【10.10.21】不妊治療に経済的支援を――厚生労働委員会
産科医院や助産院の危機的な現状
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
お産難民という言葉が使われるようになって何年もたちますが、産科の減少には歯止めが掛かっていません。産科医療の体制をどう立て直すのか、これは真剣に取り組まなければなりませんが、今日は現に地域のお産を支えている診療所や助産院についてお聞きをいたします。
まず、大きな病院でも産科休診という事態が各地で起きている下で、中小規模の産科医院や助産院の役割はますます重要になっているし、お産を扱えなくなるような負担を掛けるような、そういうことがあってはならないと思いますけれども、大臣の見解をお聞きいたします。
○大臣政務官(岡本充功君) 今委員御指摘の、地域において安心して子供を産み育てることができる環境を整えるということは大変重要でありまして、地域の診療所や助産所を含めた周産期医療体制を整えていくということが私たちの課題でもあります。
そういった意味で、地域におけるいわゆる診療所、助産所と同時に、いわゆる高度な医療を提供する周産期母子センターとの連携をどのように深めていくかということは大変重要でありまして、厚生労働省といたしまして、本年一月二十六日に都道府県に発出をいたしました周産期医療体制整備指針においてこういったところを指摘をしているところでございます。
○田村智子君 新たな負担を押し付けるようなことが行政の側からあってはならないということについて、ちょっと大臣から見解をお聞きいたしたいんですけれども。
○国務大臣(細川律夫君) 地域におきまして安心して子供を産み育てると、そういうことができるという体制が一番大事だというふうに思います。そのことに尽きると思います。
○田村智子君 この間、出産のための経済的な支援は前進をしました。出産育児一時金は昨年十月から四万円上乗せされて四十二万円に、あわせて、この一時金から出産費用が直接医療機関に支払われる制度が導入されて、入院時に大きなお金を用意する必要がなくなりました。これらは今年三月までの暫定措置ですから、四月以降どうするのか今検討されていることと思います。その際、妊産婦さんの実態、そして分娩施設の実態、この両方を踏まえた検討が必要だと私は思っています。
妊産婦さんの実態でいえば、最初の妊娠診断は妊婦健診助成の対象外で、これは一万円ぐらいお金が掛かります。その後も健診は費用負担ゼロではありません。また、出産費用の全国平均は四十七万円を超えていると厚生労働省も先日調査を発表されましたから、出産育児一時金の額は引上げが必要だと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○大臣政務官(岡本充功君) 委員御指摘のとおり、経済的な負担を出産に対して課すということは様々な意味で問題があるという御認識も理解できるところであります。その軽減を図っていくというのは大変重要なわけであります。
平成二十一年の十月に原則三十八万円だったいわゆる出産育児一時金について四十二万円に引き上げたというところではございまして、現在、社会保障審議会の医療保険部会で議論をしておりますこの金額の点については、今後、年末の予算編成の中で検討していきたいと思っています。
委員御指摘の、確かに平均値四十七万円余りという妊婦合計負担額でありますが、中央値で見ますと四十六万五千円というようなこともありまして、様々なサービスによって実際に出産に掛かる費用というのは変わってくるというのも実態であるというふうに認識をしております。
○田村智子君 岡本政務官、後で御答弁求めるところありますので、是非、次、大臣お願いします。
出産を扱う産院の実態からは、直接支払制度の運用に抜本的な見直しが急務になっています。今の直接支払制度では、医療機関への入金は退院後一か月、場合によってはそれ以上遅れる仕組みになっています。これは中小規模の施設にとっては収入が途絶えるのと同じですから、大変な事態が広がっています。
日本産婦人科医会が昨年二月に行ったアンケートでは、直接支払制度によって経営に影響が出ているという医療機関は全体の六九%、診療所に限ると八五%に上ります。しかも、この影響は経営が少し圧迫されたという程度ではないんです。産科中小施設研究会によりますと、直接支払制度が導入された昨年九月以降に分娩の中止や閉院をした医療機関は六十施設、その八割近くは診療所、つまりベッド数が十九ベッド未満の産院です。直接支払制度がこのまま継続するなら、来年四月以降はもう分娩をやめざるを得ないという産科医の方もおられます。
本来、出産を支援するはずの制度が逆にお産ができる場所を奪っていると。先ほど大臣は、中小の産院、これ支援していかなきゃいけないと、負担強いてはならないという認識示されました。現に経営の危機とも言えるこの事態を、大臣、どのように受け止めておられますか。
○国務大臣(細川律夫君) 委員御指摘の直接支払制度というものが医療機関などの資金繰りを困難にしているということで一定の影響があるということは認識しております。
そこで、これまでも直接支払制度への対応が困難な医療機関へのこの制度の適用の猶予とか、あるいは福祉医療機構によります医療機関への低利融資の実施、あるいはまた支払の回数を月一回であったものを二回にするというようなことで支払の早期化というようなことも措置をしてきたところでございます。
そこで、この直接支払制度というのは今年度末で一応時限措置とされておりますので、そこで今後の在り方につきましては、今医療保険部会で御議論をいただいておりまして、これを踏まえて年末の予算編成過程で検討していきたいというふうに考えているところでございます。
○田村智子君 今御説明あった融資制度や月二回払いという手だてを取っても、なお事態は解決されていません。
厚生労働省があっせんをした独立行政法人福祉医療機構による融資の平均額は、一件当たり二千五百万円にもなります。しかも、産院への入金はエンドレスに遅れ続けるのですから、分娩扱いをやめない限り借金返済のめどは立たないことになります。国の制度変更でなぜ私たちが多額の借金をして利息まで払わなければならないのか、お産の事故への不安や産科医不足の下での過労、それらに耐えながら頑張ってきた、しかし今回の直接払いで借金まで負わされる、もう続けられないと気持ちが折れてしまった、こういう声をどう受け止められますか。
こうした事態は直接支払制度が始まる前から懸念をされていて、我が党の議員も質問主意書で何度も問題点をただしてきました。その中でも、出産育児一時金は妊娠十二週間を過ぎた妊婦さんにはどんな事情があっても支払われるのだから、出産前に事前申請ができるようにして出産直後には分娩施設への入金を保証すべきだと、こう求めたところ、当時の鳩山内閣は、それを含めて検討をすると答えています。
妊娠中に一時金の手続ができれば、これは妊婦さんにとっても時間にゆとりを持って手続ができます。事前申請を認めることに不都合があるとは思えませんが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(岡本充功君) 委員御指摘の出産一時金の支払の問題、私も幾つかの医療機関に勤めておりましたけれども、小規模であるほどこの問題意識が強いというのは理解しています。比較的大規模な病院においては、先ほどの周産期母子センターのようなところでは、比較的評価をしてもらっているところもあるというふうに理解をしております。
そういう意味で、確かに小規模な診療所、病院、若しくは助産院等、そういうところにどのような支援をしていくかというのは今後の予算編成の過程でというのは大臣から答弁をさせていただきましたけれども、妊娠十二週で手続を取ったらどうかということについての御指摘、事務方が作った答弁書は加入保険者が変わったらどうするのかという話、これはもう多分聞いてみえると思います。
それ以外にも、私が考えるに、十二週で手続をしても残念ながらその直後に死産をされた場合などでは日数的に結論として間に合わないということになる可能性もあるわけでありまして、そういう意味では、満期での出産ということを想定すれば十二週で十分間に合うわけですけれども、例えば十三週目で残念ながら死産に至ってしまった場合には十二週で手続を取っても間に合わないということになりかねないということで、必ずしもすべての出産に今の十二週が適用すれば間に合うということでもないのじゃないかなというふうに個人的には考えています。
○田村智子君 十二週過ぎれば必ず支払われるんですから、これは必ずこの事前申請は認めていただきたいと思っているんです。
直接支払制度導入の前の受領委任制度では、出産一か月前からの事前申請を認めていて、このときには退院後一週間からどんなに遅くとも三週間程度で医療施設への入金が行われていたわけですね。だから、これ、できないはずはないと思います。重ねて改善を求めます。
それから、この直接支払制度は事務負担の重さも大変問題になっています。直接支払制度への変更で専門申請用紙というのが作られましたが、この記入や、また新たに始まった無過失補償制度の手続が医療機関の事務作業を大変煩雑にしていて、事務職員を新たに増やさなければ追い付かないと、これがまた中小規模の施設にとっては経営の圧迫につながってきています。私も専門申請書というのを見せていただきましたけれども、細かな項目ごとに費用を記入するもので、まるで保険請求の用紙のようにも見えました。日本産婦人科医会も専門請求用紙の廃止を求めているのですから、こうした当事者の意見を尊重した見直しが必要です。
出産事実の証明など、産科医や助産師が既に作っている文書での申請を認めるべきではないでしょうか。
○大臣政務官(岡本充功君) 委員御指摘のいわゆる申請用紙、私もここ、今手元にあります。見させてもらいました。
出産育児一時金等代理申請・受取請求書、恐らくこれをもって請求するんだろうと思います。同じ保険者に対して三名連記をして出すような形になっていまして、その中には、多分委員が御指摘なのは、検査・薬剤料とか処置・手当料とか、こういったものを抜き出して書かなきゃいけないと。これはなかなか煩雑だという声が上がっているということも承知をしています。
そういった意味で、どのような申請をするのかということを考えていく必要があるわけですが、出産費用の透明化を図って、その観点が必要だということは御理解いただけると思うんですが、過度の事務負担を避けながら最低限の内訳項目をどうするのかというのは、産科関係団体からの御意見を伺いながら設定したとこれまではなっておるわけでありますが、委員の御指摘もあります。事務負担の簡素化、それから平成二十三年度以降の制度の在り方も含めて、社会保障審議会の医療保険部会において今御議論をいただいておりますので、これも年末の予算編成に向けて検討していくというふうにさせていただきたいと思っています。
○田村智子君 今御説明あったんですけれども、私、納得がいかないのは、そもそも出産育児一時金というのは妊産婦さん本人を対象に支払われるという制度ですし、保険適用でもない正常分娩に保険請求のような細目を記入させる、これは筋が通らないと思うんですね。その出産費用が妥当なものかどうか、それは妊産婦さんが支払うときに判断をして、受け取った一時金の中から幾ら払うかは医療機関と御本人の中の話だと思うんです。だから、こういう筋を通せばやっぱり早急に改善が必要だと思いますので、是非当事者の方の意見を踏まえた見直しを行っていただきたいと思います。
もう一つただしておきたいのは、一度医療機関に直接支払われた出産育児一時金が保険機関の都合で返金させられるという事例が起きていることです。
これは、妊婦さんが出産前に会社を辞めるなどして加入している医療保険が変わった場合に起きている事態なんですけれども、例えば今年の春、これは奈良市の事例なんですけれども、奈良市では条例で、出産をした方が退職後六か月以内であって、退職前に加入していた医療保険から出産育児一時金を受け取ることができると、こういう場合には国保からの支給はしないと定めています。医療機関の方では、御本人は国民健康保険を持って入院されてきた、だから国民健康保険に基づいて出産育児一時金の申請をしたと。ところが、これを理由にして奈良市の側は、いったん入金した一時金を一か月後に返金をさせるという事態が起きました。
実は、これも制度始まるころから心配の声が上がっていまして、医療機関に責任を求めるべきではないという政府の見解が既に示されていたはずです。同じような事態が各地で起きているという、そういう意見も出されていますので何か対応が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(岡本充功君) 委員がおっしゃられる今医療機関の責によらない、いわゆる当該医療機関の責によらない出産一時金の支払者の変更等、先ほど言われました保険者の変更が想像できるわけですから、そういった事態は当然想定をされます。
委員御指摘のケースのほかにも、医療機関の責によるものと言うべきものとしては、例えば健康保険証を確認していなかったというような場合には、これはいわゆる当該医療機関において一定程度の責任があるということになるのかなというふうには思っておりますが、先ほどの責任がないと言われるような事態については、当然のこととして、こういったお金が他の例えばものの出産一時金と相殺されるというようなことがないようにというふうには考えています。
御指摘のような事例を把握した場合には、関係保険者等に事実関係を確認して、そして必要に応じて厚生労働省として是正を求めていくことにしておりますので、そういった事例が具体的にあればまた教えていただきたいと思っています。
○田村智子君 是非モグラたたきにならないように、こういうことなんだという通知なりなんなりを厚生労働省から出していただきたいということも要求をしておきます。
私、今日、中小のお産施設取り上げたのは、やっぱり産院や助産院というのは日本中の出産の半数近くを担っているんですね。しかも、お産の喜びが育児の喜びにつながるようにと本当にきめ細かく女性たちをサポートしています。ですから、出産後も母乳や育児の相談にもこたえていると。こういう方々が行政の側の都合で泣く泣くお産の扱いをやめるような事態、これは本当に許すわけにいかないんですね。
是非支援を強く要望して、次に不妊治療についての質問に移ります。
不妊治療全体の保険適用、きめ細やかな支援を
(前段よりの続き) 子供を持ちたいと願って不妊治療を行っているカップルは約四十七万人、七組に一組と推計されています。私も当事者の方や不妊治療を支援するNPO法人の方からお話を伺いましたが、まず経済的な支援は本当に必要だと感じました。不妊治療は卵管閉塞などの体の機能の治療、排卵周期の乱れを調整する薬剤療法から、人工授精、体外受精などのステップを踏んで行われていきます。薬剤療法などは保険適用ですが、ステップアップして人工授精の段階からは保険が適用されず、高額な負担となっています。
二〇〇八年、体外受精によって生まれた子供の数は二万二千人近く、約五十人に一人になります。それだけ言わば普及しているのですから、不妊治療全体の保険適用ということを検討する時期を迎えているのではないでしょうか。
○大臣政務官(岡本充功君) 保険適用を求める声というのは私も聞いております。保険適用をするに当たっては、治療と疾病の関係が明らかで、治療の有効性、安全性等が確立しているというのが一つの原則になっているところでありまして、そういう意味では、今お話しになられました様々な理由で不妊になられている皆様方にとって、例えば薬剤を使ってみたり腹腔鏡を使った検査をしたりというような原因を突き求めるその取組には保険が適用されているところでありますが、御指摘の人工授精や体外受精、また顕微授精については保険適用ということになっておりません。
しかしながら、先ほどお話をさせていただきましたように、支援を求める声も強いものでございますから、委員も御了承のとおり、これまで二回だったいわゆる支援について一年度当たり三回までの助成をしたいと、その拡充をしていきたいというふうに今考えているところでございまして、そういった取組も含め御評価をいただきたいと思っております。
○田村智子君 人工授精にステップアップするのは、その前に医療的な行為も受けているわけですから、つなげていくと考えれば保険適用は是非前向きに引き続き検討していただきたいと思っています。
今御説明ありましたように、保険適用ではないけれども助成制度で経済的な負担を軽くするということで二〇〇四年から特定不妊治療助成が行われ、これは当事者の方々からも歓迎をされています。しかし、この助成の対象は体外受精、顕微授精などに限られていて、これでは保険からもまた助成制度からも除かれてしまうという、こういう治療が広く存在することになるんですね。地方自治体では既に石川県とか愛知県、和歌山、山口、大分などで独自の助成制度もつくられ、市町村レベルでも助成制度は広がっています。是非、国としても経済的支援から漏れている人工授精などについて何らかの助成対象とすることを検討していただきたいと思いますけれども、これ、小宮山副大臣、どうでしょうか。
○副大臣(小宮山洋子君) おっしゃいますように、本当に自分が欲しいと思って産めないという不妊治療については助成が必要だというふうに考えております。そして、不妊治療の中でも治療費が特に高額となります体外受精や顕微授精を対象に、今おっしゃった特定不妊治療費助成事業を実施してまいりました。
御質問の人工授精につきましては、一回当たりの平均的な治療費が比較的低額という、人工授精は一・九万円ぐらい、そして体外受精が二十九・九万円、顕微授精が三十六・四万円というようなことから、ただいまのところは助成の対象になっていないということなんですね。
今後とも経済的負担の状況をいろいろ把握をしながら検討をしてまいりたいというふうに思っております。
○田村智子君 一回当たり二万円、それ以上が安いと言えるかどうかというのは、これはもう検討の課題だと思います。
今、助成制度がある現行の特定不妊治療助成制度についてもこれは改善が必要だと思います。現在は一回十五万円を年二回以内、最大五年間まで助成すると。先ほど御説明あったように、概算要求では年三回にという案が出されていて、制度拡充が必要だという認識だと、そういう対応だと思います。
当事者の要望も踏まえた検討を是非していただきたいのは、一つは一回当たりの助成額の引上げなんです。体外受精には、一回というのか一周期というのでしょうか、三十万円から五十万円は掛かると言われています。助成額を実態に即して引き上げるということ、これが必要ではないかと思います。
もう一つは、助成を受ける回数について条件緩和ができないかということです。実は、体外受精を五年間掛けてというのは余り現実的でないという指摘があるんですね。五年も続けたら身も心も家族関係もぼろぼろになってしまうと、そういう声を聞きました。そういう当事者の方に少し突っ込んで私もそのお気持ちをお聞きしましたら、ある方は、もう受精卵ができればそれは自分にとっては赤ちゃんと同じなんだと、妊娠、出産までたどり着かない喪失感は流産を繰り返すようなその気持ちと同じだと思うと。体外受精を始めれば、生活のすべてが、妊娠するかどうかと、このことばかりになって、夫婦の人間関係や精神的な負担も想像以上のものだった、そういうふうに話してくださいました。
体外受精や顕微授精というのは、本当にお一人お一人の体や家庭の状態で、どう進めていくのかということは一律ではできないことです。お一人ごとの助成回数が、お一人についての上限というのは必要かもしれません。でも、その回数を何年掛けて行うか、これは医師とよく相談をして決めることができるなど柔軟に使えるような制度にしてほしいと、この要望には是非こたえる方向で検討を進めていただきたいんですが、いかがでしょうか。
○副大臣(小宮山洋子君) おっしゃいましたように、ただいまの助成事業は年二回、通算五年までという制限を設けております。この不妊治療は、御承知のように患者の身体的負担を伴うものでありますので、年間の助成回数に一定の制限を設けることはやむを得ないのかとは考えております。
ただいま、関係学会の報告の中では患者一人当たりの一年間の治療回数の平均が約一・五回であるために二回としているわけですけれども、今、治療技術の進歩を踏まえまして、来年度からは年間助成回数を三回にするということを検討しているところでございます。
元気な日本復活特別枠の要望の中で、一回当たり十五万円、年三回まで、通算五年、通算十回を超えないというようなことですとか、所得制限の七百三十万円という、これの緩和などを今検討しているところでございます。
○田村智子君 年三回になれば少し要求にこたえられるのかなとは思うんですが、是非当事者の方の声を丁寧にお聞きいただきたいと思います。
最後に、もう一つ改善を求めたいのは、この特定不妊治療助成の申請用紙を指定医療機関に置くことができないかということなんです。
現行の制度では、都道府県それから政令市の窓口で申請書を受け取ることになっていますが、これが物理的、精神的に負担だという意見が寄せられているんです。不妊治療をほかの人には知られたくない、役所の窓口で特定不妊治療の申請用紙を下さいと言うのが苦痛だと、こういう気持ちはよく分かります。また、指定医療機関で申請用紙を受け取って役所に郵送で申請できると、こうなれば当事者の方の負担は大きく取り除かれると思うんです。これは予算を掛けることなくできることで、しかもこの小さな改善が当事者の方にとっては精神的には大きな支援になると思うんです。いかがでしょうか、是非検討してください。
○副大臣(小宮山洋子君) おっしゃっていること、よく分かります。
現在も、実施主体である都道府県等の実情に応じて医療機関の窓口やインターネットなどで配付しているところもあるというふうに承知しております。今後、実施主体であります都道府県等に対しまして、申請者の負担に配慮をして申請書の配付方法を工夫するように厚生労働省としても働きかけをしていきたいというふうに思います。
○委員長(津田弥太郎君) 時間になっております。
○田村智子君 はい。じゃ、最後に一言です。
不妊治療を受けているカップルは七組に一組だと最初に紹介しましたけれども、しかしその要求は顕在化していない、それだけデリケートなことなんだと思います。そうであるだけに、是非当事者の気持ちに寄り添った支援策を求めて、質問を終わります。
ありがとうございました。