活動報告

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経済安保法案/官民協議会に米国参入か/米戦略に組み込む危険/田村智氏/参院内閣委

 日本共産党の田村智子議員は26日の参院内閣委員会で、経済安全保障法案の特定重要技術の研究開発のための官民「協議会」に米国当局が参入する可能性を明らかにし、米国の世界戦略の指針に日本も組み込まれる危険を告発しました。

 政府は「協議会」による研究開発の成果の非公開は例外的だと繰り返し答弁。成果に守秘義務が課される例として「海外での懸念用途」を挙げています。

 田村氏は「懸念」とは何かと質問。内閣官房の泉恒有審議官は「生物兵器などの大量破壊兵器」だと認めました。田村氏は21日の同委での参考人質疑で参考人があらゆる最先端技術がデュアルユース(軍事転用)になり得ると強調したとして、「研究成果の非公開を『例外的』と言う方が非現実的だ」と批判しました。

 また、田村氏は「協議会」の参加には米国の政府関係機関研究者や共同研究に資金を出している米国機関の当局者も排除されないかと質問。小林鷹之経済安保担当相は「米政府だけに限らず排除するものではない」と認めました。

 日本政府は米国と2019年に機微情報の暗号などに使用される量子技術に関する共同声明を発表。米エネルギー省(DOE)との相互協力も進めています。田村氏は米国が次世代の量子技術開発を国防、経済の大戦略として位置づけ、21年会計年度の国防授権法では同技術に関する活動や活動に参加する個人の管理を指針で定めるよう義務付けていると指摘。「研究者の身上調査を含め、米国の指針が日本に共有されているのではないか。そのための法整備だと言わざるを得ない」と批判しました。


2022年4月27日(水) しんぶん赤旗

 

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 十九日に続いて、官民協議会を設置して行われる特定重要技術の研究開発について質問いたします。

 協議会メンバーに課される守秘義務は六十二条七項に定めていますけれども、秘密の範囲が限定されていないということを前回指摘いたしました。答弁は、速記録確認しました。政府から機微な情報が提供される場合には、事前に守秘義務の対象となる情報の範囲や期間を明確化するということでした。

 大切な点ですので、二点確認をいたします。
 一つ目、協議会における守秘義務は、政府が守秘義務を解除して提供する情報、これに限定されるのか。そして二つ目、漏示、情報が漏れたということが捜査対象となったとき、協議会において秘密とするという合意がなかった情報について政府側が秘密だというふうに主張することはないのか。二点、確認いたします。

○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
 第六十二条第七項に基づく秘密、条文上規定にある秘密でございますけれども、こちらにつきましては、政府が研究者の皆様に提供する情報に限定されるものではございません。研究者のほか、政府に限らず、ほかの研究者の方ですとか、協議会に参加されているほかの研究者の方ですとかシンクタンク等の協議会の構成員の方から協議会に提供されるそういう情報も該当し得ます。しかしながら、あくまでも協議会の枠組みを通じて提供された、知り得た秘密に限定されているということでございます。

 その上で、協議会におきまして秘密が提供される場合には、予見可能性の担保に加えまして、技術の育成、成果の活用に支障が生じないように、提供する前に秘密の対象ですとか期間などを明確にしておく必要があると考えてございます。

 したがいまして、秘密とされずに提供された情報が後から秘密であったと政府が判断するようなことはございません。

○田村智子君 政府からの情報だけじゃなくて、そこに参加する研究者から提示された情報もあり得るというふうになると、どうやって事前に守秘義務の対象というのを決めることになるんですか。

○政府参考人(泉恒有君) 協議会では様々な研究がなされます。その場合に、非常に機微な情報というものが、もちろん政府から提供される場合もございますけれども、協議会に参加されるほかの研究者の方から提供される、ほかの企業の方から提供される場合もあると思います。

 したがいまして、これは機微なものであるということだとすると、あらかじめ協議会を設置される際に、こういう形でその情報、機微な情報を提供するのであると、そういった場合にはこういう取扱いをしましょうというような取扱いを、運用を定めておくと、こういうことでございます。

○田村智子君 協議会の中の協議によってこういうものは機微な情報だからという確認をしていくという答弁だと、これも後で速記録確認しますけどね。

 ただ、いずれにしましても、大臣、今のような答弁が、一連の答弁が条文上何ら担保されていないんですよ。何も担保がないんです。そうすると、これは基本指針であるとかあるいは施行令、こういうところに明記をされなければならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
 今、政府参考人から答弁したように、第六十二条第七項に基づきまして、守秘義務の対象となる情報の範囲は、あくまでも協議会を通じて提供された、知り得た秘密に限定されています。

 その上で、守秘義務の対象となる情報に関する具体的な運用方法につきましては、安全管理措置の運用方法と併せまして、協議会において第六十二条第四項第四号に基づき協議が行われ、その協議結果に基づいて第五項によって情報の適正な管理等の取組を行うことになります。

 その際に、秘密の範囲、また期間につきましては、構成員の間で理解のそごが生じないように、秘密を提供する場合はそれが秘密である旨とその期間が形式的に明確にされることが必要であって、そのような運用方法を取るべき旨は、今先生御指摘いただいたとおり、基本指針に示す方針でございます。

 このように、守秘義務に関しましては、対象となる情報の範囲、そして期間を明確にし、予見可能性の担保を図るとともに、技術の育成や成果の活用に支障が生じないよう取り組んでいきたいと考えます。

○田村智子君 最低限の確認を今したということになるんですけれども、議会の協議は公開が原則という答弁がありました。また、研究成果も公開を基本とするという答弁がありました。例外的に官側が非公開を要請する場合があるんだと、非公開というのは例外的なんだと、こういう答弁繰り返されてきたんです。

 それでは、またここも大切な点ですので、四点確認をしたいんです。
 一つ目、機微情報を基にした研究であっても研究成果は協議会における守秘義務の対象ではない、これが前提か。研究成果は機微情報を基にした研究であっても守秘義務の対象ではないということが前提か、一点目。文書で通告しているので分かっていると思うんですけど、これ細かく文書通告していますんでね。二つ目、官側の非公開要請を受け入れるかどうかは研究者の任意であるかどうか。三点目、非公開という合意がなければ原則公開とするのか。四点目、非公開にという要請が官側から行われた場合、その要請そのものは守秘義務の対象となるのかどうか。以上、お答えください。

○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
 第六十二条第七項に基づきまして、守秘義務の対象となる情報の範囲は、あくまでも協議会を通じて提供された、知り得た秘密に限定されてございます。したがいまして、こうした守秘義務の対象となる情報を除きまして、研究者の方が自ら生み出した研究成果はそもそも守秘義務の対象外でございます。これがまず一点目でございます。

 その上で、仮に政府から、例えば海外での懸念の用途への転用があり得るといった場合に、例外的に非公開として扱うべきという要請を行った場合には、協議会において全ての参加者の方が納得する形で速やかに結論を出すということが期待されるということでございます。ただし、この場合において、仮に協議会で結論を出すことができなければ、本法案の枠組みではそれ以上の制約は課されることはないということでございます。これが第二点目。

 あっ、ただし、その場合において、仮に協議会において結論を出すことができなければ、本法案の枠組みではそれ以上の制約が課されることはないと、これが第二点目、そして第三点目についてでございます。

 その最後に先生がおっしゃった、例外的に非公開として扱ってはどうかという要請を行った場合ということでございますけれども、その要請の事実自体は秘密に当たらず守秘義務の対象とはならないと、こういうことでございます。

○田村智子君 政府側が守秘義務を課さないと提供できない機微情報や、政府側のニーズや秘匿されたデータ、これらの提供を受けて行われる研究とはそもそもどういうものなのかということがやっぱり具体に全然明らかになっていかないんですね。これはやっぱり、具体の目的を持った軍事研究や警察関係の研究ということがやはりすぐに思い当たるわけです。

 六十三条の基金を使った研究あるいは協議会設置の対象とする研究というのは、今私が言った具体の目的を持った軍事研究あるいは警察関係の研究、こういうものなのではないんですか。

○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
 例えば、有識者会議の議論の過程で示された海洋センシング技術に沿って先生に具体例で御説明申し上げたいと思います。

 例えば、この海洋センシング技術というのは、海底資源の探査などへの応用が想定されますが、研究開発段階におきまして、ある地域におけるレアアースなどの海底資源の具体的な分布状況といった情報が提供され得ると考えておりまして、例えばその具体的な数量などは守秘義務の対象となり得ると考えております。

 また、サイバーセキュリティー上の脆弱性の検知技術を具体例として例えば提示をさせていただきますと、政府のシステムが抱える具体的な脆弱性情報が、この場合、守秘義務の対象となり得ると考えられます。

 こうした技術の例というのは、いずれも御指摘のこの第六十三条の指定基金による研究を含めまして、民生利用や公的利用の幅広い目的に活用され得るものでございます。

○田村智子君 国防に関することという、広い意味での国防に関することというようにも私には受け取れたんですけれどもね。
 本会議で総理は、研究開発の成果について、論文等の成果発表については、守秘義務の対象となる情報を除き、制約は課さず、公開されることとなりますという答弁をされました。先ほどの答弁もそうなんですね。公開されるときも、守秘義務の対象となる情報を除き、制約は課さずと。その上で、海外での懸念用途への転用があり得る場合などに、詳細な技術情報を公開せず内部管理するよう政府が求める場合も例外的に想定されますという答弁でした。

 ここで言う海外での懸念用途というのがどういうものなのか、これもすぐに思い付くし、また、自民党さんの質問の中にも、それはもう中国などの兵器開発とか大量破壊兵器の開発、暗号技術、こういう軍事用途というのはもう当然これに当たるというふうに思うんですね。

 それが、そうなのか、また、それ以外にどのような用途が海外での懸念用途ということになるのか、お答えください。

○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
 海外、今先生がおっしゃいましたその海外での懸念用途でございますけれども、これ非常に限定的な状況ではあると思いますが、例えば研究開発された技術が流出しまして、国際法上も禁止されている生物兵器などの大量破壊兵器の開発などに転用されると、こういった事態が想定されます。

 このような海外での懸念用途につきましては、例えば外国による軍事用途のみならず、例えばテロリストによる悪用、こういったことも想定されると、こういうふうに考えてございます。

○田村智子君 まあ軍事的な要素ということですよね。やはり軍事的な要素、テロを含む軍事的要素と。

 もう一点確認したいんです。政府側が非公開を要請する研究成果、技術というのは、本法案での守秘義務の対象とならないとしても、機微技術として外為法上の輸出規制、あるいはみなし輸出規制の対象となり得るのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、研究開発の成果について、今委員がおっしゃった政府が非公開の要請をするというものは、これは極めて非常に限定的な状況に限られると考えております。

 その上で、本法案の枠組みによる研究開発の成果でございますが、これが外為法第二十五条などの規制対象となり得るということについては否定はいたしませんが、具体的にどのような技術が規制対象となるかについては、それは個々の研究等々成果によりますので、予断してお答えすることは困難ということでございます。

○田村智子君 具体にはよく分からないと。なり得ると私は思えるんですけどね。
 それで、特定重要技術として政府が指定した研究の促進を図るために協議会は組織されます。それは安全保障のためだということは、もうこの法律の目的ですよね。日本の技術が不可欠性を持つためでもあると。最先端の技術開発を官民共同、国の関与、国の管理の下で行うということがもうこの法律の目的になるわけですね。

 先日の参考人質疑では、あらゆる最先端技術はデュアルユースであり、新たな軍事技術開発につながるということが参考人の皆さんから強調されました。最先端の技術のエンドユーザーは不明であるということも参考人は強調されました。現実に、機微技術として輸出規制の対象にもなり得ると、これはもう経産省の動きを見れば、これは明らかだと思うんです。

 これらのことを総合的に見てみますと、研究成果の非公開という要請が果たして本当に例外的と言えるのか。あらゆる技術はデュアルユースだと、とりわけ最も兵器開発にとって求められているのが次の最先端の技術だと、これも研究者の中では当たり前のこととして語られているわけです。それでも、研究成果の非公開、これは例外的になるんでしょうか。私には非現実的に逆に聞こえますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
 技術の育成や成果の活用を促す観点からは、これまでも累次答弁申し上げているとおり、研究成果につきましては、制約的要素は必要最小限としつつ、公開を基本とすべきだと考えています。特に、論文などの成果発表につきましては、守秘義務の対象となる情報を除きまして、制約を課すことはせずに公開されることが原則と考えております。

 仮に、委員御指摘のように、頻繁に研究成果を非公開としてしまうと、技術の育成や成果の活用に支障が生じてしまうことが懸念されますことから、これまでも答弁申し上げているとおり、非公開の要請というのはあくまでも例外的に運用すべきものと考えております。

 また、この研究開発の成果につきましては、単に安全保障、防衛用途につながる可能性があることのみをもって非公開の要請をすることは想定し難いと考えております。

○田村智子君 今の答弁にもあったんですけど、守秘義務の対象となる情報を除き公開されるべきだという答弁なんですね、ずっと。政府があらかじめ守秘義務の範囲としたデータ、情報、これは非開示となって、論文が公開されるという意味です。

 研究開発の発展というのは、私は、検証ということが行われて、研究者相互の批判、これが原動力となって発展していくものだというふうに捉えます。データの検証、外部からの検証、批判、これも自由に行われることによるものだと。研究の成果というのは常に発展途上のものであって、検証によって誤りや疑問が見出されることもあるでしょう。失敗から革新的な発展が生まれるということもあるでしょう。

 そうすると、政府の管理の下に置かれて、政府がコントロールをして、情報もコントロールをして、そして非公開ということもあり得ると。これはやはりアカデミアを軍事研究に関与させていくために日本の研究開発の自由な発展をむしろ阻害されてしまうんじゃないかということをやはり強く懸念せざるを得ません。

 次の質問に進みます。
 参考人質疑では、法案への評価が異なっても、アメリカの経済安全保障戦略と軌を一にしているということが明確に指摘をされました。政府だけが明確に答弁しないんですよね。

 それで、六十二条の三項、研究開発大臣が特に必要と認める者を官民協議会に加えることができるとしています。アメリカの政府関係機関研究者、共同研究に資金を出しているアメリカの機関の当局者なども排除されないというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(小林鷹之君) ちょっと答弁の前に、今委員からアメリカと、米国の政策と軌を一にしているということを政府が言わないという御指摘あったんですけれども、そもそも事実がそうじゃないから申し上げていないんです。米国に合わせているわけでも追随しているわけでもなくて、我が国として必要なことを今やっているだけですので、その点は御理解いただきたいと思います。

 また、今、御質問にお答えしますと、この法案の協議会の構成員につきましては、外国人であることのみをもって参画を拒否することはございません。協議会を組織する研究開発大臣が、また指定基金におきましては指定基金所管大臣、そして内閣総理大臣が研究代表者と相談の上、必要と認める場合にその同意を得て構成員として加えることとなります。これが立て付けです。

 このため、今委員が言及された、例えばアメリカの政府機関の関係者などの方々に限らず、一律に外国人の協議会への参画が排除されるものではございません。

○田村智子君 今追随しているわけではないと言われたんですけれども、二〇一九年に在日米大使館と内閣府との間で量子協力に関する東京声明が取り交わされています。これは、在日米国大使館のホームページで大きく、日米が画期的な国際量子声明に署名というふうにタイトルを付けて、ホワイトハウスの科学技術政策局長のコメントとともに発表されています。

 そのコメントの一部を紹介しますと、量子協力に関する東京声明は、米国と日本の強固な科学及び技術提携を重視している、重要なのは安全で生産的な研究環境の重要性、研究における品位と厳格性の促進、開放性と安全保障のバランスなど、研究環境に関する合同委員会の中核的な柱を反映する初の国際声明であると。

 機密情報を守る切り札と言われるのが量子暗号、代表的な量子である光子、光の粒を利用して鍵を作ると、第三者が盗み見しようとすると必ず痕跡が残るという技術ですよね、大臣の方が詳しいと思います。この日本の技術力は大変高く、東芝が世界首位、NECは三位とも言われているわけですね。

 資料で、その今紹介した東京声明、全文お配りをしています。その中に、知的財産の保護、安全かつ包括的な研究環境、研究における厳密さや規範、研究セキュリティー及び管理負担の軽減を推進する誠実な協力に着手すること、あるいは、適切な場合には研究方法やインフラ及びデータを共有する手段を推進することなどが取り決められたんですね。これ、量子技術にとどまらない、科学技術研究全般に関わる声明でもあります。

 で、ちょっと詳しく見たいんです。知的財産の保護、これは当然、今回の法案で盛り込まれた秘密特許が含まれるでしょう。それから、研究における厳密さや規範、これ規範というふうに訳されて、仮訳が付いているんですけれども、正文である英語はインテグリティーなんですよ、誠実さですね。これ、研究インテグリティーというのは既に文科省が推進をしていて、国の競争的資金による研究について、どこからほかに研究費が出ていて、どういう研究者が参加しているのかの透明性の確保、これを今文科省進めているんですね、経済安保の政策として進めている。

 では、研究セキュリティー、英文の正文で言うとリサーチセキュリティーとなっているんですけれども、これは何を指すのか。セキュリティークリアランス、研究者の身上調査ということは含まれるのではないですか。

○政府参考人(米田健三君) お答えいたします。
 今委員に挙げていただきました量子協力に関する東京声明は、内閣府政策統括官、私の前々任者でございますが、と在日米国大使館首席公使代理との間で事務レベルで結ばれたものでございます。

 本声明における研究セキュリティーにつきましては、まさに今委員が御指摘いただいたとおり、知的財産の保護や研究における厳格さ、規範などと並びまして、研究開発等に係る一般的な事項の一つとして示されているものと理解してございます。本声明の下で委員御指摘のセキュリティークリアランスの実施を想定していたという事実はございません。
 以上でございます。

○田村智子君 いや、知的財産の保護というのは別の文脈にあるんですもの。この研究セキュリティーって何なのかということはこれ問われなければならないんですよ、声明として結ばれているんですからね。大体、東京声明にはインフラ及びデータを共有する手段の推進というふうにあるんですから、アメリカがアメリカ並みのセキュリティークリアランスを要求するのは私は当然のことだと思いますね。

 昨年四月、日米首脳会談では、共同声明の別添文書として、日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップが合意をされています。その中で、共同研究及び研究者の交流を通じた量子科学技術分野における研究機関間の連携及びパートナーシップを強化することということも盛り込まれています。

 同じ年の六月、第十六回日米科学技術協力合同実務級委員会において、文部科学省とアメリカのエネルギー省、DOEの間で量子情報科学に関わるプロジェクトアレンジメント、これも締結をされています。このDOEは、量子技術における米国最大規模の研究資金の出し手であって、所管する国立研究機関で機密指定の量子技術研究を現に行っています。

 法案審議の中では、現にアメリカとの機微技術や軍事研究に関わる研究連携で日本に法整備上の課題があるということは政府も指摘をしてきたと、答弁の中で、というふうに私受け止めています。

 東京声明に即した研究連携、DOEなどアメリカの研究機関との連携、それらを進めていく上でやはり法整備がどうしても必要だと、そういう一環としてこの法律出てきているんじゃないのかと、法案が出されているんじゃないかと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(小林鷹之君) お答えいたします。
 委員御指摘の量子協力に関する東京声明につきましては、二〇一九年に日米の政府間で量子科学技術分野の協力を推進するために宣言されたものです。我が国の研究機関と米国の研究機関との間において共同研究を推進することが確かに盛り込まれてはおります。

 その上で申し上げますと、この法案は、有識者会議の提言にもございますとおり、先端的な重要技術の推進に当たっては、欧米の大学や研究機関などの有志国との連携が十分に可能となるよう配慮しておりますが、殊更、米国あるいはそのエネルギー省との協力、この当該東京声明の実現を目的とするものではございません。

 いずれにしても、その量子分野というのは、ここで、この法案でも、審議でも申し上げているとおり、極めて将来の社会に影響を与え得る重要な先端技術でございますので、自前主義に陥ることがないように国際的かつ戦略的な技術協力というものも推進してまいりたいと考えます。

○田村智子君 これ、量子研究というのはアメリカの中で極めて重要な戦略として位置付けられていて、法律も作られて、もう国の研究機関だけではなくて、国防総省とか国のその警察に関わるような情報機関とか、そういうところも一体的な組織を持ってこの量子研究を、アメリカがつまりリーダーシップを維持するためにどうするかという大戦略として位置付けられているんですよね。その量子技術や科学技術で日本と連携をした研究を進めていくんだと。だって、日本は量子研究でトップクラスの研究技術を持っている。一方で、中国の方は、技術だけでなくて、その技術を実装する開発の点ではそれを上回っている。こういう大戦略の中で、言わばこの法案が作られる前から、こうした連携協定、声明が結ばれて、進められているんですよ。

 アメリカは、二〇二一年会計年度国防授権法、国防授権法、いや、ごめんなさい、いいですね、授権法において、基礎及び応用量子科学並びに情報の分野における知的財産が失われる影響を最小限にしながら、国防関係の量子情報科学技術活動の管理及び当該活動に参画する個人の管理等に関する指針を定めるよう、米国政府に義務付けをしています。国防関係の研究活動に参加する個人の管理ということまで言われているわけですね。

 東京声明の相互協力の枠組みの下で、アメリカの指針が日本とも共有されていくのではないのかと。そうすると、研究セキュリティーというのが一体何を指すのか。セキュリティークリアランスの導入の前段階とも言える状態に今なっているんじゃないのかというふうにも受け止めますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(米田健三君) お答え申し上げます。
 先ほど、知的財産と重複しているんじゃないかということで、意味が違うんじゃないかというふうにおっしゃられたと思いますけれども、研究の秘密というのはいろいろございまして、権利化される前のもの、出願前の研究情報などもリサーチセキュリティーといったものに該当すると思っておりますので、当時としてはそのような解釈でこのような声明を作っていたものと理解してございます。
 以上でございます。

○田村智子君 ちょっともう時間が来てしまって、実はシンクタンクのこととか、何ゆえ日本から研究者が中国や海外に行ってしまうのかという問題も質問の準備をしていたんですけれど、これやはり十分な質疑時間が更に必要だというふうに考えます。

 それから、政府は否定されるんだけれども、私は、自律性といったときに、日本はやはりアメリカからの自律性がどうだったのかということは真剣に議論しなければならないと思いますよ。半導体がなぜ衰退したのかって午前中も議論ありましたけれども、これ、アメリカとの関係なくして日本の半導体の衰退というのは語れないわけですよ。この量子技術ということも、今、日本がトップ技術持っている、しかしアメリカが戦略的に非常に位置付けている、じゃ、今後どうなっていくのか、是非そのことも次の委員会のときには質疑をしたいというふうに思います。

 以上で今日は終わります。


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