日本共産党 田村智子
コラム

【13.03.06】「最低生活費」を基準部会はどう検討したか

生活保護をめぐる意見をうけて


メールなどでいただいた意見をどう受け止めるか、考え続けています。
反発、反対の意見がよせられても、子育て世帯の食費が1週間7000円程度は「十分」「多すぎる」という立場をとるわけにはいきません。
生活保護受給世帯であろうと、そうでない世帯であろうと、です。

そうした生活実態を「何の問題もない」とすることは、賃金の底上げ、国民所得の底上げ、国民の福祉の増進という政策を投げ出すに等しいからです。
まして、子どもには「貧困」の責任はないのですから、少なくとも子どもの生活実態にあまりに大きな格差がある現状を放置するわけにはいきません。

意見を寄せた方に、生活の現状、雇用の現状をくわしくお知らせいただきたい。
働いても、生活保護費よりも少ない(あるいは同等の)収入という現状こそ、変えなければなりません。
生活保護に対する意見の違いはあっても、現状を知らせてほしい、現状を変えるために力を合わせたい。

それではどういう収入を保障することが求められるのか。
日本には、最低賃金(あまりに低すぎますが)という基準はあります。
しかし、健康で文化的な最低限度の生活を送るための生活費がどれくらいか、という、ナショナルミニマムはあいまいにされてきました。

生活保護基準部会には興味深い資料が示されていました。
東京23区に居住する一人暮らしの若者の最低生活費(1カ月分、社会保険料、医療費負担はのぞく)
切り詰めるだけ切り詰めた生活で、16万1000円。
つつましいながらも人前に出て恥ずかしくない社会生活を送ると、21万1000円。
基準部会のメンバーである山田篤裕氏が算定した数字です。(「つつましい…」の方は、市民参加で算定したという説明。)
ちなみに、同じ条件での生活保護基準は、13万8339円です。

こういう資料が、基準部会に示されていながら、厚生労働省はこれをまともに検討していません。
最低賃金の考え方は、当然、「つつましいながらも…」をこえて、結婚・子育てへの備えができるというものでなければならないはず。
子どもは、未来の社会の担い手、経済学的にいえば、労働力の再生産に必要な経費が賃金に加えられていなければ、産業が持続しないからです。

視点を変える、視野を広くする。
そうすれば、大きな連帯をつくることができるのでは、私はそこに希望をみたいと思っています。