えるかということで、その考え方を中間的に取りまとめておりますが、まだ最終的な結論には至っておりません。引き続き、よく内容を検討して詰めていきたいというふうに考えております。

○田村智子 高台移転の費用等を考えても、まとまってその土地をやはり国が支援して購入するというのは、一つの私は手法ではないかというふうに個人的には感じているんです。
 また、陸前高田へ伺ったときにもその沿岸沿いに津波で被害に遭った建物がそのまま残された状態がずっと続いていて、やはりそこに国が積極的に関与をして整備を進めていくというのは一つ復興を大きく励ます手法ともなると思いますので、積極的な検討を改めて要望したいというふうに思います。
 次になんですけれども、厚生労働にかかわることで御質問をしたいと思います。
 地域コミュニティ復興支援事業ということで、高齢者や障害者、あるいは仮設住宅やそういう被災された方々のコミュニティーをつくるために、様々に人も配置をして、見守りの人も置いてという事業、これはとても大切なことだと思います、ソフト面という点で。ただ同時に、私たち実際に被災地を視察をして、仮設住宅のこの建て方自体、つまり物理的条件、ハード面でも、もっとこのコミュニティーであるとかいわゆる支援の必要な方、社会的弱者の方々に配慮をした仮設住宅の仕様の在り方、建設の在り方というのが検討されるべきではないかということを強く感じました。
 私たちが伺ったのは釜石市の平田地区というところで、ここは、玄関は必ず対面式で造ると。これで、生活している方が日常的に顔を合わせることができる。しかも、その上には全部屋根がありまして、雨を心配することなく、おはようと声を掛け合うことができる。その下はウッドデッキになっていて、ほとんど段差なく入口に入ることができますので、車椅子の方も、そのウッドデッキまでなだらかな坂を上がって家の中まで入ることができると。
 これは非常に仮設住宅の中でのコミュニティー形成には大変大切な取組だなということを感じました。しかし、多くの仮設住宅は急いで、それから予算の中で造るということが求められたからだとは思いますけれども、砂利敷きで、玄関はお互いにそっぽを向いた仕様が当たり前で造られて、まあ追いだきの問題とか断熱材の問題とかいろいろありましたけれども、非常に、いかに早く安く造るかということにある意味視点が置かれてしまったのかなということが大変残念でならないんですね。
 ですから、やはり今後も大規模災害ということは想定されるわけで、仮設住宅の仕様の在り方、ハード面でコミュニティーの形成、この地域コミュニティーが避難生活の中でも形成されるような在り方というのは是非検討をしていただきたいというふうに思うんですけれども、この点について見解をいただけたらと思います。

○西村智奈美 厚生労働副大臣 やはり高齢者や障害者の方含めて多様なライフスタイルの方が仮設住宅にお住まいになるわけですから、そういった意味での様々な配慮は必要なことだというふうに思っております。社会参加の基盤となることでもありますので、バリアフリーという観点においては、厚生労働省も関係省庁と連携して進めているところでございまして、またこのバリアフリーについては講習会等もやっているということでございます。
 詳細については政府参考人の方から答弁させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○西藤公司 厚生労働大臣官房審議官 仮設住宅のコミュニティー対策など含めましてでございますが、これまでもいろいろ追加措置等含めてやってまいりましたが、御案内されました平田地区などはすばらしいものができておると思いますが、場所によって場所がないとか土地がないとかということで、一律にこういうものというものはなかなかできないと思っております。
 ただ、仕様については、私ども、国土交通省さんとも一緒に勉強させていただいておりまして、今、仕様の改定について検討を進めているところでございます。
 また、こういうすばらしい事例があるということについては、各自治体にも紹介しながら、今後のそういう仮設住宅を建てる場合の参考にしていただくということの事例紹介というものもできるかと思っております。

○田村智子 ありがとうございました。

意見表明――まちづくりの計画から女性・若者の参加を

○田村智子 日本共産党の田村智子です。
 被災地の復興に向けてというテーマを置いた今国会の調査会は、被災地の支援活動を行っている方々の意見陳述、また視察の際には陸前高田市長、釜石市長との意見交換など、被災地が直面する課題を現場に即して考える場となりました。御協力いただいた皆様への感謝の意とともに、被災地が求める政策の実現に努力する決意をまず表明するものです。

 東日本大震災の津波被害が甚大だった地域で、高台移転など大規模な市街地移転の検討が始まっています。この新たなまちづくりに女性と若者が参加していくことの重要性が複数の参考人から指摘されました。
 子育てや介護などのより大きな担い手である女性の意見がまちづくりの計画段階から反映されることは、社会的包摂、共生を大切にしたまちづくりに不可欠だと考えます。
 また、若者の人口流出が深刻な問題となっている被災地で、まちづくりへの若者の直接的な参加が重要なことは言をまちません。大学進学など、地方を離れざるを得ない現実がある。だからこそ、故郷に住み続ける若者だけでなく、広く若者の意見、要求を踏まえ、UターンやIターンの機会を広げるまちづくりが大切であることも指摘されました。被災地のみならず地域の活性化を図る上で重要な指摘だと思います。
 同時に、女性や若者の参加の難しさも被災地への視察で実感しました。町会、自治会等の会合は各家庭を代表する形で年長の男性が参加するという慣習は、多くの地域で見られるものだと思います。年長者の意見を尊重することとともに、女性、若者をいかにまちづくりの主人公としていくか、国と地方自治体とも意識的に取り組み、時には慣習を変化、発展させるイニシアチブの発揮も求められると考えます。
 さらに、障害者や独り暮らしの高齢者など、社会的支援を必要とする方々がまちづくりの協議に加わることも共生社会の実現に不可欠であり、そのためにどのような取組ができるのか、今後の調査会の中で問題意識を持って臨みたいと思います。

 地域活性化における女性の役割について、宮城県名取市で農家の女性たちが産直グループをつくり、町の活性化に役割を発揮している経験が紹介されました。この中で、農家女性が家族経営協定を結び、共同経営者となり、産直野菜の生産者として社会的に認知されたという経験は大変勉強になりました。
 女性の発言権が地域の中で認知されない一つの要因に、実態としては男性と変わらぬ働き手であっても、男女間の賃金格差や社会的地位での格差の問題があると思います。産業経済活動での男女平等、女性や若者の社会的地位の向上に資する法制度の改革や既に男女共同参画の視点で改められた法制度の周知、先進的な取組の普及など、立法府、行政府の役割も問われていると思います。

 避難所や仮設住宅で共生社会実現の視点がどうであったか、複数の参考人から厳しい指摘がありました。
 仮設住宅が玄関を向かい合わせて設置されるだけでも住民のコミュニティー形成につながることが阪神・淡路大震災での教訓の一つであったにもかかわらず、東日本大震災への対応にほとんど生かされなかったことは大変残念であり、政治に携わる一人としてじくじたる思いがあります。
 視察した釜石市平田地区の仮設住宅では、対面式の玄関に加えて、玄関口をつなぐウッドデッキや屋根の設置が住民の皆さんの日常的な交流を物理的に可能としていることがよく分かりました。
 災害時だからこそ求められる人のつながりを重要視した災害対応の政策が求められています。改善でき得るところはこの東日本大震災の対応でも今からでも実施する。特に、仮設住宅の環境整備は、本調査会としても具体的な事例を含め、政府に提起していただくよう要望するものです。
 我が国は、地震など大規模災害が不可避であり、避難所の設置、運営、仮設住宅の在り方の見直し、また社会的包摂を重視した日常からのまちづくりを、今度こそ東日本大震災、阪神・淡路大震災での教訓をくみ尽くして進めるべきだと思います。
 ユニバーサルデザインの公的機関への普及が災害時に障害者や高齢者等支援を必要とする方々の安全や健康の確保に直結すること、地域の高齢者の居場所として運営された施設が災害直後の避難所として大きな役割を発揮したことなど、本調査会で参考人の方々から紹介された取組は大変示唆に富んでいます。
 また、異なる世代間のコミュニティーづくりを視野に、多摩ニュータウンの再生の努力も、地域活性化のみならず、災害への対応としても注目できるものです。こうした取組を国としても集約し、普及し、各地域での具体化を後押しすることが求められていると思います。

 最後に、長野県飯田市の牧野市長が市街地を焼き尽くした飯田大火からの復興の歴史を意見陳述されましたが、その中で、子供たちの意見で焼け野原となった町にりんご並木が造られ、町のシンボルとなり、今日も子供たち自身がその整備を続けているという経験に大変感銘を受けました。
 大災害の経験は、子供たちに将来にわたって大きな影響を与えることになるでしょう。その復興の過程で子供たちの希望や願いを形にしていくこと、それを子供たち自身が受け継いでいくこと、それは被災した故郷への誇りとなり人間の成長と町の発展の力になるものだと思います。東日本大震災の被災地においてもこうした経験が実を結ぶことを心から願い、意見表明を終わります。