活動報告

活動報告
女性公務員、非正規・低賃金は間接差別/大幅賃上げ/格差なくせ/参院予算委で田村副委員長、経済政策転換迫る

 「財界・大企業の要求に応え『人件費コストカット』にひた走った結果が、今日の経済停滞だ」―。日本共産党の田村智子副委員長は28日の参院予算委員会で、「人件費コストカット」で非正規雇用を拡大させてきた経済政策の転換を迫るとともに、男女賃金格差の是正を求めました。

 田村氏は、自民党政治のもと、この30年間、正社員のリストラ・非正規雇用への置き換えなど「人件費コストカット」が行われてきたと指摘。非正規雇用の拡大は民間企業だけでなく、公務員でも同様の問題だとして、公務職場の男女賃金格差の実態を告発しました。

 田村氏が全省庁に問い合わせ独自に調べた「国の公務員の男女比(2022年度)」(表)によると、正規職員数は、男性約20万人、女性約5万9000人なのに対し、非正規職員数は、男性約3万人、女性約6万人となっています。さらに、女性の非正規公務員の平均賃金は254万円で、民間の非正規労働者全体の平均賃金よりも50万円も低いことが判明しました。

 田村氏は、「ここまでの男女格差に衝撃を受けた。女性への間接差別そのものではないか」と追及。地方公務員も非正規雇用の75%が女性だとして、「まずは公務職場で最低賃金を1500円にして非正規の大幅な賃上げを行い、間接差別をなくすことで模範を示すべきだ」と求めました。

 河野太郎国家公務員制度担当相は、「任用は適切に行われている」「間接差別という指摘はあたらない」と繰り返し、まともに答えませんでした。

 田村氏は、非正規公務員は極めて専門性の高い仕事を担う一方で、3年ごとに公募に応じ、採用されなければ働き続けられないと指摘。「安心して働き続け、経験や専門性を評価して賃金が上がる仕組みに踏み出すべきだ」と迫りました。

 田村氏は、非正規は公務・民間も「ハラスメントを問題にしたら契約更新されない」「育児休暇を申請したら次の契約がない」などの不安を抱え、短期契約がゆえに「ものが言えない」弱い立場に置かれていると強調。「これは、非正規で働く多くの女性たちにとって、生活の安定だけでなく、個人の尊厳にも関わる問題だ」として、恒常的業務の細切れ契約を禁止するよう重ねて求めました。

 

論戦ハイライト/岸田首相の無責任ぶり浮きぼり/田村副委員長の質問/参院予算委

 28日の参院予算委員会で質問に立った日本共産党の田村智子副委員長。イスラエル・パレスチナ紛争の即時停戦や、人件費をコストカットしてきた経済政策の抜本転換、自民党5派閥の政治資金問題の徹底解明を求めました。岸田文雄首相は田村氏の提案や追及に正面から答えず、無責任な答弁に終始しました。

イスラエル/ガザ攻撃止めよ、主張を/首相〝以前と事案性格違う〟
 イスラエルによるガザ攻撃は、戦闘中断が2日間延長されたものの、極めて緊迫した事態となっています。田村氏は「戦闘中断を停戦にと、いま強く求めるべきだ」と主張しました。
 岸田首相は「停戦が一朝一夕になるとは期待できない」としつつ、「人道的休止をできるだけ長期なものにすることによって、事態の鎮静化につなげていく外交努力を続けていきたい」と述べました。
 田村氏は、国連安全保障理事会が22日に国連機関から受けた報告では、ガザで殺害された人の7割近くが女性と子どもだと指摘。次のように迫りました。
 田村 なぜ国際法違反だと批判しないのか。
 上川陽子外相 個別具体的な事情を十分に把握しているわけではないから、確定的な法的評価は差し控える。
 田村 「国際法違反」と言えないのなら、「国際法を守れ」と言うことにどういう意味があるのか。
 田村氏は「問われているのは国連憲章と国際法を守れという一貫した立場に立つのかどうかだ」と述べ、イスラエルが国際法違反の攻撃を宣言していることに沈黙する岸田首相の態度を厳しく批判しました。
 さらに田村氏は、1973年の二階堂進官房長官(当時)の中東問題に関する談話(表①)を示し、日本政府が、歴史的にパレスチナ人民を殺害・追放し土地を奪ってきたイスラエルの行為を許されないものと明言していたと指摘し、次のように追及しました。
 田村 73年の時のように毅然とした姿勢で、イスラエルに攻撃をやめなさいと直接言うべきだ。
 首相 当時とは事案の性格、関係者の意図は全く異なっている。
 田村氏は、第2次安倍政権以降、ネタニヤフ首相と急接近し、戦争犯罪をやめろと言えない政府になってしまったことは「あまりに情けない」と批判。「ガザが『子どもの墓場』になることに沈黙することは許されない」「『ジェノサイドを許すな』『即時停戦を』と求めることが必要だ」と訴えました。

経済/消費税減税検討求める/首相、従来の説明で検討拒む
 「岸田政権の経済対策は、どういう現状認識に基づくものか」―。田村氏は、岸田首相の経済対策を真正面からただし、その転換を迫りました。
 ところが岸田首相は、30年ぶりの賃上げなどの取り組みで「ようやく明るい兆しが出てきた」と述べ、これまでの経済政策の説明を繰り返すばかり。田村氏は、企業の人件費の総額である実質雇用者報酬が今年7~9月期は、コロナ危機の2020年4~6月期よりも落ち込んでいることを挙げ、「くらしに対する危機感において、国民と岸田内閣との間に大きなギャップがある」と批判しました。
 その上で田村氏は、時事通信の世論調査で消費税減税に「賛成」が約6割、自民支持層でも半数近くが「賛成」だとして次のように迫りました。
 田村 これまでにない世論の表れ、国民の悲鳴の表れだ。この声にこたえて消費税減税を検討すべきだ。
 首相 給付と減税の組み合わせ、官民の連携が重要だ。
 従来の説明を繰り返して検討を拒否する岸田首相。田村氏は「その説明を再三聞かされた上での、世論調査の結果だ」「1回こっきりの給付金、1回こっきりの減税ではだめだ」と重ねて消費税減税の検討を求めました。
 さらに田村氏は「賃上げも、これまでの延長線の政策では物価高騰に到底追い付かない」と強調。日弁連のシンポジウムに参加した自民党の務台俊介衆院議員が、中小企業への賃上げ支援の財源について「大企業の内部留保が500兆円近くある。それを活用したらどうか」と発言したことを紹介。共産党の内部留保への一部課税の提案が自民党内でも議論されているとして、次のように指摘しました。
 田村 大企業は利益を増やし、ただただ内部留保を膨張させる。これが健全な経済の姿なのか。
 首相 賃上げに向けて好循環をつくることが、内部留保の活用につながる。
 田村氏は「風が吹いたらおけ屋がもうかるような話だ」と批判。「内部留保を労働者の賃金へと還元する仕組みをつくることが政治の責任だ」と重ねて強調しました。

パー券/ウラ金づくり疑惑濃厚/首相「各団体が説明をして」
 田村氏は、自民党5派閥の政治資金パーティー収入約4000万円を政治資金収支報告書に記載していなかった問題について、「しんぶん赤旗」日曜版の報道を示して追及。「『赤旗』の指摘直後に訂正したのが一目瞭然だ。おもてに出なければ隠すつもりだったのか」と迫りました。(表②)
 田村氏は、「赤旗」報道は政治家の政治資金収支報告書と政治団体の政治資金収支報告書を照らし合わせた結果で、企業の購入分は分からないと指摘。「企業分を含め、パーティー券収入の全体の調査を指示したのか」とただしました。しかし岸田首相は「記載漏れを指摘され、(自民党)幹事長に指示をした」と言うだけ。田村氏は「特捜検事も務めた元自民党衆院議員らからも〝収入を少なく記載して裏金になっている〟との指摘もある」と述べ、次のように迫りました。
 田村 調査もせず、なぜ裏金がないと言えるのか。
 首相 指摘を受け、訂正した範囲内で裏金はない。各政治団体が説明してもらいたい。
 田村 指摘がなければいくらでも隠せる。
 何を聞いても調査をするとは言えない岸田首相。田村氏は「説明の前に調査だ」と重ねて強調しました。
 さらに、田村氏は、1994年の政治資金規正法改定で企業・団体献金は廃止の方向に踏み切るとしたものの、政党支部への献金、政治資金パーティー券の購入の二つの抜け道が温存されたと指摘。そのため、94年当時はパーティー券収入が企業・団体献金の4分の1だったのが、2019年には逆転して企業・団体献金の2倍に膨らんだと指摘しました。
 田村 岸田首相の政治資金パーティーでは収入に対する支出が1割にすぎない。企業はどんな対価性を期待するのか。
 首相 政治資金パーティーのありようについてはご指摘の通りだ。経費の割合について議員立法で議論することが重要。
 岸田首相は、この追及にまともに答えられません。田村氏は「パーティー券は事実上の企業・団体献金だ。見返りは企業活動での利益しかない」と指摘。パーティー券購入の禁止を含む全面的な企業・団体献金禁止を求めました。


2023年11月29日(水) しんぶん赤旗

 

 

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。

 イスラエルのガザ攻撃は、戦闘中断が二日間延長されましたが、ネタニヤフ首相は、人質が戻れば戦争が終わるかのような妄言が飛び交っている、我々は戦争中であり、全ての目的達成まで続けていくと明言しています。事態は極めて緊迫しています。
 総理、戦闘中断を停戦にと今強く求めるべきではないですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 多くの一般市民が死んでいる、こういった現状、深刻に受け止めています。多くの国々が、戦闘をやめて人道状況を回復しなければいけない、このように思っているところでありますが、ただ、今回のこの事態に至るまでの経緯、さらには中東におけるこの歴史的な背景考えますときに、この複雑な状況を背景にしたこの事案について、停戦が一朝一夕に成るものは期待できないという厳しい見方、これは国際社会の中で多く見られています。

 ですから、その中にあって今なすべきことは、この人質の解放をハマス側に、また、人道目的の戦闘休止及び人道支援活動が可能な環境確保、これをイスラエル側にしっかり求め続けていくことであると認識をしています。我が国としても、関係国との間で、ガザ地区の人道状況改善、事態鎮静化に向けた協力、確認をしているところであります。

 そして、御指摘のあった戦闘休止、今般二日間延長されました。こうした動きを歓迎いたします。そして、こうした人道的休止をできるだけ長期なものにすることによって事態の鎮静化につなげていく外交努力を続けていきたいと考えます。

○田村智子君 十一月十五日の国連安保理決議、戦闘の人道的中断として関係者に何を求めたのか、御説明ください。

○国務大臣(上川陽子君) お答えいたします。
 現地時間の十一月十五日でありますが、国連安保理におきまして、ガザ地区における児童の保護に焦点を当て、人道的休止やハマス等による人質の即時無条件の解放の要請を含む内容の決議案が、我が国を含む十二か国の賛成により採択をされました。

 御指摘いただきました人道的支援に関連するものといたしましては、まず国際人道法を含む国際法上の義務の遵守、そしてガザ地区全域における人道的休止、さらに生存に不可欠な基本的サービスや人道支援を奪うことの自制等を求めているほか、全ての医療スタッフや、また関連国連施設を含む人道的拠点を保護することの重要性などの内容が含まれております。

 我が国といたしましても、全ての当事者が本決議に基づき誠実に行動することを求めております。

○田村智子君 そうすると、日本政府はこの安保理決議に賛成をしています。岸田総理、今、できるだけ長期にと、この中断がとおっしゃいましたね。そうしたら、あと二日と言われているわけですから、イスラエルに対して攻撃再開するなと今言うことが求められるんじゃないですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 我が国の考え方については、これまでもあらゆるルートを通じてイスラエル側に我が国の立場、考え方、伝え続けています。そして、それは関係国とも協力をし、意思疎通を図りながら行うべきものであり、こうした思いを関係国とも共有しながら、共に働きかけを続けております。

○田村智子君 攻撃を再開するなと伝えているんですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 人道目的の戦闘休止、この重要性を働きかけ続けております。

○田村智子君 今行われていることは、本当に国際人道法に反することばかりなんですよ。
 国連安保理は、二十二日、ガザの女性や子供の状況について国連機関から報告を受けています。国連女性機関、UNウイメンとユニセフの報告について御説明ください。

○国務大臣(上川陽子君) お答えします。
 現地時間の十一月の二十二日、ガザ地区における女性と児童の状況に焦点を当てた中東情勢に関する安保理公開会合が開催されました。同会合におきましては、安保理理事国のほか、UNウイメンそしてユニセフなどの国際機関等が参加をし、現地情勢等について説明を行いました。

 まず、UNウイメンにつきましては、バフース事務局長が、十月七日以降、パレスチナにおいて殺害された民間人は過去十五年間の合計の二倍であり、ガザで殺害された一万四千人のうちの六七%が女性と児童であると推定される旨を述べたほか、日本時間十一月十六日に採択された安保理決議第二千七百十二号や、また日本時間十月二十八日に採択された総会決議を歓迎しつつ、更なる対応を求める趣旨の発言を行ったと承知をしております。

 また、ユニセフのラッセル事務局長は、学校に対する攻撃に言及をし、全校舎の約九〇%が被害を受け、残存する学校施設の約八〇%が国内避難民の避難所として利用されている旨指摘し、学校に対する全ての攻撃を非難する旨述べるとともに、紛争当事者による児童への侵害や、また児童に加えられた暴力の影響についても発言がなされたほか、安保理決議二千七百十二号の遵守や、また人質の解放等を求める発言もあったと承知をしております。

○田村智子君 これ、私も報告の文書読みましたけれども、ガザで殺害された一万四千人の七割近くが女性と子供です。病院が攻撃され、麻酔もないまま帝王切開が行われ、保育器の電気もない、水もない、新生児も犠牲になっています。学校の九割が被害を受け、小学校も空爆されました。

 上川大臣、十一月三日、イスラエルを訪問して、全ての行動は国際人道法を含む国際法に従って行われるべきと提起をされましたよね。この報告の中身は国際法違反そのものじゃありませんか。なぜ国際法違反だと批判しないんですか。

○国務大臣(上川陽子君) ガザ地区におきましては、これまで連日にわたりまして多数の子供たち、また女性、高齢者を含む死傷者が発生しておりまして、我が国といたしましては、こうした危機的な人道状況を深刻な懸念を持って注視をしているところであります。私も、ガザ地区の状況につきまして、両者から状況について把握をさせていただき、また被害者の御家族、御遺族の方とも面談をさせていただきました。

 我が国といたしましては、このイスラエルがハマスの攻撃を受け、国際法に従って自国及び自国民を守る権利を有すると認識しておりますが、同時に、これまでもイスラエルに対しましては、私自身、先般のイスラエル訪問の機会を含めまして、ハマス等によるテロ攻撃を断固として非難した上で、国際人道法を含む国際法に従った対応等を直接要請してきているところでございます。

 その上で、今次事案につきまして、我が国は直接の当事者ではなく、また個別具体的な事情を十分に把握しているわけではないということから、確定的な法的評価を行うことにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。

○田村智子君 いや、今報告受けた中身を国際法違反というふうに言えなかったら、国際法を守れってどういう意味があるんですか。

 我が党は、イスラエルのガザ攻撃の即時中止、双方が停戦のテーブルに着くことを求める声明、これ各国政府に届けて、アメリカ、パレスチナ、エジプト、イラン、イスラエルとは直接会って行動を求めています。この声明の中では、ハマスによる無差別攻撃は国際法違反であると、人質の即時解放をということも求めています。

 総理、問われているのは、国連憲章と国際法を守れという一貫した立場に立つのかどうか、このことです。そして、今最も問われるのは、イスラエルが国際法違反の攻撃を宣言している、このときに沈黙をするのかどうかなんですよ。イスラエルに対して、これ以上子供を殺すな、病院や学校を攻撃するな、ガザの攻撃やめろと、停戦の、双方とも停戦の合意のテーブルに着けと、こう求めることが必要なんじゃないですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 当然のことながら、今日までもイスラエルに対して、国際人道法を始めとする国際法に従った対応を行うべきである、再三これを訴えています。

 そして、法的評価が難しいと申し上げていることについては、例えば、これ、ハマス側が病院を指揮統制センターとし、テロリストや司令官の隠れ家に利用しているというこの情報、指摘についても、我が国としてこの事実関係を十分把握することはできないわけであります。こういったことから、法的な評価は行うことはしないと申し上げているわけであります。

 しかし、いずれにせよ、この国際法に従った対応、これはイスラエルに直接要請をしてきておりますし、これからも直接要請を続けなければならないと考えています。

○田村智子君 たとえ戦争であっても、子供を始め民間人を殺しちゃ駄目なんですよ。それが国際法なんですよ。

 イスラエルはこれまで、パレスチナ人民を殺害、追放し、土地を奪い、入植地の拡大を繰り返してきました。日本政府は、イスラエルのこうした行動を許されないものと、かつては明言していたはずなんです。(資料提示)

 一九七三年、田中角栄の下での二階堂官房長官の中東問題に関する談話、その内容を示してください。

○国務大臣(上川陽子君) 御指摘いただきました昭和四十八年十一月二十二日付けの中東問題に関する官房長官談話、これを読み上げるということでございますが、まず第一点目として、我が国政府は、安保理決議二百四十二の早急かつ全面的実施による中東における公正かつ永続的平和の確立を常に希求し、関係各国及び当事者の努力を要請し続け、また、いち早くパレスチナ人の自決権に関する国連総会決議を支持してきた。

 二、我が国政府は、中東紛争解決のために下記の諸原則が守らなければならないと考える。一、武力による領土の獲得及び占領の許されざること。二、一九六七年戦争の全占領地からのイスラエル兵力の撤退が行われること。三、域内の全ての国の領土の保全と安全が尊重されねばならず、このための保障措置がとられるべきこと。四、中東における公正かつ永続的平和実現に当たって、パレスチナ人の国連憲章に基づく正当な権利が承認され、尊重されること。

 三、我が国政府は、上記の諸原則に従って、公正かつ永続的和平達成のためにあらゆる可能な努力が傾けられるよう要望する。我が国政府としても、もとよりできる限りの寄与を行う所存である。我が国政府は、イスラエルによるアラブ領土の占領継続を遺憾とし、イスラエルが上記の諸原則に従うことを強く要望する。我が国政府としては、引き続き中東情勢を重大な関心を持って見守るとともに、今後の諸情勢の推移いかんによってはイスラエルに対する政策を再検討せざるを得ないであろう。
 以上であります。

○田村智子君 こういうふうに毅然とイスラエルに物を言ってきたんですよ。
 二〇〇六年六月、ガザ北部へのイスラエル軍の攻撃で民間人が死傷する事態が起きました。六月三十日、外務省は報道官談話を出しています。どういう内容ですか。

○国務大臣(上川陽子君) 御指摘の二〇〇六年六月三十日の外務報道官談話でございますが、当時、緊迫化していたイスラエル・パレスチナ情勢につきまして、パレスチナ武装勢力による武力やイスラエル軍による軍事行動により事態が悪化していることへの深い憂慮を表明し、我が国として、パレスチナ自治政府に対し、パレスチナ武装勢力による武力を停止し、誘拐されたイスラエル兵士が直ちに解放されるよう求めるとともに、イスラエル政府に対し、パレスチナ民間人の死傷及び民間施設の破壊をもたらす行動を避けることを求め、我が国として、こうした事態の悪化が今後の和平への努力に悪影響を及ぼすことを強く懸念している旨表明した上で、事態の更なる悪化をもたらさないよう、イスラエル、パレスチナ双方に対し、改めて最大限の自制を持って対応することを求めることを主な内容としております。

○田村智子君 これ、二〇〇二年にも、民間人を巻き込んだ攻撃はパレスチナ人のイスラエルに対する憎悪をあおり、事態の改善には資さないと、こういうふうにイスラエルに対して何度も物を言っているんです。

 民間人を死傷させる行動をやめろ、こうやって歴史的に見ても日本政府はその立場取ってきた。今起きている事態というのは、かつてないほどの大規模な攻撃なんです。今イスラエルが戦闘を再開させれば、ジェノサイドによってガザからパレスチナ人を追放することにもなりかねないんですよ。

 総理、七三年のときのように毅然とした姿勢で、イスラエルに攻撃をやめなさいというふうに直接物を言うべきだと思う。いかがですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今回の事案の発端は、これはハマス等による人質誘拐を含むテロ行為であります。そして、このこうしたハマスの攻撃については、国際法に従って、このイスラエルが自国及び自国民を守る権利を有すると認識している、これは国際社会の認識であります。しかし、それと同時に、イスラエルに対しては、ハマスのテロ攻撃を断固として非難した上で、国際人道法を含む国際法に従った対応等を我が国も直接要請していますし、関係国も要請している、こうした状況にあります。

 こういった状況、五十年前の官房長官談話をこの例に出されましたが、これ当時とは、この事案の性格、関係者の意図、これは全く異なっております。これをそのまま当てはめるということは適切だとは思っておりません。今回の事案に適切に対応しなければならない。

 よって、イスラエルに対して直接、この国際法の遵守、国際人道法の遵守、これを働きかけると同時に、先日、我が国も賛成して可決した、ようやく可決した安保理決議二七一二、これを誠実に履行する、こういった取組を国際社会とともに行っていく、こうした外交の努力を積極的に続けていくことが我が国の立場であると思います。

 それに加えて、こうした議論、働きかけだけではありません。我が国としましては、ガザ地区の人道状況の改善のため、既に一千万ドルの緊急人道支援、これを実施しております。そして、これに加えて、今後、六千五百万ドルの追加的な人道支援、これを供与すべく今取り組んでいるところであります。

 我が国として、事態の鎮静化に向けて具体的に行動するとともに、関係国と今申し上げました働きかけを続けていくことが、今回の事案について具体的な、現実的な取組であると考えています。

○田村智子君 いや、ハマスの攻撃等々の歴史的背景が、さっきの田中角栄さんのときのこの官房長官談話に表れているんですよ。もちろん、ハマスに対してだって、国際法違反は批判をすればいい、人質の解放を求めればいい。だけど、今直面しているのは、ガザで子供たちの命が次々と奪われてきたんですよ。それをまた許すのかってことじゃないですか。

 自衛だと言えば、病院攻撃していいんですか、学校攻撃していいんですか。そうなんですか、総理。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 女性や子供、高齢者が死んでいく、このことがいいなどということは誰も考えないと思います。これは深刻な事態だと思うからこそ、日本として外交においてしっかり責任を果たしていかなければならないということで、先ほど申し上げました取組を進めています。

 イスラエルに対しても、これ国際法、国際人道法を守る、これ直接働きかけている。これが、このこうした戦闘の休戦につきましても、引き続きこれを継続して、人質の解放そして事態の鎮静化につながると信じて働きかけを続けてまいります。
 是非、日本として、こうした事態に対して国際社会において責任を果たしていきたいと思います。

○田村智子君 攻撃をやめろと言わずして、どうやって国際人道法を守れってことになるんですか。また、人道支援だ、今資金これだけ出すって言うけれど、死んだ子供に対してどんなにお金出したって、その子の命はよみがえらないですよ。

 第二次安倍政権になって、ガザを天井のない監獄にしたネタニヤフ首相と安倍首相が急接近して、アメリカの同盟国でアメリカが支持するイスラエルに戦争犯罪やめろと言えない、そんな日本政府になってしまった、そうとしか言いようがないです。余りに情けない。

 イスラエルに占領地からの撤退を、歴史的にね、求めたこと、また、日本は戦争をしないという憲法があるということ、このことで日本は中東地域での信頼を築いてきました。ガザでは、東日本大震災後、三月にたこを揚げて、被災した方々への思い、日本へのきずなを示してきました。今このガザで、子供の墓場になってしまう、こういう人たちが犠牲になってしまう、そのことに沈黙することは許されないです。

 ジェノサイド許すなと、即時停戦をと、これを求めることが必要だ。もう一度お聞きします。停戦求めるべきです。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、中東情勢における日本外交の存在感、関係国との信頼関係の醸成、今日まで培ってきた日本外交の努力は、日本外交にとりましても財産だと思います。

 そして、こういった事態に対して日本ももちろんこれ具体的に貢献していかなければなりませんが、この事態の鎮静には関係国との協力、意思疎通、これが何よりも重要であると思います。

 ですから、こうした関係国とのこの協力の意思、連帯の意思、こういったものを示す意味からも、先ほど申し上げました人道支援、これは重要であると思いますし、日本もこうした具体的な態度を通じて、関係国とともに事態の鎮静化に向けて努力をする意思を示していくことが重要であると思いますし、その上で、関係国とともにイスラエルに対して、こうした戦闘についてもこの休戦を一日でも長引かせ、そして事態の鎮静化につなげていく働きかけを続けているということであります。

 これ、黙っているというものではありません。日本も、今日までの外交の財産をフル活用しながら、関係国と連携して事態の鎮静化に努力を続けてまいります。

○田村智子君 子供を殺しているこの攻撃を国際法違反だとして批判し、そして停戦求める、これが絶対に必要なことだ。強く求めます。

 次に、経済対策についてお聞きします。
 まず、岸田政権の経済対策、どういう現状認識に基づくものなのか、端的に御説明ください。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 日本の、日本経済の現状についての認識ということでありますが、日本は今日まで三十年近くにわたってデフレの悪循環に苦しんできました。賃金が上がらない、そしてその賃金の原資である投資も伸びない、結果として物価も上がらない、こういった状況が続いてきたと認識をしています。

 しかしながら、この賃上げを重視し、経済の好循環、成長と分配の好循環を再び回そうという努力、この二年間続けてきた結果として、ようやく明るい兆しが出てきた。三十年ぶりの賃上げ、三十年ぶりの株価、そして民間の百兆円を超える過去最高の投資など、明るい兆しが出てきた。問題は、これを来年以降続けられるかという問題意識を持っています。

 来年に向けて、官民挙げて協力することによって賃上げを今年以上に伸ばしていく、そして可処分所得を物価高騰に負けない水準まで引き上げていく。このことによって、来年も消費をしっかり支え、そして消費が次の成長につながっていく、そしてそれが次の賃上げにつながっていく。経済の好循環につながるよう、今が正念場と認識をしています。総合経済対策、しっかりと進めていくことが重要だと認識をしております。

○田村智子君 明るい兆しとか、政府の資料では賃金と物価の好循環が生じつつあると。ちょっと驚きの認識だなと私は率直に思うんですね。

 これは、企業の人件費の総額である実質雇用者報酬の推移なんですね。直近の七月から九月期というのは、コロナ危機で最大の落ち込みとなった二〇二〇年四月から六月期よりも更に落ち込んでいるんですよ。そうすると、物価の高騰、消費の冷え込み、経済の停滞という悪循環に陥りかねない危機的な状況に直面している。これが私は実情だと思うんですけど、違いますか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 物価との関係、そして国民の皆さんの生活を支える様々な観点から、何といっても物価に負けない賃上げを実現することが重要だと考えています。ですから、賃上げに向けてこれまで様々な経済政策を動員してきました。そして、賃上げについて三十年ぶりのこの明るい兆しが出てきたということを申し上げています。

 ただ、今はまだ、現状、物価高との関係において賃上げはまだまだ不十分である、来年は物価高を超える賃上げにたどり着かなければならない、こういった問題意識で今政策を進めるべきときであるということを申し上げています。

 物価高に対する本当に困っている方々に対しては給付等を通じて迅速にこの支援を行っていかなければならないと思いますが、あわせて、経済の好循環、これを取り戻すことができなければ、未来に向けて日本の経済は明るい見通しを立てることはできません。そうなってしまいますと、可処分所得、いかにこの底上げしたとしても、将来に不安があるということであるならば、それは消費につながりません。

 可処分所得の底上げとともに、来年、再来年と日本の経済をこの底上げしていく、賃上げは構造的、持続的に続く、そういった見通しを併せて示すことが今の厳しい経済状況に対して政府として行う経済政策であると考えています。

○田村智子君 暮らしと経済への危機感で、本当に国民と政府と、岸田内閣との間で大きなギャップがあるというふうに私は思うんですよ。今多くの国民の皆さんは危機感持っています。あるいは、暮らしの危機にもう直面しています。これまでの政策では駄目だと転換求めていると思うんですね。その一つがこの消費税だと思うんですよ。

 時事通信の世論調査、消費税減税に賛成がもう六割近いと、反対は二割台になっている。自民党支持層でも消費税減税賛成が半数近いという世論調査ですよね。これ、これまでにない世論の表れだと思うんです。総理、ここには、国民の声というよりも、もう悲鳴が表れている。ここに応えて消費税の減税、検討すべきじゃないですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 厳しい現状に対して支援を行わなければいけない、可処分所得を底上げしなければいけない、これは問題意識共有していると思っています。問題はその手法であります。この消費税減税ということについて、政府としては、この社会保障費との関係において社会保障の財源である消費税の引下げは考えずに、今申し上げている選択肢を用意したわけであります。

 可処分所得をしっかり底上げしていくために、そして特にお困りの方にはスピード感を持って支援するためにどのような政策が求められるか、政府として、申し上げているように、給付とそして減税の組合せ、そして何よりも官民の連携、これが重要だと申し上げております。

○田村智子君 その説明を再三聞かされた上でのこの世論調査だと思うんですよ。

 物価はね、今、食料品を始め生活必需品で特に値上げが大きいんです。家計消費は明らかに影響を受けています。消費税減税が必要だということが明らかだと思うんですよ。一回こっきりの給付金、一回こっきりの減税、これでは駄目だと。消費税で持続的な減税を検討ぐらいは言えないんでしょうかね。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) これから来年に向けて、この賃上げとそして投資の好循環が生じている経済を目指さなければならないと思います。この賃上げが消費につながり、そして消費が次の企業収益につながり、そしてそれが投資になり、次の成長の結果として次の賃上げにつながる、こういった好循環を実現しなければならないと考えています。そうしなければ、未来に対するこの希望や安心を日本国民は得ることができない、このように思っています。

 一方、この可処分所得を底上げする手法として消費税を減税すべきであるという御指摘でありますが、消費税はこの社会保障財源の、貴重な財源です。この消費税をしっかり活用して、この全世代型社会保障制度をしっかり構築して、国民の安心につなげて経済活動を支援する、こういった取組を並行して行うことが重要であると思っています。

 よって、消費税の減税は考えませんが、こうした経済政策と併せて、今言った社会保障制度、子ども・子育て政策、様々な政策を並行して進めることによって、来年、再来年と、日本の経済、日本の生活に新しいこの兆し、新しいステージをもたらしたいと考えています。

○田村智子君 何度も言いますが、その説明を聞いた上での消費税減税を求めているんですよ。なのに検討もしないと。賃上げも、これまでの政策の延長線だったら物価高騰には到底追い付きませんよ。

 今年五月、日本弁護士連合会貧困問題対策本部が最低賃金を考えるシンポジウムを開催しました。日弁連は、賃上げのために中小零細企業の社会保険料事業主負担分の減額、免除、これを提言しているんだということもこのシンポジウムで話されています。これは、我が党の十年来の提案とも重なりますし、昨年十二月一日の予算委員会でまさに私が総理に求めた政策でもあります。

 このときのやり取りで、総理は、慎重にとは言いましたが、検討が必要であると答弁されました。慎重にとはいえ、検討が必要と。検討されたんですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 検討をすべきと発言したという御指摘でありますが、慎重な検討が必要だという答弁をいたしました。

 その趣旨は、この賃金の直接補填をしたとしても、この企業の生産性あるいは稼ぐ力、これが向上しない限り企業収益の拡大につながらず、長期的な賃上げ、事業の継続、これには結び付かないという考えに立つからであります。

 是非、この生産性向上させ、企業の稼ぐ力、この賃上げの原資である稼ぐ力、これをしっかりと底上げしていくためにも、今般の経済対策、大変重要な取組であると認識をしています。可処分所得をしっかり支える、先ほど申し上げたとおりでありますが、この長期的な賃上げの原資となる企業の稼ぐ力、供給力の強化、これを大きく伸ばすというのが経済政策の、今回の経済政策の大きな柱であります。

 是非、この経済、今般の経済対策、御理解をいただき、そして、この今御審議いただいている補正予算、成立をさせていただきたいと思っております。

○田村智子君 社会保険料の減額、免除というのは地方最賃審議会からも何度も求められているけれど、結局検討していないと、これも。検討しないと。

 この日弁連のシンポジウムには、自民党最賃一元化推進議員連盟の事務局長、務台衆議院議員が参加をして、中小零細企業への賃上げ支援が必要という同じ立場で、じゃ、その財源についてどうするかと、こういう発言をしているんです。我々の議論の中で面白い議論が出たのは、大企業の内部留保が五百兆円近くある、〇・五%を毎年課金するだけで二兆数千億円出る、それを活用したらどうかと。こういう議論が自民党内にも起きるのは、やはり大企業の内部留保が異常に膨張しているからだと思うんですね。

 この三十年、大企業、売上高は約一六%増、人件費は八%増にすぎません。ところが、税引き後の利益は一〇一〇%増、つまり十一倍。そして、内部留保は四百二十四兆、これ金融・保険業含めると五百十兆円を超えるわけです。

 この三十年、正社員リストラ、非正規雇用への置き換えなど、人件費コストカットが行われた。安倍政権が法人税率を引き下げて、法人税もコストカットとなった。その結果、国民は賃金が上がらず、消費が冷え込む、他方、大企業は利益を大きく増やし、ただただ内部留保が膨張していったと。
 総理、これ健全な経済の姿でしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 内部留保が積み上がったことについて健全な経済なのかという御質問でありますが、今政府として考えている健全な経済というのは、賃金が上がり、そして国民の購買力が上がり、それが消費を増やし、その結果として物価が適度に上昇することで企業のこの売上げ、業績アップにつながり、新たな投資を呼び込むことによって企業が次の成長段階に入る、それが賃上げの原資となる、こういった好循環を実現することが重要だと、これが政府の考える健全な姿であります。

 その中で、内部留保のお話がありましたが、企業としては、賃上げ、人への投資と、そして次の成長に向けての投資、これにしっかりと企業が得たその果実を使ってもらう、こういった経済をつくっていくことが重要だと申し上げています。

 是非、そうした好循環をつくるためにも、まずは賃上げが大事だと申し上げておるわけですし、その賃上げに向けて、民間のこの努力、これもお願いしているわけでありますが、賃上げ促進税制、価格の転嫁、そして減税、あらゆる政策を総動員して、官民で来年に向けて物価に負けない賃上げ、これを実現することによって、先ほど申し上げましたこの経済の好循環実現していくことが企業においてもその内部にためた資金を活用する道につながっていくと感じております。

○田村智子君 これ健全じゃないってことでいいですね。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) いや、健全な形は先ほど申し上げたとおりであります。結果として、内部留保は先ほど申し上げました好循環の中で活用されていくものになると申し上げております。内部留保については、今申し上げた好循環を実現することで解消を考えていくべきであると思っています。

○田村智子君 その内部留保の活用ってね、一社だけに委ねていたらいかないと思いますよ。大企業にとっても、こんな巨額のため込み金がただただ膨張するというのは決していいはずがないんです。

 そもそも、何でこんなゆがみ、不健全な状態になったかといえば、やっぱりこれ政治の責任ですよね。派遣労働法の規制緩和などで非正規雇用を増やしたと、人件費がだから上がっていかない。そして、法人税率は引き下げたと、その一方で消費税率は引き上げたんですよ。だから実質賃金は下がったんですよ。ひたすら大企業の目先の利益を応援した結果がこの姿ですよ、異常な内部留保の膨張。

 このままで賃上げ減税だとか賃上げの要請とかしていても、結局、実質賃金は十八か月連続で落ち込み続けているじゃないですか。今この膨張し過ぎた内部留保を労働者の賃金へと還元する仕組みをつくることが政治の責任、これこそが経済の好循環を生み出す。だから、私たちはその仕組みとして、内部留保の一部に課税をして、それでさっき言った中小企業の賃上げの直接助成に回そうよと、そういう議論は自民党の中にも起きてきていると言っている。

 皆さん、私たち、是非自民党の皆さんとも議論したいんですよ。総理、この内部留保に課税をすることで賃上げの原資にしていく、中小企業を直接支援して。是非議論しませんか。一緒にやろうじゃありませんか。

○委員長(末松信介君) じゃ、最初に新藤国務大臣。

○国務大臣(新藤義孝君) 経済の現状についての御質問がございましたので、私の方から少し現状のお話をさせていただきたいと思います。

 今委員が御指摘のとおり、企業の内部留保が高まっています。結果として何が起きたかといえば、投資が行われていない。そして、その結果は、日本企業のこの資本の老朽化、ビンテージといいますけれども、これが諸国に比べて非常に高い状態になっている。ですから、それは結果的に日本の生産、産業の生産性を下げることになりますから、これは企業としても設備投資を回さなければいけないわけであります。そのために、今回私たちは経済投資をしているわけであります。そして、新たなこの投資を誘引するための補助金や減税を出して、そしてその投資先としての新しいフロンティア、新技術の社会実装を通じた新たな産業をつくっていこう、その中で働き方の改革をする。

 そして、賃金を上げるのが何よりも重要です。ですから、その賃金をきちんと受け取れるための職場をつくろう、それがだからジョブ型です。それから、その賃金を得るにふさわしい技術を身に付けよう、スキルアップをしましょう、これがリスキリングです。そして、そういった人たちが自分の会社においてしっかりと活躍できる、若しくは新たな活躍の場があれば、新たな、新しい高い賃金とともに、円滑化、労働のですね、円滑化が始まる。

 こういったものが全て今回の経済対策には入っております。そして、そのための改革を促すための構造改革、規制改革、これ、安倍内閣の二〇一三年以降のつくった経済対策の中で最も多い三十六項目の規制緩和、これを入れているわけです。

 そういった中で、単にあるものに課税をするんではなくて、今あるものを有効に活用していく、そういう経済をつくらなければいけない、それが岸田内閣が求めている経済施策であります。

○委員長(末松信介君) 総理、補足は。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 要は、内部留保を経済の好循環にどのように使うのかという問題であります。そして、委員の御指摘の内部留保課税については、これも長年にわたって議論が続いてきた課題であります。これは、二重課税の関係など課題があるというこの議論が続いてきたものであると承知をしております。

 この内部留保については、先ほど申し上げました経済の好循環を実現することで、賃金を始めとする人への投資、そして経済の稼ぐ力につながる投資、これに活用することが重要だと。しかし、民間企業であります。それぞれの企業に、こうした投資や賃金にしっかりとお金を使うことが結果として自らのプラスになるという好循環、これを実感してもらわないと、そういったお金の使い方は起きない、これは当然のことであります。

 だから、この好循環実現してまいりましょうと、内部留保の有効活用を実現してまいりましょうと、そういった経済対策を用意した次第であります。

○田村智子君 風が吹いたらおけ屋がもうかるという話を聞いているような気がします。これだけの物価高騰に追い付かないですよ、そんなことやっていたら。これも検討しないのかということなんですよ、自民党の中に議論がありながら。

 で、この人件費コストカット、激しく行われたのは公務職場も同じです。この三十年間、定員削減で正規公務員を減らし、非正規の職員大きく増やしました。

 私の事務所で、全省庁から資料を取り寄せて調べました。全員が特別職の防衛省を除くと、任期の定めのない常勤職員、いわゆる正規職員は、男性約二十万人、女性は五万九千人。非正規の職員は、男性約三万人、女性は約六万人で非正規の方が多いんですね。

 実は、次のパネルなんですけど、非正規の平均賃金、これ年二百九十一万円、公務はね。で、女性は二百五十四万円なんです。これ、民間の非正規の平均賃金よりも十万円以上低いんですよ。国家公務で女性がこれほど非正規割合が高く、低賃金。ここまでの男女格差に私は衝撃受けました。
 総理、これは女性への間接差別そのものだと思います。いかがですか。

○国務大臣(河野太郎君) 国の非常勤職員につきましては、各省庁の業務状況に応じてこれは適切に任用されております。

 また、給与につきましては、給与法などに従って適切に定められているところでございますので、間接差別というような御指摘は全く当たりません。

○田村智子君 適切にやった結果として、圧倒的に女性が非正規で低賃金。それを間接差別というんですよ。違いますか。

○国務大臣(河野太郎君) 各省庁において必要な業務のところに非常勤の職員を充てているわけでございまして、そこの任用は適切に行われております。よって、御指摘は全く当たりません。

○田村智子君 これね、こういうのを間接差別っていうんですよ。直接、女性だから非正規ですよってやったら直接差別で、それは許されない。だけど、結果としてこれほど女性が正規職員より非正規多いんですよ。それで民間よりも低賃金と。結果としてそうなるのを間接差別という。それを国が放置しているのは異常ですよ。

 これ地方公務員も同じですね。非正規の七五%、女性ですから。で、賃金は時給制です。祝祭日が多い月は、家賃の負担も生活費の支出も変わらないのに給料が減ってしまう。だから生活苦しい。有給休暇も格差があります。

 まず、公務の職場でこの間接差別なくすべきですよ。最低賃金千五百円にして非正規の大幅賃上げを行う、そして民間にも非正規ワーカーの処遇改善、この模範を示す、必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) 国の非常勤職員の給与は給与法などに応じて適切に定められております。
 また、平成二十九年から各府省の申合せで、非常勤職員の待遇改善、適切に順次行われているところでございます。

○国務大臣(鈴木淳司君) 地方の立場からお話し申し上げます。
 臨時・非常勤職員の大宗を占める会計年度任用職員の給与につきましては、地方公務員法に定める職務給の原則及び均衡の原則等の給与決定原則にのっとり適切に決定されるよう、これまでも必要な助言を行ってまいりました。また、制度創設時から期末手当の支給を可能とし、勤勉手当につきましても平成六年、あっ、令和六年度から支給できるように法改正を行うなど、適正な処遇の確保、改善に取り組んでまいりました。さらに、給与改定につきましては、本年五月に地方公共団体に対しまして、常勤職員の給与改定に係る取扱いに準じて改定することを基本とする旨通知を発出しております。
 総務省としましても、今後とも処遇の適正化が図られますように取り組んでまいります。

○田村智子君 ちょっと、これほど適切にという答弁が繰り返されるのは本当に驚きなんですけれどもね。

 今回、私の事務所でこういうふうに調べることができたのは、男女別賃金のこの公表が始まって、それで省庁が出したその資料の基になるものを出してくれと言ってこういう計算ができたんですよ。これ、今、男女別賃金、これ公表が義務付けられているんですけれども、それだけでは足りないと思うんですね。雇用形態別の賃金、そして雇用形態別に職員数、男女でどうなっているか、これ含めた公表をすることによって、果たして民間やそれぞれの省庁でどういう状態にあるのかが見えてくると思うんですよ。

 少なくとも、国や自治体、率先して公表することを私求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 男女賃金格差の実態について公表するべきであるという御指摘でありますが、先月、国の全機関において、職員区分別、つまり任期の定めのない常勤職員、それ以外、こうしたこの区分別、そして役職段階別、これ課長とか課長補佐ですが、あわせて勤労年数別のこの男女の給与差、これ初めて公表を終えたところであります。

 また、自治体においても同様の情報が公表されており、こうした情報については内閣府が整備するホームページにおいて一覧性を持って見える化していく、これは予定ですからこれからですが、公開をしてまいります。

○田村智子君 是非、それ民間にも求めていただきたいと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(加藤鮎子君) お答え申し上げます。
 先ほど総理が御答弁されたとおり、自治体については同様の情報が、自治体については、国の全機関においては、せんだって、役職段階別それから勤続年数別、男女の給与差の初回公表を終えたところであります。失礼しました、職員区分別ということも含まれます。

 今後でありますが、男女の賃金差異の実態把握や分析等のためにどのようなデータが有用かというのは、必要に応じて検討をしてまいりたいと思います。

○田村智子君 是非、やっぱり雇用形態別、正規と非正規で男女の差がどうなっているのか、是非見える化していただきたいと思います。

 こういう公務の非正規の方々、さっき適切にって言ったんですけど、どういう仕事しているかと。ハローワークでは、就労相談、企業を回っての求人開拓など極めて専門性の高い仕事を非正規の職員が担っています。自治体でも、公立保育所の保育士の約六割、消費者生活相談員の八割、図書館司書の七割が非正規です。国家資格の専門職で、知識、経験、研修も求められます。ところが、国は、公務の非正規は長く雇ってはならない、三年で雇い止め、引き続き働きたければ応募しろと、こういう原則を示しています。

 人事院は見直しも含めた検討を始めていますけれども、安心して働き続け、経験や専門性を評価して賃金が上がるという仕組み、ここに踏み出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○政府特別補佐人(川本裕子君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の三年公募ルールは、再び採用される場合の公募要件の在り方と理解しています。

 人事院は、人材確保のため、本年の人事院勧告時の報告において、再び採用される場合の公募要件の在り方を含め、非常勤職員制度の運用の在り方について検討する由の表明を行っております。関係者の御意見を伺いつつ、できるだけ早期に方針が示せるよう、しっかり検討してまいりたいと考えております。

 国の非常勤職員の給与については、給与法第二十二条第二項によって、各庁の長は、常勤の職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で給与を支給するものとされております。人事院は非常勤職員の給与に関する指針を発出しており、各省庁は、この指針を踏まえ、非常勤職員の職務内容、職務経験などを考慮してその給与を決定していると承知しています。職務経験を考慮することにより給与が上がる仕組みとなっております。

○田村智子君 これ、すごい格差あるんですよ。だから、是非、賃金上がる、非正規で働いていても長く働けてと。これ是非踏み込んでほしい、新しい制度に。総理、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほども言及があったように、人事院において、行政サービスの提供を支える人材を確保することができるように、こうした公募要件の在り方を含めて非常勤職員制度の運用について検討する、このように承知をしております。
 政府としては、人事院の検討を踏まえて適切に対応してまいります。

○田村智子君 契約期間が長くて一年と、契約更新を繰り返して働く、これは民間でも公務でも非正規の当たり前の働き方になっています。それゆえに、非正規の人が物が言えない状況がつくられています。上司のハラスメントを問題にしたら契約更新されないのではないか、育休を申請したら、契約、次の契約ないんじゃないのか、賃上げしてほしいけれども、そう言っちゃったら切られるんじゃないかと。短期契約ゆえに、とても弱い立場に置かれています。

 ですから、長く続く仕事、いわゆる恒常的業務は細切れ契約を禁止する。これは、非正規で働く、とりわけ多くの女性たちにとって、生活の安定になるだけでなくて、個人の尊厳にも関わる問題です。賃金格差の是正にとっても必要です。是非踏み出していただきたい。いかがでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) 人事院規則によりまして、必要以上に短い任期で採用するということはできないようになっておりますので、それを踏まえて適切に対応してまいります。

○国務大臣(鈴木淳司君) 地方自治体の運営は任期の定めのない常勤職員を中心とすることが原則でありますが、多様化する行政需要に対応するため、常勤職員に加え、非常勤である会計年度任用職員等が地方行政の重要な担い手となっております。

 会計年度任用職員は一会計年度を超えない範囲で任用されるものでありますが、個々の職務にどのような職員を任用するかにつきましては、各自治体におきまして、対象となる職務の内容や責任に応じ、任期の定めのない常勤職員や臨時・非常勤職員などの中から適切な制度を選択していただくべきものであると認識しておりまして、各自治体にもその旨助言しているところでございます。

 なお、地方公務員を常勤職員として任用する、地方公務員法に基づき、採用試験などにより常勤職員としての能力の実証を行う必要がございます。適切な任用が確保されますように、引き続き必要な対応をしてまいります。

○田村智子君 これ公務だけじゃないんですよ。これ民間含めて、細切れ契約は、恒常的業務、長く続く仕事では規制する、禁止する。私、ここ踏み込むべきだと思うんですよ。いかがですか、民間含め。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の任期や契約期間について細切れの期間とするようなこと、これは禁止すべきではないか、こういった質問の趣旨だったと思いますが、これについては、過去、様々な議論、これ積み重ねてきました。この合理的な理由がない有期労働契約の締結を禁止するということについて、公労使三者での議論が行われました。しかし、導入すべきとの結論には至らず、この現行の無期転換ルールが定められたと。そのことによって、有期労働契約で働く人の雇用のできるだけの安定を図ったという経緯があったと承知をしております。

 まずは、こうしたルールが適切に運用されるよう引き続き努めなければならないと思いますが、今般の経済対策でも、この同一労働同一賃金の更なる徹底ですとか、在職中の非正規雇用労働者に対するリスキリング支援の創設ですとか、正社員化に取り組む事業主の支援の拡充、こういった支援を盛り込んだところであり、これらも着実に実行していきたいと思っています。

 なお、非常勤公務員の場合は、常勤職員として任用するには、法に基づいて、これは採用試験などにより常勤職員としての能力の実証、これを行う必要があると承知をしております。

○田村智子君 これね、そもそも労働契約法議論のときには、臨時的な仕事とか、もうあらかじめ期間が分かっている仕事以外はもう無期で雇うというこの入口規制が必要だと、これは労働者、労働組合や日弁連は求めていたんですよ。だけど、それだと雇い止めがやりにくくなると拒否をしたのは、人件費コストカットにひた走った財界、大企業、経団連などの側なんですよ。そっちの要求に応えた結果が今日の深刻な経済の停滞になっているんじゃないですか。
 現状維持というのは、停滞、後退を意味します、今や。是非、政策の転換、これを強く求めたいと思います。

 残る時間で、自民党の政治資金パーティー問題についてお聞きします。
 まず、政治資金規正法の目的は何なのか、お答えください。

○政府参考人(笠置隆範君) 政治資金規正法の目的につきましては、第一条において規定をされておりまして、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治資金の収支の公開及び政治資金の授受の規正などの措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的とすると定められております。

○田村智子君 政治活動を国民の不断の監視と批判の下に置くということなんですね。
 このパネルは、しんぶん赤旗日曜版の編集部が自民党の各派閥に対して収支報告書にパーティー券購入の不記載があると指摘をした日と、各派閥が訂正をした日の一覧です。赤旗から指摘されたから、指摘されたところだけ訂正したということが一目瞭然なんですね。

 これね、国民の監視の下に置くどころか、宏池会を含め、表に出なければ隠しておこうという、こういう対応だったんじゃないですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) いえ、指摘されなければ隠すつもりだったかという質問でありますが、決してそんなことはありません。

 これは、まず、この各派閥の関係政治団体が政治資金パーティーのこの政治資金収支報告においてこれ適正に作成するよう努めるべきである、これはもう言うまでもないわけであります。しかし、そうした報告書を公開する中にあって、指摘をされた点については、これは謙虚にこれ点検した上でこの訂正を行い、法に基づいた手続を行ったものであると承知をしております。

○田村智子君 これだけ指摘されても、二〇二二年分で新たに二百万円超でしょう。それはもう隠しておこうという姿勢がありありと見えてくると思うんですね。

 赤旗は、パーティー券を買った側である政治団体の収支報告書と照らし合わせることで、自民党五派閥に四年間で四千万円を超える不記載があるというように指摘することができました。一方、企業の収支報告書というのは公表されていません。企業が複数の議員からパーティー券を購入していたら、同じ問題は起き得るんですね。

 総理、企業の購入分も含めてパーティー券の収入の全体、調査をするように、これ自民党の各派閥や政治団体に指示しているんですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、私の方から、具体的な各政治団体の訂正内容等について各政治団体において適切に説明をできる限り速やかに行ってもらうよう、党の幹事長に対して指示を行っているところです。

 また、昨日は、政治資金収支報告書の記載漏れが指摘をされた自民党東京都支部連合会等に関しても、幹事長に対して必要な指示を行ったところであります。

 そして、政治団体同士ではなくして、民間企業からのパーティー券購入についても確認するべきだという御指摘でありますが、これ、政治団体だけではなくして、パーティー券を購入いただいた方ということになりますと、これは多数に上ることから確認に時間が掛かると聞いておりますが、国民の皆様から疑念を持たれることがないよう、これは適切に対応してまいりたいと思います。

○田村智子君 今の、指示をしたのは訂正についての説明という答弁だったんですけど、調査しろと、全部、そういう指示出しているということですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 指摘された点も含めて、そしてこの修正を行った点を中心に説明をするということについて幹事長に指示を出しております。

○田村智子君 そうすると、これ、よく分からないんですよ、調査しろと言っているのかどうか。

 今、メディアでは、特捜検事を務めた自民党の元衆議院議員を始め自民党の関係者から、収入を少なく記載して裏金になっているという指摘も相次いでいるわけですよ。ところが、総理は、これはそういう疑念はないんだと、裏金なんかないと言っている。だけど、調査もやっていないでしょう。何で調査もせずに、裏金なんかないと、こんなふうに断言できるんですか、裏金作りなんかあり得ないと。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 私が承知しているのは、自分の派閥の政治団体の収支について報告を受けている範囲内でのことであります。その報告の中で、私自身、承知しておるのは、この政治資金収支報告書について、二十万円以上の購入については名前を、名称を、支払人の名称を報告するということになっているわけでありますが、この派閥のメンバー複数で、複数回にわたって販売をお願いした結果として、その合計が二十万円を超えたケースが幾つもあった、それについて御指摘をされ、そして名称について、支払人の名称について報告をした、あっ、訂正をした、こういった報告を受けているわけであります。その範囲内において裏金ということはないということを申し上げているわけであります。

○田村智子君 そうすると、過少記載による裏金とか、あるいは、たくさん売ったけれども、その売った分を上げずに自分の懐に入れた裏金とか、これあり得ると、やっぱりそれ調査が必要になるという認識ですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) ですから、そういった点は、これそれぞれ別々の政治団体でありますので、それぞれの会計責任者を中心に説明をしてもらいたい、そうしたことを党の幹事長に指示を出した次第であります。

○田村智子君 これ、説明の前に調査だと思います。大体、政治団体がこれだけ不記載があって、企業に一件もないなんてあり得ないと思うんですよ。どうですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) それぞれ独立した政治団体が会計報告を行っています。そして、指摘を受けたことには丁寧に説明をしなければならない、国民の目から見て自民党との関係を考えましたときにそれぞれ誠実に説明をしてもらわなければならないということで、幹事長に指示を出しました。説明を尽くしてもらわなければなりません。

○田村智子君 これ、やっぱり、指摘を受けたらなんですよ。さっきも言ったけど、企業は公表がないから、資料の公表が、だから、指摘のしようがなければ幾らでも隠せるということになっちゃいますよね。

 これまで、リクルート事件とか佐川急便事件など、企業と政治家の金をめぐる問題って何度も繰り返されてきたんですよ。パーティー券もその一つです。数々の汚職事件によって、一九九四年、政治資金規正法が改定され、企業・団体献金廃止の方向に踏み切るとされた。ところが、政党支部への献金とこの政治資金パーティー券の購入という二つの抜け道が温存されたんです。で、献金の方は、年間五万円を超えると収支報告書に、企業がしたとすればその企業名、献金額、記載が義務付けられます。一方、パーティー券は、購入額が一回のパーティーで二十万円以内なら記載の義務もないわけですよ。そして、パーティー券の購入の大半は企業、団体です。

 国民の監視の下に置くという政治資金規正法の趣旨に逆行して、国民から隠しやすい事実上の企業・団体献金になっているんじゃないかというふうに言わざるを得ないんですが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、企業・団体献金については、長年の議論を積み重ねた結果、現在は政党や政治資金団体に対するもののみが認められています。

 そして、政治資金パーティーの収入ですが、これは、政治資金規正法上、これはパーティーへの参加の対価として支払われるものであって、寄附とは性質が異なるものであると考えています。そして、そのパーティーにつきましては、この政治資金規正法における政治資金パーティーに係る規定、これは平成四年に、当時の与野党間の議論を受け、政治資金パーティー開催の適正化等を目的として議員立法によって設けられたものであると承知をしています。こうした議員立法に基づいて、パーティーの開催そして収支の報告、これが行われているものであると承知をしております。

○田村智子君 これ、その九四年のこの政治資金規正法の改正行われた直後ですね、九四年当時、政界全体で見ると、企業・団体献金の総額というのはパーティー券収入の四倍あったんです。これが二〇一九年には完全に逆転して、パーティー券収入が企業・団体献金の二倍になっているんですよ。その収入の内訳をより隠しやすいのがパーティー券収入ですよね。ですから、そこに依存が高まっていったというふうに言わざるを得ないんですね。

 今、パーティー券というのはパーティー参加の対価があるんだと、対価だと、だから寄附とは違うというふうに言われましたが、直近の二〇二二年のその宏池会の、宏池会じゃないや、岸田首相の政治団体の行ったパーティー、これ報道されていますけれど、これ、対価率、つまり収入に対する支出、収入に対する支出は僅か一割で、だから利益率が九割、約九割なんですよ。これ、パーティーとしての対価性なんかないんじゃないですか。これ一体、企業はどんな対価性を期待してこのパーティー券購入するんでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) これ、政治資金パーティーについては、パーティーの趣旨を説明した上で多くの皆さんに御協力をお願いするものであります。その全体としてのこのパーティーに、この参加者の皆様方に御協力していただくものであると認識をしております。

 そして、その経費の割合について御指摘がありました。
 この割合については、先ほど申し上げました政治資金規正法における議員立法を通じての改正等において、これは定められているものがありません。こうしたものについて問題意識があるとするならば、これは不断に議論を行うべきものであると思います。

 いずれにせよ、与野党の合意によってでき上がった法律、与野党の間において議論を不断に深めていくべきものであると考えます。

○田村智子君 いや、今、対価性についてよく分からなかったんですけど、どこに対価性があるんでしょうか、利益率九割のパーティーで。何の対価性があるんですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 政治資金パーティーのありようについては御指摘のとおりであります。そういった対価性等について、要するに経費の割合について、このパーティーのありようについてどのように考えるか、これをこの議員立法の中で考え、引き続き議論していくことは重要だと申し上げております。

○田村智子君 これ、政治家の個人もそれから自民党の派閥も、これ企業・団体献金は受けられないんですよ。だけど、パーティー券という形であれば、まさにどんどんお金が企業から、団体から入ってくる。これ、事実上の企業・団体献金ですよ。

 そして、その見返りはといえば、企業活動の利益でしょう。それしかないですよ。大企業、経済界の目先の利益でどれほど政治がゆがめられてきたかというのは、先ほどずうっと言ってきました。やっぱり政治と金の問題、この根を絶たなければならないと思います。

 先ほど議員立法と言いましたが、私たち日本共産党は、その法律に反対した、そして今回、政治資金パーティーを含む企業・団体献金の禁止法案、これを今国会に提出をいたします。国民の政治への信頼取り戻すため、これ全力挙げること、このことを申し上げて、質問を終わります。

 


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