日本共産党 田村智子
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【13.05.21】厚生労働委員会 風疹の接種助成についておよび健康保険法一部改正法案について

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。法案の質問の前に、感染の拡大が止まらない風疹の問題について一問だけお聞きをいたします。
 国立感染症研究所は、今年の全国の風疹患者数がゴールデンウイーク前の四月二十八日までに累計五千人を超えたと発表しました。これは過去五年間で最多だった二〇一二年一年間の患者数の二倍を既に上回る、こういう感染の拡大です。この下で、妊娠中の方が感染したことによって先天性風疹症候群の子供さん、これ昨年十月からでもう十人以上確認をされるなど、本当に過去最悪と、過去五年間ぐらいで見ても最悪の事態になっています。
 これ、一九七三年からの流行時には、先天性風疹症候群で生まれた子供さんの実は数十倍の規模で人工流産が行われていたとお聞きをしています。生まれてくる赤ちゃんに影響があるんではないかと、こう考えた上での苦渋の決断での中絶が多数あったということで、このようなつらい事態を繰り返すわけにはいかないと思っています。
 国立感染研も政府も、ワクチン接種を本当にいろいろテレビのニュースでも一生懸命流して、これ推奨しているということはよく分かるんですけれども、より踏み込んだ対策を是非検討していただきたいんです。東京、神奈川、千葉、大阪など大都市部中心にワクチン接種費用の助成を行っていますけれども、これはもう国としても補助を行って、全国的に一気に接種を進めるということが必要ではないかというふうに考えます。
 かつて、麻疹の感染が問題となって、海外からも日本は麻疹の輸出国だと、こういう批判を浴びたときには、MRワクチン定期接種の臨時的な拡大という五年間の時限的措置とっています。是非これも参考にして国の助成ということも検討していただきたいんですけど、いかがでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) 風疹、今年、特に成人に対して広がっておるということで、その点は大変我々も危惧をいたしております。
 そこで、いろんな情報発信等々をして注意喚起をさせていただいておるわけでございまして、これからお子さんを出産、出産予定といいますか、お子さんをつくられる予定のあるそういう方々には特に予防接種を、これはリスクも一定程度ありますから、そこは御理解をいただいた上で自主判断をしていただいて予防接種をしていただきたいなというふうにお願いをいたしておるわけでございますけれども、これに対して補助をというお話でございました。
 我々、今までいろんなお話をお聞きする中において、なかなか昼間お仕事をされておられる方々、予防接種する機会がないということでございますので、夜間にも、また休日等々にも予防接種ができるようにということで、それぞれ医師会等の皆様方等々にお願いをさせていただきながらそういう機会はつくってきておるわけでありますが、財政的な支援というのがなかなか実はつろうございまして、一つは財源という問題もあるんですけれども、そもそも、この風疹、今年、今六千人規模になってきておりますが、風疹だけではございませんでして、もっと年間の推定患者、特にお子さんに対して多いのがおたふく風邪、それから水ぼうそう、おたふく風邪は四十万人から百三十万人、水ぼうそう百万人という形で感染症にかかられるわけでありまして、結果、推定入院数、重症例というのは、年におたふく風邪五千人、水ぼうそう四千人、そして脳炎や髄膜炎になる確率がおたふく風邪が百分の一、水ぼうそう千分の一未満ですね、こういう状況。風疹はこれに対して六千分の一なんですね。そう考えると、あと報告死亡者数を見ましても、水ぼうそうにおきましては年間四名から十名、おたふく風邪も一、二名、風疹はゼロから一名ぐらいなんですけれども。ただ、これ脳炎や髄膜炎経由でお亡くなりになられる、そういうお子さん方もおられるものでありますから、多分実態はもう少し増えてくるのではないのかなと、こういうふうに思うわけでありまして、そう思いますと、難聴の発生人数やいろんなものを見ましても、おたふく風邪や水ぼうそう、これ罹患している方々も含めて非常に危険な感染症になっておるわけでございまして、こちらの方もまだ予算措置等々で対応できていないということでございます。
 そういうことを考えますと、どちらをどう優先するかという話ではないんですけれども、実際問題、風疹のみならず、ほかの感染症に関しても大変重篤な被害があるわけでございまして、こちらの方の対応も急がせていただきたい。そんな中において、財政的に非常に厳しい中でやっと三つの分野を定期接種にさせていただいたばかりでございまして、なかなか手が回らないというのが今の現状でございます。

○田村智子君 これやっぱり国立感染研がこれだけ風疹の問題を報道しているということは意味があると思うんですね。先天性の風疹症候群を、かつてたくさん子供さん生まれてしまったという、この反省をやっぱり教訓にしてでのことだと思うんです。
 今日も予防医療の議論されていましたけれども、おたふく風邪や水ぼうそうも非常に深刻だというのならば、それも含めてやっぱり必要なときに思い切っていかにして実践するかということは、風疹含めてこれ検討していただきたいということを重ねて要望しておきたいというふうに思います。
 では、法案の質問をいたします。
 本法案は、これまで議論あったとおり、協会けんぽの保険料率が一〇%を超えて上昇することのないようにと、国庫補助率の特例措置を二年間延長するという中身が含まれています。協会けんぽは中小企業が多く加入していて、労働者の社会保険料の負担の軽減策必要ですから、私たちもこれは最低限必要な措置だと考えます。
 しかし、この間、やはり労働者の標準報酬月額が下がり続けて協会けんぽの財政は大変厳しくなっていて、活用可能となった準備金が三年後に枯渇をいたしますと保険料が大幅に上がるということが今からもう既に危惧がされているわけです。そうすると、二年間の取りあえずの措置だけでなく、より根本的な対策がもう今から必要だというふうに思うんですけれども、どのように検討されているんでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) もうおっしゃられますとおりでございまして、標準報酬月額が上がらない、下がるという状況の中で、保険料収入自体がしっかり増えてこない、そこで料率を上げざるを得ないという悪循環にはまってきたわけであります。
 一つは、景気を良くしてやはり給与、所得をしっかり増やす中において保険料収入も増えていくという形、これを何としてもつくらなきゃいけないというふうに思っております。しかし、そうであったとしても、やはりこの高齢化社会の中において、それぞれ後期高齢者に対する支援金等々の負担も増えてきておるわけでございますから、構造的にどう考えるかということを考えれば、これは今委員がおっしゃられましたとおり、もう二年後、この後どうするんだということはこれ待ったなしの状況でございますから、これ今国民会議等々でも御議論いただいておりますが、早急に結論を得る中において、二年後に対しての制度設計というものをつくってまいりたい、このように考えております。

○田村智子君 私も、やっぱり一番の原因になっているのは労働者の賃金が下がり続けていることだというふうに私も思います。今国会、我が党、経済政策として賃上げと、大分議論やってきました。非正規雇用の拡大に歯止め掛けることも求めてきました。特に中小企業での賃金引上げは、もう省庁の垣根を取り払った支援策が必要だということを予算委員会で提案もいたしまして、これは安倍総理も検討するというふうに答弁をされているわけですから、是非、社会保障制度健全化のためにこうした施策は待ったなしで緊急に行っていただくよう、中小企業に直接届くように行っていただくようこの場で求めておきたいというふうに思います。
 加えて、本来、この法律に基づいても、協会けんぽへの国庫補助率は、まあ一六%は元々本則だという議論が先ほどもありましたけれども、本則は一六から二〇%としているわけで、この二〇%はどこへ行ってしまったんだろうかと。やはりその協会けんぽの現状を考えますと、本則の二〇%、これだけで根本的な解決にはならないですが、せめて二〇%への引上げということがやっぱり検討されてしかるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) 二〇%、本則は一六・四%から二〇%の範囲でありますけれども、上限という意味からすれば二〇%ということになろうと思います。もちろん、二〇%、本則の上限まで上げられれば、それはかなり協会けんぽの財政の方は一服はつけるわけでありますけれども、一方で、そうなると、二千億円からの財源をどうするんだという、かなり巨額な財政の問題、財源の問題になってくるわけでありまして、そこのところも含めて、今国民会議等々でも御議論もいただきながら、三党協議も含めて、一つの一定の方向性というものをお出しをいただくべく御努力をいただいておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、このような形で国庫補助率の上限までこれを引き上げるのか、若しくはほかの方法を考えるのかも含めて、この協会けんぽというもの、これは被用者保険の中においてはセーフティーネットであるわけでございますので、この協会けんぽが持続可能であるということは大変重要なことでございますので、そのような制度設計に向かって頑張ってまいる所存でございます。

○田村智子君 社会保障制度改革国民会議の議論にはなかなか任せられないなという思いがありまして、また、消費税一〇%の財源と。でも、その中には全然協会けんぽへの支援なんて元々制度設計の中にもないわけですから、本当にそういう路線ではないことを考えなければいけないということを私たちもどんどん提案をしていきたいと思います、今後。
 今日は、協会けんぽ等医療保険にかかわるちょっと解決しなければならない具体の問題を幾つかお聞きしたいと思います。
 一つは、この医療保険の資格喪失にかかわることです。協会けんぽの資格喪失の事務処理の際には保険証の回収が必要なんですけれども、その保険証が回収されたのか未回収かということを記録をする、あるいは回収されていない場合にはその回収日を記録すると、こういう処理が行われることになっています。これ、たとえ未回収の場合であっても、この保険証回収日、資格喪失の日を過ぎてこの保険証を用いての受診はできないし、もしもそういう未回収の保険証が使われた場合には、医療機関が保険者にレセプトを出していてもこれは戻されてしまうということになります。それだけに、この保険証回収情報というのは健康保険の審査、支払実務にとって非常に大切な情報となります。
 二〇一一年十月からはより正確にということで、資格確認システムによるチェックも始まっています。この資格確認システムですけれども、実はそれ、開始される直前の二〇一一年七月に、全国健康保険協会は、被用者保険の資格得喪失の事務を行う日本年金機構に対して、保険証回収情報、この記録に不備があるんだということを指摘をして改善を求めています。これに対して日本年金機構はどのような対応をしたのか、簡潔にお答えください。

○政府参考人(高倉信行君) お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘いただきましたとおり、平成二十三年七月に全国健康保険協会からこの被保険者証回収情報の事務処理を適正化すべきだという御指摘を日本年金機構が受けております。これを踏まえまして、日本年金機構におきましては、同月中にでございますけれども、この本件に関する指示依頼を行う文書を発出いたしまして、資格喪失届などの被保険者証回収区分を入力いたします際に誤りがないようにということで、年金事務所等への周知を図るということ、そしてまた、これに関係する業務処理要領、マニュアルの改正を行ったという状況でございます。

○田村智子君 それでちゃんと現状として正されたのかということなんですけれども、実は私の事務所に今年の四月に入ってこういう相談がありました。ある医療機関が、保険証を確認したにもかかわらずレセプトが戻されたと、おかしいなと思って健康保険協会に調査の依頼をしたら、今年四月、協会から回答があって、ある年金事務所では職権で、資格喪失をした場合、資格喪失、つまり処理日の翌日を便宜的に保険証回収日として処理を行っていると、いるという現在形だったんですね、こういう回答が返ってきたんです。
 私の事務所で厚生労働省に、実はこういう事案があったことは伏せて、そんなことをやっているのかというふうに問合せをやったら、現在は行っていないという回答だったんです。過去にはあったのかなということを思わせる回答だったんですけれども、四月の時点でこういう事例が現にあったということで、実は医療機関から同様の事例が幾つか指摘がされてきています。
 となれば、再度、これちゃんとミスのないようにという、あるいは、やり方がそもそも一日ずらしていたという話ですから、そういう処理が行われていないようにということを事実確認も含めてやるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(高倉信行君) 御指摘の被保険者証の回収区分の入力誤りなど、これは様々な悪い影響を及ぼしますことから、これの記載内容や処理結果の確認につきましては、ただいまの御指摘を踏まえまして、日本年金機構において改めて徹底をしてまいりたいと存じます。
 また、今後、日本年金機構において、これ全国健康保険協会側との連携も必要でございますが、事案の把握と原因の調査に努めまして、誤りの多い事例が見出された場合などには、同じようなことを決して起こさないようにという観点から、必要な業務処理要領、マニュアルの見直しなどを行うといったことも含めて、事実関係の把握と原因調査を踏まえた適正な業務処理の実施に努めてまいりたいと、このように考えております。

○田村智子君 そういう御答弁を受けてのことなんですけれども、そうしますと、現在、資格喪失日以降受診していると、これはもう医療機関が幾ら保険証を確認したということを主張しても、機械的にレセプトを戻されているようなんです。しかし、これ医療機関の方に瑕疵があるかというと、ないと思われるケースがあるわけで、実際その回収情報、正しく情報がなっていない問題が、今も正すというふうに言っているわけですからね、そうすると、医療機関が保険証確認したんだと、こういうふうに主張している場合は柔軟な対応が必要じゃないかと、保険機関の方の業務マニュアルもそれを念頭に置いたものに改めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(木倉敬之君) お答えいたします。
 協会けんぽに加入されておられた被保険者、これが協会けんぽの方の資格を喪失したその後に医療機関を受診されたという場合でございますけれども、まずその保険証の回収日よりも前に受診されておったということであれば、その保険証を医療機関に提示をされまして受診されておったということが考えられますので、原則としては医療機関には診療報酬をお支払いするということで、被保険者の方が資格喪失されたことを分かりながら被保険者証を返納せずに持っておられて使われたということですから、被保険者の方に給付費の請求を行う取扱いをしておると。
 それから、被保険者証を回収されたときよりも後に受診されたということになりますと、医療機関が、保険証を持たずに、いつも来ている方だからということで確認せずに診療してしまってレセプトを出されたということも考えられますので、医療機関の方にこれは診療報酬は払われないということに原則なりますよというふうな取扱い、こういう二つに分かれるわけでございますけれども。
 ただし、今御指摘のように、医療機関が審査支払機関から返戻されたと、保険証の確認をしたのにもかかわらず返戻されてしまったという場合には、今の御指摘のように、日本年金機構の方の回収日の入力の誤りということも考えられますので、協会けんぽから機構の方に、今現在でも、その保険証の回収の事実確認をきちんとしてほしいということ、医療機関からのクレームに対してはそういう対応をさせていただいて柔軟に対応するようなことをしておるわけでございますが、機構の方でもそれをきちんとされるということであれば、ここのところについて、機械的にやるのではなくて、きちんと徹底をしてもらうことと同時に、我々の方でも医療機関からの御指摘に対してはきちんと対応していくべきものだろうというふうに考えております。

○田村智子君 それでは次に、無保険の問題について質問いたします。
 これまで我が党は国保料や国保税の滞納を理由に正規の保険証が取り上げられて無保険となってしまっていると、こういう問題を国会で何度も取り上げてまいりました。しかし、無保険はこうした保険証の取上げだけではありません。労働者が事業所を離職、退職などして医療保険の資格を喪失をした後、国民健康保険への加入手続をしないまま無保険になっていると、こういう問題があるということを厚生労働省は認識をしておられるでしょうか。

○大臣政務官(とかしきなおみ君) そのような事例があるということは認識させていただいております。
 被保険者の保険の加入については、脱退した日から、こちらは住所地の市区町村の国保の被保険者の資格を取得するということになります。しかし、市区町村におきましては全ての住民の医療保険の加入状況を把握しておりませんので、ですから、脱退日から十四日以内に世帯主が市区町村に対して被保険者の加入の手続をすることを義務付けさせていただいております。
 このため、加入手続が行われるまでの間は市区町村において事実上国民保険に加入していないものとして取り扱わざるを得ないような状況になりますけれども、加入手続が行われれば遡って国民保険の資格を取得したものとして取り扱うと、こういうふうにさせていただいております。

○田村智子君 これ、いろんな実態が今広がっていると思うんですね。若い人たちの中からも、定職に就かないまま国保の加入手続もしていないというような事例も私たちも聞いているんです。
 実は、高知市の潮江診療所、無料低額診療事業を行っているところですけれども、ここが、二〇〇九年十月からの三年間、受診者二百二十五人、これ調べてみますと、実に百四十一人、三分の二が無保険で、そのうち三十八人が以前は雇用先で社会保険に入っていたという方々だったということが分かりました。例えば、三十七歳の男性、不動産業の会社を離職後、国保料が高いからと未加入となって、糖尿病が大変重症化をしてから受診をした、もう既に右目を失明するような状態だったと。六十歳男性、造船会社が倒産をして失業、やはり国保に加入しないまま無保険になってしまった、栄養失調になって受診をしたけれども、実は肺気腫、慢性呼吸不全、慢性膵炎なども併発をしていたと。
 全日本民主医療機関連合会では、毎年、経済的事由による死亡事例調査を発表していますけれども、二〇一二年の調査では、死亡事例五十八人のうち三十九人が正規の保険証を持っていない無保険の状態だったと。死因の六七%は悪性腫瘍で、もう余りにも病状が進んでいて、有効な治療ができないまま死に至ってしまうという事例が幾つもあるということなんです。
 国民健康保険料や保険税の滞納を理由にした正規の保険証の取上げ、資格証明書を発行された世帯、これについては厚生労働省、数値を集計していて、私たちはこういう集計も力に、実態をつかむ努力とか、取上げをさせないようにということで各自治体への働きかけやっています。しかし、国保に加入しないまま無保険となっていると、実はこれは実態調査というものを行われていないんですね。まず何らかの形でこの実態をつかむことが必要ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○大臣政務官(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
 住民の医療保険の加入の状況、これは実は市区町村の方が把握しておりませんので、国保に未加入の方々の人数等を厚生労働省が把握するのが今非常に困難な状況であります。
 国保の未加入者をなくすために周知徹底していくことが何しろ大切でありまして、まずは企業を離職するときに必要性をまず周知徹底してもらうこと、あと、市区町村の国保の加入届が必要であるということを住民にしっかり知っていただくこと、これが重要であると思っております。
 また、先ほど委員御指摘のとおり、保険料の負担が重いのを理由にして保険の未加入とならないように、こちらの方は減免制度や適切な運用を行っているほか、失業者の国保保険を軽減する制度、これをハローワークとか市区町村を通じてお話ししていただければ対応できるように、こういったことを周知を図っているところであります。例えば、非自発的な失業者の場合は所得を百分の三十というふうにみなすことによって保険料の軽減を図らせていただくと、こういった柔軟性を持った対応を取らせていただいております。
 このように、国保の加入手続が適正に行われるようにこれからも積極的に取り組んでいきたいと、このように考えております。

○田村智子君 現行の制度はよく分かるんですけれども、やっぱりそういう実態をまずつかんでほしいんですよ。無料低額診療を実施している病院や診療所というのは窓口負担がないわけですから、無保険の方は十割負担なんかできないわけですからやっぱりそういうところへかかる可能性あるわけで、その診療所や病院がどこにあるかは厚生労働省はみんな分かっているわけですから、例えばそういうところからの情報をつかむことから始めるとか、できると思うんです。
 先ほど、潮江診療所、高知市の例、紹介しましたけれども、その中には、例えば一歳の子供が四十度の熱を出して受診したことから、父親が失業後、国保に加入していなくて、子供二人を含む家族四人全員が無保険だと、こういうことが分かった事例もあるわけです。私、とりわけ子供の無保険なんというのはこれ絶対放置できない問題だというふうに思うんですね。
 この高知市では、二〇一〇年の教育委員会の調査で、修学旅行の事前調査や日常把握をした範囲で、小中学校の児童百二十三名が無保険若しくは何の保険に入っているかが不明だと。これつかんでいるんです、高知市は、教育委員会を通じて。これ、学校が保険証のコピーを集めるというときありますから、そのときに集計ができるわけですよ。中学生までの子供については保険証取上げが禁じられているわけですから、これ、保険証が示せないということはマックスで百二十三人が無保険という可能性があるわけなんです。
 これ、学校を通じると、遠足とか宿泊を伴う学校行事の際には必ず保険証のコピーをというふうに求めるわけです。となれば、学校を通じて子供の無保険というのはつかめます、義務教育の家庭はつかめます。大臣、こういうことを含めて、これ、すぐにやっぱり実態つかむべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) 文科省といろいろと相談をさせていただきたいと思いますが、今いろんな事例をおっしゃられました。これも含めて、今国会に提出をさせていただきたいと思っております生活困窮者対策、この法律がありますが、法律は法律といたしまして、生活困窮者の方々のやはり支援策という中において、当然そういう方々においては医療保険無保険という方々もおられるんであろうと思います。
 いろんな制度、施策を使いながらこういう方々を把握しながら、しっかりとそういう方々に対して一定の支援策、何ができるのかということも含めまして、いろいろな対応は考えてまいりたいというふうに思います。

○田村智子君 対策立てるときにはまず実態をつかむことが本当に必要だと思うので、是非文部省と相談をして取り組んでいただきたいということを強く要望いたします。
 次に、国民健康保険に加入しようとしても窓口で認められなかったというケースについてお聞きをいたします。
 これは東京都中野区で起きたことなんですけれども、建設会社を離職後、実はやっぱり国保料が払えないということで二十年近く無保険になっちゃったという方がいらっしゃいました。この方は四十代の男性なんですけれども、体調不良でもう病院にかからなければ駄目だと、こう思って区役所に国保加入の手続に行きました。ところが、時効になっていない保険料五年分を支払わなければ加入できないと窓口で言われて、諦めて帰宅をしてしまったと、その三日後に心筋梗塞を起こしてしまったと、こういう事例なんです。
 これで確認したいのは、加入していなかった期間の保険料を遡って払わなければ国民健康保険には加入できないのかと。こうした窓口の対応は問題だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(木倉敬之君) お答えをいたします。
 先ほども御説明があったかと思いますけれども、国保の場合には、他の医療保険制度から脱退した場合には、届出はしていただくわけですが、この国保の方の被保険者資格を取得した者として扱われるということでございます。今の御指摘のような、保険料を支払っていらっしゃらなかったということでこの法律上認められております国保の被保険者資格の取得ということが妨げられるということは法律上ありません。
 今のような場合についてでございますけれども、保険料をなかなか納付ができない、納付すべきだが納付ができないということにつきましては、それで加入を認めないということではなくて、納付相談を丁寧に行っていただきまして、例えば分割、可能な限りで分割納付をしていただくというようなことによって、まずもって無保険状態でない、保険証を使える状態になっていただくと、これを前提にやはり丁寧な対応をしていくものと思いますし、これからも全国の会議等でも指導をしてまいりたいというふうに思っております。

○田村智子君 この方は、幸い我が党区議団と出会えて相談した日に遡って加入ができましたので、手術して自己負担百五十万と言われたんですけれども、これ何とか問題解決に至ったんですが、このようなことがないように是非窓口への周知を行っていただきたいというふうに思います。
 やっぱり、長く入っていないとそれだけ保険料を払えということになってしまってますます保険に入る敷居が高くなってしまうわけで、やっぱり退職したとき、失業しちゃったとき、すぐに国保にとつなぐことが必要だというふうに思うんですね。
 その対策の一つとして、国民健康保険中央会など八団体が被用者保険から市町村国保への被保険者資格喪失情報の届出、これを義務化すべきではないかというふうに要請もしているんですけれども、この検討はいかがでしょうか。
 短くお願いします。済みません。

○大臣政務官(とかしきなおみ君) 済みません、この資格喪失情報については、これはなかなかちょっと難しいところがありまして、転居してしまう場合がありますので、それを把握していくということがなかなか難しいという実務上の課題が残っております。
 ということで、これは基本的には国保の適用は最終的には世帯主による加入手続が必要になることから、なかなかそういう状況は難しいというふうに今考えております。

○田村智子君 でも、この問題をクリアする一つの手法として、二〇一一年二月から日本年金機構と市町村との間で覚書を締結すれば市町村も退職被保険者の資格喪失情報を把握できるようになったと。年金機構がお知らせすることができるようになったんですね。
 ちょっと時間がないので。しかし、この覚書を締結した市町村は七百ぐらいだというふうにお聞きをしていまして、非常にまだ不十分で、これ、是非全市町村で、やっぱり情報把握ということがまず第一歩ですから、覚書が締結できるようにこれは働きかけをしていただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) 今委員おっしゃられましたとおり、市町村国保の被保険者資格の適用の適正化を図るために、日本年金機構と市町村国保の間で覚書を締結することによりまして、二十三年二月から市町村国保において国民年金二号、三号被保険者が資格喪失したこと等を確認できることとなったと同時に、さらに、平成二十三年十二月には、ねんきんネットを活用することによって、国民年金の被保険者が現在何号被保険者であるか、これについて市町村国保が確認することができる、つまり、情報を交換することによって、今、市町村国保がどういう状況、その被保険者がどういう状況かということが分かるということになってきたわけでございまして、これは国保の加入という意味では大変重要な情報であるということでございますので、これは是非とも推奨してまいりたいというふうに思います。

*以下、健康保険法一部改正案に対しての反対討論
私は、日本共産党を代表して、健康保険法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 その理由の第一は、協会けんぽへの国庫補助率一六・四%を二年間の暫定措置としていることです。
 本法律では、協会けんぽへの国庫補助は本則で一六・四%から二〇%とされています。これを附則で一三%に引き下げているのですから、この附則を削除し、一六・四%以上の国庫補助率を恒久的な措置とするのは当然のことです。
 協会けんぽに加入している事業所の四分の三は従業員九人以下という中小零細企業です。被用者保険の最後の受皿であり、社会の重要なセーフティーネットである協会けんぽを国の適切な国庫補助によって支えなければなりません。とりわけ、労働者の賃金が下がり続け、一方で医療の高度化等により医療費の支出は増額、準備金が枯渇する三年後には協会けんぽの保険料率は大幅な引上げとなることが危惧されています。国庫補助率は本則の下限の一六・四%ではなく、上限の二〇%まで引き上げることこそ求められています。
 反対の理由の第二は、高齢者医療制度支援金の総報酬割の措置を継続していることです。
 これは、本来国が負担すべき財政支援を健保組合、共済組合に引き続き肩代わりさせ負担増を強いるものであり、問題です。なお、労災保険の適用がない事故事例を健康保険法上で給付対象とする措置は社会保障制度の谷間の問題を解決するものであり、当然です。
 最後に、協会けんぽの財政の一番の問題は、労働者の賃金が下がり続け、保険料収入減を招いたことにあります。大企業の下請いじめを厳しく取り締まる、中小企業での賃金引上げを支援するなど、省庁の垣根を取り払った施策を求め、反対討論を終わります。