トラック運転手不足が起きるとされる「物流2024年問題」。原因にトラック運転手の長時間の労働と低い運賃がある―そう国会で切り込んだ日本共産党の田村智子参院議員の質問が、業界紙で2度、報じられました。業界関係者からは「これほど真剣にわれわれのことを思っていただけていることに深く感激」と喜ばれています。
「(田村議員を)初めて(動画投稿アプリの)TikTokで見ました。運賃の熱弁に感動いたしました。もっともっと、国会で取り上げていただきたい」―。これは田村議員の事務所に寄せられた運送業者の声です。
速度引き上げ
そもそも「物流24年問題」とは―。トラックやバスなど運転労働者の労働条件は厚生労働省の「改善基準告示」で定めています。来年4月から適用の改正「基準告示」では、トラック運転手の年間拘束時間を最大3516時間から3400時間とわずかに短縮します。
物流業界はトラック運転手の長時間労働がまん延しています。来年4月から拘束時間が短くなることで運転手不足となり、荷物総量の3割が運べなくなるとする試算もあります。
この対策として、警察庁は高速道でのトラックの速度規制を今の80㌔から引き上げる検討を始めました。
この問題で田村議員は「長時間労働の是正は、もっと速く走れということで解決する課題ではない」(6月13日、参院国土交通委員会)と指摘。大型貨物車の死亡事故率が普通車より高いことなどをあげました。
この質問を業界紙「物流ニッポン」(6月20日付)が「運転者負荷増大を懸念 田村参院議員『課題のオンパレード』」と報じました。同紙は8月15日付でも、田村議員の質問を報じました。
質問に「深く感激」というトラック運転手は、現場の声を田村議員にメールしました。「(速度規制)引き上げについては現場でも大変話題になっており、皆一様に反対しており、不安でしかありません。更に退職する者が増えてしまうことも危惧しております」
運賃改定交渉
また田村議員は「残業なしで生活できる賃金、これが長時間労働を解消し、過労死を根絶する上で不可欠」(同前)と指摘。多くの運送業者が「契約が打ち切られる恐れ」があるため荷主に運賃改定の交渉すらできないことを取り上げました。
この質問後、「本当に事業者にとって願ってもないご意見でした。私のような女性経営者は特にバカにされ話すら聞いてもらえないことばかりでした。それでも父の会社を受け継いで守っていくためにもぜひ応援させていただきます」とメールを寄せています。
2023年9月18日(月) しんぶん赤旗