【13.06.21】田村議員追及 「水際作戦」さらにひどく 生活保護法改悪案 申請締め出す危険
日本共産党の田村智子議員は20日の参院厚生労働委員会で生活保護法改悪案について、生活保護のハードルを引き上げ、申請者を窓口から締め出すものだと追及しました。
現行法は、口頭でも生活保護の申請を受理(応答義務)しなければなりませんが、改悪案は、必要書類や申請書の提出を義務付けています。田村議員は、政府が「現行と運用は変わらない」と答弁していることに対して、「口頭で申請の意思を明確に伝えれば応答義務が発生するのか」と質問。厚労省の村木厚子社会・援護局長は「申請書の提出ではなく口頭での意思表示が明確になった時点」だと述べ、口頭申請の受理を表明。田村議員が、資産・収入状況まで記載事項を増やして申請書を求めるとハードルを高めるのではないかとただすと、田村憲久厚労相は「原則は書類の提出」と答え、要件が厳しくなることを認めました。
田村議員は、現行法のもとでも申請を窓口ではねつける「水際作戦」が横行し、裁判でも断罪されてきたことを示してただしました。
田村厚労相は、「水際作戦」は「あってはならない」としつつ、「担当者の認識の違い」などと実態無視の答弁。これに対し、田村議員は、厚労省の監査でも相談の半数程度しか申請されていない実態を示し、「あってはならないというのなら、意思表示があれば申請を認めると通知すべきだ」と要求。村木局長は「申請意思が明確だと本人から聞き取れた場合には申請書類を渡さないことはあってはならないと、再度、自治体に徹底したい」と表明しました。
20日の参院厚生労働委員会で、生活保護法改悪案についてただした日本共産党の田村智子議員。生活保護の申請を窓口で締め出す「水際作戦」を合法化しかねず、憲法が保障する生存権を空洞化させる実態が浮き彫りになりました。
【論戦ハイライト】
●口頭申請でも応答義務発生
現行法では口頭であっても生活保護の申請は受け付けなければなりません(応答義務)が、改悪案では申請書の提出を義務付けており、要件を厳しくしています。
田村「口頭申請でも応答義務が発生するか。」
村木厚子社会・援護局長 「口頭申請であっても受理する。」
田村 「申請の起算はどの時点か。」
局長 「申請書の提出ではなく、口頭でも結構なので申請の意思を明確にした段階。」
村木局長は、口頭申請で応答義務が発生すると事実上認めました。田村氏は、資産・収入状況など申請書の記載事項まで法律で定められていると指摘。口頭申請に対する役所側の応答義務があいまいになり、「現行よりも申請のハードルを高めることになる」と強調しました。田村憲久厚労相は「(申請の)障害にはならない」などと言い訳しましたが、結局、「原則は書類を提出ということになる」と要件が厳しくなることを事実上認めました。
田村氏は、現行法でも、すでに申請をはねつける「水際作戦」が横行していると指摘。夫が白血病で倒れ、妻が申請しても受け付けられなかった埼玉県三郷市、母子家庭の妊婦が申請書を出しても受け付けず「忘れ物ですよ」といって突き返そうとした京都府舞鶴市の例をあげ、改悪案が「水際作戦」をさらに助長しかねないとただしました。
田村 「現行法でも水際作戦が起きている。」
厚労相 「組織的に行われているとは思っていない。」
田村 「申請をめぐる問題を是正する内容は法案にあるのか。」
局長 「生活保護は必要な人が保護を受けられるように構成しているので条文の変更はない。」
●申請権侵害の歯止めならず
田村氏は、水際作戦の実態もつかまずに申請のハードルを高くするやり方を批判。「特別な事情がある場合」には書類提出の例外扱いとする修正案の実効性についてただしました。
田村 「申請意思を示しても申請書が交付されない場合は「特別な事情」として口頭申請できるのか。」
山井和則衆院議員(修正案の提出者) 「「特別な事情」に含まれるかいなか以前の問題で論外。」
田村 「「特別な事情」を申請者が立証することは困難だ。保護実施機関に「特別な事情がない」ことを立証させるべきだ。」
山井 「立証責任は、どちらか一方にあるものではない。」
結局、修正しても、申請権侵害への実効ある歯止めとならないことが浮き彫りになりました。
田村氏は「(申請権の侵害が)あってはならないというのなら、申請書類を渡すよう通知を出すべきだ」と追及。村木局長は「自治体に再度徹底したい」と答えました。
(6月21日(金)しんぶん赤旗より)