日本共産党 田村智子
コラム

【14.08.21】辺野古の美ら海に米軍基地はいらない

「勝つ方法は あきらめないこと」

 
8月31日から沖縄いっせい地方選挙が始まります。私たち党国会議員団も応援の演説会へ次々と沖縄入り。
私も、西原町の伊計ひろ子さんの演説会に駆けつけました。法政大学で学び、東京の中野協立病院に勤務していたとお聞きして、どこかでお会いしたような…の謎が解けました。(記憶力に問題ありですね、すみません、伊計さん)。
東京でともに活動した仲間がたくさんいるはず。みんなで応援しなければ。

西原町での演説会は夜7時からでしたが、私が自宅を出発したのは朝5時半。
まず名護市辺野古に駆けつけようと決めていました。8月14日の夜、突然、工事資材が運び込まれ、ボーリング調査のため立ち入り禁止のブイが設置され、抗議行動を締め出すために海上保安庁まで動員。連日、厳しい暑さの中、工事に反対する座り込み、海上行動が続いています。

那覇空港で乗り込んだタクシーに、辺野古の基地建設反対の座り込みに参加したい、そこで待機してほしいのですが、と相談。
車で走ること1時間40分。何しろこういう乗客ですから、途中、ここが米軍住宅、ここは返還された場所、上陸作戦をする海岸など、運転手さんは米軍基地のガイドもしてくれました。
「お客さんとはできるだけ口論にならないように気を付けているんですが、どうしても許せないのは、沖縄は米軍基地があるから経済が成り立っていると言われる時なんです」
「ホテルの経営者が、基地はホテルと関連施設の敷地の10倍以上、しかし雇用は10分の1だと、反論しているんですよ。基地で働ける人はごく一握りでしかありません」

 
11時45分、辺野古の米軍基地キャンプ・シュワブのゲート前に到着。歩道にブルーシートでつくられた日よけが延々と伸びています。地上での抗議行動、座り込みの皆さんです。
「日本共産党の参議院議員、田村智子です。激励にきました」――声をかけるとすぐにハンドマイクで紹介していただきました。

激励のあいさつ。この間の新聞報道で感じていた怒りが、沖縄の強い日差しの中で沸騰していきました。
「米軍基地になれば、県民は辺野古の海から締め出され、立ち入ることも許されなくなる。だから今、基地建設に反対するために陸からも海からも抗議行動をしているのに、それすら認めず、海上保安庁までつかって県民を締め出そうとする、どうしてこんなことが許されるのでしょう」
「安倍総理は夏休みのさなかで、自分はゴルフをしたり別荘で過ごしたり。県民のみなさんの声を聞こうともしない。これでどこが、地元への丁寧な説明、理解を得ることになるのか」「沖縄県内での基地のたらいまわしは許さない。沖縄に連帯してがんばります。」
「今日は、中学生の娘も一緒に参加しています。娘も東京で友達に沖縄のことを知らせてくれると思います」

みなさんから娘にもあたたかな拍手をいただきました。
私一人で行くのはあまりにもったいない、夏休みの学習としてぜひ沖縄の実情を娘に見てほしいと思ってのこと。朝早くてタクシーでは寝ていた娘も、みなさんからの拍手にシャキンとしたようです。

座り込み、隣の女性に話しかけると、県内から一日おきに参加しているとのこと。目の前の若い女性たちは、新潟から7人で来たという学生さん。
みんな手弁当です。居ても立っても居られないという思いで、辺野古に駆けつけているのです。

正午過ぎ、海に移動する方はこちらへと案内がありました。歩道でプラカードをかかげ、「基地はいらない」「辺野古をまもれ」などコールしながらゆっくりと歩き始めました。
空には黒い雲、スコールのような雨が降り始めました。プラスチックの小さなプラカードで雨を防ぎながら歩いていると、道沿いに、私が乗ってきたタクシーが。
運転手さんが車を降りる姿が見えます。トランクをあけ中から傘を取り出し、私に手渡してくれました。それも次々と10本近く。
「返さなくていいからね」、運転手さんから私に、私から参加者に、傘が手渡されていきます。

「個人タクシーの運転手さんから傘の差し入れがありました。ありがとうございます。応援にこたえましょう」とハンドマイクの青年。拍手が起こりました。
ああ、これがオール沖縄なんだ。

歩き始めて15分、海へとそそぐ川の流れ、その先に辺野古の海。とたんに娘が息を飲む様子が伝わります。この透明感、岸からのグラデーション、遠くなるほど青くなる、穏やかで静かな海。
「ここを埋め立てるための準備をしているんだよ」「嘘でしょ」
「ジュゴンもくる海だよ」「ジュゴン!ほんとにいるの? ダメでしょ、基地にしちゃ」
ここに来れば誰もが思うはずです。こんな美ら海をどうして埋め立てることができるのか。

岸に到着。抗議と監視を海上から行っているカヌー隊が見えます。
ちょうど一艘のカヌーに海上保安庁のボートが接近しています。岸から抗議の声をあげる私たち。
私も我慢ならず声をあげました。
「海上保安庁は国民の安全を守るのが本当の仕事ではないですか。こんなことするのは、あなたたちの役割ではない」
岸からの監視、抗議を受けて、とたんに海保のボートは沖に停泊している船へと引き返していきました。
「カヌー隊がんばれ〜!」みんなで一斉に声をあげると、カヌー隊はオールを空にむかってまっすぐにかかげエールに応えました。

この海はみんなのもの。ブイを設置した工事予定地にも入っていないカヌー隊をなぜ妨害するのか。法的な根拠は何もありません。
10年前も事前調査のためボーリング調査を行おうとした、その際、海上での抗議行動を取り締まるよう求められた海保は、激しい衝突で傷害事故が起きかねないと拒否。工事も断念せざるをえませんでした。
今回は夜陰に紛れて資材を運び込み、市民を排除し、最初から海保が出動して法的根拠もないままに抗議行動を取り締まる、なんと強引で卑怯なやり方か。

海辺のテント村、辺野古の海を守るたたかいを見守り続けたテント。
熱帯魚のイラストとともに黒々と書かれた文字がありました。
「勝つ方法は あきらめないこと」

私が辺野古を訪ねた翌日には、県内各地からバスで県民のみなさんが辺野古に集まりました。3600人、バスに乗り切れず参加できなかった方も多数いるとのこと。
問答無用の基地建設に突き進んでも、あきらめない、屈しないという決意は一層強く大きくなっていく。暴走するほどに、追い詰められるのは、安倍総理、あなたです。