【11.06.07】厚生労働委員会ー原発作業員の内部被曝測定に国が責任を持つように要求
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
東京電力福島第一原発の作業員の内部被曝の問題、この委員会でも、また先日の予算委員会でも私、取り上げてまいりました。内部被曝測定の遅れによって大量被曝を見逃すことになるのではないかと、こう危惧をしていたのですが、五月三十日、中央制御室で働いていた東電社員二名が内部被曝の測定によって二百五十ミリシーベルトを超える被曝をしていたことが判明をいたしました。
このことについて質問をする前に、五月十日のこの委員会での私の質問に対する保安院の答弁をただしたいと思います。
私が事故対応に当たった作業員のうち内部被曝測定をしたのは何人かとこの五月十日に質問をしましたところ、保安院の中西審議官は、小名浜のコールセンターで五百二十一名、福島第二原発で五百二十二名、トータルで一千四十三名がホール・ボディー・カウンターで内部被曝の測定をしたと答弁をされています。
ところが、その後の報道などを見ていて、この数字がおかしいのではないかと、そう思って、東電本社や保安院への事実確認を繰り返したところ、福島第二原発で測定をした五百二十二名というのは、ほとんどが事故対応の作業員ではなく、そもそも第二原発で働いていた作業員だということが分かりました。
改めて、保安院に正確な答弁を求めます。
○政府参考人(中西宏典君) 議員、前回の委員会で御指摘いただきました数字につきまして、ちょっと我々の方の言葉、説明がちょっと不適切なところがございまして、今御指摘のとおりに、福島第二原子力発電所のホール・ボディー・カウンターによって測定を行った作業員五百二十二名、そのうち福島第一の原子力発電所で作業を行った者は七名というふうに認識してございます。ちょっと、その点は説明をもう一回させていただければと思います。
○田村智子君 五百二十二名のうち、たった七人だけだったんですね、福島第一で働いていた方は。
ホール・ボディー・カウンターの計測は、結局、五月十日、分かっている時点では、一千四十三名ではなくて、約半数の五百二十八名だったということなんです。これ、もう虚偽だとさえ言える数字を東電がもし保安院に報告をしていたんだとしたら、これ重大です。
同時に、私、これいろいろ聞いたところ、保安院も、福島第二原発の作業員が含まれていると、このことを東電から聞いていたというふうにも聞いています。事故対応の作業員であるかのように答弁した。その上、こちらからこのことの問題をただすまで訂正も謝罪もしようとしなかった。これは、そもそも作業員の健康確保に責任を果たそうという立場であれば、質問の有無にかかわらず、内部被曝量の把握がどうなっているか、正確に東電から情報をつかんでいるというのが私は当然のことだと思います。
これは委員長にもお願いをしたいんですが、本委員会の答弁として余りにも不誠実なものです。同時に、事態を正確に把握をして国会にも報告をするということは、今後の労働者の健康管理にとっても大変重要なことだと思いますので、是非委員長からも保安院に一言いただきたいと思います。
○委員長(津田弥太郎君) ただいまの件につきましては、先ほど、田村智子委員の方から議事録でも指摘をされている部分がございますので、後刻理事会においてしっかり協議をしたいというふうに思います。
○田村智子君 では、内部被曝の測定によって二百五十ミリシーベルトを超えていた、この二人の労働者についてお聞きをいたします。
この二人が内部被曝線量の測定をしたのはいつで、また、この二人の内部被曝量は確定をしているのかどうか、確認をいたします。
○政府参考人(中西宏典君) お答え申し上げます。
その二人のうちの、まず一人目の方についてでございます。一人目の方は四月十六日と五月三日の日に、二人目の方は四月十七日と五月四日に、小名浜のコールセンターで内部被曝を測定してございます。さらに、それぞれ五月の二十三日には日本原子力研究開発機構、これはJAEAと呼んでおりますけれども、さらに、五月の三十日に放射線医学総合研究所、こちらの方でも正確な内部被曝を測定するということで測定を具体的にやってございます。
一応、このお二方につきまして、現在は評価の作業中というふうなことがございますので、近々その正式な評価結果が出るというふうに聞いてございます。
○田村智子君 放射性物質を吸い込むなどしたと思われるのは、三月の水素爆発のときだと思うんですね。それから実に一か月以上がたってから内部被曝の測定が始まると。同時に、その最初の計測から七週間が経過して、いまだに被曝量の判断がされていないということなんですよ。最初の暫定の数値が分かるまでにも、最初に測ったときから一か月半も掛かっている。何でこんなに内部被曝の把握、判断が遅れているのか。
私も五月の中旬に、東電本社に直接もうこれは説明を求めました。こういう説明なんですね。ホール・ボディー・カウンターで最初に測ると。数値が高い。そうすると、体に放射性物質が付いているんじゃないかと、このことを疑って、一人について何度も測り直しをやっている。シャワーだけでは髪の毛などに付着したセシウムが取れない。念入りに体洗ってもらう。皮膚に付着した放射性物質は新陳代謝で取れるのを待つと。
今回の二人に当てはめてみますと、四月最初の計測で高い測定値が出た。そこで、体をきれいに洗い直して、皮膚の新陳代謝も待って、五月の初めにまた測ると。それでも高い数値が出ていたのに、大量の内部被曝をまだ真剣に検討せず、原子力研究開発機構の精密な検査でやっと重大な事態が判明したと、こういうことではないかと思うんです。被曝量の確定をこんなふうに先延ばしを続けていくことで、当然行われるべき健康管理がなされていなかったと、こう言わざるを得ません。
改めてお聞きします。
私、五月二十日の予算委員会で、内部被曝量の評価まで終わった、内部被曝量が分かった、この労働者はどれだけいるかとお聞きしたら、たったの四十人だということが分かりました。それから半月以上がたっています。現時点で内部被曝量が分かった方は何人になりましたか。
○政府参考人(中西宏典君) 先ほども申し上げましたとおり、高い内部被曝を受けたと思われる方につきましては詳細な再度の評価等を行ってございますので、現在のところ、その四十名というような方が最終的に対外的に数字としては評価を行ったという形になってございます。
○田村智子君 まだ四十名なんですよ。これ、いつまでこんな事態続けるのかということだと思います。
今回、二人と同じ時期に同じ条件で働いていた労働者、これもっといるはずです。水素爆発が起きた時点で一号機から四号機の中央制御室にいた労働者、これどれだけいますか。そのうち、被曝量が多いことが考えられる、内部被曝が二十ミリシーベルト以上だと推測される労働者は何人になりますか。
○政府参考人(中西宏典君) 御質問につきまして、当時、福島第一の一号機から四号機につきまして作業を行っていた人間は私、百三十名いるというふうに認識してございまして、こちらの方々につきまして小名浜のコールセンターで測定いたしました暫定的な内部被曝、この線量が二十ミリシーベルト以上の作業員の方につきましては、現在、日本原子力研究開発機構で再測定が行われるということになってございます。
現在のところ、先ほどの二名を除きまして、五十二名の方が二十ミリシーベルトを超えているということで、順次正確な再測定を実施しているというふうに聞いてございます。
○田村智子君 五十二名が二十ミリシーベルト、内部被曝、恐らく超えているだろうと。これ、緊急作業だからと無理やりに上限が二百五十ミリシーベルトに引き上げられた。これさえも超えるという危険性がこの二人の方以外にもあるということなんです。
何でこんなに内部被曝量、判断遅れているのか。内部被曝量というのは、ホール・ボディー・カウンターで計測した数値を基にして、この人が何の放射性物質をいつ、どれくらい摂取したのか、これを推測して確定するんだということなんですね。
今回の二人についても、放医研の検査で、一人は暫定値が二百十ミリシーベルトから五百八十ミリシーベルト、もう一人は二百ミリシーベルトから五百七十ミリシーベルトと大変幅のある暫定値になっているんです。となれば、いつ吸ったか、どれだけ吸ったか、この評価の方法や評価のモデルをどう定めるかということで、内部被曝の判断、確定値が大きく変わってしまうということなんですね。低い値を取れば、上限二百五十ミリシーベルトをちょっと超えたぐらいだと、こういうことになります。高い数値を取れば、国際基準である五百ミリシーベルトをも超える、まさに大量被曝です。
私は、この判断を東電に任せて、いまだに判断がたった四十人なんですよ。そうやって東電にいつまでも任せていていいのかということをこれ厳しく指摘したいと思います。この間の安全管理の在り方やデータの出し方、どれを取っても信頼はもうできません。東電に被曝量の判断を委ねずに、放医研や放影研など外部からの監査、政府の監督、これやるべきではないのかと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(小宮山洋子君) 委員がおっしゃいますように、東電が今は第一義的にはやるということになっておりますけれども、東京電力でその内部被曝測定の結果、一定レベル、これは二十ミリシーベルトを超えるおそれのある場合については、その内部被曝が見込まれる労働者については、協力会社の社員を含めまして、日本原子力研究開発機構、JAEAなどの第三者機関に依頼をして精密測定と評価を実施しております。こうした第三者機関との連携を取りながら、しっかり評価がされるように厚生労働省としても指導をしていきたいと考えています。
さっきおっしゃいましたその推計値につきましても、いつ被曝をしたかが確定をしないと、その半減期の影響などで分からないと。ただ、そこがはっきりしない場合に三回測定をすると、逆算をしてほぼそれが出るというようにも聞いておりますので、その辺りのなるべく計算が早く出るようにということもしっかりと指導をしてまいりたいと思っております。
○田村智子君 とにかく、もう私は東電任せということは本当に駄目だと思います。これはこの間、厚生労働省が例えばこの二人の被曝についても六月三日に確定値出せと言ったって、出さないわけですよ。どんなに日付区切ったって、これやってこない。やってないんだったら、何が問題かということを厳しくこれ監督をしていただきたい。重ねて要望したいと思います。
それから、今回の大量被曝の事例を見ても、やはり水素爆発の起きた三月の被曝量、これがやっぱり多かったんだと、明らかだと思います。となれば、三月中に原発構内にいた作業員、これ総数では三千七百人に上るそうですけれども、その内部被曝の把握が急がれていると思います。既に原発構内にいない方もいらっしゃる。
厚生労働省は、データベースで緊急作業従事者を全てつかむというふうにしていますけれども、そのための手だてはどこまで取られて、実際にどれだけの労働者を把握したのか、お答えください。
○副大臣(小宮山洋子君) 御指摘いただきました点につきましては、五月三十日に東京電力に対して、今年三月中に緊急作業に従事した全ての労働者に対して至急内部被曝の測定を実施してその結果を協力会社に通知するよう指導をいたしました。内部被曝測定は六月十日までに、その結果を六月十三日までに事業者に通知をするよう指導をしております。そして、こうした指導によりまして、高い被曝が見込まれる三月末までに緊急作業に従事した労働者およそ三千七百名のうちおよそ八割に当たります三千人の測定が終了しています。また、全ての緊急作業従事者およそ七千八百人のうちおよそ四千百人の測定が終了しています。
また、厚生労働省といたしましては、緊急作業に従事した労働者について、職を離れた後も含め長期的に被曝線量を追跡できるデータベースを構築して長期的な健康管理を行うことにいたしまして、これは五月十七日に公表した政府の工程表にも盛り込みました。また、今月中にも放射線医学の専門家などに集まっていただきまして、被曝線量を長期的に管理して、健康管理を行うために必要なデータベースの構築の手法や、この情報を活用した長期的な健康管理の在り方についても検討を開始をしたいと考えております。
○田村智子君 私、ここまでやったけどもうつかめなかったということが絶対にないようにしないといけないというふうに思っているんですね。そのためには、私、東電にデータ出させる、これ必要なんですけれども、やっぱり相当な事業所が入っているわけですから、例えば元請の事業者からもしその作業員の名前がちゃんと東電に報告されていないようなことがあれば、厚生労働省として元請の事業所に対しても指導を行う、事業所を本当につかんでいって、東電にだけ物を言うんじゃなくて、これやっていく必要があると思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○副大臣(小宮山洋子君) 東京電力では、協力会社の社員も含めまして労働者の日々の外部被曝線量、これを記録しています。この記録に基づいて労働者の特定を行った上で内部被曝線量の測定を進めているということなんですね。また、協力会社では、東京電力から通知された測定結果と協力会社自体が把握している情報を突き合わせて、訂正の必要がある場合にはしっかりと訂正を申し出るということになっておりますので、こうした仕組みをしっかりとチェックをしていきたいと思っています。
○田村智子君 是非、健康管理、本当に今後長く続くことですから、しっかりと報告を取っていただきたいと思いますのと同時に、やっぱりこれで被曝して、原発で長年働いていた方がもう原発で働けなくなって仕事を失うという事態が今後考えられると思うんですね。是非そういう仕事を失うということがないように、これ政府としても対策を取っていただきたい、このことを要望いたしまして、質問を終わります。