日本共産党 田村智子
コラム

【13.11.26】廃案しかない! 特定秘密保護法案

「聞く耳持たない」内閣の暴走を許さない

11月26日、とても長い一日でした。
午前11時過ぎに、衆議院で特定秘密保護法案が強行採決。
国会周辺は、急転直下の事態に続々と人が集まり、抗議の声が途切れることなく続きました。
午後6時45分、衆議院本会議が野党の合意がないもとで開会。
午後7時20分、特定秘密保護法案が議題となり、賛成・反対の討論。私も傍聴席に。
午後8時12分、怒号の中で起立採決。自民・公明・みんなの党が賛成し可決。

可決を見届けて、私も抗議の声を上げる皆さんのもとに駆けつけました。
やむにやまれぬ思いで駆けつけた人、駆けつけることはできないけれど、全国各地で怒りの声をあげた人。
短期間に、反対の世論、この国会で採決するのは拙速だという世論は急激に広がりました。

11月21日の日比谷野音での集会、デモ行進。
国会には夜10時過ぎまでデモの列が。60年代の安保闘争を想起したという声もあがったほどです。
11月25日に福島市内で開かれた、この法案について衆議院国家安全保障特別委員会の地方公聴会では、7人の陳述者全員が、法案に懸念を示し採決すべきではないと主張。

私も各地の集会、街頭宣伝で、この法案の危険な内容を訴えてきました。
議員会館で行われた各界女性の記者会見では、社民党の福島みずほさん、沖縄選挙区の糸数慶子さんと私で、即興の寸劇もやりました。(YouTubeに投稿しました。)

何が秘密かは秘密。政府の判断で、秘密にされた事項はどこまでも国民から遠ざけることができます。
今でも、政府は情報公開法にもとづいて資料要求しても、勝手な判断で黒塗り資料を平気で出してきます。秘密保護法案の策定にあたっての、各省意見についてさえ、黒塗り資料しか出しません。
私の事務所にも、高さ20センチにも達する黒塗り資料があります。陸上自衛隊の教育・訓練内容についての資料を求めたら、そのほぼすべてを黒塗りにした資料が防衛省から届いたのです。

秘密にすることが妥当かどうか、今は、裁判で争うことも可能です。
黒塗り資料が出てくれば、何が秘密にされたかを知ることもできます。
何が秘密かは秘密、となれば、「そのような資料があるかどうかは回答を控える」という対応が行われることは必至です。
それでも情報をとろうと、記者が官僚にくらいついて、張り込みなどもして取材を試みたら、「不正に特定秘密を入手しようとした」と逮捕、拘束、家宅捜査、取り調べ、裁判、懲役刑という事態が起こりえます。
国会には秘密会で特定秘密の事項を提供する場合もあるとしていますが、知りえた情報を広げることはできません。たとえば、赤旗で報道したら、国会議員も赤旗記者も懲役刑となるでしょう。

特定秘密を扱う仕事に就く人は、国家公務員だろうと、民間労働者、省庁に派遣された派遣労働者だろうと、「適正調査」の対象となります。
家族構成、収入、同居人、友人関係、借金(クレジット情報)、病歴、薬物やアルコール依存の履歴があるか、うつ病などの履歴はあるか等を、省庁の担当者が調べ上げることができます。

国民の知る権利、取材や報道の自由、言論の自由は、「配慮」されるという規定。
これらは、憲法が定める基本的人権として保障されるものであり、配慮の対象ではありません。

そもそも、今の日本政府が情報をだだ漏れにしているといえるのでしょうか。
そのことで日本が危機に陥ったなどということがあったでしょうか。
現在も、国家公務員には守秘義務があります。不当に情報を漏らせば厳しい罰則があります。
なんのための特定秘密保護法案なのか。
政府が国民の基本的人権を蹂躙してまで秘密にしなければならないこととは何か。

防衛上の問題を持ち出します。
それは軍事的行動を前提としているとしか考えられません。
平和的外交で、問題を解決しようとすれば、国民に支持される公明正大な主張が一番の力になります。
もちろん、交渉過程の問題を逐一報告することはできないでしょう。
けれど、国家秘密は少ない方がよい。時間の経過によって、外交の記録は国民に説明されるべきでしょう。
軍事力、軍事作戦、先制攻撃――これらは、外国のみならず自国の国民にも隠し続けなければならないことは明白です。

私たちにできること、法案を知らせること、怒りを表現すること、廃案にと声をあげること。
国会議員としてできること。毅然と政府にものをいい、自民党と対決し、国民の声の代弁者として一歩もひかないこと。
他党の議員に個別にも働きかけること。
他の委員会でも、悪法製造マシーンにならないよう、全力をつくすこと。
会期末まで1週間。できることは何かを考え、即行動。頑張りぬきます。