日本共産党の田村智子政策委員長は9日、国会内で記者会見し、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部が8日に示した「Withコロナにむけた政策の考え方」について、「第6波、第7波で起きた医療崩壊など深刻な事態を直視していない。成り行き任せを続けたことへの反省もない」と批判しました。
田村氏は、感染の波が繰り返すたびに高くなり、冬の感染拡大期は大変危惧されると指摘。第7波では、発熱外来がパンクし、早期治療の遅れから重症化につながったが、今回の「『基本的考え方』では『高齢者・重症化リスクのあるものに対する、適切な医療の提供を中心とする考え方に転換』と書いている。これでは、それ以外のコロナ患者は医療にアクセスできなくてもいいとなりかねない」と強調しました。
政策転換の柱である「全数把握の全国一律の見直し」は、事務作業の効率化にとどまらず、「発生届け」の対象とリンクさせ、発熱外来を受診する対象も高齢者・基礎疾患のある人などに絞り、「症状が軽い」人はセルフチェックで健康フォローアップセンターへの登録となり、医療を受けなくていいとする仕組みだと指摘。発熱外来をどれくらい増やすのかなど、医療体制強化の具体策は検討もされていないと厳しく批判しました。
また高齢者施設では、入院が必要な患者が施設内に留め置かれる事態が多発し、死亡者数が過去最多になっているにもかかわらず、政府の方針が「施設内療養に対する支援強化」とされたことを批判。介護が必要な高齢者への医療体制強化を急ぐよう求めました。
オミクロン株で増えている子どもの発症と死亡について科学的知見を集めた対策と、保健所の増設も含めた抜本的な体制強化が必要だと強調しました。
その上で、岸田政権は、昨年11月に策定した取り組みの全体像を見直さず、オミクロン株への対策を講じなかったと指摘。政府分科会が7月14日に出した緊急提言へも、まともに向き合っていないと指摘し、「臨時国会を早期に開会し、新型コロナ、物価高騰の対策、『国葬』問題、統一協会問題など、徹底した審議を強く求める」と述べました。
2022年9月10日(土) しんぶん赤旗