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国会議員秘書歴8年・そこで学んだこと
華やかな仕事の陰で ママさん客室乗務員の涙
国会での最後の仕事その2は、日本航空の客室乗務員(スチュワーデス)の方々といっしょの行動でした。
出張や休日・夜間の仕事が入ったとき、子どもをどうするかは、とても深刻な問題です。子どもが小学校入学前であれば、労働者は深夜業免除を申請することができ、事業主は免除するために相当の努力をしなければならないとされています(育児介護休業法)。
小学校1年生になったら、夜、親がいなくてもいいということか!と、この法律の不十分さに怒りがわいてくるのですが、この法律さえもふみにじられたのが日本航空でおきた事件です。
日本航空では、2003年1月時点で約100人が深夜業免除を申請し、全員に適用されてきたといいます。この制度ができたことで、出産しても働き続けられると女性たちを励ましてきました。
ところが、2月になって、「4月からは深夜業免除を75人に限定する」と突然の会社が通告。SOSが客室乗務員組合からよせられたのです。
免除枠からもれるとどうなるか、1ヶ月のフライト表をみせてもらいました。何日も日本に帰ってこられないフライト、そのうえ帰国すれば次のフライト予定が変更、休日がいつかも直前まで確定しない、これでは保育ママさんを頼むのも無理ということがわかりました。
法律では、両親と同居など自分以外に常時子どもをみることができる人は、申請することもできないのです。申請している人は、自分や夫以外に子どもをみる人がいない、いったい子どもをどうしろというのでしょうか。
客室乗務員の方々の厚生労働省交渉に、井上美代・小池晃参議院議員が同行。私もいっしょに行きました。さらに井上議員、石井郁子・瀬古由紀子・大森猛衆議院議員が日本航空に事情を聞くことになり、これにも同行することができました。
日本航空から国会にもどると、厚生労働省が「可及的速やかに全員への適用を」と指導文書を出したことがわかりました。
ところが、日本航空は75人枠を広げませんでした。適用除外となった人は「無給の休業」を申請できるとしたのです。
「無給で休め」というのは、事実上の退職強要ではないか! あまりのひどさに井上美代議員は国会でもとりあげ、怒りをこめて質問しました。
傍聴席には、子どもをつれて聞きにきてくれた客室乗務員の方の姿もみられました。
客室乗務員の方がたの、涙で声をつまらせながらの訴えは、いまも胸に突き刺さっています。
「免除枠を限定すると発表があってから、すでに精神的なダメージを受けてきました。乗客の方に笑顔で接しなければいけないと、自分を奮い立たせてどうにか働いてきました。」
「夫の収入だけではやっていけないのに、いつまで無給で休まなければならないのか。どうして指導ができないのか」
「私たちは飛びたいんです。休みたいのではないのです」
日本を代表する大企業での事件は、いまだ膠着状態です。
「次世代育成支援法」では子育て支援策をつくるよう企業にもとめるといいますが、こんな問題を解決できなくてどうするのでしょう。
苦しい立場の客室乗務員のみなさんに心からエールを送ります。そして、国会をはなれても政治がどう動くのか、日本航空がどうするのかしっかり見届けていきます。