日本共産党 田村智子
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【13.11.28】文教科学委員会 臨時教員の社会保険加入問題について

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。質問の順番に御配慮いただきまして、ありがとうございます。
 非正規で働く教員が増加をしています。文部科学省の調査では、二〇一二年度の臨時、非常勤などの教員は、公立の小中学校で十一万三千人、これに特別支援学校や高校、また市区町村費による非正規任用などを合わせると、約二十万人に上ると推測がされます。その結果、公立学校では、今や教員の五人に一人が非正規という状態で、しかもほとんどの自治体がそれを定員の中に入れているため、自治体によっては担任教員の四分の一が臨時任用という事態まで起きています。
 年度始めからクラス担任などに非正規の教員を充てているため、産休や病休の代替という本当に臨採が必要なとき、このときに配置ができない。副校長などが担任の代替をせざるを得ないなど、現に学校運営に支障を来す事態も起きています。これは、公立だけでなくて、私立の学校でも同様の状況だと思います。
 まず大臣にお聞きをしたいのは、こうした非正規の増大が学校教育に与えている影響についてどのような見解をお持ちか、お聞かせください。

○国務大臣(下村博文君) 公立学校で任用されている非正規教員は、御指摘のように、近年増加傾向があります。習熟度別指導や多様な教科指導、様々な教育課題への対応など、重要な役割を担っているという、そういうところもあります。一方で、勤務時間や任用期間の都合によって、児童生徒に対する継続的な指導が制約されたり、教職員間、地域や保護者との連携が困難になるなど、体系的な研修を受ける機会が乏しいということなど、様々な課題もあるというふうに考えております。

○田村智子君 これは、文部科学省が昨年、二〇一三年度予算の概算要求資料を作りまして、その中には、国の計画改善がないため、都道府県が先の見通しを持った計画的採用・配置が行えない、臨時的任用教員など非正規教員が近年増加傾向にあり、学校運営や教育の質の面で問題だと自ら国の責任を認めざるを得ないような、こういう資料を作るという事態なんですね。
 これは重大な問題なので十分時間を取って取り上げたいんですが、今日は時間限られていますので、こうした中で、非常勤や臨時的任用などの教員が直面している不当な勤務条件の問題に絞ってお聞きをいたします。
 地方公務員法二十二条による臨時的任用の教員は、法律上は、任期は六か月が上限で、更新は一回までとされています。文字どおり臨時的であることが原則なんです。ところが実態は、年度末に一日とか数日の空白を設けて何度でも更新を繰り返すという脱法的なやり方が広範に行われています。これは、地方公務員法十七条による非常勤の教員についても同様です。
 この空白期間が大きな不利益をもたらしている。その一つが、健康保険や厚生年金の問題で、この加入資格は月末日で見ているんですね。三月三十一日が空白期間に含まれていると、脱退手続が行われて国保や国民年金の加入手続を取らなければならない。この脱退手続のために、保険証も事前に返却を求められて、そのため受診控えとか十割負担での受診が強いられると、また毎年三月は国民年金への切替えを余儀なくされるので年金額にも当然不利益が生じてまいります。
 今国会で、実は私、この問題で吉良よし子議員との連盟で質問主意書を提出したんですけれども、具体的な答弁がいただけなかったので改めて確認をしたいと思います。
 日本年金機構は二〇一〇年五月七日に、再度雇用されることが決まっているのに雇用期間に一日だけ空白が生じている健康保険被保険者の資格の得喪失について、「辞職の手続を履行したと否とにかかわらず現実に使用せられざる状態におかれた日が使用されなくなった日であるから、一日だけ雇用契約が空いたとしても、引き続き被保険者とすることが妥当」という見解を示しています。厚生労働省も同様の見解かどうかを確認いたします。

○政府参考人(樽見英樹君) 厚生労働省としても同様の見解でございます。

○田村智子君 つまり、任用期間終了時に同じ任命権者又は同じ自治体に再度任用されることとなっているが、再度の任用までに一日若しくは数日の空白期間があるという者の場合、引き続き健康保険、厚生年金の被保険者になるということだと思いますが、これも確認したいと思います、厚労省。

○政府参考人(樽見英樹君) 被保険者資格、引き続き被保険者となるか否かということについては就労の実態に照らして個別具体的に判断する必要があるという考え方でございますけれども、御指摘のような場合で、例えば事業主と被保険者の間であらかじめ次の雇用契約又は任用の予定が明らかであるといったようなケースで事実上の使用が継続していると認められる場合には被保険者資格は継続するものとして取り扱うことが妥当と考えております。

○田村智子君 学校現場では、三学期の残務処理を三月の後半までずっと行った後、新年度の新しい任用先が決まるまで待機をするということが広範にあるんです。自治体によっては、任用期間終了の時点では再度の任用が決定がしていなくても、空白が短期間である場合には資格を喪失させないという扱いをしているとも聞いています。
 この任用期間の終了後、あらかじめ次の任用が告知をされていないけれども、一日ないし数日空けて同じ任命権者により同様の仕事に任用されるなど、実態として任用が継続していると言える場合には健康保険、厚生年金の被保険者の資格はどうなるか、これも厚労省、お願いいたします。

○政府参考人(樽見英樹君) 事実上の使用が継続していると認められるかどうかということの判断になるわけでございまして、まさに就労の実態に照らして個別具体的に判断する必要があるというふうに考えておりますので、今のようなケースについてちょっと一律にお示しするということはなかなか難しいかなというふうに考えております。

○田村智子君 これは実態を踏まえるんだという御答弁だったと思います。
 私、質問主意書で、このような見解を是非厚労省に、明らかにして、そしてそれを、必要な周知を図ってほしいということもお願いをいたしました。今こういう見解が示されましたので必要な周知を図っていただきたいと思うんですが、どうなりますでしょうか。

○政府参考人(樽見英樹君) このような取扱いに関する解釈、一番初めに先生お引きになりました「辞職の手続を履行したと否とにかかわらず現実に使用せられざる状態におかれた日」という考え方というのは、実は昭和二年二月五日の通知ということで、従来からお示ししてきているということなんでございますけれども、大変古いものでございますし、御指摘のような状況を踏まえまして厚生労働省として改めて解釈を示し、必要な周知を図るといった対応を適切に取ってまいりたいと考えます。

○田村智子君 これ、日本年金機構などにそうした周知を行っていただくということでよろしいでしょうか、地方公共団体や年金機構に。もう一度お願いします。

○政府参考人(樽見英樹君) 私どもとしては、年金機構に対してこのような周知を、指導を図ってまいりたいと考えております。

○田村智子君 今御答弁があったように、現実に使用が継続しているか否かで健康保険の資格の得喪失を判断するという解釈は、御答弁のとおり、昭和二年からの一貫した健康保険上の解釈なんです。にもかかわらず、地方公共団体の一部は実態として任用が継続しているか否かにかかわらずに機械的に被保険者資格を喪失させて、臨採や非常勤の教員あるいは自治体の職員に大きな不利益を与え続けてきました。これは地方公務員制度を所管する総務省にもきちんとした対応や地方公共団体の指導をお願いしたいと思いますが、総務省、いかがでしょうか。

○政府参考人(三輪和夫君) お答え申し上げます。
 地方公共団体の健康保険及び厚生年金保険の適用事業所に対する調査につきましては、日本年金機構が実施をされ、また、その年金機構に対する指導あるいは各保険の適用に関する解釈についての必要な周知、こういった対応は所管の厚生労働省において適用されているものと承知をしております。
 総務省といたしましても、臨時・非常勤職員の任用の在り方等々に関します通知を平成二十一年四月に発出をいたしまして、厚生年金、健康保険等の適用につきまして、各法律に基づく適用要件にのっとった適切な対応が図られるように、地方公共団体に助言を行ってきたところでございます。
 今後も、臨時・非常勤職員に対する社会保険の適用につきまして、厚生労働省の見解も踏まえて、総務省としても必要な周知を図るなど、対応を検討してまいりたいと、このように考えております。

○田村智子君 是非よろしくお願いしたいと思います。
 厚労省と総務省の方への質問は以上ですので、委員長のお許しあれば御退席いただいて構いません。

○委員長(丸山和也君) では、退席していただいて結構です。

○田村智子君 では、続けます。
 次に、改正労働契約法にかかわる問題についてお聞きをいたします。
 有期雇用契約の反復によって五年を超えて契約が行われた場合、無期雇用への転換を図ることとなりました。ところが、早稲田大学など大学や研究機関等で、この法改定を受けて、更新回数、契約期間の上限を五年以内とする就業規則や労働契約の変更が今相次いでおります。
 さきの通常国会の予算委員会で私この問題を取り上げまして、下村大臣からは、「教育研究上の必要があり、能力を有する人が一律に契約を終了させられることにならないよう、適切な取扱いを促してまいりたい」と、こういう御答弁をいただきました。とても大切な答弁だと思います。
 ところが、実態は更に深刻になっていまして、これが高校などの学校にも広がっているんです。全国私立学校教職員組合連合の調査では、これは、全国の私立高校のおよそ一三%に当たる百七十六校から回答があったものですけれども、東京や愛知など少なくとも二十五の学校が今年から新たに非正規の教職員の雇用期間を五年以内と制限をしていることが分かりました。この学校の中には、なぜそうやって変更するのかと、それは労働契約法が改正をされたからだと、これを理由にしているところまであったわけです。
 大臣、このように私立の高校にまで脱法的なやり方が広がっている、このことを承知していたかどうか、まずお聞かせ願います。

○国務大臣(下村博文君) 基本的に脱法ではないというふうにまず思います。
 文部科学省としては、学校法人内の就業規則について届出等を受ける立場ではございませんので、その内容については、今の御指摘については詳細は把握をしておりません。報道等によれば、有期労働契約の更新の上限を五年とする就業規則の改定を行った学校法人もあるということは認識しております。

○田村智子君 私は、違法とは言っていないんですよ。脱法的というふうに言ったわけです。何でかというと、これは厚生労働省が労働契約法をなぜ改正したかというパンフレットにも書いてありますけれども、これは非正規労働者の雇用の安定を図るための措置なんだと、五年も働いていたらその職場にとって必要な人でしょうと。私たちは、これ、もっと短い期間で見るべきだというふうに思っていますけれども、だから、何度も何度も、半年とか一年の契約を繰り返すことが必要なくなるように少なくとも契約期間については無期とするんだと、これは雇用の安定を図るためだと。
 ところが、その改定を受けて、一律に、これまで六年、七年と働いてきた人も含めて、一律に五年以上は雇わないよと、契約更新やらないよとやることは、これは法の趣旨と反するような脱法的なやり方ではないかという指摘をしたわけです。
 実際、私立高校は今や教員の四割が非常勤の講師で、こういう皆さんが一律に機械的に五年未満で学校を渡り歩くというような事態になれば、これは学校教育上の問題が生じますし、教育の質の低下につながるということは明らかだと思います。だから、私学の経営者の中には、こうしたアンケートの結果も見て、私学にとって非常勤講師は不可欠な存在であり、特にベテランの講師は財産だと、こういうふうに述べられた方もいらっしゃるんですね。
 これはやっぱり、一律に機械的に非常勤の講師などを五年で雇い止めにしてしまうと、これはやっぱり私、何らかの対応が必要じゃないか、あるいは、一体どういう人を雇い止めにするのかという実態調査なども、これは学校教育の、何というか、向上ということを考える上でも、私、文科省、何らかの調査など必要だと思うんですけど、大臣の御見解お聞かせください。

○国務大臣(下村博文君) 私立学校の教員の雇用については、一般の民間法人と同様、各学校法人との間で労働関係法令にのっとってなされるものであるというふうに思います。
 このため、各学校法人において、公教育を担う立場から、教育の質の維持向上という面も考慮しつつ、各学校法人がそれぞれの教育ニーズや経営状況を踏まえて自主的かつ適切な判断をするべきものであるというふうに思いますが、いい教員は是非これはきちっと確保していただきたいと思います。

○田村智子君 これは教員の地位にかかわるような問題なんですよ。社会的権利にかかわるような問題だと私は思うんですね。しかも、国の法律の改定によって短期間に切り捨てられると。国の法律の改定によってなんですよ。
 これ、厚生労働省所管の法律だとしても、文部科学省にもかかわる問題ですから、これ重大な関心を持って是非実態の調査などもしていただきたいということを、これは繰り返し要望しておきたいと思います。
 残る時間に、二十六日に質問時間が余りに短いために時間切れでできなかった問題を一問だけ質問をさせていただきます。
 奨学のための給付金という問題についてお聞きをいたしました。給付制奨学金という言葉を使わずに奨学のための給付金というふうに文科省は言っておられると。これは二十六日の日に、就学援助制度の高校生版というようにして予算要求をしているということも文部科学省は事実上お認めになりました。
 この就学援助制度は、生活保護以下の低所得の世帯だけれども生活保護を受けていないという小中学生は全て対象にしているんです。ところが、今度の奨学のための給付金は、文科省の制度設計見ますと、支給対象、まあモデルケースですけど、世帯収入二百五十万円以下と、こういうふうにするというふうにしているんですけど、これでは、私たちが試算したところ、住んでいる場所とか世帯の構成によっては、生活保護世帯の収入を下回ってもこの奨学のための給付金が受けられないという場合が生じてしまうんです。
 これ、少なくとも、生活保護水準以下の収入だと、だけど生活保護を受けていないと、こういう世帯は全て対象とすることが必要だと思いますが、大臣の見解をお聞かせください。

○国務大臣(下村博文君) おっしゃるとおり、この奨学のための給付金については、住民税が非課税である年収二百五十万円未満程度の世帯を支援とする対象でございますので、対象に入ります。

○田村智子君 これは、例えば東京都など、地域によって額が違うんです、生活保護の額が。世帯構成によっても違って、今の二百五十万、住民税非課税というだけでは漏れる人が出てくることは明らかなんです。
 漏れることのないようにもう一度是非細かく見ていただきたいんですが、大臣、もう一回お願いいたします。

○国務大臣(下村博文君) 今申し上げたように、住民税が非課税である年収二百五十万円未満の世帯、これは対象であるということです。その枠の中できちっと対象として給付をいたします。

○委員長(丸山和也君) 田村君、時間が来ていますので。

○田村智子君 時間がないので終わります。
 是非、今後検討をお願いいたします。