国立大学や国立研究機関の多数の非正規雇用の研究者が来年3月末に雇い止めで失職する恐れがあることについて、世界で最も権威ある米国の科学誌『サイエンス』が5日付のニュース欄で報道しました。この問題をたびたび国会で取り上げ、雇い止めを起こさないよう政府に求めてきた日本共産党の田村智子参院議員の質問などにふれ、その深刻さを伝えています。
労働契約法の特例で非正規の研究者は通算雇用期間10年で無期雇用転換権が発生しますが、国立大学や国立研究機関は無期雇用転換を逃れるため雇用期間が10年となる非正規の研究者を解雇しようとしています。
サイエンス誌の記事は、代表的な例として世界最高性能の放射光を生み出すことができる「スプリング8」やスーパーコンピューター「富岳」などを有し、脳科学や量子コンピューティング、予防医学などさまざまな分野の研究に取り組んでいる理化学研究所を取り上げています。それによると、現在2893人の同研究所の研究者の77%が有期雇用であること、そのうち203人が2023年3月末までに雇用期間10年に達します。
その中には、42人のチームリーダーがいて、これらの人々が雇い止めされると、グループが解散するため、そのグループに属する177人の雇用が危険にさらされることになるといいます。
サイエンス誌の記事は、理化学研究所労働組合のこの問題への取り組みなどにふれるとともに、田村議員の分析によれば最大4500人が雇い止めの危険にさらされていると記述。「日本の研究開発に深刻な長期的影響を与える可能性がある」とする田村議員の言葉を紹介しています。
2022年7月13日(水) しんぶん赤旗
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