日本共産党 田村智子
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【11.11.21】予算委員会-東京電力の原発作業員削減を追及/反対討論

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 福島第一原発は年内にステップツーから次の事故収束に入る見込みとのことですが、細野大臣、ステップツー終了とは何を達成したことになるのでしょうか。

○国務大臣(細野豪志君) ステップツーの終了というのは、原発の事故が再びエスカレートして近隣の皆さんに御迷惑を更にお掛けをすることがない状況ということでございます。
 具体的には、まずはしっかりと冷却ができている必要がございますので、圧力容器底部の温度に注目をしております。現在、大体四十度程度から七十度程度に安定をしております。
 加えて、燃料の場所が正確にこれ圧力容器の中だけということは言えません。格納容器にも恐らく落ちているであろうということが想定をされますので、そこの温度も測っておりまして、そちらが大体、こちらも四十度から七十度程度ということで安定をしておりますので、冷却自体はできていると考えております。
 加えて、外に出ている放射性物質の量でございますが、これを測っておりまして、年間換算で〇・一ミリシーベルトということになっておりますので、これも一ミリシーベルトという目標を下回っております。
 加えて、こうした状態が持続をするということが極めて重要でございます。そこで、現在、中長期的な安全が確認できているかどうかということをこれは慎重にも慎重を期して判断をして、それが判断できた時点で冷温停止状態、すなわちステップツー終了というのを皆さんに御報告申し上げたいと考えております。

○田村智子君 エスカレートはさせないと、新たな放射性物質の放出は抑えると。しかし、冷却も汚染水処理も今後も続くわけですし、原子炉の状態は全く不明で、本格的な事故収束はまさにこれからだということだと思います。
 ところが、先週金曜日、私、東電に確認したところ、十二月は、今現在一日約三千人ほどの人員を、作業員の人員、二千百人から二千人程度にまで削減をすると、こういう報告を受けました。細野大臣、これ許していいんでしょうか。

○国務大臣(細野豪志君) どういった報告なのかということは、私ちょっと直接、今の御発言の中身というのは承知をしておりませんけれども、大体二千人から三千人ぐらいの作業員が中に入っております。その中にはもちろん東京電力の社員も含まれますけれども、関連会社、メーカー、そして建設会社の作業なども全て含まれます。
 それぞれの事業ごとに忙しい時期、忙しくない時期がございまして、特に建設系の仕事が、例えば瓦れきの処理であるとか、あとはカバーリング、カバーですね、一号機のカバーなどの作業で大量に必要となっておりましたけれども、今その仕事が一段落をしておりますので少し減っております。
 したがって、人そのものを少なくして作業を遅らせるということはあってはなりませんけれども、それぞれの状況に応じて適切な人がしっかりと配置をされるような、私どもとしてはそこは手配をしていく必要があると考えております。
 人員計画については、特に放射性物質のいわゆる被曝の多いそういった皆さんが心配でございますので、人材育成も含めて政府としてはこれは責任を持ってやる体制を今整えているところでございます。

○田村智子君 これは三分の一を削減しようというふうに言っているわけですから、のんきなことを言っていられないんですね。
 実は、私たちのところに事故前から第一原発で働いてきた二次請の社長さんから告発がありました。十月下旬、日立の一次請会社が二次請の社長さんを集めてこういう話をしたというんです。東電の予算がもうないから十二月から作業員を半分にする、日立系列で三百人から七十人に減らすと。
 日立といえば原子炉プラントメーカーです。まさに事故収束の中枢にかかわる作業、こういうところで大規模な削減やられようとしている。これ許していいんでしょうか。

○国務大臣(細野豪志君) そこは私も直接今お話をいただきましたので、確認をしてみたいと思っております。
 今、一番私がしっかりと考えていかなければならないと思っておりますのは、事故の収束が確実にできる体制というのはどういったものなのかということでございます。東京電力は、現在、賠償も含めて非常に経営状態厳しくなっておりまして、その中でどう会社をこれからしていくのかということについて非常に関心を持ってやっているというのは承知をしております。
 ただ、その中にあって廃炉に向けての事業が滞るようなことがあってはこれは絶対にならないと。そこは政府としてしっかりと見た上で、それができないような体制であれば、それはもう本当に体制の在り方そのものも考えていかなければならないというふうに思っております。
 貴重な御指摘をいただきましたので、しっかり確認をしてみたいと思います。

○田村智子君 のんきにしていられないというのには、既に十一月から人員削減がされているという訴えなんですよ。
 二次請の社長さんいわく、十月以前の今四割ぐらいになっているんじゃないかと、こういう指摘です。東電は現場のことをほとんど知らない、だから心配なんだと。段取りも悪いと。機械の潤滑油を抜き取る作業を指示されても油を入れるドラム缶が現場にない、末端の下請会社に指摘されてやっと準備する、こういうことが何度もあったんだと。ベテランの下請の労働者を切り捨てたらどうなるのかと。その上、予算が不足しているためなのか作業用具も足りなくなっている、ドライバー一本を現場では取り合いになっているというんですね。
 これ、厳格に状況をつかんで適切な指導を東電にすぐに行うことが必要だと思いますが、大臣、もう一度お願いします。
   〔理事川上義博君退席、委員長着席〕

○国務大臣(細野豪志君) 私、メーカーの皆さんとも話をしておりまして、現場の事故の収束そのものの様々な技術的な問題というのは東京電力よりもむしろメーカーの方が詳しいというケースは多々ございます。ただ、メーカーの更にその取引会社ということになってくると、全て把握することは難しい面がございます。
 したがって、そういった声もできるだけ私も聞いてまいりたいというふうに思っておりますが、何よりも大事なことは、しっかりと廃炉に向けた事業の予算を確保して、それが確実に執行されると。当然、それに向けた人が確保できないとこれはもう話になりませんから、そこは確保できているのかということを全体としてしっかり確認をする作業は、担当大臣が私でございますので、私自身の責任でやってまいりたいと考えております。

○田村智子君 既にこの十一月で現場を離れたそういう事業所の方は、もう十年、二十年福島第一原発で作業をしてきたと、こういう方々が何人もいらっしゃるんです。
 長年勤めてきただけに、事故収束はもう東電と同じように責任を感じて一生懸命作業に当たってきた。ところが、そういう皆さんが予算がないからといって切られてしまう。自分たちを予算がないといって切り捨てて一体事故収束はどうなるのかと、こういうやむにやまれぬ思いでの告発なんですよ。
 総理、これは大変重大な指摘だと思います。是非見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(枝野幸男君) 東京電力に対する行政指導権を持っているのは私ですので私の方から申し上げますが、今のようなことが本当に、お金がないからということで必要な、しかも能力の高い方を辞めさせるようなことがあったとすれば、それはもう事業者としてあり得るべきではないことでありますので、そういったことがないように指導をいたしますし、もしあったとしたら厳しく経営陣の責任を追及します。

○田村智子君 是非やっていただきたい。特に日立の、第一原発統括する所長がこれ人員削減すると明言をした話をしているわけですから、きちんと下請の皆さんからも事情を聞いていただきたいと思います。
 総理にも是非見解をお聞きしたいんですね。先日、事故の現場がマスコミにも公開をされまして、線量が低いところを回ったと言われても、かなりの線量を記録しているわけです。私もあれを見て改めて、作業をしている皆さんがまさに危険と隣り合わせで大変な緊張を強いられながら作業をしているんだと、これ痛感をいたしました。となりますと、やっぱりお一人お一人の労働者の被曝線量をいかに低く抑えるのか、これ考えなきゃいけないです。そして、適切な休養も取らせていかなければならないです。作業の量がこうなったから人員はこう減らせるなんて単純な話ではないと思うんですけど、総理、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(野田佳彦君) やっぱり基本的には、事故収束のプロセスを推進していく上で必要な人員措置は、これはとらなければいけない、そしてそこの作業にかかわる皆さんの健康管理は十分配慮しなければいけないというのは基本だというふうに思います。

○田村智子君 今日、実は私、社長さんにもお聞きしようと思っていたんですが、金曜日に私が、千人規模の削減をすると東電本社に一時間にわたって説明を受けた、ところが予算委員会が始まる直前になって千人規模の削減はやらないと言ってきた。質問されると分かったら、土曜、日曜の二日間を挟んで、ころころ説明が変わるんですよ。
 これ是非、枝野さんも細野さんも、これ東電の説明にだまされないでほしい。私たち、もう全く、東電が出してくるこの数字、これ信用できないと、こういうふうに言わざるを得ないと思っているんですね。これ是非、大規模な削減、これやらせない、働く皆さんの健康管理、それから安全の管理、これ絶対追及して、東電の人員削減の計画あるいは予算の問題、厳しく監督指導を行っていただきたいと思います。もう一度総理、お願いします。

○内閣総理大臣(野田佳彦君) もう先ほど申し上げたとおりで、確実に事故収束のプロセスをたどるために必要な人員は確保しなければいけない、そしてそこに従事する皆さんの健康管理には十分配慮しなければいけないという基本方針の下でそれぞれの対応をしていきたいというふうに思います。

○田村智子君 終わります。

2011年度第三次補正予算案への反対討論

○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、二〇一一年度第三次補正予算案に反対の討論を行います。
 反対の最大の理由は、復興国債の償還財源を所得税、個人住民税などの増税に求めていることです。庶民や中小業者への増税は内需を更に冷え込ませ、円高の影響と併せて日本経済に重大な打撃を与えることになります。
 一方で、不況の下でも内部留保を増やし続けてきた大企業に対しては、法人税を恒久的に五%引き下げた上で時限的に付加税を課すだけ、これでは復興を理由の庶民増税分は法人税減税の穴埋めにされるだけだと指摘しなければなりません。
 法人税減税や証券優遇税制をやめる、政党助成金、在日米軍関連費の廃止など、やるべきことはほかにあることを申し上げ、討論を終わります。(拍手)