日本共産党の田村智子政策委員長は18日、国会内で記者会見し、人間らしい労働条件とジェンダー平等の働き方を実現する「『非正規ワーカー待遇改善法』の提案」を発表しました。大門実紀史政策委員会副責任者が同席しました。
同提案は9月に日本共産党が発表した「経済再生プラン」の柱の一つとなっていたもの。田村氏は、20年間で約1・5倍となった非正規雇用者の増加が低賃金構造を拡大し、「日本を賃金の上がらない国」にし、経済の長期停滞の大きな原因となっていると指摘。非正規雇用の7割が女性であり、男女賃金格差の大きな要因となり、ジェンダー平等を阻害していると強調しました。
田村氏は、EU(欧州連合)や韓国でも非正規雇用が増大しているものの待遇改善や正社員化が政治主導ですすめられていることを紹介。一方で、日本は財界の求めに応じて非正規雇用を野放図に拡大しながら、労働者保護はなおざりにしてきたと批判し、「ここを改善することは待ったなしの課題だ」と強調しました。
「経済再生プラン」では、最低賃金時給1500円の実現を提案しているとして、「この大きな柱と合わせて、賃上げと待遇改善を持続的にすすめる『非正規ワーカー待遇改善法』を提案することにした」と述べました。
その上で田村氏は、「非正規ワーカー」という言葉を用いた理由として、「フリーランス、ギグワーカーも対象として含めるためだ」と強調。「若者を中心に『労働者』という言葉を自分ごとに思えない人もいる。みんなにとっての重要な課題だというメッセージも込めて『ワーカー』という言葉を使っている」と述べました。また、同法は労働基準法や労働者派遣法など多岐にわたる法の改正を求めるものであり、それらを束ねる大きな法案として提起していくと説明しました。
提案を貫く大きな柱は、EUやILO(国際労働機関)条約などで確立している「同一価値労働同一賃金」、「均等待遇」など労働者保護の国際基準を日本でも確立し、非正規ワーカーの待遇を抜本的に改善するというもの。(1)不当な雇い止め、解雇をなくし、非正規ワーカーの雇用の安定を図る(2)非正規ワーカーへの差別・格差をなくす(3)「家族的責任」などジェンダー平等を促進する国際基準、ハラスメント禁止を法律に明記する(4)国・自治体が率先して非正規雇用の待遇改善をすすめる――ことを提案しています。
「非正規雇用の待遇改善でジェンダー平等をすすめる」項目についての説明で田村氏は、パートタイム労働やケア労働など女性が多く就労する働き方が家計補助的な位置づけとされ、賃金の上でも格差が容認されてきた問題を指摘し、「非正規雇用の待遇改善はジェンダー平等を大きく進めるものになる」と強調。「この提案を力に、非正規ワーカーをはじめ、労働組合や野党、幅広い市民との対話と共同を発展させ、法案を実現したい」と述べました。
2023年10月19日(木) しんぶん赤旗