日本共産党 田村智子
コラム

【08.11.16】日本一(?)楽しいデモ行進

東部地域の共同行動、雷大行進!

 
東京の下町で長年続いてきた共同行動。
労働組合のみなさんが業者団体のみなさんと一緒に、地域の工場や会社を訪問して経営実態の調査を行なったり、共同でシンポジウムを開いたりしています。

一連の行動のしめくくりとなるのが、雷大行進(かみなりだいこうしん)。
浅草界隈でのデモ行進ですが、その先頭はなんとチンドン屋さん!
こんなに注目されるデモ行進はない、という面白さ。

今年は、子ども二人を連れて参加しました。
「チンドン屋さんと一緒に歩くんだよ」
「チンドン屋ってなに?」
「時代劇のような格好をして、鐘や太鼓を鳴らしながら歩くの」
「・・・・」

そんな会話があったのは数日前。
心配していた雨や寒さも大丈夫。レインコートを脱いでしまったほどです。

出発集会の会場は、台東区の花川戸公園。
こんな天候にも関わらず、参加者はいつもより格段に多くて時局の激動をここでも感じずにはいられません。

集会でのあいさつも意気高く、「解散総選挙で政治を変えよう」とみんなが呼びかける姿は、「我慢も限界」「今が立ち上がるときだ」という思いにあふれていました。
あいさつの最後は笠井亮衆院議員。
演壇となったのは公園の滑り台の上。こんなところでマイクを持つとは思わなかったでしょうね。

私と子どもたちの姿に気づいてくれて、笑顔で手をふってくれました。
「笠井さんの話が終わったら手を振り返すんだよ」と娘に言ったのですが、恥ずかしがって私の手を持って振っていました。

 
集会の最後はチンドン屋さんの演奏。
子ども2人も、驚いたように見入っていました。
にぎやかな東京音頭、手拍子、歌声がわいてきて、公園はさながらお祭りのようでした。

お待ちかねの行進がいよいよ始まります。
「チンドン屋さんのすぐ後ろを歩きたいんですが」とわがままを言って、荒川区のみなさんの隊列の先頭にまぜてもらいました。

子どもの姿を見てサービスしてくれたのか、最初の曲は「崖の上のポニョ」そして「ドレミの歌」。
演奏が始まったとたん、通りかかった観光客がカメラや携帯をむけて撮影が始まりました。

この行進の楽しさは、手を振ったり、曲にあわせてリズムをとりながら歩けるところ。
でも、子どもたちにとってはそれは、かなり恥ずかしかったようで、
娘はチラチラと私に鋭い目を向け、、息子は下をむいてしまい…。

私は気にせず、ますます絶好調。
サックス演奏のお兄さんに、「リクエストしていいですか?」と話しかけ、
九ちゃんの「上を向いて歩こう」を演奏してもらうと、歌いだしました。
これが楽しいんですよ。ほんとに。

何年か前も、行進がさながら「カラオケ」か「うたごえ喫茶」になっていき、とうとう沿道の人まで歌を口ずさんだことがありましたっけ。

それにしてチンドン屋さんの技術の高さには、ほれぼれします。
「翼をください」「ぎざぎざハートの子守唄」、曲名は知りませんが北島サブちゃんの演歌などなど、歩くのにちょうどいいテンポで、そして踊るようなステップで演奏するのですから。

演奏の合間に、太鼓をたたいていた「お姉さん」(60代かな)と話もしました。
「かつらを修理してくれる店がなくなっていて、困ってるのよ」
行進の沿道にあったかつら屋さん、シャッターがしまっているだけでなく、建築計画の張り紙がしてありました。

この「お姉さん」、緑の糸でつくったかつらをかぶっていたので、「これは?」と聞いてみると、「仕方ないから自分でつくったの」
隣の若い「お姉さん」は自分の毛で結っているとか。
みなさんのご苦労が伝わります。

生の演奏で、言葉をかわしながら、気持ちを通わせながら、沿道からもあたたかい眼差しをうけながら、こんなデモ行進はほかでは経験できません。

私は最後まで歩きたかったのですが、「足が痛い」という娘の声を無視するわけにはいきませんでした。
もう少しで終点の浅草駅、というところで列を抜けて歩道にあがりました。
(荒川のみなさん、変な親子連れが先頭になってしまってすみませんでしたね。)

 
プラカードと旗が林立して、仮装した人もいて、むしろ旗も高々とかかげられて、
そして、チンドン屋さんの演奏が鳴り響いて、
同じ願い、要求を持つ人たちが、それぞれの個性を生かしながらも連帯する、
この運動の伝統が今の時代に輝くんだなと、隊列を見送りながら思いました。

「疲れた」「恥ずかしかった」という子どもたちも、
でもチンドン屋さんは楽しかったようですし、浅草でおいしいものもいただきました。
それなりに楽しい経験ができたかな。