活動報告

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参院予算委で公聴会/IAMD、半田滋氏が警告/日本の少子化、本田由紀氏が指摘

 参院予算委員会は9日、公聴会を開きました。「外交・安全保障」のテーマでは、防衛ジャーナリストの半田滋氏ら、「社会保障・少子化対策・教育」のテーマでは、東京大学大学院教育学研究科の本田由紀教授らが公述し、各議員が意見聴取しました。

 

IAMD/米指揮下で基地攻撃/半田滋氏が警告/山添議員質問

 日本共産党の山添拓議員は、安保3文書によって進められる日米一体化について質問しました。

 半田氏は、日本は敵を攻撃するために必要な情報を得る手段である偵察衛星や、各種レーダーなどの保有が不十分だと指摘。その上で、ミサイル防衛と敵基地攻撃が一体となった「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)について、「米軍のIAMDに入らなければ、日本の反撃能力(敵基地攻撃能力)は機能しようがない」と強調し、米軍の指揮下で自衛隊が敵基地攻撃を行使する危険を指摘しました。

 さらに半田氏は、安保3文書が、「抑止力」の強化といいながら、抑止が破られることを前提として実際に軍事力を使用する「対処力」を強化しようとしていることを批判。その一方で、「外交による戦争回避の言及が驚くほど少ない」と指摘しました。

 山添氏が戦争回避のための包摂的枠組みをつくる外交努力についてただすと、半田氏は「包摂的枠組みでの外交が極めて重要だ」と強調。東南アジア諸国連合(ASEAN)を例に挙げ、「対立する台湾や中国が一緒に参加し、議論する場がいくつあっても構わない。日本がそういった場をつくる。その機会が今年から来年ぐらいにかけてではないか」と主張しました。

 

日本の少子化/教育支出抑制に原因/本田由紀氏が指摘/田村智議員質問

 本田氏は公述で、「これまで教育に対する国家支出を抑制したことが、教育の問題状況や少子化、ひいては経済社会全体の停滞の原因となっている」と述べました。

 「教育をめぐって子どもや若者、保護者が置かれている慢性的・構造的な問題状況の是正が今こそ必要だ」と主張。少子化対策につながる施策として、▽正規教員の増員と少人数学級化によるきめ細かい公教育の実現▽高校・大学の入学者選考等の変革による「学校歴社会」から「学習歴社会」への転換▽子育てと子どもの教育に関する保護者の経済的・精神的な負担や責任の軽減―を求めました。

 日本共産党の田村智子議員は、競争的な環境が子どもの成長に必要だとして文部科学省が少人数学級に背を向けてきたことについてただしました。

 本田氏は「大人数のなかで、競争に向けて、垂直的な序列のなかで少しでも上に行くことを目指して駆り立てるような教育が、今の子どもや若者の状況を生み出している」と強調。「極めて古い、お金をかけない、効率のみを重視した学校教育の在り方を、少なくとも財務省は続けようとしている」と批判し、この問題が「国全体、国民全体を疲弊させ、たたきつぶすような結果になっているということについて、議員の方々は心底から認識してほしい」と訴えました。


2023年3月10(金) しんぶん赤旗

 

 

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。今日は本当にありがとうございます。

 まず、大日向参考人にお聞きをいたします。
 理由を問わない一時保育って本当に大切だなというふうに思いました。やはり行政ではできないところをそういうふうにNPOの方、市民の方、そういう皆さんで補っていって、全体で子育て、特に女性、母親を支援していくということはとても大切になってくるというふうに思います。

 それで、その行政との連携の在り方というのを一点お聞きしたいのと、もう一つ、私が最近感じておりますのは、大日向参考人が先ほど言われた、自己肯定感が非常に乏しい。そうすると、母親にとっては自分の子育てを採点されているような、否定をされるような、こういうことを恐れて様々な社会的な場に連れていかれない。あるいは、保育士さんの家庭訪問というところに来られたら何か否定されてしまうんじゃないかというおそれがあって面談を回避するというようなことも起こっているんじゃないだろうかというふうに思うんです。
 そういうNPO等々の皆さんの子育て支援の行政との連携の仕方と今のような私の問題意識について、何か御意見をお聞かせいただければと思います。

○公述人(大日向雅美君) 御質問ありがとうございます。
 行政との連携は、まさに二十年掛けて取り組んでまいりました。結論と申しますのは、ウイン・ウインの関係でありたい。行政が持っていらっしゃるのはやはり社会的信頼とお金です。NPOはフットワークの軽さと当事者意識。その両方がお互いにどれだけ力を携え合うことができるかです。

 幸い、私どものNPOが関わらせていただいている幾つかの自治体は対等にNPOを扱ってくださる。この対等にが非常に大事です。でも、全国的に見ると、NPOを対等には見てくださらない。

 こんな逸話があるんですね。子育て支援活動を表彰する団体にも、活動にも携わらせていただいているんですが、表彰して何がうれしかった、表彰されて何がうれしかったかというと、どこどこからこういう表彰を受けたと言われたら、その市役所に行ったら、今までどんなにアポを取っても廊下の立ち話だった、それが椅子が出てきたと、パイプ椅子がですよ、そこで初めて話ができた。これが現状です。

 ですから、私は自治体の方に、もう本当に私どもは恵まれておりますが、是非お願いしたいのは、地域には本当に当事者性とフットワークの軽さ、やる気がある人たちが本当たくさんいる、その方々の思いをどうかきちっと向き合っていただきたい。

 そしてもう一つ、行政はジェネラリストでいらっしゃいます。これも大事です。でも、私は、この三月末から四月に向けていつもどきどきするのは、異動通知なんです。せっかく時間を掛けてタッグを組めたと思ったら、新しい方がいらしたらそこからまたやらなくてはいけない。どうか前任者の良いところは引き継いでいただきたい。これは行政、自治体にいつもお願いしていることでございますけれども、対等なパートナーシップが一つでございます。

 それから、母親たちが自己肯定感を持てない、まさに先生がおっしゃるとおりです。私は生きていていいんだろうか、母親になったけどこんなにいろんなものを奪われて、夫とも会話ができないという女性たちがいます。対等な言語がない。働いているときは対等な言語で会話ができた。でも、子育て楽しい、子供もかわいい、幼児語も大切、でも、はっと気が付くと、夫がどんな声でも聞くよ、言ってごらんと言われても、そんな高みから言わないで、共通言語がない、この声なんです。

 ここを、私は、まず男性にも、それから女性たちがお母さんとなってからも、学ぶ機会、自分の時間を大切にしてほしい。社会人としての自分をしっかりと取り戻させて、それが実は、いろんな生き方があっていい、いろんな子育てがあっていい。そして、何よりも、子供の育ちは子供が決めます。親が、大人が方向を示すものではありません。その子らしく生きていく、その傍らに寄り添う、そういう親である。

 今もう一つ心配なのは、間もなく小学校が始まりますと、お母さんたちは、これができなきゃ駄目よ、小学校へ行ってから恥ずかしいのよと。とんでもないことです。小学校は楽しいと言ってあげたい。

 でも、なぜそんなことを言わなくてはいけないかというと、私の子育てが小学校へ行ってから評価されるんじゃないか。これもできない、字も読めない、これもできない。そんなことではなく、母親一人の子育てから社会の皆で担ってということは、そういう思いを込めてのことでございました。

 御質問ありがとうございました。

○田村智子君 本田参考人にお聞きしたいと思います。
 少人数学級のお話、改めて聞きまして、これはやっぱり二十年から三十年のスパンでどうだったかということを考えなきゃいけないなと改めて思いました。

 一九九〇年代の終わりぐらい、後半ぐらいに国政上の大争点になったんですよね、少人数学級は。長野県のある自治体が独自にやったら、教育委員会と国からそれは駄目だと言われて弾圧されて、それでいいのかということで野党が共同で少人数学級法案を出したりということが九〇年代の後半にあったわけです。

 それで、やっぱり少人数学級やらない理由として、競争的な環境が子供たちの成長には必要だということを文科省は言い続ける。これが今、人口減少の下では学校統廃合で、やっぱり一定規模の子供がいなければ駄目だといって統廃合が進んでいく。それから、一人一人を大切にといったときには、到達度別の授業をやればいいというふうにして少人数学級を否定し続けてきたわけですね。

 そうやって育ってきた子供たちが、今二十代後半から三十代なんですよね。二十代、三十代なんですよ。そういう教育が何を今若い世代にもたらしているのかということを、やっぱり少子化という問題考えたときに今検討すべきではないかと。それ、二十年、三十年スパンで検討することは必要じゃないかと思いますが、このことについて御意見いただければと思います。

○公述人(本田由紀君) 大変重要な御質問ありがとうございます。
 もうおっしゃるとおりで、一時期までは順々に学級規模が減らされてきたわけなんですけれども、特に今世紀に入ってからそういう動きは止まってしまったんですね。全部、おっしゃったように、習熟度別学級がどうのこうのとかいう、そういういわゆる加配ですね、特定の目的に関して多くは非正規の教員を配置するような形で、定数自体を改善するというそういう動きは止まってしまったわけです。

 多くの場合、それを止めてきたのは財務省だということも、これも教育に関わる者であれば全員が知っていることです。財務省と文科省の間の攻防みたいなことも毎年のように繰り広げられていることも、これはもう知れ渡っています。

 なぜこのように財務省が頑強に教育にお金を付けようとしないのかということ、その理由については外部からは心底分かっているわけではありませんけれども、そこに大きな問題があるということ自体は極めて確かです。

 競争的な環境がどうのこうの言われていますけれども、その結果、日本で、日本の教育がどうなっているかということを示したのが、一番象徴的なのが今日の図表の一です。

 競争を強いられ、学ぶことの意味は形骸化し、不安にさいなまれ、勉強嫌いのがり勉なんだという言葉を今の子供たちを称して表現したインターネット上の発言があったんですけれども、まさにそういうですね。あと、追い立てるような、大人数の中で競争に向けて、その垂直的な序列の中で少しでも上に行くことを目指して駆り立てるようなことが、教育が、今の子供たちの、若者の状況を生み出してきてしまっていると。

 それは、一時期の大量生産のような時代であれば、何かそういうがつがつやるだけの人たちが重要だった時期もあったかもしれませんけれども、今や社会も経済もそんな状況では全くなくなっているのに、極めて古い、お金を掛けない、効率のみを重視した学校教育の在り方を少なくとも財務省は強硬に続けようとしていますね、財務省だけではないかもしれませんけれども。

 この大問題、それは国全体、国民全体を疲弊させ、たたき潰すような結果になっているということについて、議員の方々はもう心底から認識していただきたいと心から思います。

○田村智子君 もう一問、本田公述人にお聞きをします。
 その二十年、三十年スパンで考えたときというのは、やはり、メモのところに書かれている、非正規の雇用が非常に割合として増えた。ここ何年間かで減ったというので見ているだけでは駄目だと思うんですよ。やっぱり二十年、三十年のスパンで考えたときに、若い人たちの中にこの非正規の雇用の割合が明らかに広がってしまっていると、このことが今この少子化問題等々にもたらしている問題、このいただいたペーパーの中にはあるものですから、少しこの点についてお話をいただければというふうに思います。

○公述人(本田由紀君) 済みません、今質問してくださったのは、非正規教員の話、非正規雇用全般の話ですね。
 それはもう明らかに増えてきております。特に、九〇年代に入って九五年に日本経済団体連合会がそれを是認するような報告書を出して以降、それが拍車を掛けて、今や非正規は非常に増えてきていると。特に女性の中でじりじりじりじり増えたりとか、今や高齢者も一回退職した後に働かなければならなかったということも大きな理由にはなっておりますけれども、若年男性の中でもじりじり増えてきています。

 こういう非常に近視眼的な、短期的な見通しの下で、要るときだけ人を雇おうとするようなやり方を日本の企業というのはどんどん進めてきたわけですね。これが、賃金の低さや、日本で賃金が、実質賃金が全然上がらないような状況であったりとか、あと将来不安、未婚化ということの根源にあるということは、まあ確かだと思います。そして、このような非正規雇用の問題が、例えば若年層であれば非大学進学層であるとか、特定の地域とかに凝縮された形で生じているということも大きな問題だと思います。

 それに直撃された九〇年代の苦しみを味わったのが氷河期世代であって、そういう今四十代になっている彼らは非常にその不利をまだ引きずっている。今後も加齢とともに社会保障が必要な対象になっていくということが大問題なわけですけれども、そこも十分な手が打たれないままになっているということは大きな問題だと思います。

○田村智子君 ありがとうございました。終わります。

 


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