活動報告

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国民要求実現に全力/裏金・経済対策…対案示し徹底追及/田村委員長が代表質問/衆院本会議

 日本共産党の田村智子委員長は3日、衆院本会議で代表質問に立ち、総選挙によって衆院で与党が少数となるもと「民意にどう応えるかが鋭く問われる国会だ」として、自民党の裏金事件、経済政策について、対案を示して徹底的に追及しました。沖縄の辺野古新基地中止、核廃絶、ジェンダー平等など国民の要求実現を求め、国民とともに政治を動かすため全力をつくす決意を示しました。

 裏金に対する石破茂首相の政治姿勢として田村氏は、非公認候補への2000万円支給問題を追及しました。裏金事件の真相にふたをして「政治改革」を語る資格はないと断じ、首相の責任で真相解明するよう要求。利権・腐敗政治を生んできた企業・団体献金をまだ放置するのかとただし、全面禁止を求めました。

 田村氏は、〝配当は増えた一方で賃金は伸び悩んだ〟という石破首相の所信表明演説について、問われているのは自民党政権の経済政策だと指摘。大企業の内部留保の賃金への還流や税制のゆがみの改革を提案しました。

 税のあり方として「生計費非課税」「応能負担」の二つの原則に立って質問。「消費税は日々の生活、食事の回数を減らすような生活でも、容赦なく課税する最悪の生計費課税だ」として消費税は廃止すべきだと主張し、緊急の減税を求めました。

 さらに大企業の税負担割合が中小企業よりも軽いという問題や、「所得1億円の壁」をもたらす証券優遇税制などのゆがみを抜本的に見直すよう迫りました。

 「103万円の壁」がもたらす問題も税制のゆがみの一部分であり、生計費非課税の原則に立った物価高騰・賃上げを超える水準への課税最低限引き上げを要求。学生のアルバイトを巡って「そもそも学生がアルバイトに追われる生活をせざるをえないことが問題だ」として、学費を下げ、無償化することを求めました。

 石破首相は「岸田内閣が進めてきた取り組みを着実に引き継ぎ、さらに加速・発展させる」と、これまでの経済政策への無反省ぶりを示しました。

 田村氏は、強権政治ノーの民意にこたえよと沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設断念を要求。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞のもと政府は「被爆者とともに歩む責務がある」と述べ、核兵器禁止条約参加に決断を求めました。ジェンダー平等について、選択的夫婦別姓実現へ「これまでと同じ棚上げは許されない」として法案を国民の前で議論すべきだと迫りました。

 

総選挙で示された民意/国民要求実現へ政治動かす/田村委員長の代表質問/衆院本会議

 

能登/被災地の願い聞き、具体的支援策急げ
 田村氏は能登地域の復旧・復興について、「能登のみなさんは、支援がゆきとどかないことへの怒り、それでも能登に住み続けたいという切実な願いを持ち、先の見えない生活をなんとか打開しようと苦しんでいる」と被災地の実態を突き付けました。

 その上で、避難生活の改善、医療費など被災者の負担軽減、地震と豪雨という二重の被害実態に見合った支援の拡充、積雪時の安全と生活の確保を挙げ、「いま(現場で)求められている支援を政府の責任で届けきるために具体的にどうするのか」と迫りました。

 石破首相はトイレ、キッチン、ベッドなどの避難生活の改善、医療保険、介護保険の自己負担や保険料の減免支援、除雪機械の増強や小型の除雪機の貸し出しなど、政府の経済対策に盛り込んだことを述べるだけでした。

 

沖縄・辺野古/自民の強権政治に民意はノーの審判
 田村氏は「今、日米同盟という4文字で思考停止となる政治でよいのかが問われている」として、その一つが沖縄への姿勢だと指摘しました。

 県民は名護市辺野古の米軍新基地建設に反対の意思を示し続け、米兵による少女への性的暴行事件を隠ぺいした政府への怒りも渦巻いていると強調。さらに、安倍政権下で自民党幹事長だった石破氏が、沖縄選出の同党国会議員を辺野古容認へと態度を変えさせた「平成の琉球処分」に言及し、「こうした沖縄に象徴される強権政治に『ノー』の審判を突きつけたのが、総選挙の結果だ」とただしました。

 県民が自ら米軍基地を受け入れることはありえず、軟弱地盤での巨大基地建設は不可能だと強調。「新基地建設を中止し、普天間基地の無条件撤去を米国に求めることこそ、沖縄の基地負担軽減として直ちに政府がやるべきことだ」と迫りました。

 石破首相は、軟弱地盤の改良工事で「安定した護岸等の施工が可能だ」と強弁し、「辺野古が唯一の解決策だ」などと冷たく言い放ちました。

 

核禁条約/被爆者と共に歩め/首相に参加を迫る
 日米同盟で思考停止する政治のもう一つが核兵器問題への姿勢です。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)へのノーベル平和賞授賞式が10日に行われます。田村氏は、授賞理由は、核兵器の非人道性を訴え、約80年にわたり戦争での核兵器使用を許してこなかったことだと強調しました。

 石破首相が「核兵器の非人道性を世界に知らせる」と言いながら、「米国の核抑止の強化」を主張していることについて、核抑止とはいざとなれば核を使用すると威嚇し相手に攻撃を思いとどまらせるもので、米国は核兵器の先制使用まで掲げていると指摘。首相の主張は「根本的に矛盾する」とただしました。

 田村氏は「被爆者の命懸けの訴えで誕生したのが核兵器禁止条約だ。唯一の戦争被爆国政府として被爆者とともに歩む責務がある」と述べ、同条約への参加と締約国会議へのオブザーバー参加を求めました。
 石破氏は、米国の拡大抑止は「不可欠だ」などと述べたうえで、核禁条約には「核兵器国は1カ国も参加していない」と背を向けました。

 

選択的夫婦別姓/4度目の導入勧告/国民の前で議論を
 田村氏は、国連・女性差別撤廃委員会が10月、日本政府に対して、選択的夫婦別姓の導入を求める4度目の勧告をしたと指摘。石破首相が以前、選択的夫婦別姓を巡り「さまざまな意見がある」と答弁したことをあげ、「そのさまざまな意見を国民の前で議論しよう」と迫りました。

 また、女性差別撤廃条約の批准国の多くが、条約の実効性を強めるため、個人通報制度と調査制度を定めた選択議定書を批准している一方、日本政府は「検討中」のまま四半世紀がたっていると指摘。「この姿勢が日本をジェンダー平等後進国にしている」と批判しました。

 石破首相は選択的夫婦別姓の導入について「国民各層の意見や国会における議論を注視していく必要がある」と従来の見解を繰り返しました。審議のあり方は「国会において判断すること」と述べるだけでした。

 

裏金/国民の参政権侵す企業・団体献金禁止
 田村氏は、総選挙で示された自民党裏金事件に対する国民の審判に、首相が今国会でどう向き合うのかが厳しく問われていると指摘しました。

 総選挙中「しんぶん赤旗」が、裏金非公認候補の支部に自民党本部が2000万円を振り込んだことを特報し、石破首相は政党支部への支給で候補者に出したものではないと弁明していました。ところが、「赤旗」の調査で、小選挙区候補を立てていない支部には支給されていないことが分かりました。

 田村氏は「これをどう説明するのか。非公認候補への選挙資金としか言いようがないではないか」と追及。石破首相は「党勢拡大のために政党支部に支給したもので、非公認候補者に支給したものではない」と、これまでと同じ説明を繰り返しました。

 田村氏は「裏金問題の真相にフタをして『政治改革』を語る資格はない」と指摘し、首相の責任で真相を明らかにし、国民に説明するよう要求。石破首相は「党として可能な限りの調査を行い、その結果を国民に説明してきた」と強弁しました。

 田村氏は、裏金の根本的な再発防止策は、企業・団体献金の全面禁止だと強調。30年前、政治家個人への企業・団体献金を禁止しながら、政党支部とパーティー券を温存する抜け道をつくったことが、利権・腐敗政治を生んできたと述べ、「それでも企業献金を放置するのか」と問いました。

 田村氏は、主権者である国民の支持政党への寄付は「政治に参加する権利そのものだ」と指摘。「選挙権を持たない企業が多額の献金で政治に関与するのは、国民の政治参加の権利や選挙権を侵害するものだ」と迫り、「国民一人ひとりに依拠して政治資金をつくってこそ、国民の立場で政治を行う確かな土台となる」と述べ、首相の認識をただしました。

 石破首相は「会社は国民同様、政治行為をなす自由があり、寄付もその一環だ」との最高裁判決を持ち出し、企業・団体献金を正当化しました。

 

経済政策/税制ゆがみただせ/生計費非課税、原則
 田村氏は、石破首相が所信表明演説で日本経済の落ち込みにふれたことについて、「問われているのは歴代自民党政権の経済政策そのものだ」と指摘。「大株主への配当は増えたが、賃金が伸び悩んできた原因と責任はどこにあるのか」とただしました。

 石破首相は、歴代自民党政権の責任にはふれず、「岸田内閣が進めてきた『新しい資本主義』の取り組みを着実に引き継ぐ」などと述べました。

 田村氏は、上場企業の3月決算では、純利益が昨年より2割も増え、3年連続の史上最高益となる一方、「その利益にふさわしく賃上げが進んだとはいえない」と指摘しました。

 内部留保は昨年1年間で28兆円増え、539兆円にまで膨張しているのに対して、「多くの労働者は物価上昇に賃上げが追い付かず、暮らしが追い詰められている現状をどう思うか」と追及。アベノミクス以降の内部留保の積み増し分の課税を財源として、中小企業の賃上げへの直接支援などの具体案を提示。その上で、「具体的な方策を検討しているのか」と答弁を求めました。

 石破首相は内部留保課税について、「二重課税にあたるとの指摘がある」などと述べるだけで具体的な方策は示しませんでした。

 田村氏は、税制のゆがみの改革について、「生計費非課税、応能負担の二つの原則が重要だ」と強調しました。消費税は、日々の生活に容赦なく課税する最悪の生計費課税だと指摘し、「生計費非課税の原則に立ち、消費税廃止を目指すべきだ」と主張。物価高騰が消費税負担を増やしているとし、「緊急の減税を行うことが当然だ」と迫りました。

 石破首相は、「生計費非課税」の原則について答えず、消費税の「引き下げは適当でない」と背を向けました。

 田村氏は、大企業の税負担割合が中小企業よりも軽い、「所得1億円の壁」をもたらす証券優遇税制、所得税・住民税の最高税率が1995年当時から10%下げられたままだとして、「応能負担原則からみて、抜本的な見直しが必要だ」とただしました。

 「103万円の壁」について、税制のゆがみの一つだと指摘。生計費非課税の原則に立って「物価高騰・賃上げを超える水準の引き上げが必要だ」と求めました。

 同時に、「学生がアルバイトに追われる生活をせざるを得ないことが問題だ」と指摘。高すぎる学費を下げ、無償化へと向かうよう求めました。さらに、大学授業料の値上げが相次いでいるとして、石破首相が自民党総裁選で「国立大学授業料を無料に」と掲げていたことにふれ、「政治の責任でこれ以上の値上げを止めることは当然だ」と迫りましたが、首相は答えませんでした。


2024年12月4日(水) しんぶん赤旗

 

 

 


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