国会会議録

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特別支援教育拡充を 田村氏 高校の体制充実求める

 日本共産党の田村智子議員は19日の参院文教科学委員会で、高校での特別支援教育の体制整備充実を求めました。

 今年3月の中学の特別支援学級卒業者は1万7342人で、うち高校などへの進学者は5320人、特別支援学校中等部卒業者9648人のうち高校などへの進学は249人となっています。田村氏は「(合わせて)2割程度が高校へ進学しており、10年前の倍以上となっている」と指摘し、高校における特別支援教育の必要性についての認識をただしました。

 下村博文文科相は「特別支援教育は共生社会の基礎であり、高等学校における特別支援教育は必要不可欠。さらに推進に努める」と答えました。

 小松親次郎初等中等教育局長は、入学者選抜のある高校においては特別支援教育の必要性の認識が低かったと発言。田村氏は「選抜のある高校で特別支援教育を位置づけたことは非常に重要。現場では経験がないということも含めてさまざまな困難を抱えている。体制整備が遅れている要因の調査も必要だ」と指摘しました。

 さらに田村氏は「小中の特別支援学級では子ども8人に1人の教職員が配置されているのに対し、高校では特別支援学級も通級学級も制度がない実態をあげ、必要な教員配置増などを制度化するよう求めました。

 下村氏は、制度化に取り組む姿勢を示しました。

 (しんぶん赤旗、2015年5月20日(水))

【 議事録 】

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。

 高校における特別支援教育についてお聞きします。

 まず、中学校の特別支援学級、また特別支援学校の中等部の卒業生の数、そのうち、高等学校への進学者が何人か、直近の数字で示してください。局長、お願いします。

○政府参考人(小松親次郎君) お尋ねの件、中学校特別支援学級の、直近、平成二十六年三月で申し上げます、卒業者数が一万七千三百四十二人、このうち、卒業者数の数でよろしゅうございますでしょうか。

○田村智子君 はい。卒業と進学です。高校に進学した者です。

○政府参考人(小松親次郎君) 進学者。失礼しました。

 そのうち、特別支援学校の高等部を除きまして、高等学校等へ進学された方が五千三百二十人でございます。それから、特別支援学校の中学部につきましては、卒業者の方が九千六百四十八人、このうち、特別支援学校高等部を除きまして、高等学校等への進学者数が二百五十二人となっております。

○田村智子君 これは特別支援学級に通っていた中三生の三分の一近くが高校に進学をしている。特別支援学校の中等部からの進学者も含めますと、約二割の方が高校への進学をしていることになります。これは十年前の倍以上の数字で、しかしここには通級学校を利用していた生徒や、発達障害などがあるけれども普通学級に通っていると、こういう生徒の数は含まれていないわけです。文科省などの調査を見ても、発達障害のある生徒は高校在籍者の二%程度だろうと、こういう調査の報告もされているところです。

 大臣にお聞きしたいんですが、高校における特別支援教育の必要性、その認識をお伺いいたします。

○国務大臣(下村博文君) 平成十九年に施行されました学校教育法の一部改正によりまして、特別支援教育が制度化され、高等学校におきましても、障害のある生徒に対し、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うことが明記されたところであります。

 特別支援教育は、障害のある全ての子供たちの自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高めるため、適切な指導及び必要な支援を行うものであります。

 さらに、特別支援教育は、様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるものでありまして、我が国の社会にとって重要な意味を持っているというふうに感じております。

 これらの理念に照らせば、高等学校段階におきましても特別支援教育の推進はこれは必要不可欠でありまして、文科省としても一層の推進に努めてまいる決意であります。

○田村智子君 学校教育法の改正で、二〇〇七年度から今おっしゃられた特別支援教育が導入をされて、高校でも施行されたと。しかし、資料でもお配りしましたが、その支援体制の整備というのはなかなか進んでいないのが実態です。

 高校での整備の遅れというのは、これ見ても、学校種別ごとで整備状況という文科省がまとめた資料ですけれども、一目瞭然で、例えば、個別の指導計画というところを見ますと、該当者が在籍する学校のうち六五・九%でしか作成の体制はありません。巡回相談、取り組んでいるのは四割強と。文部科学白書でも、課題が大きいと指摘をされています。

 局長にお聞きします。整備がなかなか進まない理由をどのように分析されていますか。

○政府参考人(小松親次郎君) 大臣からも今お話ございましたように、高校におきましては、特別支援教育は、平成十九年に施行された学校教育法の一部改正で初めて明記されたという状況にございます。

 高等学校では、この法改正以前にも、主として生徒指導、教育相談等の観点から、発達障害のある生徒さんも含めて、課題のある生徒さんへの指導、支援は行われてきたということはございますけれども、他方で、率直に申しまして、通常の高校では入学者選抜がございます。ここは義務教育と違うところでございまして、そうした適格者主義での高等学校では、義務教育段階である小中学校ほどには障害のある生徒さんへの対応の必要性が認識においては高くなかったという面もあろうかと考えております。

 そういう意味では、国といたしましても、高等学校における特別支援教育を推進するために、この法改正以降、特別支援教育支援員の配置のための措置あるいは関係事業等を実施しております中で、特別支援教育コーディネーターの指名等の基礎的な体制整備は、前に比べますと進んできておりますけれども、一層の体制整備が必要な状況になっているというふうに見ております。

○田村智子君 お答えのとおりだと思うんですね。

 選抜で入学していると。そうすると、授業に付いてこられるかどうか、学校生活になじめるかどうかと、事実上これがやはり生徒の自己責任にされてきたという側面があるんじゃないかと私も思うわけです。しかし、そういう選抜で入学する高校においても特別支援教育を位置付けた。これは非常に重要だというふうに思うんですね。

 現場には、恐らく経験がないということも含めての困難があるかと思います。ですから、都道府県教育委員会の認識がどうなのか、取組がどうなのかなども含めて、整備が遅れていることの要因も含めた調査、整備の状況だけでなく、その要因も含めて調査をし、対応していくことが必要だということを求めておきたいというふうに思います。

 特別支援教育というのは、やはり個々の障害特性に配慮した個別支援ということが肝になるわけで、そのためには、何といっても人員配置を手厚くするということが求められます。特別支援学校や小中の特別支援学級、子供八人に一人の教職員の配置が行われていますし、通級学級も必要な教員が配置をされます。また、小中学校では支援員というのも当然配置されています。

 それでは、高校では教員の加配などの施策が講じられているのかどうか。また、支援員については交付税措置されていますけれども、小中高でそれぞれ配置の実態はどうなっているか。これも局長、お願いいたします。

○政府参考人(小松親次郎君) 教員の加配措置につきましては、各地方公共団体からのヒアリング等を通じまして、実態を把握しながら地方交付税措置等で措置をしているというところがございます。

 それから、特別支援教育の支援員でございますけれども、こちらにつきましては、実績で申し上げますけれども、高等学校では四百八十二人というのが状況でございます。

○田村智子君 これは、小中で支援員の配置というのは四万三千六百人ほどだと聞いていますから、高校で交付税措置されていても支援員の配置というのが非常に遅れているということも明らかなんです。高校というのは、通級制度もありません、特別支援教育の教育課程というのも作成されていない、国として教員加配の制度もないというのが実態で、やっぱりこうした見直しというのが求められていくと思います。

 もちろん、文科省も努力をしていて、この間、モデル校を、二年間取り組む学校を広げているということもお聞きしています。

 かつてモデル校を経験した千葉県立船橋法典高校、この取組見てみますと、一年生すべからく一クラス二十五人という教員配置を行っています。特別支援学校を経験した教員も配置をすると。そして、例えば、ノートを取るのが困難、先生の話を聞きながらノートを取るということがなかなか発達障害などを持っている子は困難な場合があるわけで、そうすると、みんなで工夫して、話を聞く時間と授業の終わりにしっかりノートを取る時間、こういう授業をやろうじゃないか。それから、何が大切かということを記述しながら分かるようなワークシートを作ったりとか、様々な工夫を行っているんです。そうすることで、障害のある子が落ちこぼれていかない、やめていくようなことがないということだけでなくて、ほかの生徒にとっても非常に教育効果があるということもまた実証されているということなんですね。

 やはり、こうした成果、この高校ではモデル事業を二年間終わった後も続けているということなので大変努力をされていると思いますが、やはり研究期間だけとか研究校だけということでなく取り組んでいくことが必要だというふうに思うんですね。

 とりわけ、やはり特別な教育課程、高校でもこれを認めていくこと、それからそれに伴う教員加配、これも国の制度としても検討していくことが必要だと思いますが、大臣の見解をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(下村博文君) 高等学校における特別支援教育の取組のうち、教育課程につきましては、入学者選抜があることや教育課程の弾力的な運用が可能であることなどから、小中学校のように特別の教育課程の編成ではなく、選択科目や学校設定教科・科目などを活用し、現行の教育課程の基準の中で工夫して取り組んでいるところであります。

 他方、平成二十四年七月の中教審初等中等教育分科会の報告におきましては、高等学校においても特別な支援を必要とする生徒のための特別の教育課程の編成について検討する必要があるとの提言も出されております。

 文科省としては、これを受けまして、昨年度から三か年の予定で、通級による指導を視野に入れた特別の教育課程の編成に関する研究事業を実施しており、今後、この事業の成果を踏まえつつ、その制度化について検討するとともに、あわせて、制度化に伴い必要となる教職員の指導体制の在り方についても検討してまいりたいと考えております。

 私も、国会日程が許されれば、できるだけ早く高校における特別支援教育を行っているところを視察に行って、現場もできたら複数把握をしてまいりたいと思います。

○田村智子君 モデル事業が本当に高校全体に広がっていくようにお願いしたいと思います。

 特別教育支援コーディネーターについてお聞きします。

 小中学校に比べて配置が遅れているとはいえ、これは今八割の高校で指名されていて、公立高校で見るとほぼ全校で指名されています。しかし、養護教諭などの充て職的な指名も多いと聞いています。

 特別な支援が必要な生徒が高校生活を送る上で、指導計画を作ったり、学校の教職員の理解と連携をつくっていくとか、あるいは家庭や医療機関などとの連携をやるとか、その窓口となり、要となるのがこのコーディネーターの役割です。特別支援教育の経験を持っている方とか、あるいは学校内の実情にもよく通じていたり、あるいは学校周辺の支援体制などにも詳しいと、こういう役割が発揮できる教員を指名するということが私は必要だと思いますし、その任務を果たすためにはやはり物理的な時間が必要なわけで、授業の持ち時間の軽減などが図られるようなことも必要だと思いますが、局長、いかがでしょうか。

○政府参考人(小松親次郎君) 特別支援教育の充実の要となりますコーディネーターあるいはコーディネーター的な役割を担う先生につきましては、その力を発揮していただく上で大事なことは、これは校務分掌の中でそうした発揮ができるような位置付けが確立していくことだと思われます。

 現状、各学校の校長が指名をいたしまして、その際に校務分掌に明確に位置付けるということで組織的に機能するように努めていただくよう、文部科学省としては各教育委員会等に通知して求めているわけでございます。

 さらに、実際にコーディネーターの方が中心的な役割を果たせるようにするためには、校長先生にリーダーシップを発揮していただきまして、学校全体の校務分掌もその方向へ随時見直していただくことが必要だと思われます。さらに、コーディネーターを複数指名するということも有効だという指摘もございます。

 それから、私どもといたしましても、そういった点をまず教育委員会等にしっかり踏まえて対応していただくように働きかけていくことが大事だと思っております。

○田村智子君 とりわけ、障害手帳を所持している生徒が在籍している、こういう学校では、本当に様々な機関、社会福祉機関とか、あるいは進路のときのいろんな企業の訪問とか、こういうことを求められるわけで、是非、授業時間等の軽減が図られるようお願いしたいと思います。

 最後に大臣にお聞きしたいと思います。

 特別支援学校の高等部、ここは進路相談会をやったりとか授業日使っての就労体験が制度化されていたり、やはりこういうことが充実をしているんです。しかし、高校の特別支援教育にはこうした制度がないわけで、どちらに進むかによって、同じように障害を持っているんだけれども受けられる支援が全く違う、これはやっぱり私、解決をしなければならないことだと思います。

 是非、校務分掌でのコーディネーターということだけでなくて、とりわけ高校卒業後の進路、ここは加配教員を置くことも含めてしっかりと自立支援ができるような対策が必要だと思います。大臣の見解をお聞きして、終わりたいと思います。

○国務大臣(下村博文君) 高等学校における生徒支援のための加配定数は、設置者である地方公共団体からの申請に基づき措置をしているところであります。

 高等学校における特別な支援を必要とする生徒への対応については、高等学校が抱える新たな課題として認識しておりますので、特別な支援を必要とする生徒の実情や地方公共団体の加配定数のニーズをきめ細かく文部科学省としても把握いたしまして、対応について検討してまいりたいと思います。

○田村智子君 終わります。

 


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