活動報告

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学費減・正規雇用こそ/田村智氏、政府の少子化対策ただす/参院予算委

 日本共産党の田村智子議員は28日の参院予算委員会で、少子化に歯止めをかけるには重すぎる高等教育負担を軽減することや、非正規雇用の正規化で若い世代の経済力を向上させることが不可欠だとして、岸田文雄首相の認識をただしました。

 田村氏は「一部の世帯への支援ではなく、高等教育全体の学費負担軽減策を取らなければ、少子化に歯止めはかからない」と述べ、労働者福祉中央協議会が今年3月に発表した政策提言を紹介。「授業料半額や入学金廃止、給付型奨学金を75万人規模にするパッケージ政策に必要な予算は年間1・8兆円で、軍事費年4・8兆円増をやめればすぐ実現できる」と迫りました。

 岸田首相は「物価上昇に負けない賃金上昇を継続的なものにし、高等教育費の負担軽減などについて支援策を講じる」と答弁しました。

 田村氏は、同協議会が行った奨学金返済の生活設計への影響調査で、結婚への影響が37・5%、出産と子育てへの影響が3割超となっていることを指摘。現在、日本学生支援機構が貸し付けている奨学金は総額9・5兆円にも上ることを明らかにして「日本の若者が9・5兆円もの借金を負っている。そのうち7割は利子までつけて貸し付けた。これは異常だ」と批判しました。

 さらに田村氏は、米国ではバイデン大統領が連邦政府の学生ローン返済を1万㌦(約130万円)まで免除すると発表したことを取り上げ、「日本でも、例えば一気に返済総額の半額免除の対策を検討すべきではないか」と提案しました。


2023年3月29日(水) しんぶん赤旗

 

 

 

○委員長(末松信介君) 次に、田村智子さんの質疑を行います。田村智子さん。

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 少子化対策、政府は今月末にたたき台をまとめると言いますが、岸田総理が異次元の少子化対策というふうに打ち出したのは今年一月四日のことです。施政方針演説でも強調しながら、その内容について予算審議中には一切答弁せず、予算成立後にたたき台を出すというのは、余りにも国会を軽視していると言わなければなりません。本来、二〇二三年度予算案に盛り込んで議論することも必要であったはずです。
 委員長、たたき台が示された後、速やかに本委員会での集中審議を行うことを求めます。

○委員長(末松信介君) その件につきまして、理事会で協議をさせていただきます。

○田村智子君 総理、十七日の会見で、結婚した御家庭においても理想とする子供の数を持てない理由として子育てや教育にお金を掛かることがトップに挙がっていますと言われました。
 最もお金が掛かるのは高等教育です。負担軽減をどのように進めるのでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 少子化の様々な要因の一つとして子育てや教育に費用負担の、あっ、子育てや教育に係る費用負担の重さが指摘されており、これまでも高等教育の無償化、実施をしてきたところです。

 そして、令和六年度から給付型奨学金等について負担軽減の必要性の高い多子世帯や理工農系の学生等の中間層への対象を拡大するとともに、出世払い型の奨学金制度の導入にも取り組んでまいります。また、結婚や出産などライフイベントに応じた柔軟な返済が可能となるよう、減額返済制度の見直しを行ってまいります。

 今月末をめどにこども政策担当大臣に政策のこのたたき台作りを指示しているところですが、高等教育費の負担軽減の観点も含めて取りまとめを行ってまいりたいと考えております。

○田村智子君 私、部分的な支援にとどまっていたら、これまでの延長線であって異次元ではないと思うんですよ。
 子供が私立大学に進学すると、文系でも毎年百万円単位で貯金が減っていってしまうと。学生の八割は私立大学に通います。高等教育全体の学費負担軽減策が取られなければ、少子化に歯止めは掛からないんじゃないでしょうか。

 資料の一を見てください。今年三月、労働者福祉中央協議会が高等教育費のザンシン的無償化と負担軽減へ向けての政策提言を発表しました。あっ、漸進的無償化ですね、済みません。大学、短大、専門学校の授業料を現在の半額にする、奨学金の無利子から有利子へを加速化する、給付型奨学金の拡充、高校卒業生への職業教育の充実など、我が党もこれらの提言に賛同いたします。
 総理、たたき台にこうした内容、全体に対する負担軽減策、これ盛り込むべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 奨学金の返済については、結婚、出産といったライフイベントの影響があるなど、負担感について様々な声があること、これは承知をしております。

 このため、これまでも、無利子奨学金を拡充するとともに、厳しい経済状況などで奨学金の返還が困難な方について、返済の猶予や毎月の返還額を減額する制度などにより負担軽減を図ってまいりました。さらに、先ほども申し上げました、令和六年度から更なる対策を用意しているということであります。

 先ほどから申し上げております政府としての今月末の取りまとめ、たたき台作りの中においても、こういった観点を踏まえて、高等教育についてのありよう、しっかり政府の考え方、示していきたいと思っております。

○田村智子君 授業料の半額、そして入学金廃止、給付型奨学金を利用者の半数、七十五万人規模にする、これらをパッケージで進めて必要な予算というのは年間一・八兆円なんです。軍事費を四・八兆円、今年度予算増やすんですよね。こういうことをやめればすぐにでも実現できるということなんですよ。

 この労福協は、今奨学金返済をしている方へのアンケート調査も行っています。資料の二枚目です。その中の一部取り出しました。奨学金返済による生活設計への影響、日常的な食事への影響がある、四二%、結婚、三七・五%、出産、子育て、共に三割を超えているんですね。
 総理、その二枚目のですけれども、この結果、是非、受け止め、感想をお聞かせいただきたいんですけれども。

○国務大臣(永岡桂子君) 様々な事情によりまして厳しい経済状況に置かれ、また奨学金の返還が困難な方々に対しましては、きめ細かな対応が必要と考えております。返還期限の猶予や毎月の返還額を減額をする制度を利用いただくことが可能となっております。

 文部科学省といたしましては、返還されている方の更なる負担の軽減を図るために、教育未来創造会議の第一次提言等を踏まえまして、減額返還制度について年収要件を緩和するなど、より柔軟に返還できるよう見直しを進めているところでございます。

 なお、日本学生支援機構の貸与型の奨学金につきましては、お貸しした、つまり貸与した学生等からの返還金が次の世代の学生等への奨学金の原資となっておりまして、返還できる方からは返還していただくことが大変重要と、そういう認識を持っております。

○田村智子君 文科省にお聞きします。
 現在、日本学生支援機構が奨学金として貸し付けている総額、幾らになりますか。

○政府参考人(池田貴城君) お答えいたします。
 日本学生支援機構の貸与型奨学金の総貸付残高は、令和三年度末時点におきまして約九兆五千三百五十六円でございます、五十六億円でございます。

○田村智子君 学生を含めてですが、主に二十代、三十代の若者が総額九・五兆円もの借金をこの日本では負っているということなんですね。これ、二〇〇六年度末のときと比べると二倍の規模、なっているんですよ。人も増えているでしょう、そして借金額も増えているでしょう。

 資料の三ページ目、見てください。奨学金の推移です。
 世界でも際立つ高学費を自己責任としてきた。そして、払えないなら奨学金を借りなさいと有利子奨学金の枠を急増させ、貸付額も最大月十二万円にまで引き上げた。リーマン・ショック以降、親世代の収入が落ち込み、大学に進学するには奨学金を借りるしかなかった、こういう学生が多数いた。最も多く貸し出した二〇一三年度、そのときの学生が今三十歳前後です。生活設計への影響は極めて深刻です。

 総理、マクロで見たとき、日本の若者が教育を受けるために九・五兆円もの借金を負っている、そのうちの七割は利子まで付いた借金です。これ異常じゃないですか。支援策必要じゃないですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 日本学生支援機構貸与型奨学金の貸付残高、九・五兆円という御指摘がありましたが、一人当たりにしますと平均百五十四万円ということであります。この負担感についてどう考えるかということであり、だからこそ、これまでも様々な取組を用意し、令和六年度から更なる対策も用意をする、こうした取組を進めています。
 負担感についてどう考えるのか、政府としてもしっかり受け止めて対策を進めてまいります。

○田村智子君 政府の策だと、返済は、猶予とか減額はするけれど、後ろに先延ばしになっていくだけなんですよ。そうすると、いつまでたってもその借金総額というのは本人にとっては減っていかないことになってしまうんですね。

 アメリカでは、バイデン大統領が連邦政府の学生ローン返済、一人最大一万ドルまで免除するということを昨年発表いたしました。総理、日本でも、例えば全員に一気に返済総額の半額を免除する、これぐらいの対策を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 昨年八月、バイデン大統領が年収十二万五千ドル未満の大学卒業者に対して学生ローンを一万ドル減免すると発表したこと、これは報道等により承知をしております。これについてですが、これは単純に比較するもの、ができるものでもないと考えております。

 日本では、年間の平均授業料、国立で五十四万円、私立で九十三万円です。米国では、州立で三百万円、私立で五百万円。そして、日本では低所得世帯に無利子で貸与を行っております。有利子でも〇・三七%です。米国は原則全て有利子で四・九九%、このようになっております。結果として、先ほど申し上げましたが、日本は一人当たり百五十四万円ですが、米国では一人当たり平均五百二十一万円となっています。

 こうした状況も念頭に置きながら、日本として先ほど申し上げました負担軽減に向けて独自の政策をしっかりと進めていくことは重要であると考えています。

○田村智子君 もうどこが異次元なんだということだなというふうに思いますが、また集中審議でやりたいと思います。

 三月十七日の会見、少子化の背景として未婚率の増加があり、その原因の一つとして若い世代の経済力が挙げられますとも述べられました。非正規雇用が増え若い世代の経済力が低下した、それが未婚率増加の原因の一つである、総理もこの認識を共有するということでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 少子化の背景として未婚率の増加があり、その原因の一つとして若い世代の経済力が挙げられていると認識をしております。

 先日の記者会見において、子ども・子育て政策の基本理念の一つとして若い世代の所得を増やすことを挙げたところであり、若い世代の所得向上に、子育て政策の範疇を超えて、大きな社会経済政策として取り組んでいきたいと考えています。

 具体的には、足下の物価に負けない賃上げに加えて、賃上げの上昇が継続なものにしていく、こういった取組を進めたいと思いますし、あわせて、子育て世帯に対する経済的支援の強化に向けて児童手当の拡充や高等教育費の負担軽減、さらには、若い子育て世帯への住居支援などについて包括的な支援策、これを講じてまいりたいと考えております。

○田村智子君 政府の直近の少子化対策大綱を見ても、雇用の問題が第一の柱なんですよ。非正規の正規化ってあるんですよ。ところが、これが全く具体化されない。例えば、国家公務の職場で働く非正規の職員、四人に一人です。厚労省では職員の約半数が非正規、自治体も会計年度職員六十数万人が非正規。
 公務職場で非正規の正規化、どうやって進めていくんでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 公務員の場合、常勤職員として任用するには、国家公務員法等に基づき採用試験などにより常勤職員としての能力の実証を行う必要があるところ、経験を積んだ非常勤職員を、経験を考慮しつつ試験などにより常勤職員として採用している例はあると聞いており、正規化を進める一つの方法であると考えております。

○田村智子君 あのね、正規化どころか、国は今、三年公募ルールなんですよ。自治体の会計年度職員にもそれを押し付けようとしているんですよ。連続して三年働いたら雇い止め、その職を公募に掛ける、こんなやり方を自治体にまで広げて、どうして若い世代の経済力の向上になるんでしょうか。
 少なくともこの三年公募ルール直ちにやめるべきだと思いますが、最後、これお答えください。

○国務大臣(河野太郎君) 国の期間業務職員の採用につきましては、人事院の通達に、通知におきまして、公募によらない採用は、同一の者について連続二回を限度とするよう努めるとされております。人事院にお尋ねいただきたいと思います。

○田村智子君 終わります。

 


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