日本共産党 田村智子
コラム

【13.04.25】ヒューマントラスト社の「偽装日々紹介」を告発

全面広告に登場した丸川政務官の責任は…

人材派遣会社・ヒューマントラスト社の全面広告(2月25日)に丸川珠代・厚生労働政務官が登場。
監督官庁の政務官が、一派遣会社の広告に出ること自体が大きな問題です。
そこで野党が一致して要求し、厚生労働委員会でこの問題を前提とした雇用についての集中質疑が行われました。

私の質問では、まず「ことの重大性を丸川さんに自覚してもらう」ことを目的にしました。
これまで、民主党議員が質問でとりあげても、反省しているとは思えないような答弁や態度が続いていたからです。

まずは「給与即日払い」を銘打つ「キュリカ」について。
CYURICA(キュリカ)は、日雇い派遣の労働者が就業後に「勤怠報告」をすると、ATMで「給与の一部を即払いする」という、ヒュ社が「売り」にしている制度。
このATMとは、消費者金融のアコムのATMのこと。(これも驚きです!)

インターネットで、ヒュ社の口コミ評価をみると、何人かが「給与から手数料が引かれる」と書いていました。
え、手数料? これは聞き捨てなりません。

第1の矢――
田村「一般論で聞く。労使協定がないもとで、給与から手数料などの名目で控除することは違法ではないか?」
労働基準局長「労働基準法では、賃金について全額を支払うことを使用者に義務付けており、控除を行う場合には、労使の書面による協定を結んでいいただく必要がある」

実は、キュリカは「給与相当額の一部を貸し付ける」制度です。貸付の手数料として1回ごとに310円かかり、これが給料計算で引かれてしまうのです。
(現在、手数料は210円という指摘をメールでいただきました。)
ところが問題となっている全面広告でも、ヒュ社のHPでも「給与即日払い」と銘打たれています。

第2の矢――
田村「労働者は、HPでキュリカの情報などをみて派遣登録する。これは虚偽の求人広告ではないか。適切なのか」
労働安定局長「一般論で、労働者の募集の際には基本的には労働条件をきっちり明示していただくことが基本」

次は、ヒュ社が、日雇い派遣原則禁止を受けて始めた日々紹介事業「まとめんCA」(まとめんか)について。
日々紹介事業とは、派遣ではなく、「労働者を日雇いで使いませんか」と企業に紹介する事業です。

自社の日々直接雇用は業務量およびコストが発生する。
「まとめんCA」は、求人募集、応募者管理、面接手配、労働条件通知書の作成、シフト調整、勤怠管理、給与明細の作成、振込みデータ作成、日払い対応、社会・労働保険手続き、年末調整などの労務管理をすべてヒュ社が請け負う。
――これがヒュ社HPにある「まとめんCA」の説明です。

第3の矢――
田村「労働条件通知書は法令に従うと誰が作成することになるか」
労働基準局長「労働基準法では、使用者に対して、労働契約の締結時に、労働者に対して賃金、労働時間、その他の労働条件を書面で明示することを義務付けている」
田村「ヒューマントラスト社は、労働条件通知書の作成をやらなくていいと、事業主に法令違反まですすめている」

田村流「3本の矢」でヒュ社の実態を暴いたうえで、いよいよ丸川政務官への質問です。
田村「丸川政務官、ヒューマントラスト社のこのようなやり方は調査や是正指導の対象。調査すべではないか」
丸川政務官「問題があれば厳正に対処するべきだと思います」(以上終わり。一言一句、答弁そのまま書きました。)

この答弁をはっきりくっきり堂々とするんですね。丸川さんは。
開いた口が塞がらない、という経験をしました。
違法企業の広告に登場し、企業宣伝の片棒を担いだことは完全に棚上げする。
これはある意味、この人の特殊な能力なのか?

しかし、ヒュ社が違法企業であることはもう明らか。
こんな開き直りをいつまでも許しておくわけにはいきません。

この日の質問、日雇い派遣の実態をとりあげる時間がありませんでした。
次の機会は、丸川氏だけでなく田村厚生労働大臣とも、「日雇い派遣」について真っ向から論戦をと燃えています。