活動報告

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選択的夫婦別姓阻む理由ない/田村委員長、早期実現迫る/首相、女性の不利益「重く受け止める」/初の党首討論

 日本共産党の田村智子委員長は19日、委員長就任後初となる国会での党首討論に立ち、「長年にわたる女性たちの訴え、ジェンダー平等を求めるムーブメントがついに経済界も動かした」と強調し、選択的夫婦別姓の早期実現に踏み切るべきだと岸田文雄首相に迫りました。

 田村氏は、選択的夫婦別姓の早期実現を求める声は経団連からも上がり、女性の人権の問題とともに「ビジネス上のリスク」だともされていると指摘。憲法で女性の人権が認められて77年たつが、夫婦の95%で女性が結婚後に改姓し、アイデンティティーの喪失、キャリアの断絶などに直面している実態を示し、「同姓の強制により、圧倒的に女性が個人の尊厳を傷つけられ、不利益を被っている。これが事実だという認識はあるか」とただしました。

 岸田首相は「女性に大きな不利益が生じていることは重く受け止める」と述べる一方、「さまざまな角度から議論を深める必要がある」などと後ろ向きの姿勢を示しました。

 田村氏は、岸田首相が選択的夫婦別姓は「家族の一体感に関わる」問題だとの認識を示しているが、「そういう捉え方自体が特定の価値観の押し付けに他ならない」と指摘。「選択的夫婦別姓の早期実現を求める合理的な理由はたくさんある。しかし、それを阻む具体的で合理的な理由は何もない」と強調し、一日も早く法案を国会で審議するよう強く求めました。


2024年6月20日(木) しんぶん赤旗

 

 

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。

 六月十日、経団連が、夫、妻各々が希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名のり続けることのできる制度、つまり選択的夫婦別姓の早期実現を求める要望書を政府に提出するに至りました。

 要望書では、アイデンティティーの喪失、あるいは、不都合や不利益が女性に偏っているという女性の人権の問題とともに、通称使用によってトラブルが起きている、企業にとってビジネス上のリスクだということも指摘されています。これらは長年にわたる女性たちの訴えそのものであり、ジェンダー平等を求めるムーブメントがついに経済界も動かしたことに、心からの敬意を表したいと思います。

 個人の尊厳、法の下の平等、婚姻の自由、夫婦同等の権利、日本国憲法で女性の人権が認められて七十七年ですね。ところが、夫婦の九五%で女性が名前を変えている。その中には、同姓の強制によって、女性が名前を変えることが当たり前にされているために、違和感を口にすることができないまま名前を変えた女性も多くいます。そして、アイデンティティーの喪失、キャリアの断絶、名称変更の煩雑な手続、海外では通称が使えないなどの不利益を圧倒的に女性が引き受けている。これが日本の現実です。

 総理にお聞きします。
 同姓か別姓かを選択できない、同姓を強制されることによって、女性が個人の尊厳を傷つけられている、不利益を被っている、これが事実だという認識がありますか。世論調査とか様々な意見とかそういうことじゃない、あなたの認識でお答えください。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の経団連の提案、これは重く受け止めたいと思います。そして、その提案の中にもあったと記憶しておりますが、女性の方を中心に大きな不利益が生じている、こういった御指摘がありました。先ほども一旦触れましたが、預金口座の開設ですとか不動産登記ですとか、海外における、このダブルネームによって疑いを得てしまう、こういった不利益があるということ、このことについては重く受け止めております。私も、そういった事実があるということは強く認識しております。

 ただ、ビジネスの面だけではなくして、この問題については様々な角度から議論する必要がある。だからこそ、世論調査が割れているということを申し上げております。今言った点について認識はしておりますが、それ以外の方面からも、角度からも、この問題について議論を深めていく必要を今まだ感じております。

○田村智子君 おとといのテレビ中継のあった国会質疑の場では、その様々な理由の中で、家族の一体感、こういうことを言われました。しかし、既に事実婚の家族というのは何百万と存在しています。家族の一体感とか、あるいは子供の利益ということもおっしゃいました、おとといの審議の中では。それで、子供の幸せに係ることも、それぞれの家族の営みに関わることなんですよ。

 この選択的夫婦別姓についての議論の中で、家族の一体感に関わる問題ということを指摘される。そういう捉え方をすること自体が私は特定の価値観の押しつけにほかならないと思う。いかがですか。

○会長(根本匠君) 岸田総理、持ち時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の選択的夫婦別氏制度ですが、これは、国民生活、そして多くの国民、幅広く影響するものであります。一定の価値観に基づいて判断しているのではないかという御指摘でありますが、そんなことは決してありません。

 だからこそ、再三申し上げております、国民の世論調査を見ても、今の同姓を維持するという答え、二七%、今の同姓を維持した上で別称の制度を法制化するべきであるという意見、四二%、そして、夫婦別氏制度、実行するべきだというのが二八%。世論調査でも分かれているのは、今おっしゃったように、様々な価値観、様々な立場の方々が、この問題について影響を感じ、意見を言っている、こういったことであるからだと思っております。

○会長(根本匠君) 田村君、持ち時間が終了しておりますので、簡潔にお願いします。

○田村智子君 事実としてあるのは、女性の個人の尊厳が傷つけられているという事実です。
 そして、選択的夫婦別姓の早期実現を求める合理的な理由はたくさんある。しかし、それを阻む具体的で合理的な理由は何もない。一刻も早く法案の審議を国会で行うべきだと求めて、討論を終わります。


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