【14.03.30】 決算委員会 消費税増税、非正規公務員の問題について
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
いよいよ明日から消費税が八%へ引き上げられようとしています。
今月二十日、二〇一四年度予算案成立のときに安倍総理は記者会見で次のように述べられました。とにかく、消費税アップによる経済への悪影響を最小限に抑え、できるだけ速やかに景気が回復軌道に戻るよう万全を期してまいります、こう言われたんですね。これは、消費税増税が経済への悪影響、景気の後退をもたらすということを総理御自身がお認めになったということです。
この八%への税率の引上げは、十七年前、一九九七年の三%から五%への引上げのとき、このときどころではない、はるかに大きな悪影響をもたらしてしまうだろうと、私はこのことを改めて直視すべきだと思います。
パネルを御覧ください。(資料提示)平均賃金、これ一九九七年度当時は四百四十六万円、それから七十万円近く現時点では下がってきているわけですね。貯蓄なしの世帯はどうか。九七年当時も一割いた。これ自体重大だと思うんですが、今や三割を超えています。そして、年収二百万円以下の民間給与所得者、民間にお勤めの方だけを見ても、二百万円以下という方は一千万人を大きく超えてしまいました。
一部のお金持ちを除いて、多くの国民の暮らしがより苦しい方に大きくスライドしてしまった。これはもう明らかだと思うんです。毎日の暮らしは今でもぎりぎりだと、こういう状態の方が膨れ上がっている。消費税の増税が国民の暮らしにもたらすその激痛は十七年前の比ではないと、そう思いますが、総理の認識を伺います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 安倍政権としては、これは自民党、公明党、民主党の三党合意にのっとって、消費税を五%から八%に引き上げていく。これは、伸びていく社会保障費に対応すること、そしてまた少子化対策にも使うための財源を得るためでございまして、我が国の世界に誇るべきこの社会保障制度を次の世代に引き渡していくためであります。
一方、今委員が御指摘になったように、確かに消費税の引上げは景気、経済に打撃を与えるのは事実でございます。消費者にとってこれは可処分所得が三%分減っていくわけでございますし、また、それに向かって、そのことを予測して、例えば今日までの間に消費が進むことによって、その反動減が四月、五月、六月に顕在化することによって成長にも打撃があるわけでございます。それもあらかじめ我々は予測をしておりましたし、今パネルで示していただいたように、九七年の消費税引上げのときの反動減あるいは景気、成長に与えた影響等を勘案をいたしまして、今回、五・五兆円の経済対策と、そして一兆円の税制対策を打っているところでございます。
四月、五月、六月における反動減の影響をなるべく緩和をしながら、七月から現在のこの成長軌道に戻れるように全力を尽くしていきたいと、このように思っているところでございます。
○田村智子君 これは、成長軌道に乗せるためには、負担を上回るような所得の回復というのがどうしても必要になってくるわけですよね。でも、今ニュースで流れているベースアップというのを聞いてみても、これはもうほんの一部の大企業にとどまっている。安倍内閣、しかも、政策的に物価を二%アップさせるんだということをずっとやってきました。ここに消費税の増税が加わるとどうなってしまうのか。
消費者物価は今年最大三・六%上昇するだろうと、今後三年間では六%から七%も上昇するだろうと、これが日銀の見通しになっているわけです。これ生鮮食品も除かれていて、生鮮品の値上げというのは既にもう家計を直撃しています。
景気回復の軌道に乗せていくんだ、安倍総理おっしゃいますけれども、それでは、こうした今年最大で三・六%の物価上昇だと、これを上回るような賃上げができるんだと、それが可能だということなんでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 今、三・六%とおっしゃいましたけど、これ、御自身おっしゃっているように最大値でありまして、中央値というのは、日銀が三・三であります、政府としては三・二。消費税の影響を除くと一・二です。消費税は三%上がりますけれども、カバー率が七割ぐらい。例えば、医療サービスには消費税が掛かっていないということを考えると……(発言する者あり)今お話しします。それを合わせると、二%ぐらいの影響。消費税というのはワンショットですから、一回上がりますと、次はいわゆる一般的な物価上昇を賃金が超えるかということであります。
そこで、先般、千百八十七組合から回答がありました平均賃金改善率は月額で二・二三%です。実は、これは一時金は入っていません。例えば、トヨタのような企業は年収ベースでいうと八%ぐらい上がったということになります。もちろん、年収ベースですから、一時金は、企業がこれからも経営努力を続けて、いい業績が出れば同じようなプラスになっていくわけであります。
私どもは、それは単年度で消費税の影響あるいは物価安定目標の影響を超えるような賃上げができればそれがベストだと思っておりますが、複数年掛けてそれを超えていくための努力をしているわけでありまして、先般、ベアの改定を始めとする賃金改善回答がありました。これは過去十年を見通しても最高値の改定があったわけでありますから、こういう好循環をしっかりと続けていって消費税並びに物価安定目標を超えるような賃上げが実現できるように努力をしていきたいと思います。
○田村智子君 確かに、トヨタなど大企業の一部は上がっている、それはあるかもしれません。でも、今後三年間で六から七%も上昇するというのが日銀の見込みじゃありませんか。
総理もお答えいただきたいんですよ。景気回復、軌道に乗せるんだと。それを上回るような賃上げが、これ中小企業も含めてできるということなんですか。
○委員長(金子原二郎君) 甘利担当大臣。
○田村智子君 いいですよ。もう時間ないから、総理でいいです。甘利さん、もう十分聞きました。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど甘利大臣から答弁させていただきましたように、政府は経済見通しにおきまして三・二%程度と、そのうち、消費税引上げによる影響を除くと一・二%でございます。
先般も委員会で答弁させていただきましたように、二%、消費税は三%でありますが、物価へは二%程度であろうというふうに見込んでいるわけでございますが、基本的には、この消費税につきましては、先ほど申し上げましたようにこの社会保障制度を次の世代に引き渡していくために国民の皆様にその分御負担をいただく、しかし、そのことによって年金や医療や介護、そうした社会保障の給付は守られるわけでございます。言わばそのための引上げでございます。
私どもがまず目指さなければいけないことは、この私たちの三本の矢の政策によって、一本目の矢で物価安定目標というものをしっかりと定めました。それに向けて日本銀行は異次元の金融緩和を行うわけでありますが、この二%上がっていく目標に向かって進んでいく中におきまして、しっかりとそれに賃金は追い付くようにしていくということでございますが、その中におきまして、先ほど甘利大臣から答弁をさせていただきましたように、連合が先日公表した集計値によると月例賃金において一人当たりの平均賃上げ額が二・二三%でありますから、それは上回っているわけでございます。
その中におきまして、しっかりとそれがずっと続いていくことによって、しっかりとこの物価安定目標に追い付いていく、また、企業の収益が更に改善していく中においてしっかりとそれが賃金に結び付いていくことによって景気の好循環に結び付けていきたいと、このように考えているところでございます。
○田村智子君 既にこれだけ所得が奪われていて、ちょっとばかり回復して、それで消費が増えるかって、ならないですよ。消費税の増税、物価の上昇、社会保障のためだと言うけど、この国会では介護保険も医療も負担を増やす方の法案が出されているじゃありませんか。こうやって可処分所得を減らしていく消費税増税、これ強行すれば、暮らしも日本経済も取り返しの付かないことになる。私たちは、改めてこんな増税はやめるべきだということを強く申し上げておきます。
質問続けます。今重要なことは、国民の所得、賃金を上げることだと、これはもう共通の認識です。予算委員会の審議の中で、低賃金の要因となっている非正規雇用の問題、何度も議論されました。今日も議論がされました。
その中で、総理の答弁見てみますと、なるべく多くの方々が正規の雇用の形態で仕事をすることが望ましい、非正規から正規へのキャリアアップを支援する、こういう答弁が繰り返されているんです。
確認したいんですけれども、これは労働者全体の中で増え続けている非正規労働者を減らしていく、そのために正規化を支援するということでよろしいですね、総理。総理の答弁です。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど別の委員の答弁において田村大臣から答弁をさせていただきましたように、この非正規の中でパートが四八・七%、そしてアルバイトが二〇・六%、派遣が六・一%ということに、そして契約社員が二〇%ということになっているわけでございますが、今景気回復局面の中におきましてパートからスタートしようという人もおりますし、パートに対する需要が高まる中においてパート労働者の数が増えております。一般にこの非正規のまず労働者が増えていく中にあって、さらにその上においてしっかりと景気が更に回復していく中において、有効求人倍率も今一・〇五まで来ておりまして、一人分の求職者に対して一人分の職があるという状況以上になりつつあるわけでございまして、労働市場が逼迫していく中におきまして、だんだん賃上げにもつながっていくし、労働環境をこれ改善をしていくことにつながっていくんだろうと、こう期待をしているところでございますが、いずれにいたしましても、不本意な形で非正規労働者の立場にある方々に対してキャリアアップの支援をしながら、そして、正規に移りたい人が正規に移っていくことができる道をしっかりと広くしていきたいと考えているところでございます。
○田村智子君 長く御答弁いただいたんですけど、聞いていることにお答えいただいていないんですよ。
労働者全体の中で非正規の割合が増えていってしまうと、これでは社会全体の賃上げになんかつながらないんですよ。労働者全体の中で非正規増えていく、これやっぱり減らしていって正規の割合増やしていく、正規雇用を増やしていく、それが必要だということではないんですか。端的にお答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 詳しい答弁は厚労大臣の方が詳しく答弁できると思うんですが、現在、回復局面にあっては、勤労者の数は増えているんですが、職を得た方の数は増えているんですが、しかしそれがパートあるいは非正規の方がまず増えているわけでございまして、そして、そこからだんだん景気が本格的に回復していく中におきまして正規労働者の数も増えていくというふうに私たちは期待、予測をしているわけでございますし、さらにその中におきまして、様々な制度を活用する上において、様々な施策を取っていくことによってこの非正規の方々が正規に行く道をしっかりと広くしていきたいと。つまり、割合としては、この非正規の割合がどんどん増えていくということについては、それは好ましくないと、このように思っているところでございます。
○委員長(金子原二郎君) 田村厚生大臣。
○田村智子君 いいです、いいです。指名していないし、要求もしていないから、いいです、いいです。要らないです、要らないです。
○委員長(金子原二郎君) いやいや、指名しております。ちょっとだけ。
○国務大臣(田村憲久君) 簡単にお答えさせていただきますけれども、委員長の御指名でございますから。
今、労働力調査、これ総務省の、出ました。今、非労働力人口が減っています。つまり、働き出している。その中で、女性の労働力人口が増えています。これは、新聞等々の分析見ましても、主婦の方々が働き出したという部分があります。こういう方々は元々正規を望んで働いているのか、それとも時間都合の合うような働き方、つまり非正規を望んでおるのか、ここの部分を分析しなければ分かりませんので、皆さんが働き出した場合には比率としてどうなるかというのは、これは分析の上でないとなかなか答えられないというふうに思います。
○田村智子君 総理がもう正規の割合を増やすことが必要だって言ったんですから、田村大臣、出てくる必要ないですよ。そうだと、非正規の割合減らして正規の割合増やしていくことが必要だとお認めになったんですから。
そこで取り上げたいのは、では公務の職場でどうかということなんです。これも資料を御覧いただきたいと思います。地方自治体の職員の中での正規の人数、非正規の人数を資料にいたしました。
これを見ますと、政府の政策が直結する、直接影響する言わば足下の自治体公務の職場の中で、総理の言う非正規の正規化ではなくて、逆に正規の職の非正規化が激しく進んでいるんじゃないのかと、こういうふうに思えるんですけれども、総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(新藤義孝君) これは御指摘のとおりであります。この総務省が行った調査で、グラフにもありますが、平成二十年から二十四年にかけては臨時・非常勤職員が十万人増加している一方で、正規職員が約十三万人減少しているということであります。全体の数字から見れば、臨時・非常勤職員と正規職員が入れ替わっているといいますか、代替になっているんではないかという指摘があることは事実、承知しております。
だけど、よく中身を見ますと、やはり個別の行政分野ごとに見ますと、早朝保育であるとか延長保育への対応、それから少人数学級の開設といった様々な行政ニーズが多様化、高度化する中で、臨時・非常勤職員の働く場がこれまで以上に広がっていると、こういう側面もあるのではないかと、このように思っております。
○田村智子君 ここは、是非総理にも認識をお聞きしたいんです。
やっぱり、非正規の正規化ということを総理が御自分の答弁で、この国会、何度も繰り返しをされておられるわけですね。この十年来、自治体の公務職場では約三分の一が非正規になってしまったという指摘もあります。その多くが年収二百万円にも満たないような働き方をしていると研究者の方からの指摘もあるわけです。
こういう不安定な働き方を余儀なくされている非正規の職員が増大している、このことについて、個々の事例はおいておいて、全体がこうなっているということについて、総理の認識をお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、個々の事例はおいておいてというふうにおっしゃったんですが、これ個々の事例の積み重ねでもあるわけでございまして、言わば地方公共団体は最も住民に身近なところで行政を担っているわけでございまして、早朝の保育や延長保育への対応や少人数学級の開設など、その行政ニーズが多様化している状況の中にあってこうした形になっていると。地方公共団体がその職員の働き方についても多様な方法を用意するなど工夫を重ねてきている結果、臨時・非常勤職員の働く場がこれまで以上に広がっているというふうに私は理解をしているところでございます。
○田村智子君 そういう不安定な働き方が増えちゃっているということについての認識、なかなかお述べいただけないんですけれども。
私、そもそもこういう自治体の公務職場で非正規の職員が大幅に増えたのはなぜかと見たときに、自治体が勝手にやったことでは決してない。小泉内閣の三位一体の改革で、地方交付税などは三年間で約五兆円、それを上回って減額をいたしました。また、公立学校や先ほどの認可保育所、これ、クラス担任に非正規の方を充ててもいいというような規制緩和が、制度の改革がどんどんやられてしまったんですよ。こういう中で、非正規、今まで正規の職だったところがまさに非正規化している。これらが何をもたらしているかなんです。
具体的な事例、確かに私も言います。例えば千葉県なんですよ。二〇一三年度の教員採用を見ますと、正規の採用は約千六百人なんです。これに対して、非正規での新たな任用は約千四百人にも上ると。異常な事態です。これ、年度初めから非常勤講師や臨時講師が学級担任をやると。こういうことが全国の公立学校の中で当たり前のように今行われているんです。
こうした国の施策によって、正規の職の非正規化が進んでいるのではないかと思うんですけど、いかがでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 地方自治体としては、多様なニーズに的確に対応するような体制を取っているのではないかと思いますが、文部科学省としては、教育現場はできるだけ正規雇用をしていくことが望ましいと思いますし、そのように地方自治体に対して指導しているところでございます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私、先ほど少人数学級が増えているというお話をさせていただきました。言わば生徒の数が減っているのに対応して教職員の数は減らしているわけでございますが、しかし少人数学級化は進めているわけでございます。
そしてまた、その中におきまして、子供と向き合う時間を増やしていく中において、担任はまさに正規の担任であり、もう一人その担任にプラスアルファで言わば非正規の教師を付けて二人で見ていくというケースも増えている中において非正規の教師が増えているという、私はそういうふうに承知をしているところでございます。
○田村智子君 もう今、公立保育所の保育士は過半数が非正規なんですよ。こういう働き方にしてきたんです、国が。
じゃ、具体的な事例を私も挙げていきます。非正規で働く方々の実態、私もお聞きをいたしました。驚いたのは、その細切れの働き方のひどさなんです。
東京都のある自治体で学童の指導員として週五日勤務する方、勤務して六年になるんですけれども、時給は九百三十円、全く上がらない。月給に直せば七万二千円ほどにしかならない。それだけじゃないんです。一年の中で無給になる月が必ずある。この六年間、十一か月働くと任期を一旦終了して、一か月丸々空白として空けて、それからまた採用だと。こういう空白期間が置かれてしまっているんです。この一か月間というのはアルバイトでしのがなきゃいけない。学童保育の現場に行けば、子供たちには全く正規の方と同じように接しているのに、子供たちからも、先生はアルバイトなんだよねとか、アルバイトじゃ生活できないよねと、こうやって言われて本当につらいと。こういうお話をお聞きしました。
また、関東地域の小学校の臨時の教員、まさに教員です。毎年採用試験を受けているけれども、自分が希望する中学校の社会科というのはほとんど新規採用がないので、四年間小学校の臨時教員のままという方がいます。この方は、学期ごとに任期を切られるんです。短期間で学校の異動もあると。夏休みになったり冬休みになったりすると、空白期間で給料がないので、早朝にパン屋さんでアルバイトをやったりダブルワークやったり、こうやってバイトでこなして生活を食いつないでいく。この臨時教員の方はクラス担任も経験をした、その中で子供たちとの人間関係築けて本当にやりがいも感じたと。だけど、臨時採用では同じ学校にはどんなに長くても一年しかいられない、卒業までは見届けられない、こういう悔しさも味わっているというんです。
今、どこの自治体で聞いても、こういうふうに非正規の職員では空白期間を置くというやり方が当たり前になっています。これは、民間の企業でも大手製造企業などが、例えば三年ぐらい雇ったら六か月空けて、また雇うと。私たち、これも細切れでけしからぬということを言ってきましたが、でも、これほどの、一年の中に何度も空白期間を置くなんて、こんな細切れの雇われ方、聞いたことがありません。
法律では、臨時職員というのは臨時的な仕事を担当する職員だと。だけど、実態は、クラス担任までもやるような、常勤職員と同じという働き方の人がいっぱいいます。こんな空白期間を置くというやり方は余りにひどいと思いますが、総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(新藤義孝君) この地方公共団体の臨時・非常勤職員、それはそれぞれの自治体、団体において制度の趣旨と内容に応じてその適切な任用、また処遇が行われると、こういうことだと思います。そして、総務省といたしましては、平成二十一年度に通知を出しているわけであります。臨時・非常勤職員の任用の在り方についてということであります。
御指摘の空白期間につきましては、昨年実施した調査において、都道府県、政令指定都市のほとんどが設定をしているということであります。その設定の理由は何なのかと、こういうことで調べますと、事実上の継続雇用と見られないようにするためといった意見が寄せられております。設定状況も、今御指摘のように職種間のばらつきがあるということであります。
私どもとすれば、今後も地方公共団体と十分な意見交換を行った中で、二十一年通知の内容を周知徹底するとともに、実態の把握や課題の検証は進めていかなくてはならないと、このように考えております。
○田村智子君 これ、臨時でもないのに臨時的とみなすためにわざわざ空白期間を置くと。こんなやり方で十年、二十年って働いている方、いっぱいいるんですよ。保育士とか教員、調理師、栄養士、図書館の司書、有資格者ですよ。
総理にも是非お聞きしたいんです。
例えば、こういう方々、能力ないかって、違いますよ。教員の方でいえば、三月末に、いきなり四月からはこの学校だよって言われて、そこで子供の名前を覚えて、その学校の行事がどうやってやっているのかというのも聞いて、それですぐに対応する。即戦力で対応する。こういうことを毎年毎年繰り返しているんです。こういう働き方でやっているんですよ。
総理は、非正規の正規化を応援すると、正規になりたいのにそうなれない方を支援しなきゃいけないということを言われた。公務職場というのは、政治の政策によって改善することができる職場です。だったらここは、正規を望む方は、臨時教員の方、臨時職員の方、正規化、目指すことが必要なんじゃないですか。何らかの手だて、国として必要じゃないでしょうか。総理、お願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今御指摘いただいている地方公共団体の臨時、そして非常勤職員については、それぞれの地方公共団体において、制度の趣旨、そして勤務の内容に応じて適切に任用と処遇が行われることが重要であろうと、こう考えているところでございますが、政府としては、政府の実態をよく把握しながら、今後とも必要な助言、働きかけを行っていきたいと思います。
○田村智子君 非正規の正規化、言ったからにはその政策を本当に進めてもらわなきゃ困るんです。
私、もうちょっと実態を見たいんです。この非正規の自治体の職員の多くが実は女性であると。先ほどのパネルの下の方をもう一度見てほしいんですけれども、これ、二〇一二年度、非正規の自治体職員に占める女性の割合、七四%以上です。この六十万三千人という非正規の方の七割なんですけれども、このうち任期が半年以内だとされている臨時的任用の職員は二十四万五千人。ここだけ見ると、その八割は、それ以上が女性になっています。
総務大臣、この臨時的任用の職員は法律上育児休業を取得することはできますか。
○国務大臣(新藤義孝君) この地方公務員の育児休業等に関する法律、これが改正されまして、引き続き一年以上任用されている非常勤職員は条例の定めるところにより育児休業を取得することができると、このように初めてこれ適用されるようになったんですね。こうした制度改正を踏まえまして、各地方公共団体において育児休業に係る条例を整備して、育児休業を取得しやすい環境の整備により一層取り組んでいただきたいと、このように考えております。
○田村智子君 明確にお答えいただけないんです。臨時的任用というのは、どんなに長くても任期は半年です。そして、更新は一回なので、一年で切れるということが大前提です。この方々は、今言った地方公務員育児休業法の対象になるんですか。
○国務大臣(新藤義孝君) この法律の適用は、再度任用が予定されている人ということでありますから、そうでない場合には適用にはなかなか難しいんではないかと、このように思いますね。
○田村智子君 これは、法律上は適用外になってしまうんです。さっき言いましたけど、この臨時的任用で働いている方の八割以上が女性です。
実は、各自治体はそれでは駄目だということで独自に条例などを作って、何とか臨時的任用であっても何年も働いている方がいらっしゃるんですね、実態としては。そういう方々に育児休業を保障しなくちゃいけないと、労働組合の運動などもあって、これ取り組まれてきました。しかし、昨年四月一日時点で条例を整備したのは四十七都道府県のうち三十四、一千七百四十二市区町村のうち僅か七百十六にとどまっているわけです。
安倍総理、育児休業が取得しやすいようにする、このことをこの国会でも何度も掲げられました。ところが、常勤の職員と同じように働きながら育児休業を取ることが不可能だという女性たちが足下のこの公務職場の中に多数おられると。総理は、実態として継続して働いているそういう非正規の自治体職員に、これはやっぱり育児休業をどうやって保障していくのか、このこと是非検討が必要だと思うんですけど、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 答弁する前に、先ほど、政府としては、地方の実態をよく把握しながらと言うべきところを政府の実態というふうに答えたようでございますが、これは地方の実態に訂正をさせていただきます。
そして、ただいまの御質問でございますが、政府としては、引き続き、地方公共団体に対して育児休業を取りやすい環境の整備などについてしっかりと助言をしていきたいと、こう考えております。
○田村智子君 これは自治体任せにしていたらいけないんですよ。総理、これだけ育児休業のことを言ってきたじゃないですか、女性が働きやすいようにって。八割以上が女性なんですよ、臨時的任用の。なのに、法的に育児休業は認められていない。制度としてないんです。自治体の条例も進んでいないと。自治体任せにせずに、政府が挙げて育児休業を取得できるように取り組むべきではないんですか。もう一度お願いします。
○国務大臣(新藤義孝君) これは、まず法律、制度の中に入っていないということであります。それは民間においても同じことが行われているわけでありまして、社会全体でのいろいろな御意見を踏まえた研究というのはあってしかるべきだと、このように思います。
民間の場合には厚生労働大臣に聞いていただければ詳しく御紹介いただけると、このように思いますが、いずれにしても、今まだ制度としてはそこまで行っていないと、このことでありますから、委員の問題意識というものはしっかりと訴えていただいて結構だと思いますが、私どもとすれば、これは制度の運用をしっかりやっていく、各自治体にその趣旨にのっとって適用してもらいたいと、このように考えております。
○委員長(金子原二郎君) 厚生大臣はいいですか。
○田村智子君 いや、いいです。
これ、公務の職場というのは、まさに政策でできるところなんです。臨時的任用といいながら臨時的でない働き方をしている方、この方々どうするのかということは、すぐにでも政府が挙げて取り組むべきだと思うんですよね。
これ、総理、やっぱり御答弁いただきたいんですよ。育児休業を取得できるように、できるようにと、三年だとまで言ったんですよ、あなたは。制度がないって方々がいらっしゃる、何とかすべきだ。約束してください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 非常勤につきましては、先ほど新藤大臣から答弁をさせていただきましたように取得できることになっているわけでございますが、臨時については法律上そうではないという状況でございますが、ここにつきましては、先ほど新藤大臣が答弁させていただきましたように、言わば民間の中において進んでいくこともよく平仄を合わせながら、臨時の方々にとってもそういう環境が生まれるような状況をつくっていくことについては、これは地方公共団体とも相談をしながらよく考えていきたいと、このように思っております。
○田村智子君 実は、この臨時職員の方々は、育休にたどり着けないだけではなくて、事実上、産前産後の休業も取れないような、そういう方々もいらっしゃる、そういう働き方だと。大体任期が半年になっていますので、その間に妊娠が分かれば次の任用が切られてしまうという方は、これ何人もいらっしゃるわけです。現に起きているわけです。
ある臨時教員の女性の方にお話をお聞きしました。結婚したということを校長先生に報告に行ったら、今年は子供をつくらないだろうねと言われたと。これはもう学校だけじゃなく、いろんなところで同じことを言われているんですね。そうやって言われちゃうと。妊娠が分かったときには、ひたすら今の任期が終わるまで無事でありますようにと願ったと。任期が終われば職場を去るしかなかった。これまで自分は何度も臨時教員ですから産休代替ということで産休の代わりに働いてきた、その自分が五年、十年と働こうとも産休さえ取れないのか。こういう声、起こるわけです。
また、学校の栄養士として十年働いて、給食センターに異動して三年だと。妊娠が分かってセンター長に報告すると、九月末の任期切れで辞めてもらうと告げられた。出産予定は年末ぎりぎりだと、何とか更新してもらえるんじゃないかと思ったけれども、結局辞めざるを得なかった。これは妊娠したら次の任期はないと、あるいはさすがに胸が痛むのか、産休明けに空きがあったらまた来てもらうからねって言われると。でも、空きがあるなんという保証もないわけです。
全国各地で自治体の職場の中でこういうことが当たり前に起こっているんです。産前産後休業というのは、母性保護のためにどんな職場であっても保障しなければならない女性の権利です。妊娠を理由に解雇、雇い止めすることは禁じられている。当然、公務の職場でこの女性の基本的な権利が保障されるべきだと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、労働基準法に基づく産前産後休暇は、正規、非正規にかかわらず認められるべきものであり、各地方公共団体において法に基づき適切に対応がなされるよう引き続き助言をしていきたいと考えております。
繰り返しになりますが、この産前産後の休暇は、当然これは正規、非正規にかかわらず認められるものでございます。しかしながら、育休につきましては先ほど答弁したとおりでございまして、臨時の場合は、基本的に育休を取っている正規の方の言わばピンチヒッターとして臨時にこの期間勤める方でございますから、その中でまた育休ということは想定されていないということもあったのかもしれないということでございますが、いずれにいたしましても、先ほど答弁をさせていただきましたように、女性が輝く社会をつくっていくために何ができるかということについてはしっかりと検討していきたいと考えております。
○田村智子君 これは総務省も実態調査をやっていて、実際にその産前産後の休業を保障するようなそれぞれの規則とかあるいはそういう制度を自治体は持っていますかという調査をやっているんですよね。それで、二〇一二年の四月一日現在を見ると、そういうのを持っていないと答えるような都道府県や自治体が多数やっぱり出てくるわけですよ。都道府県でいえば四つ出てくるわけですよ。
当然、労働基準法でどんな女性に対しても保障されなければならないものは、それが自治体、公務の職場の中で保障されていない。これは真っ先に解決をしなければならない問題で、是非とも自治体の協議というのにとどまらず、国がやっぱり自分たちの仕事として取り組んでいただきたいと思うんです。
それで、総理に改めてお聞きをしたいんです。あなたは女性が輝く社会を目指すんだということをもうこの国会の冒頭でも高々と掲げられて、そういう演説を本会議の中でも繰り返しされました。先ほども言いましたけど、希望する女性は育休三年の取得もできるようにと、こういうふうにも述べられました。でも、それは非正規という働き方が増え続ける下では余りにも非現実的なんですよ。
公務の職場の働き方の根本は法律です。国や自治体の予算です。公務の職場で、希望しても正規になれない、育休も取れない、事実上産休も取れない、こういう実態を変えていくためには、これは、必要な人員は正規で置くことができると、学級担任とか保育のクラスの担任とかを最初から非正規でいいよなんという置き方、これを進めていくような予算じゃないよと、そこまで踏み込んで正規化を進めていかなければならないと思うんですけれども、総理、どうですか。公務職場の非正規の正規化、必ず取り組むとお約束いただけますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは再三答弁をさせていただいておりますが、公務員につきましては住民あるいは国民の皆様の税金でこれを賄っている、人件費を賄っている中において、合理化は進めていかなければいけないと。そういう中におきまして、しかし、働いている方々が充実感を感じる、そういう働き方ができるようにもしていくことは当然留意をしなければならないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、様々な形でニーズがある中におきまして働き方が多様化しているという実態もあるわけでございますが、いずれにいたしましても、そこで、公務員の世界におきましても非正規から正規に扉が開いていると、道があると、そしてさらにその道が広くなっていくようにすべく努力をしていきたいと、このように思います。
○田村智子君 これは住民サービスの関係でも、本当は専門的な職場が臨時的任用だってころころ人替わるような、こういうやり方は決していいことではないんですよ。私たちは、民間でも三か月や半年の雇用契約何度も更新する、こんなこと駄目だということを言い続けてきました。
○委員長(金子原二郎君) 時間が参っておりますので、おまとめください。
○田村智子君 まして、非正規の労働者を増やすようなやり方には反対です。公務、民間とも正規が原則という、このルールを確立することを強く求めまして、質問を終わります。