2021年3月5日(金) しんぶん赤旗
コロナ禍の女性の困難 生み出した政治の責任重大 田村議員転換迫る
日本共産党の田村智子議員は4日の参院予算委員会で、新型コロナウイルス危機で困難を極める医療体制と女性の貧困の実態を示し、根本には自公政治が生み出した構造的な問題があるとただしました。菅義偉首相はどちらについても構造的問題に踏み込みませんでした。
女性の貧困をめぐっては、初の緊急事態宣言が発令された昨年4月に女性の雇用者数が男性の2倍以上減ったと指摘。女性の割合が高い非正規雇用の減少が特に激しく、「非正規で働く女性たちが雇用の調整弁とされた。女性の自殺者急増とも切り離せない」と述べました。
「バスガイドや事務職など、女性が多く担う業務が正規雇用から非正規雇用に置きかえられてきた」と強調。正規雇用でも女性労働者の多い看護師や介護士、保育士などの「ケア労働」は、補助的業務・女性の家庭労働の延長だとして評価されず、低賃金に置かれていると告発しました。
田村氏は、ケア労働者の抜本的な処遇改善、矛盾が集中するひとり親世帯への給付金を求め、「構造的な問題を本気で変える政治を」と迫りました。
【2021年3月4日 予算委員会 議事録】
○田村智子君 私は、今日は、その社会的に女性に対して当たり前とされてきたこと、これが実は新型コロナの下で女性に大きな困難をもたらしているんじゃないかと、このことをお聞きしたいんです。
内閣府男女共同参画局が立ち上げたコロナ下の女性への影響と課題に関する研究会、ここでも私と同じような問題意識での議論がなされています。
この研究会への政府提出資料、真剣に議論すべきものが幾つもありますので、その一部を資料配付いたしました。この資料について、局長、御説明いただけますか。
○政府参考人(林伴子君) お答え申し上げます。
まず、女性の雇用者数でございますが、特に昨年四月は、対前月で女性の雇用者数が七十四万人減少し、男性の約二倍の減少幅となっております。現在は徐々に戻ってきております。
とりわけ、産業別に見ますと、飲食業、宿泊業、生活・娯楽業などの産業において女性の方が男性に比べて減少幅が大きいという現象が見られます。
○田村智子君 仕事を失うということは、もちろん男性にとっても女性にとっても極めて深刻です。しかし、ここまで激しいジェンダーギャップがあるということに私は衝撃を受けました。
なぜ多くの女性が仕事を失うことになったのか。これ、総理の認識伺いたいんです。
○国務大臣(丸川珠代君) 御指摘のとおり、非常に大きくコロナ禍が女性に影響を与えているという認識は同じでございます。
特に今回のコロナ禍では、飲食、宿泊、また生活・娯楽業におきまして非常に雇用者の減少が大きくなりました。まず、こうした業種では非正規雇用の方が多いということ、とりわけ非正規雇用の女性の割合が高いということが指摘をされております。
実際、二〇二〇年度の数字でございますが、宿泊、飲食業におきましては、済みません、ちょっと老眼で数字がうまく見えないんですが、五三%が非正規雇用の女性、また、生活・娯楽業におきましては三八%が非正規雇用の女性ということで、こうした特定の業種、特に女性の非正規雇用の方が多い業種に大きな影響を与えたことが女性が大きな雇用を失うということになったということにつながっていると思います。
コロナ禍で大変な思いをされている女性を誰一人取り残さないという思いで、関係省庁と連携をして対策を進めてまいりたいと存じます。
○田村智子君 私、丸川大臣には答弁要求をしておりません。
総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 今、丸川大臣からも話がありましたけど、飲食とかあるいはホテル、旅館、そうした中で働いていらっしゃる女性の方が多く非正規、非正規の中で働き、そして雇用をなくしている、そういうことは十分承知をしています。ただ、そうした人たちに政府としては様々な対応を今させていただいているところです。
○田村智子君 非正規雇用の七割が女性なんですね。宿泊、飲食産業では従業員の五割以上が女性の非正規雇用なんですね。それが、コロナ危機によって非正規で働く女性たちが雇用の調整弁にされた、構造的にはそういうことだと思いますが、どうですか。
○国務大臣(田村憲久君) 正規で働きたくて、なかなか働く場がなくて非正規で今言われたような職に就かれている女性の方々もおられると思います。一方で、それぞれ御自身が、働く時間帯等々を含めて自ら望んでそういう職種に就かれる女性が多いのも確かであります。
そういう方々がいつでもまた正規になりたいときに正規で働ける環境を今つくらなきゃならないということで、事実、正規、実は女性は今正規の方は増えてきているということでございますので、決して、調整弁というよりかは、そういうような中においてまあ女性がそういう職種に就いておられる、そういう方々が多かったということが一番の理由であろうと思いますが、それでよしと我々は思っておりませんので、それによって職を失われた方々が他の職種に転換できるように、トライアル雇用でありますとか、いろんな窓口等々をつくりまして対応してまいりたいというふうに考えております。
○田村智子君 これはやっぱり景気悪化で事実上雇用の調整弁ですよ、どう見たって、これね。
昨年の緊急事態宣言というのは何の給付金もないまま営業自粛要請がやられたので、もちろん事業者、経営者の皆さんもとても苦しい立場だったと思います。しかし、その緊急事態宣言が出された途端、その四月に女性の非正規雇用が激減した。経験したことのないパンデミックの中でたちまち仕事を失って収入が途絶える、それがどれほど不安と苦しみをもたらしたか。このことを女性の自殺者の急増と切り離して考えることはできないと思うんですけど、総理の認識伺いたいんです。
○内閣総理大臣(菅義偉君) まず、自殺者は昨年七月から高めの水準となっており、特に女性の割合が高くなっております。その原因、動機としては、健康問題や家庭問題、経済・生活問題、様々なものがあるというふうに思っています。
一方、長引く新型コロナの影響により、特に飲食業や宿泊業の非正規雇用で働かれている女性の方々の雇用情勢は大変厳しい状況にあります。
政府としては、雇用調整助成金の特例措置などによる重層的なセーフティーネット、セーフティーネットを構築するとともに、自治体や民間団体との連携、連携をし、自殺を考えている方に対する相談体制の拡充や周知を図っております。
実は先般も、坂本孤独・孤立担当大臣の下に、こうした自殺を未然に防ぐためにボランティア活動を行っている皆さんとか、あるいは子供食堂をやっている皆さんとか、いろんなボランティアの方に、の代表者にお集まりいただいて現状というものを聞かせていただきました。そういう中で、この自殺防止策、そうしたものを政府としてもこれから徹底して行っていきたい、こういうふうには思っています。
先ほどお話ありましたけれども、女性の正規の職員というのは実は増えているんです。平成二十六年一千二十三万人から令和二年一千百九十四万人、また令和二年においても対前年比で三十三万人、このコロナ禍の中では正規の方は増えております。しかし、残念ながら非正規の方がどんどんと職を失っているということも事実でありますので、そうした一番弱い部分というんですかね、その影響の多いところには政府としてはやはりしっかり支援をする、そのことは当然のことであるというふうに思っています。
○田村智子君 その正規雇用の実態についても後で取り上げたいと思うんですけど、私、やっぱりアベノミクスで雇用状況の改善を安倍総理は自画自賛していましたよ。観光立国と女性活躍を結び付けた政策というのも強力にやられました。だから、飲食、宿泊、そこで女性の非正規増えていったわけですよね。私たちは、これが雇用改善なのかと、非正規が増えているということについて問題提起何度もしてきたんですよ。だけど、当時の安倍総理は、今まで働いていなかった人が働けるようになったんだと、言わば女性が非正規で働き始めるということは当たり前というような政策が取られ続けてきたと思うんですね。女性は非正規と。これ、長年にわたって非正規雇用を増やし続けた政治によって当たり前にされてきたんじゃないのかというふうにも思うんです。
今、正規雇用増えていると言うんですけど、でも、長く見てみましょうよ。男女別に非正規の割合の推移、これ示してほしいんですけど、いかがですか。
○政府参考人(佐伯修司君) お答えいたします。
総務省が実施した労働力調査等の結果から、職員、従業員全体に占める非正規の方の割合を男女別に見ると、一九九〇年二月は男性八・八%、女性三八・一%、二〇二〇年一月から三月期平均は男性二二・三%、女性五六・〇%となっています。
○田村智子君 私、この中で女性が担う業務が正規雇用から非正規にと、給料の安い働き方に置き換えられてきたんじゃないかと、この問題提起したいんです。
事例示します。バスガイドの女性、バス会社の正社員で働いてきた。ところが、二〇〇〇年、小泉構造改革の規制緩和で運輸業や旅行会社の新規参入がすさまじい勢いで進み、会社は経営困難になった。ドライバーは雇用を維持したが給与の大幅引下げ、バスガイドはフリーになってほしい、仕事のあるときに声を掛けると解雇され、バスガイドの派遣会社もできて、ガイドは賃金の安い非正規、日々雇用、これが当たり前になってしまった。そこにコロナ禍なんですよ。四月以降仕事はゼロ、何の支援もない、同年代で仲の良かった仲間は命を絶ってしまった、このままでは命を落とすガイドはもっと増えてしまう、どうか助けてほしいと、こういう訴えやられているんですよ。
これ、非正規には休業手当払われない、休業支援金も届かない、フリーランスへの持続化給付金は打切り、生活困窮者への給付金さえやらない、これでは命を落とす女性がもっと増えてしまうという訴えなんですけど、総理、政治の責任、どうお考えになりますか。
○国務大臣(田村憲久君) 様々な規制改革等々があったことは事実で、それによって産業構造がいろいろと変わったことは事実であります。それによって生まれた職種、新たに生まれた産業の中で雇用がたくさん生まれたというところもあるわけでありまして、総合的に判断しなきゃなりませんが、全体としては、例えば非正規で働く方々に関しても、これも小泉、あっ、ごめんなさい、安倍内閣で決定をされたことでありますけれども、同一労働同一賃金、例えば非正規であったとしても働き方が一緒であるならば処遇は同じであるべきだということで、これいよいよ中小企業もこの四月からスタートしてまいりますが、そういうようないろんな対応もしてきたのも事実でございます。
一方で、今言われたような非正規というような形の中で大変コロナ禍でお苦しみになられておられる方々がおられる中において、緊急小口資金でありますとか生活支援資金、最大二百万までというような形でのいろんな対応もさせていただいておるわけでございまして、重層的な支援で対応しますが、何よりも必要なのは、そういう方々が正規で働きたいと思われておられるのならば、これは正規で働けるような、いろんなまあこれ職業も種類あると思いますけれども、これは職業能力開発を含めて我々が対応させていただく中において正規の方に誘導していく、これ重要な施策であるというふうに考えております。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 先ほども申し上げましたけれども、このコロナ禍の中にあっても正規の女性の職員が実数として増えている、このことも是非お示しをさせていただきたいと思います。
そして、今、確かにこの非正規の女性の方の職、なかなか職業に就くことが難しい状況の中で、今厚労大臣から申し上げましたけど、政府としては様々な施策を今お示ししながら、そして、特に非正規の方が職業訓練をしながら次の職に就けるような、そうしたことにも政府として力を入れていきたい、こういうふうに思っています。
○田村智子君 今の、バスガイドの方に届くメッセージでしたか。これ、このバスガイドの方、本当に高校卒業からずっとガイドの仕事に誇り持って働いておられた。だけど、正規でもう働けないんですよ、派遣会社かフリーか、正規で雇うような会社が地方の中になくなっちゃったから。
そういう雇用の流動化とか労働者派遣事業の規制緩和とか新規参入促して、もっと人件費抑えろ抑えろって、こういう政策が取られてきて、その中で女性が構造的に不安定で低収入の働き方になっている。今、休業支援金も届かない。その政治の責任をどう考えるのかと聞いているんです。
○国務大臣(田村憲久君) バスガイドという仕事が、今どうしてもこのコロナ禍で観光産業が厳しい中で需要がないという問題、これは我々も早くこの新型コロナ感染症を抑えて、旅行需要がないわけではないので、早く元の社会に戻していかなきゃならないという思いはあります。その上での今回の緊急事態宣言の延長という話、昨日から出ておりますけど、そういうことなんだろうと思います。
一方で、そういう方々に対してどうしていくか。先ほど総理もおっしゃられましたけれども、これは、例えば雇用保険の対象じゃなかったといたしましても、求職者支援訓練というのがございます。こういう方々に対してしっかりと職業能力、非常に受けやすくなっております、いろんな緩和しておりますから。こういうものを受けていただいた上で、給付金、生活費の方も受けていただいて、そして、その能力を、今、個別伴走型の新たなステップアップ窓口というのをつくっておりますから、そういうところで付けた能力を必要な企業につなげていくというようなことも含めて、いろんなメニューをおそろえをさせていただく中において、丁寧にそういう方々がしっかりと次の職に転換いただけるように我々努力してまいりたいと考えております。
○田村智子君 ガイドだけじゃないんですよ。事務職とか窓口業務とか銀行の窓口とか、どうですか。かつては正規職員でしょう。それ今、非正規でしょう。契約社員、派遣社員、当たり前。こうやって女性たちが非正規が当たり前という構造をつくってきたんじゃないのかと。そこでのコロナ禍だから休業支援金届いていないとか、こんな事態を許していちゃいけないんですよ。そのことを問うているんです。
それで、総理は正規雇用増えているとおっしゃった。一番増えているのは医療、福祉なんですよね。だけど、その正規雇用は女性は給料が安い、これも当たり前にされてきたんじゃないのかなんですね。
衆議院の予算委員会中央公聴会で全労連小畑議長が示した資料です。
これ、今女性の中で正規雇用が増えている看護師、見てください。二十代では大卒の男子よりも高いのに、もう三十代になると大きく引き離されていって、四十代後半では高校卒業の男性の賃金よりも低くなるんですね。
もう一枚見ていただきましょう。これは、介護や保育なんですけれども、ここも増やしているんですよ。介護は、生活困窮者の方がいろんな相談に行くと、介護の職業訓練とセットで給付金というようなのが行政でどんどんやられています、人手不足だから。しかし、見てください。介護士、保育士、賃金が二十代から六十代まで上昇がほとんどない。寝たまま賃金ですよ。
総理、これ総理、お答えいただきたい、異常な低賃金構造だと思いますけど、どうですか。
○国務大臣(田村憲久君) いろいろとおっしゃられます、これ、小畑議長さんが出された資料、これどういうふうに加工されているのか、賃金構造基本統計を使われているか、ちょっと我々は理解していないんですが、産業系の給与に関してはこれ役職者の給与も含んでいると、一方で職種別の給与は役職者が含んでいないということもあるようでありますが、いずれにしても、それでも決して高い状況じゃございませんので、我々も処遇改善やいろんな対応してきているわけでありまして、これからも不断の努力を、努めさせていただきたいと思いますし、勤務年数が短いというのもございますので、それが長く勤務いただけるような、そういうような職種にしていくように努力してまいりたいというふうに考えております。
○田村智子君 私、今日、ちょっと構造的な掘り下げたところの議論したいんですよ。
例えば、看護師の仕事は医師の補助的業務であると、介護や保育は元々女性の家庭労働だからと専門性や経験を評価しないと、こういうことがこの低賃金の構造の中に表れているんじゃないでしょうか。だけど、医療や介護、保育というケア労働、これがどれだけ社会全体にとって大切なものか、私たちもう実感しているわけですよね。ケア労働の処遇の抜本的な引上げ、この寝たままになっている賃金、この現状を変える、これ政策的にできることです。
総理、これやりましょうよ。総理、どうですか。総理。
○国務大臣(田村憲久君) 問題意識、本当に我々も同じでございますので、介護も、長く勤めて能力のある方、技術ある方を評価するような報酬、処遇改善もいたしましたし、保育自身も、副主任でありますとか職務別リーダーでありますとかそういう方々に対しては加算をつくっているわけでありまして、何とか長くキャリア形成できるような対応というものを我々も一生懸命これからも考えてまいりたいというふうに思っております。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 田村智子さん。(発言する者あり)田村さん。いやいや、あなた、もう一回質問してください。駄目だよ。質問者は委員長の許可を得て発言してください。もう一回質問してください。
田村智子さん。
○田村智子君 構造的なものを変える、どうですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 医療、介護、保育など、このコロナ禍の中にあって、国民の命や暮らしを守る上で欠かせないサービスが適切に提供されるように、そこで働く方々の処遇の改善というのは重要な課題だと私自身は受け止めています。
今日までの間で、介護についても、また保育についても、それぞれ賃金の引上げを行ってきていることは事実じゃないでしょうか。御指摘の賃金については労使の交渉により決められるものでありますが、政府としては、こうした分野で働く方々に対し、累次の処遇改善というものの取組を行ってきています。今も非常に厳しい状況で、中で働くそうした皆さんに対して感謝と敬意を表しますとともに、引き続き皆さんの、現場で働いている皆さんの気持ちに寄り添いながら、ここはしっかり対応させていただきたいというふうに思っています。
○田村智子君 これ、小手先ではこれだけの構造変わらないですよ。
民間企業での女性の賃金も私は寝たままなんじゃないかと思うんですよ。いまだに就職するときに、残業も単身赴任もやりますという総合職か、それができないなら一般職と、で、初任給もその後の給与改定もずうっと差別されていく。そこには女性は家庭的責任があるから一般職が当たり前、給料に差があって当たり前という構造がある。だけど、その実態が隠されている。
男性、女性で雇用形態がどう違うか、給料がどう違うか。これ、企業からの報告を求めて構造的に把握して変えていくことが必要だと思いますけど、どうでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 改正女性活躍推進法等々で、女性の登用でありますとかいろんな指標、これを開示をいただくということ、こういうことを進めてきているわけであります。いろんな産業によってかなり変わりつつありまして、御承知だと思いますけど、産業によって、業種によっては女性がもうばりばりと働いていただき、男性と変わらないような賃金体系の企業もたくさんあるわけであります。
ただ、それでよしというんじゃなくて、そこで働き方改革等々も含めていきませんとこれまたディーセントワークにならないという問題がございますので、そこは我々としては不断のやはりいろんなチェックをしていきたいというふうに思いますが、ただ、今言われているようにいろんな課題があることは我々も認識いたしておりますので、女性の方々も同じような働き方ならばちゃんとした賃金体系、同じように男性と、賃金をもらえるような、そういうような対応というものはこれからも我々しっかりと女性活躍の観点から進めてまいりたいというふうに考えております。
○田村智子君 今、女性活躍推進法、出されました。確かに企業は報告の義務があるんですよ、役員何割とか女性何割、それから勤続年数がどれぐらいか。だけど、賃金については報告の義務求めてない。雇用形態の違いも報告求めてない。
私、そもそも、女性活躍推進法は名前変えた方がいいですよね。雇用におけるジェンダー平等推進法とか、変えた方がいいですよ。で、企業に正規、非正規の男女比、給料の男女比、その報告求める。これ、政府機関や自治体も報告の義務付けがありますから、ここでもジェンダーギャップの実態、まず明らかにする。明らかにしなかったら、分からないんですもの。総理、どうでしょう。これ検討しましょうよ。どうですか、総理。答弁要求してないです。総理、総理、お願いします。
○国務大臣(丸川珠代君) 田村議員御指摘の男女間の処遇の格差というのは非常に大きな問題だと捉えておりまして、それを見える化するという努力は、これは不断に続けていかなければいけないものだと認識をしております。
なお、この改正女性活躍推進法もようやく昨年の六月から施行されまして、来年の四月からはこの対象を百一人以上の一般事業主に拡大して、これ義務化してまいりますので、是非こうした取組をまず進めさせていただきながら、一方で、見える化の努力がどのように進められるかということを関係省庁とも連携しながら進めてまいりたいと思います。
○田村智子君 男女共同参画局は、今回そのコロナ禍の女性の問題検討するときに、本当に苦労されて男女の違いの資料作られたってお聞きしましたよ、統計がないから。統計取るぐらい言えないんだったら、本当に担当大臣の資格ないですよ。
女性は家計の主たる担い手ではなく補助の立場、だから非正規で低賃金、家庭的責任を担うのは女性、こういう当たり前とされるような構造が一番矛盾を集中させているのが、私、シングルマザーだと思うんです。家庭的責任があるから残業が当たり前の正社員になるのは難しいと。八時間働くのも難しい場合もありますね。で、非正規雇用で、そうすると低賃金が当たり前な状態にされてしまう。しかし、彼女たちは、お母さんたちは、家計の補助ではなくて担い手そのものなんですね。この構造的な不利益を埋める補償が余りにもなさ過ぎる。
お話伺いました。コロナで突然の学校休校。小学生の子供を一人で家に置いておくわけにはいかない。会社からは休んでいいけれど有休を使ってくれと言われ、有休はあっという間に使い切り、勤務時間の変更を提案されたけれども保育園の送り迎えもあって無理だと。正社員で事務職やっていたんだけど辞めざるを得なかった。今はパートで、時給じゃなく月給で働きたい。ボーナスがあれば少しほっとできる。
別のお母さん。コンピューターのCAD入力の事務職を十年以上やっている方です。時給はずっとほぼ最低賃金。子供は成長につれて教育費が掛かるので、土曜日に別のアルバイトをすることにしたと。
また別の方。介護施設で職場の協力で介護福祉士の資格を取った。しかし、時給は五十円しか上がらなかった。子供が小学校を卒業したら正社員になって働いてと思ったけれども、子供に発達障害があって、年齢とともにむしろ子供の対応が大変になっている。この苦しさから抜け出せる道が見えないとおっしゃっているんですよ。
こういうシングルマザーの苦悩に応える政治でなければならない。総理、これ、大きな意味ですから、ここは一致できますよね。どうですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) そこはしっかり支えていくということは変わらないというふうに思います。
とりわけ、経済的に厳しい状況にある一人親家庭の皆さんに対しては、年末年始を前にいち早くお手元に資金を届けなきゃならないという思いの中で、昨年、二回目の給付金、給付金の再支給を私自身判断をいたしました。また、新型コロナの影響が長引く中で、一人親家庭を含め、依然として生活が厳しい家庭もあるということは認識をしております。緊急小口資金などの限度額を百四十万円から二百万円に引き上げるとともに、所得が減少している方々については返済を免除することとし、具体的要件を早急に検討しています。また、住居確保給付金の再支給、これも行うところであります。
一人親家庭の方々についても、こうした重層的なセーフネットを活用し、個々のニーズに寄り添った継続的な自立につながる、つなげるための支援、ここはしっかり応援させていただきたいと思います。
○田村智子君 シングルマザーの方にお聞きすると、本当にコロナで仕事がなくなったからといって、本当にシフト減とかもう来なくていいとか言われちゃうわけですよ。私たちは家計の主たる担い手なのに一体どうしたらいいのか、そのことを考えてくれる人がどこにもいないのかという訴えなんですね。で、何が希望になりますかということをお聞きしたら、どなたもとにかく現金だとおっしゃるんですよ。あの昨年の十万円の給付で、これであと三か月生きていかれると思ったと言うんですね。
今、三月で進学の時期で、お母さんたち、また教育費の問題などでもう本当に苦しんでおられるんです。
私たち野党は、生活困窮者の方にはもう一度十万円出そうよという、こういう法案を衆議院に提出をしています。一人親の家庭にもまた給付を行うこと必要だと、こういう提案しております。
この生活困窮のところの十万円は自治体ももう分かっているわけですから、すぐできると思うんですよ。せめてこれはやりましょうよ。どうですか。
○国務大臣(田村憲久君) 先ほど総理おっしゃられましたけど、総合支援資金、三か月、これ更に拡大いたしました。最大二十万円一月ありますので、六十万円三か月で、これで対応させていただきます。そういう意味では、十万というお話もあるのかも分かりませんけれども、これに対して、これ償還時、住民税非課税ならば償還不要ということでもございますので、こういうものもお使いをいただきながらしっかりと対応いただければ有り難いというふうに思っております。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 今、田村大臣から小口資金について説明がありましたけれども、先ほど私申し上げましたように、やはり併せて仕事と訓練受講を両立しやすい環境の整備に向けて、職業訓練受講給付金の支給要件をシフト制で働く方々については緩和するなどの措置を講じており、継続的に自立につなげる支援、取り組んでいきたいと思います。
○田村智子君 本当に、どうしたら収入増やせるかという政策に本気で取り組むこと求められていると思うんですよ。これは、非正規で現に働いていますから最低賃金の引上げがどうしても必要なんです。だけど、そうやって求めると中小企業が大変だからといってなかなか難しいと。シングルマザーの方に聞いたら、せめて千三百円どの地域でも欲しいとおっしゃっていた。やろうといったって、それで中小企業の支援が何できるのか、収入どうしたら増やせるのかってやらなきゃ駄目なんですよ。児童扶養手当の二人目の額が少な過ぎるとか、養育費をちゃんと受け取れるかどうかも女性の自己責任にされてしまう。できることはいっぱいあります。
それから、やはり女性が置かれている構造的な問題、本気で変えましょうよ。時給じゃなくて月給で収入が得られる、一か月、三か月のような短い雇用契約じゃなくて、経験積んで長く働ける、その経験が給料で評価される、休業しなくちゃいけないときには生活保障がある、こういう雇用のルールをつくる方向に政策転換が求められている、このことを申し上げて、質問を終わります。
2022年2月26日(土) しんぶん赤旗
男女賃金格差・将来を理由に賃金低くていいのか 国際基準ではありえない、同一価値労働同一賃金を
25日の参院予算委員会で、コロナ禍のもとでの医療、検査、保健体制の拡充と、男女賃金格差の是正を正面から迫った日本共産党の田村智子副委員長。医療・公衆衛生の公的責任を後退させ、「同一価値労働同一賃金」を目指す国際水準から立ち遅れた政府の責任を批判し、政治の根本転換を迫りました。
「男女賃金格差の是正は、ジェンダー平等を進める土台だ」―。田村氏は、正規労働者の男女賃金比較について取り上げ、勤続年数ゼロですでに月4・3万円の賃金格差があると指摘し、次のようにただしました。
田村 政府は、女性は勤続年数が短いから賃金が低いと説明してきたが、実態は違う。どう説明し、是正するのか。
男女共同参画担当相 男女間賃金格差の是正に向けて有価証券報告書の開示項目にする。女性活躍推進法のスキームで制度見直しを検討する。
田村氏は、有価証券報告書の開示項目は共産党の要求で実ったものだと指摘。その上で、有名デパートの募集要項では、総合職と一般職について入社後、どちらも売り場での接客業であるにもかかわらず、一般職は月4万円賃金が安いとして、「同じ仕事だから、是正されるべき格差ではないのか」と質問。後藤厚労相は「日本では、賃金は仕事の同一性だけでなく責任の程度も含めた職務の内容、職務内容配置の変更範囲などのさまざまな要素によって決定している企業が多い。わが国の同一労働同一賃金は、そういう仕組みの中で認められている」と答えました。
田村 将来を理由に、非正規や一般職の賃金が低くてよいのか。このような格差を容認するのか。
厚労相 わが国の雇用慣行を踏まえたものだ。今後、仕事のキャリアを積んでいくなども含めて考慮される。
田村氏は「これは、国際基準の『同一価値労働同一賃金』ではありえない」と追及。「同じ仕事、類似の仕事は同一賃金。これはすべての男女に与えられた人権だ」と述べ、「日本政府の考え方は、国際水準から立ち遅れている」と批判しました。
その上で、「男女雇用機会均等法で男女別採用が批判されると、企業は『コース別』人事で男女格差を温存してきた。それを許してきた政府の責任が問われる」と強調しました。
【2022年2月25日 予算委員会 議事録】
○田村智子君 次に、男女賃金格差の是正、これジェンダー平等を進める土台として大切だと思いますので質問いたします。
このパネルは、正社員の基本給を、男女別、勤続年数ごとに示したものです。勤続年数ゼロで月四・三万円差があり、長く働くほど男女の格差は大きくなっていきます。
これまで政府は、賃金格差の要因として、女性は勤続年数が短いからだと説明してきましたが、実態は違います。どう説明し、どう是正しますか。
○国務大臣(野田聖子君) お尋ねの勤続年数ゼロ年における男女間の賃金格差については、新卒のみならず転職者も含まれていることもあり、一概にその理由をお答えすることはできませんが、同じ正社員でもコース別に賃金が異なること等、様々な理由が考えられます。
男女間の賃金格差の是正に向けては、今後、有価証券報告書の開示項目にすることや、女性活躍推進法のスキームにおいて男女間の賃金格差そのものの開示を充実する制度の見直しを行うことについて、担当大臣と連携しながら、具体的に検討して速やかに着手してまいります。
○田村智子君 企業の賃金格差の実態を開示させる、これはもう私たちが何度も求めてきたことで、このことは評価いたします。ただ、同時に、もっと分析しなきゃいけないこと、いろいろある。
勤務年数ゼロでの格差、これはどういうものかということで、ある有名デパートの募集要項を、たまたま私、インターネットで見付けたんですね。そうすると、総合職、組織のリーダーとなる役割だと書いてある。入社後は、売場にて百貨店事業の業務を経験。勤務地、首都圏の百貨店、専門店、全国の各グループ会社、海外店舗。初任給は二十二万二千円と。メイト社員、いわゆる一般職と言われるものだと思います。各店舗での接客業を中心とした多領域にわたる業務。勤務地は首都圏各店舗、各事業所。初任給、十八万二千円。勤務時間そして休日休暇とも条件は同じです。そして、これはどう見ても、どちらも入社後は売場での接客業に当たる。ところが、メイト社員は、いわゆる一般職は月給が月四万円安い。
一般的に総合職は男性が多く、一般職は女性が多い。そのまま男女賃金格差になっていきます。そもそも同じ仕事なのだから、これは是正されるべき格差だと思いますが、どうでしょう。
○国務大臣(後藤茂之君) 我が国におきましては、賃金は、仕事の同一性だけでなく、責任の程度も含めた職務の内容のほか、職務内容、配置の変更範囲などの様々な要素によって決定している企業が多いわけでございます。我が国の同一労働同一賃金というのは、そういう仕組みの中で認められているものです。労働者の職種、資格等に基づき複数のコースを設定し、コースごとに異なる配置、昇進、教育訓練等の雇用管理を行う、いわゆるコース別の雇用管理については、それ自体が直ちに問題だという認識は持っておりません。
しかし、コース別管理制度が事実上の男女別雇用管理とならないように、コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針を作成して周知に取り組むとともに、男女雇用機会均等法に照らして問題がある場合には、企業に対し助言、指導をしっかりと行うということでございます。
○田村智子君 今、大臣、責任や職務が違えばと言ったけど、これ、どう見たって新入社員ですからね。一緒に売場に行くんですからね。これ一緒でしょう。それでも賃金格差なんですよ。
安倍政権のとき、女性の活躍、働き方改革だといって、同一労働同一賃金のガイドラインも作った。しかし、今の答弁だと、結局それは賃金格差を容認する方針だったということになるんじゃないですか。
○国務大臣(後藤茂之君) 同一労働同一賃金は、正規雇用の中のコース・職種間格差とかいうことではなくて、まず、それだけではなくて、同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すものであります。
我が国の人事雇用慣行には、長期雇用の中で配置転換しながら幅広い職務遂行能力の向上を促していき、それに対応した賃金体系とするなどの雇用の実態があります。そのため、パートタイム・有期雇用労働法では、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の待遇差が不合理であるか否かの判断に当たって、仕事の同一性だけでなく、責任の程度も含めた職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の違いを考慮することとしておりまして、これが我が国の同一労働同一賃金の労働法制の内容であります。
○田村智子君 このガイドライン出されたとき、非正規雇用であっても同じ仕事なら同じ賃金になるんじゃないかと多くの女性の皆さんが期待した。ところが、政府のガイドラインはまさに、これは不合理ではありませんよという例外の列挙だったんですよ。
正社員に仕事を教えるほど知識や経験があり、同じ部署で同じ仕事をしていても、非正規雇用は基本給が安くてよいと、こういうことまでガイドラインでは示しています。なぜ格差があっていいのか。理由は、将来の転勤、将来の人事だと。
転勤したときに、あるいは管理職になったときに給料に差が付く、これは分かります。また、今の仕事に生かせる経験や専門性などを評価した賃金の差だというのも分かります。しかし、将来を理由にして、将来。で、非正規や一般職の賃金は安くていいよと。
私は、このガイドラインは見直しが必要だと。そうでなかったら、さっき示した男女の賃金格差はなくなっていかないと思いますよ。いかがですか。
○国務大臣(後藤茂之君) 先ほども申し上げたとおりなんですが、同一労働同一賃金については、我が国の雇用慣行を踏まえて、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を図ることとしているものであります。ですから、責任の違いということは、その人がどういう立場で今後仕事のキャリアを積んでいくかとかそういうことも含めて、あるいは人事の在り方等、制度のそういう問題も含めて実を言うと考慮されるものではあります。
また、先ほども申し上げたとおり、コース別管理制度が、そのこと自体が不適切だと言い切るわけではありませんが、事実上の男女別雇用管理とならないように、コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針を作成しまして周知に取り組むとともに、男女雇用機会均等法に照らして問題がある場合には、企業に対し助言、指導をしっかり行っていくという仕組みになっております。
このほか、女性の管理職比率向上のための取組や、出産や育児に関係なく男女共に働き続けられる職場環境整備など、様々な取組を総合的に進めていくことによりまして男女間賃金格差の改善を図ってまいりたいと思います。
○田村智子君 現に負っている責任じゃないんですよ。将来責任を負うであろうといって、格差を設けることを不合理ではないという、これは国際基準の同一価値労働同一賃金ではあり得ないです。
国際労働機関ILOは、同一価値労働同一賃金のガイドブックを出しています。本文の最初の段落を読み上げてください。
○政府参考人(山田雅彦君) お答えします。
御指摘のガイドブックの第一部の一、「同一賃金は基本的権利か?」においては、「男女は、同一価値の労働に対して同一報酬を受け取る権利をもっている(一般的に「同一賃金」と呼ばれる)。男女が同じ又は類似の仕事をする場合に、同一賃金を受け取らなくてはならないのみならず、全く異なる仕事をしていても、客観的な基準に照らして同一価値の仕事である場合には、同一賃金を受け取るべきである。同一賃金は、すべての男女が付与されている人権として認められている。」とされております。
○田村智子君 審議時間が長いせいか、だらだらだらっと、こう、さっと読んだんですけど、かみしめて読んでほしいですよね。
これね、同じ仕事、類似の仕事は同一賃金、これは全ての男女に与えられた人権だと。さらに、女性の多い職業がより低賃金であることを考慮して、全く異なる仕事であっても、客観的な基準に照らした同一賃金を目指すんだと。ここが国際基準なんですよ。
ちなみに、女性が多い職業である社会福祉分野、ケア労働は、男性の多い地方公務員との同一報酬と、こういう指標もこのガイドブックに出てくるんですよ。今、ケア労働の賃上げっていって、足りないって言われていますけど、基準がないからですよ。地方公務員と同一報酬と、こういうガイドブックなんですよ。これは日本も批准しているILO百号条約のガイドブックです。
野田大臣、日本政府の先ほど来厚労大臣が説明されている考え方、これは国際水準から余りにも立ち遅れている。政府自身の認識を変える必要があると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(野田聖子君) ILOで批准しているということが大事だと思います。確かに、海外のことだと言ってしまえばそういうことになってしまうんですけど、やっぱり日本が抱えているのは、今コロナ禍で女性がその非正規に集中していて、そして、仕事を失い、女性の、それによって女性が自殺をしているとか、様々困難が今顕在化している中で、やはり平時のときからしっかりと女性も経済的に自立していくことが大事だということで、岸田政権下で取り組んでいることだと思います。
日本の場合は、御承知のように、フルタイムの女性労働者の賃金というのは、男性を一〇〇とすると七六ということになっていて、常にその諸外国と比べられて低いことになっています。ここ数年、その経済や景気が良ければこれでもいいのかもしれないですけれども、ここ何十年も日本は経済的にも伸びるどころか下めになっている中で、やっぱりしっかりと抜本的にその働く人たちの環境整備から始めて、新しい経済をつくり出していかなきゃいけないなという自覚をしながら取り組んでいきたいと思います。
○田村智子君 労働時間等々の問題もそうなんですけど、私は、この同一価値労働同一賃金というこの原則に政府が立たなかったら、賃金格差の是正なんかできないと思う。
最初に賃金格差で示した資料をもう一回見てほしいんですけど、男女雇用機会均等法によって男女別の募集、採用が規制された。すると、企業は、コース別人事で総合職と一般職に分けて採用し、初任給も昇給も格差を付けた。総合職は男性が多く、一般職が女性は多い。こういう日本の当たり前がつくられたんですよ。
しかも、政府はこれを間接差別と認めない。均等法の制定は一九八六年。法改正で男女別採用を禁止したのは九七年。その頃、男女平等が進むことを期待して入社し、今も働き続けている女性たちの賃金格差が月約十万円なんですよ。退職金や年金を含めれば、一体どれだけの格差になるのか。まさに女性の人権問題です。
非正規雇用の女性たちはもっと大きな格差の下にあります。労働者派遣法の規制緩和などで、受付、事務職などを丸ごと非正規化して、同じ仕事なのに低い給料で主に女性を担わせた。そういう仕組みが延々とつくられてきた、その政治の責任が問われている。このことを申し上げて、質問を終わります。