活動報告

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家賃補助の継続を/田村委員長、高優賃問題ただす/参院国交委

 日本共産党の田村智子委員長は22日の参院国土交通委員会で、高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)の家賃補助が各地で終了している問題について政府の対応をただしました。

 高優賃は、高齢者向けにバリアフリー化した賃貸住宅を供給し、家賃補助を国と自治体が2分の1ずつ負担し、原則20年(自治体判断でさらに20年延長可能)行う制度です。2001年から各地に広まりましたが、27自治体で家賃補助がすでに終了しています。

 田村氏は、川崎市で家賃補助終了の通知を受けた80代女性の「家賃補助3万円がなくなると生きていけない。引っ越せと言われても足が悪く耐えられない。死ねと言われているようなものだ」との悲痛な声を突き付け、高齢者の居住の安定に逆行する深刻な事態だと指摘。「UR賃貸住宅では、機構と国が、退去時まで高優賃の家賃補助を継続すると決めた。同様に対応すべきだ」と迫りました。

 斉藤鉄夫国交相は「家賃補助は自治体の事業だ。その判断を尊重する」と責任逃れの答弁に終始しました。

 田村氏は、あまりに冷たすぎると批判。緊急策として、住宅セーフティネットの家賃低廉化制度を適用し、建築後20年経過後も家賃補助を延長するよう自治体に徹底するよう要求しました。


2024年3月25日(月) しんぶん赤旗

 

 

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 高齢者向け優良賃貸住宅、いわゆる高優賃についてお聞きします。

 二〇〇一年に、高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づいて、高優賃は、建物建設への補助とともに、国と自治体が二分の一ずつ負担する家賃補助制度がつくられました。しかし、家賃補助は建物建設から二十年間を原則としたため、自治体によっては家賃補助を廃止し、高齢者が月に約三万円もの家賃負担増を迫られ、今、我が党事務所や地方議員の下に深刻な相談が寄せられています。

 高優賃の家賃補助制度を廃止した自治体数、都道府県、政令市、それ以外の市町村でまず示してください。

○政府参考人(石坂聡君) お答えいたします。
 高齢者向け優良賃貸住宅は、民間事業者等が供給するバリアフリー化された住宅について、地方公共団体が事業者に整備補助や家賃を低廉化する事業に対して国が補助を行う仕組みとなっています。平成十年に制度化されてございます。

 家賃低廉化補助の期間につきましては、管理開始から二十年までの範囲としているところでございますが、更に延長することも可能としています。

 昨年九月に調査いたしまして、この家賃低廉化補助を実施していた地方公共団体について調査いたしました。二十年の経過後に補助を延長していない地方公共団体でございますけれども、都道府県は八府県、政令市は八市、それ以外の市町村は十一市町となっているところでございます。

○田村智子君 これ、政令市で見ますと、川崎、新潟、名古屋、京都、大阪、広島、福岡市、廃止をしてしまいました。資料でもお配りしています。

 高優賃の家賃補助件数、これ、この間、年数十から百件程度減少していて、必要としている高齢者に行き届いていないというふうに思うんですけれども、実は二〇二一年から二二年にかけては五百七十件と減少が急増いたします。これは家賃補助制度の廃止の影響ではないですか。

○政府参考人(石坂聡君) 民間事業者の供給する高齢者向けの賃貸住宅に対する家賃低廉化補助の件数が二〇二一年度から二〇二二年度にかけて五百七十件減少しているのは御指摘のとおりでございます。これは、高齢者向けの賃貸住宅としての管理期間を満了したことや、入居者が退去したことによるものと想定されます。

○田村智子君 これ、急に増えているんですよ。減った件数が増えているんですよ。

 昨年九月、川崎市で、家賃補助を打ち切られる高齢者の皆さんと党市議団、国交省に申入れをいたしまして、私も同席しました。このとき、国交省は、今の御説明であったとおり、延長できると、更に二十年延長できるんだと、自治体が延長すれば国の補助も出すというふうに説明をされました。そこで、私たちは、そのことを制度の趣旨とともに川崎市に説明をしてほしいと、また全国の自治体にも通知をしてほしいというふうに要請いたしました。
 どのように対応されましたか。

○政府参考人(石坂聡君) 昨年九月に、川崎市内にある高齢者向けの賃貸住宅の入居者の皆さんから、川崎市が設定している家賃低廉化の補助期間、これは管理開始から二十年でございますけれども、この延長をするよう国土交通省住宅局に対して御要望があったところでございます。

 御要望を受けた後、国交省の方から川崎市に対して、管理開始してから二十年経過後も各地方公共団体の判断で延長することも可能であること、その場合には国も引き続き補助をさせていただくこと、そういったことを説明いたしました。

 なお、川崎市におきましては、家賃補助期間の延長については、ほかの賃貸住宅にお住まいの高齢者の方との公平性の観点から難しいということで御判断をされまして、その上で、高齢者向けの賃貸住宅の入居者の皆さんに対し、市の相談窓口において丁寧な相談、丁寧な説明やサポートを行っていると承っているところでございます。

 入居されている高齢者の居住安定確保に向けて、市において丁寧に対応していただくことが大変重要と考えているところでございます。

○田村智子君 これ、公平性だったら、ほかのところも家賃補助やればいいんですよ。住宅セーフティーネットがあるんですから、制度がね。

 我が党議員団が行ったアンケートには、高齢者から悲痛の声が次々と寄せられています。八十二歳の女性、家賃補助約三万円がなくなるともう生きていけない、引っ越せと言われるが、足が悪く、病院もこの周りにあり、とても耐えられない、死ねと言われているようなものだ。八十五歳、妻と二人暮らしの男性、妻が大腿骨骨折で歩けず夫が介護、五年前にアパートから立ち退きを求められ、不動産屋ではどこも紹介してもらえず、住宅供給公社でここなら高齢者でもすぐ入れると紹介してもらった、家賃補助の期限は契約時に説明があったが、ほかに入居できるところはなく、わらにもすがる思いで入居した、歩けない妻を抱えて今更引っ越せない、電気も水も節約して生活費を月一万円減らしたが、物価高で全部吹っ飛んだ、絶対ここから動けない、動かないと。

 大臣にお聞きしたいんです。
 高優賃の家賃補助制度に、廃止によって高齢者の居住の安定に逆行する深刻な事態が起きています。どうされるのか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 高齢者向け優良賃貸住宅につきましては、家賃を低廉化する地方公共団体の事業に対して国の補助を設けているところでございます。その事業の期間は管理開始から二十年経過後も各地方公共団体の判断で延長することも可能であり、国も引き続き補助を行うこととしています。

 一方で、家賃低廉化の補助を延長しないこととした地方公共団体によると、入居者の状況や公平性などを考慮して判断されたと聞いているところでございます。

 国土交通省におきましては、地方公共団体の担当職員が集まる地方ごとのブロック会議におきまして、国土交通省から家賃低廉化補助の延長が可能である旨を直接説明するなど、その周知を図っております。

 今後とも、各地域の実情に応じて高齢者の居住の安定確保が図られるよう努めてまいります。

○田村智子君 そもそも、これ何で二十年にしたのかなんですよ。また、更なる二十年の延長というのをなぜ自治体の判断に委ねたのか、御説明ください。

○政府参考人(石坂聡君) 家賃低廉化補助の補助期間につきましては、高齢者向け優良賃貸、高齢者住宅の供給状況など、社会情勢が変化することを踏まえ、まずは二十年を限度として設定しているところでございます。

 管理開始から二十年経過後も家賃低廉化補助を延長するべきか否かについては、経済社会の変化の状況や高齢者向け住宅ストックの数、空き状況、家賃の価格帯など、各住宅や各地域の事情を考慮する必要があることから、各地方公共団体で延長の要否を判断することを可能としているところでございます。

 なお、この高齢者向け優良賃貸住宅制度でございますけれども、一九九八年、平成十年に制度化しております。当時はまだ高齢者住宅というものが黎明期にあったと考えてございます。国交省でも、長寿社会対応住宅設計指針ということで、バリアフリー基準とかこういったものは一九九五年に作っていますし、住宅性能表示の、高齢者等配慮対策等級といった住宅性能表示も二〇〇〇年にスタートしている、さらには高齢者住まい法は二〇〇一年に制定しているといったような形で、言わば高齢者の住まいの黎明期であったと考えているところでございます。

 この中で、この高優賃、高齢者向け優良賃貸住宅でございますが、バリアフリー化された住宅を当時供給していたということによって一定のバリアフリー住宅のストックが形成されたこと、また、こうした次につながるような様々な制度に先導的な役割を果たしたということについては大変意義のあることではないかというふうに考えているところでございます。

○田村智子君 もう一つの意義は、家賃補助制度があるということだったんですよ。二〇一四年に、高齢者の居住の安定に関する法律、これ改定して、高齢者への住宅施策、これはサービス付き高齢者向け住宅、いわゆるサ高住に一本化されました。しかし、サ高住は家賃補助制度がないんですよ。この家賃補助がどうするかなんです。

 今、まず二十年と言われた。だったら、二十年が経過するところで本来国は、今のような社会状況どうなのか、高齢者の年金どうなのか、生活どうなのか、これでもって私は制度の見直しをやるべきだったと思いますよ。ところが、それやらない。やらないがために、二十年たてば、より介護も必要になる、より家賃の補助が必要になる、そういう状況で家賃補助が打ち切られるという事態が起きているんですよ。これ大変問題だと思いますが、どうですか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) これは地方自治体の事業でございます。そして、地方自治体が必要だと判断すればそれをしっかり国がサポートする、そういう体制でもございます。

 そして、先ほど局長申し上げましたように、この間、いろいろなサ高住、またセーフティーネット住宅等のいろいろな施策も充実してまいりました。それらを総合的に勘案して地方自治体が判断されたことを国としては尊重したいと思います。

○田村智子君 それは余りにも冷たいですね。こういう事態が起こるということは、国交省は前々から分かっていたと思うんです。例えば、UR住宅、ここにも高優賃あります。公団自治協など、居住者の皆さんが早くから家賃補助制度廃止されないようにと運動を行った。その結果、家賃補助は退去時まで続けるということを、二〇一九年、国交省と機構、協議し決断しています。

 大臣、同様の対応を私は自治体に求めること必要ではないかと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) UR賃貸住宅を活用した高齢者向け優良賃貸住宅については、御指摘のとおり、家賃減額措置を終了したときに、既にお住まいの方については退去するまでは家賃減額を継続しているところでございます。これはURの判断でございます。それを我々は尊重したということです。

 一方、家賃低廉化を継続するか否かについては各地方公共団体の判断であり、UR賃貸住宅と同様の対応を一律に求めることはできませんが、管理開始から二十年を超えた後も家賃低廉化補助を継続することも可能である旨の情報提供は、これはしっかり行っていきたいと思います。

○田村智子君 これ、大変緊急に求められている施策だというふうに思うんですよ。大体、この物価高騰で年金の目減りが激しいそのさなかにですよ、高齢者に約三万円もの家賃値上げを求めるのかと、それ払えなければ八十代のようなその高齢者に退去を命じるのかなんですよ。

 私は、これ、国の制度設計の見込みの甘さから問題が発生しているとしか言いようがないので、緊急に二点求めたいんです。一つは、やっぱり自治体の判断だと言うだけで余りに冷たいですから、国が言っている高齢者の居住の安定という趣旨にも反しているわけですから、そういう事態が起きているということを国交省自身がもっと受け止めてほしい、何とかしてほしい。だから、緊急に二点求めます。

 一つは、残念ながら家賃補助を廃止した自治体、ここに対しては、住宅セーフティーネットの家賃低廉を適用するなど、高齢者に家賃負担増や転居を迫る事態を回避するように求めてほしい。これ、セーフティーネットも十年という期限があるので緊急策です、緊急策。そして、二つ目に、もっと、二十年が経過した後も延長できるんだと、これは適用を原則としてほしいと。この二つ、徹底していただきたい。どうですか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 昨年十月から十二月にかけまして実施しました地方公共団体の担当職員が集まる地方ごとのブロック会議におきまして、地方公共団体の判断で家賃低廉化補助の延長が可能であること、補助を延長する場合には国も引き続き支援を行うことを国土交通省から丁寧に直接説明を行ったところでございます。これ何度も答弁させていただきました。

 今後とも、家賃低廉化補助の延長が可能であることやセーフティーネット住宅として活用した事例もあることなどについて、様々な機会を通じて地方公共団体に周知することで、高齢者の居住の安定を図ってまいりたいと思います。

○田村智子君 これ、今日のその予算の説明の中にもありましたけれども、国交省の予算というのは、ハード、造ることに対する予算っていっぱい付くんですよ。だけど、そこに住んでいる方に対してどうするかというところが余りにも抜け落ちている。そこに対する予算もっと増やして、今回のようなことを起こさない制度を私はつくるべきだというふうに求めたいというふうに思うんですね。

 大体、これ手だて遅れたと思うんですよ、二十年延長できるという徹底が。先ほど自治体の数とか挙げてもらいましたけれど、廃止をしてしまった自治体の数、これ何で昨年九月の調査ではなのか。それは、昨年九月、その川崎の皆さんが来て私たちと要請やって、一体どれだけの自治体が廃止したのかと聞いてもお答えができなかった、そこに関心がなかったからですよ。私たちが求めて、それで調査をやって、やっとこれ、どれだけの自治体が廃止をしてしまったのかが分かったんですよ。ということは、二十年延長できるという徹底、これは全く遅れていたんだと、この認識に立たなければならないと思う。

 今、川崎でも転居せよと求められている方々、これ自治体の任せでいいのかと、高齢者追い出していいのかと、このことを真剣に受け止めて、追い出しが掛けられるようなことがないように国交省としても手だてを打っていただきたい。このことを強く求めて、質問を終わります。


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