第213通常国会が21日、事実上閉会しました(会期末=23日)。日本共産党の田村智子委員長は、党国会議員団総会のあいさつに立ち、「金権腐敗」「経済無策」「戦争国家」「人権後進国」の四つの問題で「党議員団が論戦を果敢に行い、国民的怒り・運動を広げ、自民党を窮地に追い詰める抜群の役割を果たした」と強調。「どの問題も自民党政治はもうダメだと示している」「市民と野党の共闘を再構築し、自民党政治を終わらせ、総選挙で勝利するために、強く大きな党づくりに全力を挙げよう」と呼びかけました。
冒頭田村氏は、能登半島地震の支援と対策を求める論戦と要請に取り組んだことを紹介し、「復興に希望が持てるよう引き続き全力を挙げよう」と呼びかけました。
「金権腐敗」の問題について田村氏は、「自民党の組織的犯罪」という核心をついた論戦で一貫して真相究明に奮闘したと強調。同時に、「企業・団体献金全面禁止法案」と「政党助成法廃止法案」を提出し、金権腐敗の根を断つ真の政治改革を太く明らかにする論戦を展開したと述べました。
「経済無策」の問題を巡り、「賃上げ減税」には効果がないことを指摘し、経済政策の転換を求める中で、「大企業の利益最優先の政治がいかに不公正なものか、この政策が完全に破綻していることが明瞭となった」と指摘。「経済再生プラン」に基づく対案を示した論戦を力に運動を広げようと呼びかけました。
「戦争国家」の問題では、岸田政権の「戦争国家」づくりへの暴走に正面から立ち向かう論陣を張る中で、日米首脳会談と共同声明が、米軍と自衛隊の指揮統制のかつてない連携強化に踏み込むものであると暴露したことは極めて重要だと指摘。憲法9条にもとづく平和外交こそ真の安全保障だと対案を示したと強調しました。
「人権後進国」の問題では、「人権を巡って、新しい運動がわき起こり、自民党政治を揺るがす国会となった」と振り返り、「自民党政治が明治憲法下の古い価値観にいまだにしがみついていることが、『人権後進国』の最大の病根となっていることが明らかになった」と述べました。
日本共産党国会議員団総会/田村委員長のあいさつ
日本共産党の田村智子委員長が21日の党国会議員団総会で行った通常国会閉会にあたってのあいさつは次の通りです。
衆参国会議員、事務局のみなさんの日ごろのご奮闘に、心から敬意を表します。通常国会の閉会にあたってあいさつを行います。
冒頭、昨日始まった東京都知事選挙について一言述べます。対決構図は明瞭です。市民と野党の共闘候補である蓮舫さんと、裏金自民党に頼り頼られる小池都知事との対決です。28日には都議補欠選挙も告示となります。蓮舫さんの勝利、そして都議会野党第1党として都政を動かしている日本共産党の躍進で、都政を変える、自民党政治を終わらせる大きな波を起こそうではありませんか。(拍手)
能登半島地震/支援と復興に全力を挙げる
今国会は、能登半島地震への対応から始まりました。わが党は直ちに対策本部を立ち上げ、国会議員団は繰り返し現地に入って、避難所の深刻な実態を早急に改善すること、これまでの震災と比しても深刻な対応の遅れがあるもとで、能登で生きていくことを諦めてしまうことのないよう対策に全力を挙げるよう、論戦と要請に取り組みました。
わが党の呼びかけで、現地では被災者共同支援センターを立ち上げ、支援物資を届けながら被災した方々からの聞き取りにも取り組んでいます。能登の皆さんが、復興に希望が持てるよう、引き続き全力を挙げていこうではありませんか。(拍手)
自民党を窮地に追い詰め、政治を変える展望を示した抜群の国会論戦
この国会は、第29回党大会後の最初の国会でした。大会決定では、「自民党政治の全体が末期的な状況に陥っている」ことを、金権腐敗、経済無策、戦争国家、人権後進国という四つの柱で明らかにし、自民党政治を終わらせる国民的大運動を呼びかけました。党議員団は、この立場での論戦を果敢に行い、国民的な怒り・運動を広げ、自民党を窮地に追い詰める抜群の役割を果たしたことをお互いに確信にしようではありませんか。(拍手)
―金権腐敗
裏金事件では、「自民党の組織的犯罪」という核心をついた論戦で、一貫して真相究明に奮闘しました。このもとで、政治倫理審査会は、衆参ともに全会一致で、全ての裏金議員一人ひとりに対して出席を求める議決を行いました。しかし、出席し弁明に立ったのはわずか10人です。しかも、安倍派会計責任者の公判によって、弁明の内容が虚偽である疑いが深まっています。裏金がどうして始まり、何に使われたのか、その根本は何一つ明らかとなっていません。このまま幕引き、逃げ切りを許すわけにはいきません。国民世論を力に、徹底して真相究明を求めていこうではありませんか。(拍手)
わが党は、国会初日に、「企業・団体献金全面禁止法案」、「政党助成法廃止法案」を参議院に提出し、金権腐敗の根を断つ真の政治改革とは何かを、太く明らかにする論戦を展開しました。
裏金の原資である政治資金パーティー券の購入は、形を変えた企業・団体献金そのものであり、巨額の企業・団体献金が政治をゆがめ、国民個人の参政権を侵害していることを示しました。そして自民党の法案は、企業・団体献金の禁止に指一本触れていないどころか、政策活動費を合法化するなどの大改悪法案であることを徹底的に暴露しました。この論戦は、参議院において、自民党プラス公明・維新の「抜け穴」温存の大改悪法案か、わが党提出の全面禁止法案か、鮮明なコントラストとなったことを強調したいと思います。(拍手)
与党の強行で改悪法案は成立しましたが、世論調査では、自民党案では「再発防止に効果がない」が77%、新聞各紙の社説も「政治改革とはいえない」と断じています。裏金事件への反省もない自民党、その自民党に助け舟を出した公明党、維新の会は、いよいよ国民との矛盾を深めています。
わが党が30年間、法案を提出し続けて求めてきた企業・団体献金の全面禁止は、いま国民のなかで大きな世論となっています。「しんぶん赤旗」のスクープ、国会論戦、全国で宣伝・対話・署名にとりくんだ日本共産党が、この情勢をつくりだしていることを大いに確信にして、真の政治改革を求める圧倒的な世論を広げていこうではありませんか。(拍手)
―経済無策
アベノミクスの異次元の金融緩和が異常円安をもたらし、物価高騰に拍車をかけています。実質賃金は25カ月連続で前年比マイナスとなりました。これはリーマン・ショック以来のことです。内閣府の世論調査では、「1年前に比べて暮らしが悪くなった」との回答が35・9%と戦後最悪となりました。
一方で、異常円安は輸出大企業に巨額の利益をもたらし、大企業は3年連続、史上最高益を上げています。大もうけの大企業には賃上げ減税、しかし中小企業は赤字に苦しみながら賃上げを頑張っても何の支援もない。わが党は「賃上げ減税」には効果がないことを指摘し、経済政策の転換を求めてきましたが、大企業の利益最優先の政治がいかに不公正なものか、この政策が完全に破綻してしまっていることが、ますます明瞭となっています。
暮らし応援に徹することこそ、危機打開の唯一の道であり、「経済再生プラン」の力がいよいよ明らかとなっています。今国会では、賃上げ、税制、農業、社会保障、教育、子育て、原発と気候危機問題など、自民党政治の行き詰まりを徹底追及するとともに、「経済再生プラン」にもとづく対案を示した論戦が縦横に展開されました。こうした国会論戦を力に、「経済再生プラン」を使った懇談、シンポジウム、国民的な運動を大きくひろげていきましょう。
―「戦争国家」
8兆円の大軍拡予算、次期戦闘機の共同開発・武器輸出のための条約、自衛隊の統合作戦司令部創設、経済秘密保護法、地方自治法改悪、食料供給困難事態対策法など、岸田政権の「戦争国家」づくりへの暴走に、正面から立ち向かう論陣を張ったのが日本共産党である―。このことを強調したいと思います。(拍手)
なかでも、4月の日米首脳会談と共同声明が、米軍と自衛隊の指揮統制のかつてない連携強化に踏み込むものであると暴露したことは、きわめて重要です。米軍は統合防空ミサイル防衛(IAMD)についての公式文書で、インド太平洋の同盟国を米軍の指揮統制システムに組み込み、「同盟国の主権の一部を切り離させる」とまで明記しています。自衛隊の統合作戦司令部の創設は、このアメリカの狙いと一体であり、自衛隊が米軍の指揮下で、憲法の一切の制約が及ばないところでの武力行使に突き進む道を開きかねません。日本の主権にかかわる重大かつ危険な道であることを知らせ、「戦争国家づくり」に反対する国民世論を起こしていこうではありませんか。(拍手)
日米同盟を絶対視し、軍事一辺倒の自民党政治に対し、憲法9条にもとづく平和外交こそ真の安全保障だという対案を示しているのも、わが党だけです。4月17日、志位和夫議長が国会内で行った「東アジア平和構築提言」の講演は、21カ国から大使や外交官が参加し、他党の国会議員、国内の団体・個人など幅広い方々の参加をえて大きな成功をおさめました。大使や外交官からは、「包括的で具体的な外交提言を聞くことができた」など、歓迎の声が多数寄せられています。
この提言は、軍事同盟に対する是非の違いを超えて共同が可能な外交提言となっていますが、同時に、日本共産党が、アメリカいいなりから脱却し、国民多数の合意のもと日米安保条約廃棄をめざす党であり、その立場からアジア外交の努力を重ねてきた党だからこそのものだということも強調したいと思います。
ここで沖縄の県議選挙について一言述べます。まずご支援いただいた皆様に心から感謝申し上げます。大変悔しく残念な議席の後退という結果となりましたが、NHKの出口調査では、「辺野古新基地建設に反対」が6割前後、「デニー県政を支持する」が7割前後となっています。岸田政権は、「代執行」という強権で沖縄県民をあきらめさせようとしていますが、県民は決してこの暴挙を許容しているわけではありません。基地の完成はめどが立たない。SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意から28年がたっても普天間基地は1㍉も動いていません。これが現実です。大局的にみれば、追い詰められているのは、岸田政権・自民党政治です。日本共産党は、「代執行」を許すな、沖縄に戦火を呼び込む軍事要塞(ようさい)化をやめよ、基地のない平和で豊かな沖縄をと、「オール沖縄」との連帯したたたかいの発展に全力を挙げ、デニー県政を全力で支えることを表明するものです。(拍手)
―人権後進国
人権をめぐって、新しい運動がわき起こり、自民党政治を揺るがす国会となりました。共同親権の法案は、わが党が「子どもの権利」という立場に徹して、合意のない共同親権が子どもに与える影響を事実に即して明らかにし、これが急速に反対世論を広げる力となりました。
入管法をめぐっては、昨年の改悪法案の施行を許すなという運動、あらたに提出された永住外国人を差別する法案への怒りと抗議がさらに広がりました。
ジェンダー平等では、これまでの多くの運動に加え、日本経団連が選択的夫婦別姓の早期実現を求める要望書を提出するに至りました。党首討論で、岸田首相は、要望書が指摘した「ビジネス上のリスク」があることを認識していると答弁しましたが、「家族の一体感」などと特定の価値観を押し付けて、選択的夫婦別姓の実現に背を向けました。
これら人権の問題で、自民党政治が明治憲法下の古い価値観にいまだにしがみついていることが、「人権後進国」の最大の病根となっていることが、いよいよ明らかとなっています。ジェンダー平等、子どもの人権、外国人の人権などを求める新たな運動と連帯し、人権後進国から脱却し、個人の尊厳、すべての人の人権が尊重される新しい日本をつくろうではありませんか。(拍手)
どの問題も、自民党政治はもうダメだということを示しています。同時に、いくつもの重要法案で、野党が立憲主義を貫いて自民党と対決したのかどうかも問われています。市民と野党の共闘を再構築し、自民党政治を終わらせるために、また、総選挙で勝利するために、私たちの最大の任務、強く大きな党づくりに全力を挙げることを呼びかけるものです。
日本共産党の値打ちを語り、党づくりに大きく貢献しよう
いま全党は、創立102周年を迎える7月末までに、党員で5月の4倍、「しんぶん赤旗」読者は同1・5倍の拡大規模――目標水準の党勢拡大をなんとしてもと奮闘しています。政治対決の最前線にいる党議員団が、全国各地で日本共産党の値打ちを語り、同時に、綱領、党史、日本共産党の名前と結びついた未来社会論――「共産主義と自由」についても縦横に語り、党づくりに大きく貢献していこうではありませんか。(拍手)
以上で、閉会にあたってのあいさつを終わります。ご一緒に頑張りましょう。(拍手)
2024年6月22日(土) しんぶん赤旗