日本共産党 田村智子
コラム

【13.07.20】日本共産党の議席の力ーTPPの巻

社会保障がどうなるかをとことん追及

この選挙で演説時間の関係でほとんど話すことができなかったのが、TPP交渉参加の問題。
農業と関連の産業、食料自給が壊滅的な影響を受けることを紙智子議員が参議院の予算委員会、農水委員会で繰り返し追及してきたことは、他党も一目置く事実。

社会保障がどういう影響を受けるのか、参議院の厚生労働委員会で時間をかけて質問したのは、日本共産党だけだった、これが私が目にしてきた事実です。
予算委員会でとりあげる他党の議員はいましたが、「国民皆保険を崩すことにならないか」「ならない」、こんな単純な質問ばかりと記憶しています。

民主党政権のもとでの私の質問は、薬価の問題。2011年10月27日の厚生労働委員会です。
米豪FTA(自由貿易協定)が結ばれ、オーストラリアは一部の新薬の卸売価格が急騰しました。
アメリカの製薬企業が特許を持つ新薬の価格を下げるのは知的財産権の侵害だという、アメリカ側の主張によって、政府が補助金を出して薬価を抑える制度が、一部の新薬では適用除外されたのです。

TPP交渉にあたってのアメリカ側の方針には、医薬品へのアクセス強化、という文書までありました(日本農業新聞 2011年10月26日の一面で報道され、明らかになりました)。
アメリカは、薬品だけでなく、医療機器にも企業の特許権を認めています。
新薬や医療機器の開発には費用も時間もかかる、これを正当に評価することは大切です。しかし、医療の進歩は人類が広く享受してこそ、その意義があり、次の進歩への糧ともなるはず。
自国の企業の利益のために、他国の医療制度に変更を求めるなどあってはならないことです。

オーストラリアで起きていることを具体的に示して、同じことが日本の薬価決定のシステムでも起きるのではないかと迫ると…。
この質問に、当時の小宮山洋子厚労大臣は、そのようなことにはならないと、根拠も示さず繰り返すだけ。

質問後、日本農業新聞の記者と話す機会がありました。
10月26日付けの日本農業新聞は、TPP交渉参加反対の日比谷野音集会で配られ、全国会議員の部屋にも配布したもの。
当然、自民党など「反対」を主張する政党が取り上げることを期待したのに、取り上げてくれたのは共産党だけ。本当に共産党の質問に励まされていると、真剣な表情で話してくれました。

安部内閣のもとでも、厚生労働委員会で公的保険制度とTPP問題について質問をしました。
2013年3月21日、まずは、田村憲久大臣が日比谷野音集会で、TPP交渉参加絶対反対のハチマキを巻いて参加していたことを指摘するジャブを放ちました。
苦笑いする大臣、答弁では「民主党政権には外交ができないから、民主党政権のもとでの交渉に反対した」と開き直る始末。

前述の薬価の問題も、もう一度突きつけましたが、小宮山前大臣の質問と同じことが繰り返されただけでした。
加えてとりあげたのは、日本の金融審議会で新たな保険商品にGOサインが出されたこと。
保険会社があらかじめ病院や介護施設と契約し、保険金も契約者ではなく、病院や施設に直接支払うという保険商品です。

アメリカの映画が思い出されます。
自分が入っている保険によって、入院できる病院や受けられる治療が決まる。
保険会社には査定員がいて、医師の治療に口出しをして、その治療には保険金を支払えないというバトルを繰り広げる。

入っている保険によって受けられる治療が異なる、お金のあるなしで入院先も治療も異なる、これを日本でも始めてよいというのです。
民間保険が広くカバーした治療が、時を経て公的保険の対象になったとしたら、企業は民業圧迫を主張する可能性も大です。

私は相当の危機感をもって質問する、ところが大臣はまことに能天気に答弁する。
それでも私が食い下がると、「懸念があれば留保すればよい」という答弁。
TPP交渉で留保など聞いたことがありません。何という無責任な答弁か。

TPPみんなで渡れば怖くない、民主、自民、公明、みんなの党、の議員が圧倒的に多数の委員会。
真剣にTPP問題を考えているのだろうかと、疑念さえわいてきました。
いよいよ日本も交渉に参加、決定的に不利で、これまでの交渉内容は丸呑みするしかない状況。
今後の国会で大問題になるのは必至。その時、日本共産党の議席が増えて私たちの質問時間が増えているかどうか。
どうか質問の力をもっと得ることができるようにと、願わずにいられません。