日本共産党の田村智子政策委員長は21日、国会内で記者会見し、国による生活保護費削減は憲法25条(生存権)と生活保護法に違反するとして削減処分の取り消しなどを国・自治体に命じた横浜地裁の判決(19日)について、「厚労省、岸田政権は判決を重く受け止め、生活保護制度により健康で文化的な生活が保障されるよう削減分を元に戻すべきだ」と主張しました。あわせて「物価高騰に対応した支給額の引き上げを求める」と語りました。
同様の判決はこれまで大阪、熊本、東京の3地裁で下されています。
田村氏は「削減は、政府が社会保障審議会での議論もへずに密室で決定したものだ。判決は、2013年の生活保護費削減について、統計の使い方も、どこを基準として支給額を見直すかも、これまでと全く違うでたらめなやり方で決められたと断罪している」と判決の意義を強調しました。
その上で、生活保護費は、2012年当時、野党だった自民党が総選挙公約で生活保護の給付水準の「10%引き下げ」を明記し、政権復帰後の第2次安倍政権により削減されたと指摘。「10%削減の結論ありきで『どうしたら削減できるか』という考えで強行された」と厳しく批判しました。
田村氏は「自民党が国会質問も利用して生活保護への大々的なバッシングをくり広げた」と批判。支給額削減とバッシングにより、生活保護受給者の生活苦、生活保護への偏見、国民の間の分断、自治体職場で人権無視の対応が助長されたことを紹介しました。
そして、「これらが新型コロナと物価高騰のもとで生活保護の受給を著しく妨げる要因となっている」と主張。「安倍政権による生活保護バッシングがどれほど深刻な事態をもたらしたのか岸田政権は直視すべきだ。政府は地裁の判決を受け止めて、生活保護の制度と運用を憲法にのっとり抜本的に改善することを強く求める」と語りました。
2022年10月22日(土) しんぶん赤旗