日本共産党の田村智子委員長は5月30日の参院国土交通委員会で、大阪・関西万博会場の夢洲(ゆめしま)の建設現場で3月28日に発生したガス爆発事故について質問しました。
爆発事故は、溶接作業の火花がメタンガスに引火して発生。事故発生区域はごみの最終処分場で、常時メタンガスが発生しています。日本共産党は大阪市議会などで爆発の危険性を繰り返し指摘してきました。
経済産業省の茂木正審議官は「事故発生は10時55分ごろ。消防へは14時59分ごろ、経産省には18時27分に連絡があった」と説明。田村氏は「政府への連絡は事故後7時間30分もたってからだ」「写真も当初は1枚。メディアへの情報開示請求にも黒塗り。報道を見ても事故の状況がわからず、外部的検証ができない」と指摘しました。
田村氏が「現場を確認したのか」とただすと、茂木審議官は、現場にも入らないまま「第三者により必要な現場確認、検証は行われている」と強弁。田村氏は「施工業者も万博協会も、大阪府・市も、国も事態を矮小(わいしょう)化し、隠ぺいしていると言わざるを得ない」と批判しました。
田村氏は「メタンガスは発生し続けている。建設作業員の命と安全を守るため国交省は立ち入って検証すべきだ」と主張。斉藤鉄夫国交相は「労働安全衛生法に基づき、通報があれば適切に対応する」と述べるにとどまりました。
2024年6月3日(月) しんぶん赤旗
○田村智子君 今日は、関連して、二〇二五年の大阪・関西万博について質問いたします。
万博の予定地夢洲へのアクセス道路は、一本の橋と一本のトンネルだけなんですね。ここは、夢洲は今も物流拠点にもなっています。渋滞を起こさないため、建設労働者は、マイカーで夢洲に入ることができなくてバスで移動しています。バスは長蛇の列です。大阪シティバス、旧大阪市営バスなんですけど、ここは、ですから、万博の開催前という期間限定で万博関連輸送運転士の募集というのを昨年四月から、今も行っています。足りていないんだと思いますね、今も。週三日から五日、一日四時間半から五時間程度、時給は二千円としているんですが、六か月は試用期間で時給は千二百円と。今から働いた場合、二〇二五年二月までなので、九か月のうち六か月は時給千二百円ということになっちゃうわけですよ。万博期間中のみも同じように募集しているんです。ここも一緒で、時給二千円だけど、六か月雇用だと。そのうち三か月は一千二百円だと。
今、バスの運転士の低賃金構造をどうするかで問題意識が共通しています。ところが、試用期間を理由に時給千二百円と。これは、今討議していた、討論していたことと逆行するようなことが、国家プロジェクトだとも言われている大阪万博の中で行われることになるんじゃないでしょうか。この点、いかがでしょうか。
○政府参考人(石原大君) お答えいたします。
今、準備期間中の万博に向けた工事の輸送、あるいは大阪万博、大阪・関西万博へのシャトルバスの運転者の募集、こうしたことは博覧会協会、それからバス事業者などにおいて行うこととなっておるところでございますけれども、この給与水準などの具体的な募集条件については、これは各事業者の経営判断などもございますので、その各事業者事業者において決められるものと承知しております。
委員先ほどから御指摘のとおり、このバス運転者の待遇の改善、これは極めて重要であると国土交通省としても考えてございます。いろいろと賃上げに資する運賃改定、運賃算定書の見直し、こういうような仕組み、制度も行っているところでございまして、この辺りは引き続き少しでも待遇改善図れるようにしっかり取り組んでいきたいと思っております。
○田村智子君 それと逆行する事態が起きていて、それは民間事業者がお決めになることですと言うだけでいいのか、ちょっとうなずいていらっしゃいますけどね、そういう事態なんですよ。これ、だから集まっていないんですよ。
万博開催中、主要十駅や空港からのシャトルバス、重要な移動手段となります。会場に最も近い桜島駅発着のルートは約百八十人このシャトルバスの運行に必要だと言われている、しかし八十人程度しか確保の見通しが立っていないというんですね。このルートは一時間に最大七十便、一日約一万六千人は運ぶという計画ですけれども、これは破綻ですね、このままでは。
四月十二日の毎日新聞は、博覧会協会が全国から運転手をかき集めようと、二四年二月にあっせん事業者と契約して、北海道から九州の貸切りバス会社一千社に意向調査をしたと。回答率は六割に及ばず、内容も、運転手だけ出向させるのは難しい、営業補償はしてもらえるのかと、こういう回答だったというふうに報じています。このままですと、万博のシャトルバス計画は破綻するか、あるいは、破綻させないために全国各地からかき集めれば全国各地の貸切りバスが成り立たなくなるという極めて重大な問題が起きているというふうに思います。
ちょっとこれは管轄が違うと言って、国交省はお答えができないというふうに言われているんですけど、大臣、これ非常に重大な事態が起きていると思うんですが、感想でもいいんですけど、一言いかがでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 万博成功に向けてこの人員輸送のことについても、我々国土交通省もしっかり関与しながら、その万全の体制をつくっていきたいと思っております。
○田村智子君 それはもう破綻になりつつありますね。
この万博会場、建設の問題もちょっと質問したいんです。
三月二十八日、ガス爆発事故が起きています。溶接作業の火花がメタンガスに引火したための事故です。この事故が起きたエリアというのは元々ごみの最終処分場で、今もメタンガス、どんどん発生しているんですね。昨年の夏には一日約二トンの発生量だと。これからも発酵が止まらない限りメタンガスは排出され続けるわけです。このことは、我が党が大阪市議会などで繰り返し繰り返し指摘してきて、爆発事故が起きかねないということを言い続けてきました。その挙げ句の事故なんです。
経産省にまず確認したいと思います。事故発生日時は三月二十八日十時五十五分頃と公表されています。それでは、博覧会協会、消防、そして政府に連絡があった時間はどうなっていますか。
○政府参考人(茂木正君) 事故の発生ですが、今委員から御指摘ございましたとおり、三月二十八日の十時五十五分頃でございます。
その後の連絡状況を申し上げますと、二十一分後の十一時十六分に施工事業者から博覧会協会に連絡がございました。それから、一時間後の十一時五十九分に施工事業者から労働基準監督署に通報をしております。それから、十四時五十九分に施工事業者から此花消防署に連絡をしているということになります。それから、博覧会協会から経済産業省に対しては、こうした関係機関への連絡や現場検証を受けた後の同日の十八時二十七分に連絡がありました。
○田村智子君 これ、政府への連絡は七時間三十分もたってからなんですね。人的な被害がなかったからということも理由にしているんですけど、消防への連絡さえも大幅に遅れているんですよ。
このメタンガスによる爆発事故の危険性は分かっていた。ところが、大阪市、大阪府などは、ガス抜き管で大気中に拡散しているから大丈夫だと言い続けてきた。しかし、事故は起きた。
そして、通報が遅れただけじゃないんです。事故現場の写真、当初公開したのはたった一枚。五月二十日になって、建物の屋根も破損していたということを公表し、今度は写真三枚を示しただけだと。メディアが情報開示を求めても黒塗りです。
だから、私も、報道をいろいろ見ても、一体どこで作業をしていて、どういうふうにメタンガスがどこに滞留していて、どんな事故だったのかということが本当に分からないんですよ。これ、外部的検証できない。
お聞きしたいんですけれども、経産省になるんでしょうか、これ、現場行って検証されていますか。メタンガス、今も出ているんですから。本当に安全なのかという確認を国は行っているんでしょうか。
○政府参考人(茂木正君) まず、三月二十八日の爆発事故については、先ほど申し上げましたとおり、事故発生直後に、これは施主でございます博覧会協会が速やかに現場の確認を行っております。また、当日に施工事業者から労基署と消防署へ連絡を入れているということは先ほど申し上げましたとおりですが、その後、労基署と消防署が現地に入りまして、必要な現場確認は行っておるところであります。
加えて、博覧会協会と施工事業者でございますが、これ、火災安全工学の専門家にも助言をいただいた上で原因究明と再発防止策を取りまとめて、労基署及び消防署の確認を受けた後に、四月十九日に博覧会協会から公表をしております。
今申し上げましたとおり、第三者による必要な現場の確認、検証は行われているものというふうに認識しております。
○田村智子君 あのね、事故の確認だけなんじゃないでしょうか。さっきも言ったとおり、メタンガスは出続けているわけですよ。危険性を指摘しながら事故が起きているんですよ。そういう態度では、施工業者も万博協会も、大阪府、大阪市ももちろんですけれども、これ、国も事態を矮小化し隠蔽していると私は言わざるを得ないような状況だと思います。
国交大臣、私、これは建設作業員の命と安全にも関わる問題なんですよ。メタンガスがどういうふうに出ているのか、本当に安全なのか、国交省としても、私、立ち入って検証すること必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 建設工事に従事される方の命と安全を守ることは非常に重要でございます。
建設工事の現場における安全衛生措置については、労働安全衛生法に基づき所要の規制が行われております。三月二十八日に万博会場で発生したガス爆発事故におきましても、司法警察権限を有する労働基準監督署が現場に入り、法令違反などの調査を行ったと承知しております。
一般論として、建設業法を所管する立場からも労働安全衛生関係の法令違反については重大な関心を持っており、建設業法に基づき必要な監督処分を行うことも考えられるところです。労働安全衛生法違反に伴う処分が行われた際は、厚生労働省から国土交通省に通報される仕組みを構築しており、今回の事案につきましても、通報があった場合には適切に対応してまいりたいと思います。
○田村智子君 時間ですから、終わります。