首相、組織的犯罪反省なし
「事実解明とともに、金権腐敗の根を断つことが必要だ」―。日本共産党の田村智子委員長は5日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件を追及し、徹底的な事実解明と企業・団体献金の全面禁止を主張しました。岸田文雄首相は裏金事件を「組織的犯罪」と認めず、事実解明に背を向け、対策も「政治資金の透明化」と繰り返すだけ。反省もなければ自浄作用もない自民党の姿が浮き彫りになりました。
裏金事件をめぐり、問われるのは「自民党による組織的犯罪」との認識です。田村氏は、自民党がまとめた「調査結果」(2月13日)で、裏金を政治資金収支報告書に記載しないよう「派閥側からの指導」があったことが明らかになっていると指摘。「これは組織的な犯罪が行われた、派閥が犯罪を指導したということではないのか」とただしました。
田村氏は、同党の「聞き取り調査」(2月15日)で、議員本人が裏金を管理していた実態も発覚しているとして、「所得隠しは悪質な所得税法違反になる。脱税も疑われる」と指摘。「違法行為・犯罪があったという地点に立って事実解明を行うべきだ」と迫りました。岸田首相は、「『組織的犯罪』の定義は承知していない」などと述べ、犯罪性の認識を認めようとしませんでした。
「公職選挙法違反の重大な疑惑もある」と述べた田村氏は、参院選の改選の年だけ、裏金の額が膨れ上がる議員が多数いると告発。その上で、政治倫理審査会の迅速な開催と予算委での徹底審議が必要だと主張しました。
さらに田村氏は、裏金事件の本質は、自民党が企業・団体によるパーティー券の購入という「抜け道」を最大限利用して、巨額の金を集め、裏金にまでしていたことだと指摘。1970年の最高裁判決を持ち出し、企業・団体の「政治活動の自由」を主張する岸田首相に対し、田村氏は、最高裁判決後に起きた国会議員による主な贈収賄事件の一覧を示し批判しました。
田村氏は、93年には一連の金権腐敗への国民の怒りが沸騰したが、国会では、当時の細川政権と自民党の談合が繰り返され、結局「抜け道」が残されたと指摘し、「30年前と同じ轍は踏んではならない」と強調。野党だけでなく、公明党からも企業・団体献金の全面禁止を求める声があがっていると指摘し、「問われているのは自民党だ」と迫りました。岸田首相は「企業献金についてはさまざまな議論が積み重なってきた」としか答えず、田村氏は「全面禁止の方向を向かないのは自民党だけだ。ここに自民党の本質が表れている」と批判しました。
論戦ハイライト/金権腐敗の核心追及/田村委員長の質問/参院予算委
「自民党による組織的犯罪は明確だ」。日本共産党の田村智子委員長は5日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件を取り上げ、真相解明と企業・団体献金の全面禁止を求めました。田村氏はさらに、経済政策の破綻を認め大企業の利益最優先からの転換をはかり、男女賃金格差の是正を主張。大軍拡をめぐる政策の根本からの転換を迫りました。
田村、裏金 自民による組織的犯罪の認識あるか/岸田首相、組織的犯罪の定義承知していない
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件について追及した田村氏。ところが、岸田首相は裏金事件が自民党による組織的犯罪との認識すら示しませんでした。
田村氏は、自民党の「調査結果」の「一部の派閥が還付金を収支報告書に記載しないよう所属議員等事務所に指導していた」という記述を示し、「収入がありながら、政治資金収支報告書に記載しなかった場合、どうなるか」とただしました。
総務省の笠置隆範選挙部長は、総務省が「5年以下の禁錮または100万円以下の罰金に処す」と答弁。田村氏は、次のようにただしました。
田村 派閥が「議員事務所に記載するな」と指導した。これは組織的な犯罪が行われたということではないか。
首相 組織的犯罪という言葉の定義は承知していない。
田村 収支報告書に書くなと指導した。犯罪を指導したということではないか。誰がやったか確認するか。
首相 政倫審をはじめ、さまざまな場で説明を尽くしてもらう。
「組織的犯罪」との認識をかたくなに拒む岸田首相は、真相解明にも背を向けました。
田村氏はさらに、自民党の「聞き取り調査に関する報告書」には還付金(裏金)を議員本人が管理していたと答えた議員が12人いると指摘。確定申告に所得を含めず、所得税を逃れた場合の罰則について質問。国税庁の星屋和彦次長は「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の処罰に処す」と答弁しました。
田村 所得隠しも悪質な所得税法違反だ。(議員個人の)脱税の疑いもある。
首相 検察の捜査を通じて刑事責任は追及された。
田村氏は、世論調査(ANN、2月26日報道)では、キックバック(還付)を収支報告書に記載していなかった国会議員は「議員辞職する必要がある」と考える人が65%に上ることを挙げ、「犯罪をしておいて、議員を続けるのかという国民の声が示されている」と批判しました。
さらに田村氏は「選挙の年だけ増えた裏金は、選挙運動への寄付ではないか」と公職選挙法違反の疑惑もただしました。ところが岸田首相は「参院選挙の年の還付金等について、より詳細な事実関係の把握を求める声は承知している」と答弁するのみでした。
田村氏は「真相解明は国会にも問われている」と強調し、参院政治倫理審査会の全面公開での迅速な開催、裏金に関わった自民党参院議員ら32人の証人喚問などを求めました。
田村、企業・団体献金の全面禁止を。問われるのは自民党/首相、さまざま議論ある
「金権腐敗の根を断つには企業・団体献金の全面禁止しかない」―田村氏は、立場の違いを超えて企業・団体献金禁止を求める声が広がるなか、自民党が妨害者となっていると指摘。企業からの政治資金に依存し、政治をゆがめてきた自民党の本質を浮き彫りにしました。
政治資金パーティーは、政治家個人・派閥に対して禁じられている企業・団体献金の「抜け道」となってきました。岸田首相の資金管理団体の収入に占める政治資金パーティー収入の割合は、2022年には98%を超えます。
田村氏はパーティー券の多くを企業・団体が購入しているのではないかと追及。岸田首相は「多くの企業に参加いただいている」と認めました。
田村 政治資金パーティーの「抜け道」を使えば、どんどん資金を集めることができる。企業・団体によるパーティー券の購入も含めて企業・団体献金の全面禁止が必要だ。
首相 法律に従って対応しており、問題がない。
田村 パーティーに形を変えれば(資金を)集められる、その仕組みがおかしい。
首相 政治資金の透明性を高める努力をしなければならない。
岸田首相は、企業・団体献金禁止をかたくなに拒否。1970年の最高裁判決を持ち出し「企業の政治活動の自由との関係で献金は重要だ」などと述べました。
田村氏は、70年の最高裁判決後、国会議員が有罪となった贈収賄事件の数々を指摘(表)。90年代には一連の金権腐敗事件に対して企業・団体献金の廃止を求める世論が多数となったのに、94年に当時の細川護熙首相と自民党の河野洋平総裁が交わした合意で、政党・政党支部への企業・団体献金、パーティー券という抜け道を残してしまったと批判しました。
それから30年、この抜け道が金権腐敗の温床となっています。田村氏は「同じ轍を踏むわけにいかない」と主張。野党がそろって今国会で企業・団体献金禁止を求め、公明党も「禁止という方向を求めていかなければ」と述べているとして、「問われているのは自民党だ」「『抜け道』をふさぐ企業・団体献金の全面禁止を決断すべきだ」と迫りました。
ところが岸田首相は「透明性の向上」が必要などと繰り返すだけ。田村氏は「そもそも企業献金はどういう本質を持つのか」と指摘。岡原昌男元最高裁長官の「本来営利団体である会社だから…もうけにならぬことをやることは株主に対する背任になる。見返りを要求する献金だと涜職(汚職)罪になる恐れがある」(93年11月2日、衆院政治改革に関する調査特別委員会)との発言を紹介し、次のようにただしました。
田村 これが企業献金の本質である以上、金権腐敗の根を断つには廃止しかない。
首相 企業献金についてはさまざまな議論が積み重なって、現状の法律がある。
田村氏は、03年に経団連が「優先政策事項」に基づく事実上の自民党の政策評価と一体に、企業献金促進の方針を打ち出したことを指摘。当時の経団連会長が、朝日新聞の取材に「政治への影響力を行使しようという狙いか」と問われ「結局そういうことになる」とまで答えています。
田村 自民党への献金で政治を動かそうという、まさに国民の参政権の侵害だ。
首相 民主主義において法人の寄付を否定する理由はない。こういった議論もあった。
田村 企業・団体献金の全面的な禁止が問われているのに、自民党だけが答えない。ここに自民党の本質が表れている。
田村氏質問に反響/国民の願いに合致/自民党もう終わり
日本共産党の田村智子委員長が5日に行った参院予算委員会での質問を中継で見た視聴者から「迫力があって、すごい」など多くの感想が党本部に寄せられました。
鳥取県在住の女性は、自民党の裏金問題、金権・腐敗政治の根本にある企業・団体献金の禁止を主張した田村氏に「歯切れよく、緊張感のある質問で、見入ってしまった。自民党にはもう日本を任せておけないと思った」と強調。大企業の内部留保を活用した中小企業の賃上げについての共産党の提案を紹介した部分では「多くの国民の願いに合致している。政府のやろうとしていることは、格差をさらに広げるだけということがくっきり明らかになった」と述べました。
「防衛費43兆円の追及はよかった」(長崎県在住の女性)「岸田首相はまったく答えられない。ふざけてますね。もう自民党は終わりですね」(埼玉県戸田市在住の男性)などの反響もありました。
2024年3月6日(水) しんぶん赤旗
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件について、私は代表質問で自民党による組織的犯罪という認識があるかとお聞きしましたが、総理は答弁されなかった。まず、お答えいただきたい。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 組織的犯罪かという質問ですが、これについては、その定義については承知しておりませんが、いずれにせよ、こうした指摘を受けること、この事態が国民の皆さんに対して申し訳ない、深刻な事態であると受け止めております。真摯に反省し、おわびを申し上げる次第であります。
○田村智子君 自民党が二月十三日に示した調査結果では、一部の派閥が還付金を収支報告書に記載しないよう所属議員等事務所に指導していたとあります。
総務省に確認します。
収入がありながら政治資金収支報告書に記載しなかった場合、法律上どうなりますか。罰則も含めてお答えください。
○政府参考人(笠置隆範君) 個別の事案につきましてはお答えは差し控えさせていただきますが、その上で、一般論として申し上げますと、政治資金規正法におきまして、政治団体の会計責任者は、毎年十二月三十一日現在で政治団体に係るその年の全ての収入などを記載した収支報告書を作成をし、都道府県選管又は総務大臣に提出しなければならないと規定をされております。同法第二十五条におきまして、罰則というお話ございますけれども、故意又は重大な過失により収支報告書に記載すべき事項を記載しなかった者又は虚偽の記入をした者につきましては、五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する旨の定めがあります。
個別の事案が法の規定に抵触するか否かにつきましては、具体の事実関係に即して判断されるべきものでございます。
以上でございます。
○田村智子君 五年以下の懲役、百万円の罰金と。
総理、派閥が議員事務所に記載をするなと指導した、これは組織的な犯罪が行われたということではないんですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げたように、組織的犯罪という言葉の定義は承知しておりませんが、こういった事態を招いたこと、このことは深刻に受け止めております。おわびを申し上げるとともに、説明責任、政治責任、そして再発防止、党として真剣に取り組んでまいります。
○田村智子君 収支報告書に書くなと指導した、これは犯罪を指導したということになりませんか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) こういった、そういったこの経緯があったということについて、自民党も聞き取り調査等を通じて承知をしております。こういった事態に対して、再発防止の観点から何をするべきなのか、そして説明責任についても、この聞き取り調査で全て実態が把握できたものだとは我々も考えておりません。政倫審を始め国会の議論と併せて、党としても更なるこの実態把握のための取組を行ってまいりたいと考えています。
○田村智子君 違法行為をしろと指導した、誰がやったか確認しますね。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 引き続き、政倫審を始め様々な場で説明を尽くしてもらわなければならないと思っております。党としても、捜査権がないという制約のある中ではありますが、実態把握に向けて更に取り組んでまいります。
○田村智子君 もう一点聞きます。
聞き取り調査に関する報告書には、還付金を議員本人が管理していた十二名、自分の口座で管理していたと取材に答えた議員もいます。
国税庁、確定申告に所得を含めず所得税を逃れた場合、法律上どうなりますか。
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
一般論として申し上げますと、国税局に、国税当局におきましては、様々な、様々な機会を捉えまして課税上有効な各種資料情報の収集に努め、これらの資料情報と提出された申告書等を分析いたしまして、所得が過少に申告されているなど課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めることとしております。
その上で、税務調査の結果といたしまして、所得等が再計算された、再計算されまして、修正申告書が提出された場合には、法令上、原則として過少申告加算税が課せられることとなります。
○田村智子君 不申告の場合、罰則どうなりますか。
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたのは一般の税務調査の場合でございますが、特に悪質な脱税犯の場合、偽りその他不正の行為によりまして所得税を免れた者に対しましては査察調査を行い、検察に告発するということでございますが、この場合には十年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされております。
○田村智子君 所得隠しも悪質な所得税法違反になるんですよ。脱税の疑いもあるんですよ。
これ、二月二十六日の世論調査では、キックバックを収支報告書に記載しなかった国会議員は議員を辞職、辞職する必要がある、六五%に上ります。犯罪をしておいて議員を続けるのかという声が示されているんじゃないでしょうか。
私は、総理の基本姿勢に大変問題があると思う。違法行為、犯罪があった、この地点に立って事実解明を行うべきなんじゃないんですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 検察の捜査を通じて刑事責任は追及されました。しかしながら、政治家である以上、刑事責任以外にも説明責任、そして政治責任、道義的責任がある、これは当然のことであると認識をしております。
だからこそ、引き続きまして説明責任を尽くすことが重要だと申し上げているわけでありますし、党としても、政治責任について党として判断をしてまいります。
○田村智子君 もう一点、公職選挙法違反の重大な疑惑を指摘します。(資料提示)
参議院選挙の改選の年だけ裏金が膨れ上がる議員がこれだけいます。なぜ選挙の年に裏金が増えるのか、表に出せないお金が何に使われたのかが問われます。
総務省、候補者の選挙運動への寄附、支出、報告書に記載しなかった場合、法律上どうなりますか。
○政府参考人(笠置隆範君) 一般論として公職選挙法の規定について申し上げますと、同法第百八十九条におきまして、出納責任者は、選挙運動に関しなされた寄附及びその他の収入並びに支出について、所定の事項を記載をした選挙運動用、選挙運動費用収支報告書を提出することとなっております。故意又は重大な過失によりましてこの収支報告書に虚偽の記入をした者は、三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する旨の規定がございます。
個別の事案につきましては、具体の事実関係に即して個々に判断されるべきものと考えます。
○田村智子君 自民党の参議院選挙では、広島選挙区で表に出せない金がばらまかれた河井事件が現に起きたんですね。
選挙の年だけ増えた裏金は、選挙運動への寄附ではないのか、選挙運動に使われたのではないのか、これは公職選挙法違反の重大な疑惑になるんですよ。分かりませんでは済まされないんです。
徹底した事実解明行いますね。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) この実態解明については、もちろんこの関係者本人の説明、会見等が重要ではありますが、党としても実態把握をしなければならないということで、アンケート調査、そして聞き取り調査、これを実施いたしました。
聞き取り調査にしましても、内部だけではなくして、二つの弁護士事務所、七名の弁護士にも参加していただき、聞き取り調査を行い、そして取りまとめはこの弁護士の皆さんにお任せする、こういった聞き取り調査を行いました。
その中にあって、この捜査権がない中での調査、制約のある調査ではありましたが、使途に、資金の使途についても聞き取りを行い、違法な使途に使用した例は把握されなかったと承知をしております。
他方で、今委員がお尋ねのように、参議院選挙の年における還付金等についてより詳細な事実関係の把握を求める声がある、これは我々も承知をしております。聞き取り調査によってのみ説明責任は尽くされていると我々は申しておりません。
引き続きまして、政倫審を始め国会での議論もありますし、そして党としてもこれ実態把握に向けて更なる取組を進めていきたいと考えます。
○田村智子君 組織的犯罪の定義も分からないなんて答弁していたら駄目ですよ。それで本当に事実解明できるのかが総理に厳しく問われていますよ。
これは国会にも問われています。野党が求めている政治倫理審査会、迅速に公開で行うようこの場からも要望いたします。
あわせて、予算委員会での徹底審議が必要です。収支報告書不記載をするよう指示したのは誰か、裏金が何に使われたのかなど、自民党による事実解明の調査と本委員会への報告を求めます。また、裏金に関わった自民党参議院議員三十二人の証人喚問を求めます。
○委員長(櫻井充君) 後刻理事会で協議させていただきます。
○田村智子君 事実解明とともに金権腐敗の根を絶つことが必要です。そもそも政治資金パーティーとは何なのか。私たちは、政治家個人、派閥に対して禁じられている企業・団体献金の抜け道だと指摘をしてきました。
岸田総理の資金管理団体の収入に占める政治資金パーティー収入の割合、過去五年分示してください。
○政府参考人(笠置隆範君) 通告がございました岸田総理の資金管理団体である新政治経済研究会の収入に占める政治資金パーティー収入の割合について、政治資金収支報告書等の記載に基づいてお答えをいたします。
平成三十年分及び令和元年分につきましては、政治資金収支報告書の保存期限が過ぎておりますため、官報に掲載された収支報告書の要旨に基づいてお答えをいたしますと、平成三十年分の収入は約一億一千九百九十六万円であり、要旨からは全てが政治資金パーティー収入か、収入と断言することはできませんが、政治資金パーティー収入を含む機関紙誌の発行その他の事業による収入は約一億一千四百七十四万円で、その割合は九五・六%となっております。
令和元年分の収入は約一億三千六百八十四万円であり、同様に政治資金パーティー収入を含む機関紙誌の発行その他の事業による収入は約一億三千三百二十八万円で、その割合は九七・四%となっております。
次に、令和二年分から令和四年分につきましては、政治資金収支報告書の記載に基づいてお答えをいたします。
令和二年分の収入は約一億三千二百万円であり、そのうち政治資金パーティー収入は約一億二千七百九十二万円で、収入に占める政治資金パーティー収入の割合は九六・九%となっております。
令和三年分の収入は約一億五千四百九万円であり、そのうち政治資金パーティー収入は約一億二千七百二十六万円で、その割合は八二・六%となっております。
令和四年分でございますが、その収入は約一億五千七百六十五万円であり、そのうち政治資金パーティー収入は約一億五千五百九万円で、その割合は九八・四%となっております。
○田村智子君 これ、二〇二二年は九八%がパーティー収入なんですね。これ、一回のパーティーで、収支報告書を見ますと百五十万円、一年に複数回購入している企業も確認できます。
総理、ほかにも多くの企業が、あるいは業界団体がパーティー券購入しているんじゃないですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) ほかにも多くの企業が購入しているのではないか、これは収支報告書に法律に従って明らかにしております。
○田村智子君 それ、二十万円超えないと書かれないんですよ。だから、いっぱい企業や団体に買ってもらっていますよねという確認です。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) いっぱいという意味が分かりませんが、多くの企業に御参加いただいていると承知をしております。
○田村智子君 これね、五年間で七億円のうち六億六千万円近くがパーティー収入と。で、企業や団体に多くパーティー券買ってもらっていますと、そこから資金集めていますと。これね、政治家個人への企業・団体献金は禁じられている、だけど、政治資金パーティーという抜け道を使えば企業や団体からどんどん資金を集めることができると。で、この抜け道を最大限利用して巨額の金を企業、団体から集めて裏金までにしてしまったと。これが裏金事件の本質なんですよ。
だから、企業、団体によるパーティー券の購入、また政党と政党支部への献金も含めて、企業・団体献金、これはもう全面禁止することが必要だというふうに考えますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) いずれにせよ、私自身は政治資金パーティーについて法律に従って収支報告も明らかにしておりますし、内容については報告しているとおりであります。法律に従って対応しているものであり、その点においては問題がないと考えております。
その上で、今回、自民党の派閥の政治資金パーティーを舞台としてこの収支報告書の不記載等を通じた不祥事が発生した、このことについて、この実態をどう解明するか、そして説明責任、政治責任をどう明らかにするのか、再発防止をどうしていくのか、これをこの自民党としても党を挙げて取り組まなければならない課題として取り組んでいます。
こうした点、しっかり議論を整理した上でこの対応を考えてまいります。
○田村智子君 あのね、企業や団体から政治家個人にお金動かす、寄附をやる、これ駄目なんですよ、駄目。ところが、パーティーだという、形を変えればどんどん集められちゃうんですよ。それがおかしいじゃないかと聞いているんです。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 現状については、私自身、法律に従って対応しているということを申し上げたわけでありますが、それに加えて、今回の事態を招いたことについて、法改正自体、法改正自身をもう一度考えるべきではないか、政治資金の透明性を高める努力をしなければならないのではないか、こういったことについては自民党も全く同感であります。
だからこそ、政治資金の透明化に向けて、デジタル化や、あるいは外部の監査を導入するとか、さらには会計責任者だけではなくして政治家自身の責任も厳格化するべきではないか、こういった点について法改正を行うということについて確認をした上で今具体的な議論を進めています。
是非、こういった法改正についても今国会において実現するよう、自民党も議論を、議論に貢献いたします。
○田村智子君 それは一番の大本をそらした法改正ですよ。政治資金規正法は、政治資金は民主政治の健全な発達を求める国民の浄財だとしている。選挙の一票を持つのが主権者国民であって、資金力のある企業が金の力を使って政治活動をするということ、これは参政権の侵害に当たってしまう。だから政治家個人への企業・団体献金は禁じられているんです。だったら抜け道も塞ぐことが必要じゃないかと、こういう問題提起ですよ。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 企業・団体献金についてはこの国会においても様々な議論を積み重ねてきました。その中にあって、企業・団体献金、最高裁の判決においても、企業のこの政治活動の自由との関係において、献金、これは重要であるということ、さらには、この国会において度々引用されております平成元年の政治改革大綱においても、民主主義の基盤として法人は重要な役割を果たしており、法人の寄附を禁止する理由はない、こうしたこの内容が明記をされています。
そういったことから、まずは、この企業・団体献金について透明性を高めるところがまず第一歩として行わなければならないということで、先ほど申し上げました法改正、自民党としても行っていきたいと申し上げているところであります。
その上で、民主主義のこの政治を、その民主主義のコストをどのように支えるかという議論の中で企業・団体献金についても議論をしていくということ、これは自民党としても議論に貢献をいたします。
○田村智子君 総理は今の答弁でも最高裁判決と言うんですけど、これ一九七〇年ですよね。この最高裁判決後、国会議員が有罪となった贈収賄事件を調べてみると、こんなにあるわけですよ。ロッキード事件、リクルート事件、ゼネコン汚職事件等々ね。
もう七〇年の最高裁判決、これを持ち出すのは私は時代錯誤だと思う。恥ずかしいと思う。これ、まずやめるべきだと思う。どうですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) いや、最高裁判決、これは古いから意味がないというのは理屈に合わないと思います。
そうした最高裁の判決もあり、そしてその後も様々な事件が行われる中で、先人が政治改革大綱を始め様々なこの議論を行って考え方をまとめてきた。そういった中にあって、民主主義のコストをどう支えるのか。民主主義において法人というものの存在の大きさを考えますときに、寄附を一概に否定するものではないという考え方、こういったことが確認をされてきたわけでありますから、そういったその今日までの歩みについてもしっかり思いを致しながら、まず何をするのか。透明化をしっかり図った上で、その民主主義のコストをどう賄うかという議論も行っていく、これが順番ではないかと申し上げております。
○田村智子君 これね、だから、七〇年の判決で企業献金いいですよとやって、これだけ起きたんですよ。そのことを踏まえるべきですよね。
また、これ、これだけ起きて、特に九三年まで連続して起きて、この九三年には、一連の金権腐敗への国民の怒り、企業・団体献金の廃止を求める世論が沸騰したんです。日本経団連も一旦は自民党への企業献金のあっせん、やめざるを得ないほどの激変が走ったわけですよ。
しかし、国会では、当時の細川政権の与党と自民党の談合、これが繰り返されて、九四年一月、細川首相と河野洋平自民党総裁が、企業・団体献金は政治家個人への献金だけ五年後に廃止という合意をした。これで、政党、政党支部への献金、それからパーティー券という大きな抜け道が残してしまったんですね。それから三十年がたって、この抜け道が様々な金権腐敗の温床となってきた。これも明らかになった。
河野洋平氏は今日、当時の合意について、九四年の合意ですね、どのように述べているのか。衆議院のオーラルヒストリー、これ紹介していただきたいと思います。
○衆議院参事(片岡義隆君) 若干長くなりますけれども、該当部分を読み上げさせていただきます。
それは、企業献金を廃止するから、一方で公費助成をするというトレードオフの関係なのに、終わってみたら、こっちは取ってあっちはそのままという、今は当時の考えとは全然違う状況になっていますよね。
あの頃の細かいことを思い出してみると、政党助成をするにあたり幾らぐらいが適当か、結果、三百億ぐらいということになったけれど、あの根拠は、国民にコーヒー一杯だけ我慢してもらおうというのが事の起こりで、あの一番初めは、田川誠一さんがやったコーヒー一杯運動なんです。田川さんは個人の政治資金を、支持者にコーヒー一杯我慢して私に下さいという運動をやって、それが下地にあって、新自由クラブは一人二百五十円、コーヒー一杯の政治献金と言っていたんです。
それが耳に残っていて出てきたんです。それは、田川さんが言った後に武村さんも言い、それで何となく国民にコーヒー一杯、三百億と言われたんですよ。だから、あの三百億円というのは、本当は一億国民みんなから取るという話ではなくて、個人献金だったんです。
一方、企業献金の廃止は、個人献金に振り替えろという話はなかなか難しいだろうから、企業献金を止めて公費助成にしようということでした。だから、公費助成が実現したら企業献金は本当は廃止しなきゃ絶対におかしいんですよ。
しかも、激変緩和のため五年後に見直すと法律の附則に書いたのにスルーした。見向きもしないでスルーしてもう二十五年たったんだからね。
政治改革の議論が起こったときは、経団連も、傘下の会員に企業献金は慎もうと言っていたのに、最近の経団連は、自民党に献金してくださいと進んで言うようになっているからね。
この頃は、企業献金が多いから税制を始めとしていろいろな政策がゆがんでいる、庶民から企業の方へ政策のウェートがかかって、企業献金が政策のゆがみを引き起こしているから、それを止めろということだったのに、それが今またああいうふうになっているというのは、本当におかしいと思いますね。
以上でございます。
○田村智子君 政治改革国会と言われたその当時の自民党の総裁が企業献金についてこういう見解示しているんですよ、廃止されていなければおかしいじゃないかと。それ、どうですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) あの当時の議論を改めて思い返しております。私自身も国会議員なりたての頃でありますが、大変激しい議論が行われたことを振り返っております。あの中で、例えばこの民主主義のコストについても、公的助成が導入される、公的な助成が導入されるのであるならば、三分の一は公的助成、三分の一は企業からの献金、三分の一は個人からの献金、こういった構成が理想である、ああいった議論も行われていた、こういったことを改めて振り返っています。今、河野元議長の御発言もありました。改めて、あの時代、多くの関係者が様々な激しい議論を闘わした、こういったことを振り返っている次第であります。
こうした議論もありました。そして、委員が御指摘になりました最高裁の判決もありました。そして、政治改革大綱の議論もありました。様々な議論が行われた結果として、今の法律の体系が今残っている、存在していると考えています。
しかし、おっしゃるように、次々と様々な事案が発生している、こういった中でありますので、絶えず政治改革については考え続けていかなければならない、今回の事態に対しても法改正も考えていくことは重要だ、これは自民党も全く同感であります。
○田村智子君 三十年前は企業献金廃止の物すごい世論が起きたのに、これがねじ曲げられていった。同じ轍を踏むわけにはいかないんですよ。
もう全面的に、この裏金事件本当に反省するなら、抜け道を塞いだ企業・団体献金の禁止、これ自民党が決断すべきではないんですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 企業・団体献金については先ほど考え方を申し上げました。
現実にこうしたこの事態が生じているわけでありますので、この透明性の向上等、具体的な再発防止策について早急に国会において法改正を行うことが重要であると考えております。
○田村智子君 これまでもあるとおり、野党はみんな今企業・団体献金全面禁止求めている。公明党も、二月四日のNHK「日曜討論」で、禁止という方向は求めていかなければならないと発言をされた。問われているのは自民党なんです。どうしますか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 自民党の考え方は先ほど申し上げたとおりであります。
○田村智子君 では、もう一点。そもそも、じゃ、企業献金とはどういう本質持つか。
九三年十一月二日、衆議院政治改革に関する調査特別委員会で、元最高裁長官の岡原昌男氏は、本来営利団体である会社でございますから、非取引行為、つまりもうけにならぬこと、これをやることは株主に対する背任になります、もし見返りを要求するような献金でございますと涜職罪になるおそれがある、そういう性質を持ったものでございますと述べておられます。
利益につながらない献金は株主への背任となる、利益につながる見返りを要求すれば汚職のおそれがあると、これが企業献金の本質である以上、やはり金権腐敗の根を絶つには廃止しかないということだと思います。
重ねて伺います。いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 一つの考え方をお示しいただきました。
先ほど来申し上げておりますように、今日まで企業献金に向けては様々な議論が積み重なってきました。そして、現状の法律がある、制度があると考えております。
そしてしかし、こうした制度、これは永久に続けるべきものかどうか、これは絶えず見直していくべきものであると我々も考えます。今回の事態を受けて、より透明性を高めるなど、具体的な法改正、自民党も行っていくべきだと考えています。
○田村智子君 これ、企業献金の意味なんですけどね、今言った意味。
二〇〇三年、日本経団連は、優先政策事項に基づく政党の評価、これ事実上自民党の評価なんですよ、自民党の政策評価、これと一体に企業献金を促進する方針を打ち出したんです。当時の奥田会長は、朝日新聞の取材で、政治への影響力を行使しようという狙いかと問われ、結局そういうことになるとまで答えているんですよ。
つまり、自民党への献金で政治を動かそうという、これはまさに国民の参政権の侵害だと思いますよ。そうじゃありませんか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 当時の経団連の考え方について十分承知しているものではありませんが、先ほど来紹介している様々な議論の中にあっても、民主主義においてこの法人というのは重要な存在である、そして法人の寄附を否定する理由はないと、こういった議論もあったと承知をしています。そして、その結果として現在の制度があると認識をしています。
しかし、こういった制度とて、引き続き、どうあるべきなのか、絶えず政治改革について、改革について議論をしていかなければならない、これは当然のことだと思います。現状を受けて、自民党としてもこうした政治資金の透明性に向けて具体的な法改正を行ってまいりたいと考えております。
○田村智子君 透明性ではないんですよ。企業・団体献金の禁止、全面的な禁止、ここが問われているのに、自民党だけがこれに応えない。自民党だけなんですよ、その方向を向かないのは。ここに私は自民党という政党の本質が現れていると思いますよ。
企業からの政治資金に依存する自民党政治、それがいかに日本の経済や社会行き詰まらせてきたか、その質問に進みたいと思います。
資料を御覧ください。
経団連が最優先の政策として常に求めてきたのが、法人税率の引下げ、そして消費税の税率の引上げです。それに自民党は忠実に応えてきました。この結果、日本の経済はどうなったのか。昨年十二月、与党がまとめた税制改正大綱で、累次の法人税率引下げの効果、どのように評価しているか、紹介してください。
○政府参考人(青木孝徳君) お答えします。
委員御指摘の令和六年度与党税制改正大綱において、法人税率引下げにつきましては、我が国の法人税率はこれまで約四十年間にわたって段階的に引き下げられ、現在の法人税率は、最高時より二〇ポイント程度低い二三・二%、実効税率ベースでは二九・七四%となっている。こうした中、我が国の法人税収は足下の企業収益の伸びに比して緩やかな伸びとなっており、法人税の税収力が低下している状況にある。
平成二十八年度税制改正では、稼ぐ力のある企業の税負担を軽減し、前向きな投資や継続的、積極的な賃上げが可能な体質への転換を促す観点から、法人税率二〇%台の実現を目指し、平成二十七年度から平成三十年度にかけて実効税率ベースで四・八八%の税率引下げが行われることとなった。これにより、企業経営者がマインドを変え、内部留保を活用して投資拡大や賃上げに取り組むことが期待された。
しかしながら、この我が国においては、長引くデフレの中でのコストカット型経済の下で、賃金や国内投資は低迷してきた。賃金水準は実質的に見て三十年間横ばいと他の先進国と比して低迷し、国内設備投資も海外設備投資と比して大きく伸び悩んできた。その結果、労働の価値、物の価値、企業の価値で見ても、いわゆる安い日本が指摘されるような事態に陥っている。その一方で、大企業を中心に企業収益が高水準にあったことや、中小企業においても守りの経営が定着していたことなどを背景に、足下、企業の内部留保は五百五十五兆円と名目GDPに匹敵する水準まで増加しており、企業が抱える預貯金なども三百兆円を超える水準に達している。
こうした状況に鑑みれば、令和四年度税制改正大綱において指摘したとおり、近年の累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ないと記載されております。
○田村智子君 法人税率の引下げ繰り返したけれども、意図した効果を、成果を上げてこなかった。
総理も同じ見解ですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の与党税制改正大綱における、この近年の累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかった、こういった評価に関しては、平成二十七年度から三十年度にかけて法人税の実効税率の引下げなどが実施されてきたところ、企業の内部留保や現預金が増加する一方で、最近まで、コストカット経済の下、賃金や投資が伸び悩んできたこと、これが事実であるという、この評価であると思います。
まさにおっしゃるとおり、この企業の内部留保が賃金やそして投資に結び付かなければならないということで、今の政権において経済政策を進めているところであります。今、三十年ぶりの賃上げですとか、あるいは株価、あるいは投資の伸び、これが示されています。是非こうした企業の収益を投資や賃上げにしっかりと振り向けて、それを、それによって次の投資、次の消費、そして更なる投資、これにつなげていく、この好循環をつくることが大事だということで今経済政策を進めています。
御指摘の評価をしっかり踏まえた上で、賃金やあるいは投資、これがしっかりと引き上げられるような、投資と分配の好循環が実現できるような経済政策をしっかり進めてまいります。
○田村智子君 今効果がなかったと総理もお認めになった。これ、具体的な数字で私ももう一回見てみたいんですね。
過去三十年間、大企業の税の負担率はマイナス四二%、しかし、賃金の伸びは七・八%、設備投資の伸びは二〇%にとどまった。一方で、利益は四五二%、株主配当七八四%、内部留保二四一%と。
法人税減税は、結局、内部留保を増やしただけだった。しかも、消費税増税がセットだったために、実質賃金は大きく落ち込んで、家計消費は冷え込んで、日本の経済は長期に停滞した。法人税減税と一体の消費税の増税、この政策は効果がなかった、つまり失敗だったということではないんですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げたように、企業収益が投資や賃上げにしっかりと振り向けられてこなかった、そしてその賃上げが消費につながらなかった、そしてその消費の拡大が次の投資につながらなかった、その循環が完成しなかったことが問題であったと我々は認識をしています。
だからこそ、二年間、新しい経済、新しい資本主義ということで経済モデルを進めて、単にマーケットや競争に任せるんではなくして、官民の協力によってこの好循環を実現していこうと政策を進めてきました。三十年ぶりに明るい兆しが出てきた今、これを確実なものにするために経済政策を進めなければならないと申し上げております。
是非、先ほどの与党税制調査会、税制改正大綱のこの評価、これもしっかり踏まえて、この今の経済政策をしっかり進めて経済の好循環を実現して、三十年ぶりのデフレからの完全脱却、実現しなければならないと強く感じております。
○田村智子君 成果が上がらない、失敗だったと事実上お認めになっている。
だったら、体力のある法人税に対する減税は見直す、そして消費税は減税に踏み出す、この政策転換が必要なんじゃないんですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) いえ、先ほどから申し上げておりますように、なぜ賃上げやあるいは投資に収益が向かわなかったのか、価格転嫁が十分進まない、こういった経済の状況など様々な環境整備に問題があったということで、今価格転嫁等も進めながら賃上げを最重要課題として経済政策を進めています。
それを一つの突破口として、分配と成長の好循環、これを実現し、なおかつ、これを持続可能な恒常的な循環にしていかなければならないということで、今年が正念場だと、来年につなげるための正念場だということで、様々な賃上げ政策と、そして可処分所得の引上げのために所得税減税を始めとする政策も用意をした。こういった政策を総動員することによって好循環を実現して、経済成長につなげていきたいと考えています。
○田村智子君 それは効果がない政策をそのままずるずる続けていくというようにしか聞こえないんですよ。だって、消費税導入後、法人税の税収というのは三百十九兆円も穴が空いたんですよ。税率を引き下げた、景気も悪くなったから減収もあった。一方、消費税の増収、税収総額五百三十九兆円ですが、結局、法人税の減収の穴埋めになったと言うほかないんですよ。経団連の要求最優先として、国民の側は消費税の増税常に反対した、だけどその声聞かなかった。そのことが、皆さんも認める、効果のない、そしてあの法人税改革になっちゃった、経済を行き詰まらせた。私はこのことを認めるべきだと思う。
そして、今賃上げという話もあったんで、賃上げ政策も見てみたいんですよ。賃上げ減税、これが大きな柱ですよね、今も、賃上げ減税。だけど、税制改正大綱では、中小企業の六割がいまだ欠損企業で、つまり赤字企業で、税制措置のインセンティブが必ずしも効かないと書いてあるんですよ。
これも、総理、同じ認識ですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 中小企業、赤字企業が多いという御指摘、そういった御指摘は我々も認識をしておりますが、だからこそ、賃上げ税制についてもより拡充しなければいけないということで、赤字の中小企業でも活用できる賃上げ税制を今年度用意を、来年度に向けて用意をしている、こういったことであります。
この五年間、中小企業向けに税額控除の繰越措置を創設する、現在赤字の中小企業にも税制措置のインセンティブが効くように見直すなど、この現状、赤字法人も多い中小企業にもしっかり活用してもらえる賃上げ税制を用意した、こういったことであります。
是非、活用することによって中小企業にも賃上げに向けて前向きに取り組んでもらうことにより、経済の好循環、実現してまいります。
○田村智子君 賃上げ減税というのは、アベノミクスが始まった二〇一三年度から延々続いているんですよ。しかし、実質賃金二十一か月連続のマイナスで、年三十万円も減ったんですよ。雇用者数七割を占める中小企業に効果がなかったことは明らか。で、赤字の企業も五年のうちにって、黒字になったらって、これで今赤字の企業が賃上げできるかって話なんです。
中小企業家同友会、賃上げのために社会保険料負担の一部免除を強く要望しています。日本商工会議所、業務改善補助金、賃上げ減税税制等のほか、新たな助成制度の創設を含め、中小企業の賃上げを後押しする制度をと求めています。これは、現行制度では無理だと、新たな賃上げの直接助成が必要だという声ではないですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 政府においては、そういった考え方は取っておりません。
賃上げ税制効かないという御指摘があった。だからこそ、先ほど申し上げました賃上げ税制についても拡充をしたわけでありますし、中小企業の賃上げを実現するためには労務費を始めとする価格転嫁が重要だということで、公正取引委員会、中小企業庁を始め政府を挙げて価格転嫁にも取り組んでいるところでありますし、そして、中小企業にも賃上げの原資となる稼ぐ力を持ってもらわなければいけないということで、省力化投資など生産性向上に向けて様々な政策も用意をしているということであります。
多くの国民が求めているのは、物価高に負けない賃上げであると思います。この賃上げ実現のために、中小企業、零細企業にも協力をしてもらいながら、経済の好循環、実現してまいります。
○田村智子君 それはやっぱり中小企業の声聞いていないんですよ、直接助成、これだけ求めているんですから。
GDPに匹敵する内部留保をどうやって還流するのかということを与党税制改正大綱で注目している、自民党も注目している。ならば、これを原資として中小企業が求める新たな賃上げ直接助成、私はここにもう踏み出すべきだと思うんですよ。いつまで効果のない政策にしがみつくのかということが問われていると思いますよ。どうですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 効果がないとおっしゃいますが、今、三十年ぶりに賃上げも株価も投資も明るい兆しが出てきている、これを是非維持して来年につなげていかなければならないということで、先ほど来の政策、政策を総動員してこの好循環を盛り上げていこう、これ官民挙げて今取り組んでいるところであります。この流れ、兆し、これは大事にしていかなければならないと思いますし、今年は来年にこうした流れをつなげられるかどうか、正念場であると認識をしています。
是非、政策を用意したわけですので、これを実施することが何よりも大事であると思っています。
○田村智子君 効果がなかったというふうに税制改正大綱で皆さんが認めているんですよ、皆さんが認めている。法人税減税とセットで消費税の増税、これが経済の停滞をもたらしたのは明らかですよ。そしてまた、中小企業は直接の賃上げ助成を求めている。
私たちは、全ての中小・小規模事業者への賃上げの助成、これやろうよと、最低賃金千五百円と、内部留保の活用だと、アベノミクスで積み増した分、期限区切って課税して賃上げ助成の財源にしようよと、何度も求めている。これは中小企業の声でもあるんです。だけど、破綻した政策にばかりしがみついている。本当にこのままでは日本の経済も国民の暮らしも深刻な行き詰まりになってしまうということは厳しく指摘したいというふうに思います。
次に、今日どうしても男女賃金格差の是正についてお聞きしたいんです。
内閣府男女共同参画局の下に、輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会というのがつくられています。加藤大臣、これはどういう会でしょうか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答え申し上げます。
輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会は、女性活躍を推進するためには組織トップのコミットメントが重要という思いを持つ企業経営者らが集い、平成二十六年に発足したものです。本会では、男性リーダーが自ら取り組むことを表明する行動宣言を策定しており、令和六年一月末現在、この行動宣言に賛同した三百二十三名の企業経営者、地方自治体首長等が参加をしています。
本会参加者は、リーダーミーティング等の機会を通じて情報交換を行うなど、協力して自らの組織の女性活躍推進に努めています。また、地方における地域シンポジウムの開催等を通じて、広く社会における女性活躍の機運を高めています。
○田村智子君 私も、経営者が企業におけるジェンダー平等を意識的に進めるということはとても重要だというふうに思います。
昨年十一月、このリーダーの会では男女賃金格差がテーマとなっています。どういう意見が出されたのか、お答えください。
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
令和五年十一月一日に開催されました第十一回輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会リーダーミーティングでは、男女間賃金格差の要因と解消のための取組に関して参加者同士による議論が行われました。
その中では、男女賃金格差の数値、男女間の管理職等への登用状況の違いやコース別人事、またメンバーシップ型雇用とジョブ型雇用の違い等について議論がございました。
中でも、多くの参加者から、同じ職階であれば男女間の賃金格差はほとんどないものの、管理職における女性比率の低さが男女間の賃金格差の大きな要因であり、女性登用をいかに進めるかが問題解決の糸口になるとの議論がなされました。
○田村智子君 これ、今読んでいただけなかったところに、表面上の数値的な男女差ではなく、その背景にある要因と構造の改革、これが必要だという、そういう意見の取りまとめありますよね。
私、ここ非常に重要だと思うんですよ、構造の改革。この問題意識で、女性活躍推進法に基づく企業ごとの男女賃金格差の公表データ、これ見てみたいと思うんです。
男性リーダーの会に参加をしている企業の一つ、鹿島建設、男女賃金格差のデータ、どのように公表されていますか。
○政府参考人(堀井奈津子君) お答えいたします。
女性の活躍推進企業データベース、これ女活データベースなどと略しておりますが、このデータベースで公開をされている田村委員お尋ねの鹿島建設の男女間の賃金差異の内容につきましては、二〇二二年四月一日から二〇二三年三月三十一日までの期間で、全労働者が五六・二%、全労働者のうち正規雇用労働者が五六・四%、全労働者のうち非正規雇用労働者が五三・六%と公表されていると承知をしています。
なお、説明欄におきましては、同一労働において賃金の差異はなく、採用区分、等級別の人数構成等の差によるものであると説明をされていると承知をしております。
○田村智子君 これ、女性の賃金は男性の六割に達していないんですね。同一労働で賃金の差異はない、採用区分の差だというんですけれども、これでは格差の原因が分からないんですよ。
厚労省、この採用区分というのは何なんでしょうか。
○政府参考人(堀井奈津子君) 女活データベース上の説明欄といいますのは、男女間の賃金差異の内容について追加的な情報を企業が任意で記載を、掲載をするということになっております。
そして、企業がそれぞれの御判断で注釈・説明欄で御記載いただいた内容についてお答えをすることは差し控えたいと存じますが、その上で、女性活躍推進法における雇用管理区分につきましては、職種、資格、雇用形態、就業形態等の労働者の区分であって、当該区分に属している労働者について他の区分に属している労働者とは異なる雇用管理を行うことを予定して設定しているものをいうとされております。一般的にはこうした雇用管理区分を指すことが想定されるところでございます。
○田村智子君 これ、一般的に、例えば総合職、一般職で給与体系も違うということなんですよね。
そうすると、鹿島建設の公表データでは、総合職の女性八%、一般職は九三・五%、総合職と一般職の賃金格差がそのまま男女賃金格差になっているんですよ。これは採用区分の差であって女性への差別ではありませんよという説明なんですけれども、それでよいのかが問われているんです。
同じく男性リーダーの会参加企業、積水ハウスの男女賃金格差はどうですか。
○政府参考人(堀井奈津子君) 女活データベースで公開をされております田村委員お尋ねの積水ハウスの男女間賃金差異の内容につきましては、二〇二二年二月一日から二〇二三年一月三十一日までの期間で、全労働者が五三・〇%、全労働者のうち正規雇用労働者が五八・一%、全労働者のうち非正規雇用労働者が三八・〇%と公表されていると承知をしております。
なお、説明欄におきましては、男女間賃金差異の要因を詳細に分析をした内容が記載をされているとともに、それを踏まえた今後の対策についても記載をされているというふうに承知をしております。
○田村智子君 積水ハウスの読みますと、二十年前から問題意識を持って、二〇〇五年から女性総合職を積極的に採用し始めたとあるけれども、賃金は正規雇用で男性の六割に届かないんです。総合職の女性比率見ると一四%なんですね。総合職で女性が働き続けることが困難だということの分析もあります。
今見たように、コース別人事が男女賃金格差を固定化する間接差別になっているんじゃないか。男性リーダーの会の議論で、構造の改革というのはこういう間接差別をどうやってなくすのかということじゃないかと思いますが、加藤大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答えを申し上げます。
労働者の職種等に基づき複数のコースを設定しコースごとに異なる雇用管理を行ういわゆるコース別雇用管理につきましては、それそのもの自体が間接差別に当たるものではないと承知をしてございます。
その上で、一般論で申し上げれば、企業の雇用管理が実質的に性別を理由とした差別となっているなど、男女雇用機会均等法に照らして問題がある場合には、厚生労働省から企業に対し、助言、指導等の必要な対応を行っているものと承知をしてございます。
私の立場としましては、女性の管理職比率向上のための取組や、出産や育児に関係なく男女共に働き続けられる職場環境整備など女性の登用に向けた様々な取組を政府全体として総合的に進めてまいります。
○田村智子君 それでは格差是正にならないですね。
これ、総理にお聞きしたい。
男女で異なる給与体系にしていたら違法な直接差別です。そういう給与体系はない、これらの企業も報告しています。それでも格差が大きい。それはコース別人事で間接差別を温存しているからではないですか。多くの、特に大企業に同じ問題があります。個々の企業任せではなくて、政府として、職場における間接差別をなくす、これ政策に据えること必要じゃないですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 男女雇用機会均等法、これでは、企業が労働者の募集や採用に当たって、労働者の身長、体重、体力を要件とすることなどに合理的な理由がない場合、間接差別として禁止をしています。そして、今御指摘があるこのコース別人事とは、この複数のコースを設定し労働者の雇用管理を行うものであり、それ自体が直ちに問題になるものではないと考えます。
一方、このコース別雇用管理の運用が男女雇用機会均等法に照らして問題がある場合、これは、企業に対して助言、指導を行うなど、今、加藤大臣からもありました、厚生労働省において必要な対応を行っていく必要があると考えています。
○田村智子君 これ、国連の女性差別撤廃委員会からも、こういうコース別人事制度等々も取って、とにかく、雇用における間接差別、これの認識不足が日本政府にはあるということが繰り返し指摘されているんですよ。だって、このコース別人事制度を取っていたら、いつまでたっても格差是正になっていかないんですよ。なっていかないんですよ。
かつては、事務職の募集は女性のみとか、男女別の定年制度、給与体系、こういう直接差別許されていました。女性たちは裁判で闘って、また男女雇用機会均等法などによって直接差別は違法だというふうにしてきました。しかし、それだけでは格差は解消しない。今問われているのは間接差別をどうやってなくすかということなんです。
今言っている総合職、家庭を顧みず残業も単身赴任もこなすのが当然、ここには、家庭のことは女性だという性別役割分担の考え方、根深くありますよ。だから総合職に女性が圧倒的に少ない。そしてまた、非正規雇用あるいは一般職、圧倒的に女性が多くて、賃金が安いことが当然とされている。そこには家計補助的な働き方でよいですよという女性の位置付けがある。
こうした間接差別をなくすということを政治の課題に据えることが必要ではないですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員も今まさにおっしゃったように、企業内のこの男女間賃金格差、これは当該企業におけるこの女性管理職比率の低さ、こういったものもあり、様々な要因があるものと考えます。
ですから、先ほどのこのコース別人事の運用の仕方も含めて、この男女間賃金格差の縮小に向けてどのような取組が効果的なのか、これは政府としてもこの検討を続けてまいりたいと考えます。
○田村智子君 このコース別人事等々の間接差別という、この認識持つことが私は必要だと思う。
ちなみに、男性リーダーの会参加企業の清水建設、男女賃金格差のデータ公表していないんですよ。これ、データ公表しなければ、今のような分析もできません。
女性活躍推進法は二〇二五年が期限となります。企業に対して、男女賃金格差のデータの公表に加えて、格差の要因分析、格差是正の計画の公表を義務付ける、そして政府が奨励と監督を行う、名称も職場におけるジェンダー平等推進法にするなど、直ちに検討してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 岸田政権では、令和四年に従業員三百一人以上の民間企業を対象に男女間賃金格差の情報公表を義務化するなど、これまでも、女性活躍の推進に様々な対策、これを進めてきました。
この男女、失礼、女性活躍推進法、これ令和八年三月三十一日までの時限立法ですが、今後更なる女性活躍推進の在り方については、現在、厚生労働省において有識者による検討会を開催し、女性活躍推進やハラスメントに関する現状や論点、方向性などについて専門家の知見を踏まえた検討を進めていると承知をしています。
政府としては、引き続き女性活躍の推進に向けた施策の充実図ってまいります。
○田村智子君 残された時間、軍事予算のことについてお聞きします。
安保三文書の閣議決定から一年。来年度予算案は、閣議決定前より二・五兆円規模で軍事予算を増やすというものになっています。これは、大学など高等教育の学費半額、入学金の廃止、小中学校の給食無償化、全部できてお釣りが来る予算規模なんですね。
総額八兆円に迫る軍事予算は、子育て支援、暮らしの予算と矛盾するものではないですか。
○国務大臣(木原稔君) まず、防衛予算のことですので私の方からお答えさせていただくと、令和六年度予算案については、整備計画期間内の防衛力抜本的強化実現に向けて、令和六年度において必要かつ十分な予算を確保するという考えの下で、整備計画対象経費として歳出ベースで七・七兆円、SACO、米軍再編関係経費を含めると七・九兆円を計上したところでございます。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 防衛力強化と子ども・子育て政策、これ矛盾するのではないかという御指摘ですが、これ、防衛力の抜本的強化と子ども・子育て政策の抜本強化、これはどちらか一方などという二者択一の問題ではないと認識をしています。これは共に我が国の未来にとって大切な課題であります。
我が国の国民の命や暮らしを戦後最も厳しく複雑な安全保障環境にあるこの東アジアの環境の中でしっかり守っていくためにはどうあるべきなのか、これは政府の責任として誠に大きな責任であります。そして、我が国の少子化そして人口減少、こうしたものは我が国のこの経済や社会制度の持続可能性に関わる重大な課題であります。共に政府の責任としてしっかり取り組んでまいります。
○田村智子君 いや、財政として圧迫しているのは明らかでしょう。だって、子育て支援で新たな負担さえ求めるなんていう、そんな議論になっているんですから、大きな圧迫ですよ。しかも、北東アジアの軍事対軍事の悪循環、加速することになるんじゃないかと、安全保障上の問題も私たちは指摘してまいりました。
そして、今防衛省が、防衛力の抜本的強化に関する有識者会議、これを使って、五年間で四十三兆円ということさえも突破する天井知らずの大軍拡の議論、これ始めようとしているんじゃないのかと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(木原稔君) 御指摘の有識者会議でございますが、戦略三文書にこれ基づいた防衛力の抜本的強化を実現していくということに当たって、各界を代表する有識者や専門家の方々から政策的な助言を得るために防衛省において開催したものであります。
その上で、防衛力整備計画の四十三兆円程度という規模でございますが、防衛力の抜本的強化が達成でき、防衛省・自衛隊として役割をしっかり果たすことができる水準としてお示しし、閣議決定された金額でございます。この範囲内において必要な防衛力の強化を着実に行っていくこと、これが防衛省の役割であると考えておりまして、有識者会議の皆様方から専門的な知見をいただきながら議論を深めていきたいと思っております。
○田村智子君 第一回有識者会議、防衛省の説明資料、御議論いただきたい事項、説明してください。
○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
第一回の有識者会議の資料におきます御議論いただきたい事項でございますけれども、次の三点でございます。第一点目といたしましては、防衛力の抜本的強化と経済成長の好循環を生み出すことについての御意見。二点目といたしまして、特に防衛力の抜本的強化の実施と経済財政基盤の強化との両立のための方策について。そして、第三点目でございますけれども、為替変動、物価高、人件費の上昇が装備品調達へ与える影響等も考えていくべきではないか。
以上でございます。
○田村智子君 これ、特に三点目見れば、際限のない軍備拡大、軍事費増、こういう議論、防衛省自身求めるものじゃないんですか。
○国務大臣(木原稔君) 為替変動であるとか、あと物価高、人件費の上昇というのはいろんな業界で言われている、そういうところでございます。防衛省・自衛隊としても、こういった厳しい状況において、効率化、合理化の取組を行いながら、防衛力整備計画の四十三兆円程度の範囲内でいかに対応するかなどについて議論することが重要であると考えていることから、このように記載をさせていただいたところであります。
その上で、本有識者会議ですが、あくまでも戦略三文書に基づき防衛力の抜本的強化を実現するに当たって、各界を代表する有識者、専門家の方々から政策的な助言を得るために開催したものでありまして、おっしゃるような際限のない軍拡という御指摘には当たらないと考えております。
○田村智子君 既に、座長の榊原経団連名誉会長は、四十三兆円の見直しをタブー視せずと発言しています。そして、有識者会議の役割は政策に反映させるためなんですよ。それが有識者会議じゃないんですか。
○国務大臣(木原稔君) 有識者会議でございますけれども、これは、防衛力の抜本的強化を実現していくために、各界を代表する方々から専門的な知見や様々なアドバイスをいただきながら、この四十三兆円の範囲内で、いかにそういった社会的な情勢、物価であるとかあるいは原材料高とか為替とか、そういったものをクリアしていくか、そういうための助言を得るための場でありまして、御指摘のような御批判には当たらないかなというふうに考えております。
○田村智子君 防衛省の有識者会議のその設置の目的の中に、政策に反映させるためって書いてあるんですよ。座長が四十三兆円タブー視せずと言っているんですよ。しかも、この有識者会議の部会のメンバーに、昨日も指摘ありました、三菱重工の現職の会長が入っていると。
改めて確認します。三菱重工は防衛省からの受注トップの企業で、長射程ミサイルの開発、量産、これ受注していますね。
○国務大臣(木原稔君) 三菱重工業でございますけれども、スタンドオフミサイルの整備に関する各種事業について幾つかそういう契約をしております。
主な事業としましては、一二式地対艦誘導弾能力向上型の開発、量産であったり、あるいは島嶼防衛用の高速滑空弾の量産、島嶼防衛用高速滑空弾能力向上型の開発等がございまして、いずれもこれは我が国の防衛また防衛力の抜本的強化にとって必要な事業というふうに認識しております。
○田村智子君 三菱重工軍事部門での売上げ、二〇二七年三月までに二二年三月の二倍、一兆円規模になると、これ安保三文書のおかげなんですよ、こう見込んでいます。そして、自衛隊からの天下りもトップの企業なんですよ。
総理、昨日も聞かれていましたけど、こういう企業がタブーなく軍事費の議論をするという有識者会議のメンバーだというのは、私は異常だと思う。いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 有識者会議の中に、メンバー、二十人近いメンバーの中に防衛産業の現場の関係者が入っているということ、これは、従来から申し上げておりますように、我が国の防衛体制、総合的な防衛力を考える上において、これは決しておかしなことではないと考えております。人選については防衛大臣から度々この答弁させていただいているとおりであります。
○田村智子君 大軍拡で最も利益を得る企業が、四十三兆円にとらわれることなく、タブーなく、軍事費についても軍事装備品についても議論しようという会議のメンバーなんですよ。これが異常だというふうに判断できないとしたら、私は岸田政権はたがが外れているというふうに言わざるを得ないですよ。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほども防衛大臣から答弁させていただきましたように、これ有識者会議、これ防衛費の増額を議論する場ではありません。これ、防衛整備計画に定められた四十三兆円程度の規模、これを超えることなくこの強化を着実に進めていくためにはどうするべきなのか、これが有識者会議の責任であると申し上げております。
○田村智子君 そんなこと書いていないじゃないですか、御議論いただきたいこと。四十三兆円の枠内でなんて書いていないじゃないですか。
○委員長(櫻井充君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(櫻井充君) 速記を起こしてください。
時間を過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) はい。
四十三兆円規模を超えることはないと考えておりますし、御指摘の点の中に四十三兆円を超えて整備をするというような内容は含まれていないと認識をしております。
○委員長(櫻井充君) 時間が来ております。
○田村智子君 安保三文書のときも、有識者会議の報告を受けた途端に敵基地攻撃能力の保有というふうにかじ切ったんですよ。今度また有識者会議に議論させて、もう際限ない軍拡と、こういう道は本当に日本国憲法ともそして暮らしとも両立し得ない、このこと申し上げて、質問を終わります。