日本共産党 田村智子
コラム

【13.03.07】被災自治体の切迫した要望、国への怒り

広野町、いわき市の首長と懇談して

調査会の視察報告、第2弾です。
福島第1原発の視察後、広野町の山田基星町長、いわき市の渡辺敬夫市長からお話を伺いました。
国の施策の遅さ、「心のなさ」への怒りや苛立ちが、ひしひしと伝わる懇談でした。

広野町は、いわき市の北側に隣接する自治体。
原発事故後、政府は屋内退避指示にとどめました。
(町判断で、避難指示を出し、町民のほとんどが町外での避難生活を送ることに。)
さらに事故からわずか半年、2011年9月30日、「緊急時避難準備区域」の指定を解除。
いわば「普通に住める町」という扱いにしたのです。

原発事故の影響をいかに小さく見せようとしているか。
町のみなさんの危機感、不安をいかに小さく扱ったか、この経緯だけでも怒りがわきます。

事故から2年、町に居住する方は760人あまり。
除染も思うようにすすまない、除染をしても放射能への不安はぬぐい去れない、この状態で復興計画をたてろというのか――町長、議会、町の職員のみなさんの苦悩はどれほどのものでしょうか。

住民が1000人に満たない町では、医療機関、介護施設、商店、どれも運営が成り立たない。
避難している住民にとっては、医者がいない、買い物する店もない、これでは町に戻れない。
この悪循環。

そのうえ、国の支援策が現場とかみあわない。
山林の除染は国の施策の外、せめて間伐を認めてほしい。
「復旧」が原則で、鉄道も道路も元の位置に作れと求められ、高台に移動できない。
――この怒りをどこにぶつけたらいいのか、という心情まで伝わってきます。

広野町での懇談を終えて、いわき市へ移動したのは、午後5時過ぎだったでしょうか。
大渋滞となりました。
いわき市への避難に加え、第1原発の労働者もいわき市のアパートに住んでいるため、住民が急増し、様々な問題が生じているのです。

予定時間から大幅に遅れて始まった、いわき市長との懇談。
言葉は丁寧でも、施策の遅れへの怒りや切迫感がひしひしと伝わってきます。
災害対応の施策での怒りだけではありません。

「こういう時に、どうして市職員の人件費を削れますか?」と市長。
来年度予算の地方交付税では、地方公務員の給与を国家公務員給与引き下げに準じて算定しています。
一人あたり7%をこえる人件費カットを前提とした算定。
「職員は、懸命にがんばってこの2年間働いてきた。復興予算を理由に、その職員の給与を減らすというのは、おかしいと思いませんか」

その通りです。
私達は、国家公務員の人件費削減は、地方自治体や民間の団体の人件費削減につながることを厳しく指摘してきました。
危惧したとおり、被災自治体を苦しめる結果となっているのです。

この政策に賛成した他党の議員たちは、どんな顔をして市長の話を聞いていたでしょうか。
「現場を重視する」と言いながら、こんなことにも思いがいたらないのか。
自民・公明・民主・みんな、こういう政党の議員に私もつきつけたい思いです。