【11.11.30】共生社会・地域活性化に関する調査会
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。本日はありがとうございます。
被災者が主役の復興ということに大変共感をしながら今お聞きをしていました。大滝参考人の、今、復興の計画作りの中から女性が入ることが非常に重要と課題と提言のところにも書かれていて、私もお聞きしようかなと思ったんですけれども、加えて女性と若者が入る配慮というふうに書かれておられますので若者についてもお聞きをしたいと思っていますのと、もう一つ、実際、その地域で復興計画作りとなったときに一番困難なのが、恐らく津波で全部洗われて高台移転が必要だというふうな地域ではないかというふうに思っているんです。そういう地域の皆さんはいろんな事情もあってのことだとは思いますけど、仮設住宅もばらばらに入ってしまって、その仮設住宅でコミュニティーつくることも大切なんですが、それが果たして今後の、その次の家のコミュニティーにつながるかどうかも分からない。ここで、どういうコミュニティーづくりあるいは計画作りということで考えていくことが必要かというのをお聞きしたいと思います。
それから、池田参考人になんですけれども、「ひなたぼっこ」という施設が最初にできていたことが本当に重要だったなというふうにお話伺って思いました。やっぱり社会的に排除される人をつくらない、そういう仕組みがあることが、いざ災害が起きたときに大きな支援の中核になり得るんだということが具体の事例としてよく学べたと思うんですね。
先ほど、地域包括ケアシステムでそういうことができるかというお話にもちょっと触れられたんですが、やはりあれは介護という範疇の中で提起されている問題で、今社会的に排除されているというのは貧困な高齢者というだけでなく、若者の中にも食と住まいを失って事実上社会的に排除されているという状態に置かれている方がいたり、独りぼっちで子育てしている女性がいたりと。やはり、そういう方々も社会的に排除されないような仕組みづくりというのはどういう可能性があるのか、お考えを是非お聞きしたいというふうに思います。
○参考人(大滝精一君) 二つの御質問あったかと思いますので、お答えしたいと思います。
一つの、女性と若者をというふうに書いた背景については、これはちょっと言葉を選ばないといろいろ誤解を受けるかもしれませんけれども、実は、特に被災した地域の多くの自治会の組織というのは、既に自治会長さんがかなり年長で、しかも長い間ずっと自治会を引っ張っていらっしゃるという、そういう自治会が圧倒的です。そういう自治会の中ではもう昔から物の決め方が決まっていて、大体、自治会の組織に出ると男性がほとんど、しかもその役員もかなり固定的になっているという、そういうところでフォーマルな意思決定が全部行われていくという構図をつくってきました。しかし、復興計画の中ではそれでは難しいと思います。わざわざ私が女性と若者というふうに入れた理由はそういうことです。
特に、復興計画の中では地域の女性の果たす役割が非常に大きいということは、先ほど私が申し上げたとおりです。それから、若者については、もちろん常にずっと長くそこに住んでいる若者もいるかもしれませんけど、若者は最近は、働きに外に出ていくとか地域との間のコミットメントの度合いがより中高年の方に比べると薄くなっているというのは事実かもしれません。しかし、これから復興していくときに、そういう若者のいろんな発想とかアイデアとか考えとか、あるいは従来その自治組織とか自治会になかったものをいろんな形で入れていくという意味では、若い人たちの力が、あるいは若い人たちの発想が非常に大事です。
そういう若い人たち自身が一緒になって物をつくっていくというような、そういうことの意思決定のプロセスが実現できれば、かなりその地域の自治会がいろんな意味で生き生きとしてくると思います。そういうプロセスをやっぱり工夫していくということが復興計画にとっては重要だというふうに私どもは考えております。
それから、二つ目のコミュニティーづくり、これはとても難しい問題です。今おっしゃられたとおりで、特に高台移転のスペースが十分に確保されない地域にとっては、ばらばらになっていくということが起こっています。今後、また再び高台移転をするなり、ある程度集団移転をするということが起こってくると思いますけれども、そこでのコンセンサスの問題というのが当然出てくると思います。
一〇〇%それを実現できるかどうかは私は難しいと思いますけれども、先ほどから私がコンセンサス、コンセンサスと言っていることの多くは、やはり多くの住民の人たちがここで何とか満足できるというようなまとまりを持ってそれぞれの地域に移っていくということをぎりぎりまでやるというそういう努力を、これは町も、それから住民の皆さんはもちろんですけれども、私たちNPOとか、そこに入るファシリテーターの人たちも含めて努力するという。特に、沿岸部の比較的小さな町のスペースがない地域の中ではこの問題が非常に大きな問題だと思いますけれども、そのための努力をやっぱり継続してやり続けるしかないというふうに私は思っております。
○参考人(池田昌弘君) おっしゃるとおりなんですけど、社会的に排除されない社会といいますか地域づくりという中でいきますと、若者もありますし、日常的には認知症の方とか精神の方とかいらっしゃいますけれども、そういう中で、やっぱり地域で中間といいますか、そういう方々を受け止めていく場と、それからそういう専門職がやっぱり必要だというふうに思っていまして、そういう場と専門職との中で、一定地域で暮らせる状況が見えてくると地域の人たちの目が変わる。
特に、先ほどの「ひなたぼっこ」でいきますと、町内会長や民生委員などを含めた運営委員会を開いているんですが、そういう中で、どんな方が今地域の中で課題を抱えていて、そういう方をこんな感じで支えていますよという話をその中で協議をすると、実は町内会長は民生委員さんたちにいろんな課題の人たちの話があって、お困りになっているんですが、そういうお困りになっている人たちを一緒にそういう場で支えていくということができるなら、やっぱり地域に必要だよねという話で、そういう方が少しずつ落ち着いて普通の生活に戻れるような状態が見えてくると、地域の方もこんな形で支えられるんだなというようなことが出てくるので、その意味では制度とは別なそういう場が必要で、もう一つは、制度をつくるととても有り難いんですが、制度ができるとまた制度から漏れる人が生まれてしまうので、その意味では、制度をつくっても漏れない制度というのはなかなか難しいんですけど、そういうようなことがないと、もう我々、幾つも制度化してもらったんですけれども全部また漏れてしまうので、その意味では、制度から少し超えていくところをどれだけ弾力的に運営できるかということが求められていると思っています。
そこでは、今、仙台市などにお願いをしているのは、町内会長や民生委員や地域包括支援センターなどが一緒に協議している中で、ちょっとこの人は制度から超えるけれども、そんな、超えるけど、この地域でこの人をみんなで見守ろうよということで地域もみんなで合意しているときは、若干制度を弾力的に運営してもいいようなことできませんかという話を今協議をしていますが、そんなことが求められているような気がします。