活動報告

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日本共産党議員の国会質問/電動キックボード/改定道交法は安全犠牲/田村智氏が指摘

 田村智子議員は12日の参院内閣委員会で、電動キックボードを対象にした道路交通法改定案についてただし、普及を優先して交通安全を犠牲にする規制緩和だと指摘しました。

 電動キックボードは、現行法で「一般原動機付自転車」とされ、運転免許証が必要で、ヘルメットの着用義務などが課されています。改定案では「特定小型原動機付自転車」とされて免許は不要になり、ヘルメット着用も努力義務に緩和され、自転車と同じ扱いになります。

 海外では爆発的に普及し、接触事故などトラブルの多発やベビーカー・車いすの通行を妨げる無秩序な駐車が問題になり、規制強化に乗り出しています。

 田村氏は、規制緩和のもとで「安全運転を徹底する実効ある仕組みはどうなるか」と質問。警察庁の楠芳伸交通局長は「販売時に交通安全教育を行うことを努力義務としている」と民間任せの姿勢に終始しました。

 田村氏は、免許証がなくなることで悪質な運転者を排除できず、現状より危険性が増すのではないかと追及。二之湯智国家公安委員長は「事故が増えないような啓発を、民間事業者と連携して取り組む」と答えました。


2022年4月16日(土) しんぶん赤旗

 

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。

 今回の道路交通法の改正で電動キックボードが対象になるんだというふうに最初聞いたときには、私、てっきり規制を強化するのだとばかり思っていました。交通ルールを無視した危険な運転の実態が報道番組でも取り上げられていて、安全対策が必要だという問題意識を持っていたからです。

 ところが、逆に規制を緩めるというので、率直に言って驚いています。現行法では、これまでもあったとおり、原付バイクと同じ一般原動機付自転車とされていて、免許証が必要、車道通行、ヘルメット着用義務も課せられていると。

 法案では、最高速度を制限することで新たに特定小型原動機付自転車と指定して、免許は不要、自転車専用道路、最高速度六キロ以下ならば歩道の通行も可能とすると、ヘルメット着用義務も努力義務に緩和をされる。答弁あったとおり、自転車と同じ扱いにするということですよね。

 まずお聞きします。電動キックボードの交通事故発生件数、直近三年、事故総数の推移を教えてください。

○政府参考人(楠芳伸君) お答えいたします。
 電動キックボードが第一当事者又は第二当事者となった人身事故で都道府県警察から警察庁に報告があった事故件数は、令和二年中が四件、令和三年中が二十七件、令和四年中二月までが五件でございます。

○田村智子君 今人身事故に限ったようなんですけれども、私、事前に聞いていた数字では、事故件数、二〇二〇年十件、二〇二一年百十件と、二〇二二年二月までの数字で十六件というふうに聞いているのですが、それは正しいですか。

○政府参考人(楠芳伸君) お答えいたします。
 物件事故につきましては、令和二年中が六件、令和三年中が八十三件、令和四年二月までが十一件となっております。

○田村智子君 足し算すると私が今言った数字ということになろうかと思います。
 資料の一枚目、各月ごとも含めてその事故件数を示しました。急増しているんですね。この昨年の事故増加、原因をどのように分析されているでしょう。

○政府参考人(楠芳伸君) お答えいたします。
 事故増加の原因につきまして一概に申し上げることは困難でございますが、電動キックボードの利用が拡大してきていることも要因の一つではないかというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、引き続き、電動キックボードの守るべき交通ルールについての広報啓発や、悪質、危険な違反に対する取締りを徹底するなど、関係省庁や事業者と連携して安全対策にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

○田村智子君 利用が増えているからではないかということなんですね。

 警察庁は、昨年九月、都道府県警本部長宛てに通達を出しています。
 「近年、電動キックボードを始めとする低速・小型の電動モビリティ(以下「電動キックボード等」という。)に対する社会的関心が高まっており、電動キックボード等の利用者は増加傾向にあるが、利用者の増加に伴い、一部地域では交通違反や交通事故が発生しており、今後、その件数が増加することが懸念される。」、こういう認識を示した上で、悪質、危険な違反は積極的に取り締まるよう指示をする通達なんですね。

 資料の二ページ目、警視庁、大阪府警の事故件数及び取締り状況です。これ件数、特に急増しているんですね。どのような違反が多いんでしょうか。

○政府参考人(楠芳伸君) お答えいたします。
 昨年九月から本年二月までの六か月間における検挙件数百六十八件のうち、多い順に申し上げますと、通行区分違反が八十六件、信号無視が二十件、一時不停止が二十件、整備不良が十二件となってあります。

○田村智子君 通行区分違反が一番多いと。
 昨年五月、大阪市で、歩道通行中に歩行者に衝突をした電動キックボードがそのまま逃走したと、歩行者は重傷というひき逃げ事故も起きています。これも通行区分違反ですよね、まずはね、歩道を走っているわけですから。

 資料三ページ目からは、昨年九月から今年二月、月ごとの詳細な取締りの件数なんです。
 最も件数多いのが八ページ目の今年の二月なんですね。規制が緩いはずの新事業活動、つまり実証実験地域で取締り件数が急増して、違反も急増です。通行区分違反は、実証実験地域だけで告知・送致で五十件、指導警告十三件に及んでいます。今、車道しか認められていないのに歩道を走行する事例は決して少なくありません。歩道での走行は最高時速六キロに制限されたものだけにすると言うけれど、電動キックボードが歩道を走れるという改定にほかならないわけです。

 大臣、重大事故の原因ともなっているこの通行区分違反、走っちゃいけないところを走る、これ、危険な運転を今回合法化するのと同じだと思うんですよ、これでは。これで電動キックボードの事故を減らすことができるんでしょうか。

○国務大臣(二之湯智君) 電動キックボードにつきましては、その使用実態を見ますと、自転車並みの速度、まあ二十キロ以下ですね、そうそう走行しないものもございますので、一般的な原動機付自転車と同様に扱うことが必ずしも適当ではない場合も認められるわけでございます。

 そこで、性能上の最高速度や大きさが自転車と同程度のものを現行の原動機付自転車から切り出して、特定小型原動機付自転車、いわゆる電動キックボードと定義し、自転車と同様の交通ルールを定めることとしたわけでございます。これにより守るべき交通ルールが明確化されまして、その内容を周知徹底することにより交通秩序の確立につながるものと考えております。

 いずれにいたしましても、電動キックボードによる事故を一件でも減らすことができるよう、関係省庁や事業者と連携して安全対策にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

○田村智子君 今回の法案の改定を実証実験やったところで違反がこれだけ急増した。歩道を走れるという誤解が広がって違反件数が増えたとも言われているんです。電動キックボードは歩道通行できないということを私は徹底すべきだったというふうに思います。

 ヘルメット着用義務も緩和されます。警視庁の資料では海外での事故についてまとめていますが、脳の損傷など深刻な事例は少なくありません。法案では、自転車についてはヘルメット着用の努力義務が新たに加わります。一方で、重大事故、危険運転が急増している電動キックボードは努力義務に緩和をすると。このように規制緩和をして、より安全運転を徹底するという実効ある仕組みはどのように取られるんでしょうか。

○政府参考人(楠芳伸君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、特定小型原動機付自転車の安全な利用を促進する観点からは、交通ルールを周知する機会を設けることが重要であるというふうに考えております。そこで、改正案では、特定小型原動機付自転車の販売やシェアリングの事業を行う者に対して、購入者や利用者への交通安全教育を行うことを努力義務として課すことといたしております。

 警察といたしましては、事業者と関係省庁とで組織した官民協議会における実効的な交通安全教育の在り方に関する検討状況等を踏まえ、事業者と連携して交通ルールに関する広報啓発を積極的に実施してまいります。

 また、特定小型原動機付自転車を引き続き原動機付自転車の一類型として位置付け、交通反則通告制度の対象とすることといたしておりまして、これにより違反行為に迅速に対応することが可能となっております。さらに、特定小型原動機付自転車について違反を繰り返す者に対しましては講習の受講を義務付け、違反の抑止を図ることといたしております。

○田村智子君 現行、免許証必要ですから、交通ルールはたっぷり勉強して試験も受けているんですよね。そこを緩めて講習でルールを徹底しますというのは、私は違うと思いますよね。

 自転車について、信号無視や右側通行、あおり運転などを道交法の処罰対象としました。これも講習命令で、違反繰り返した場合ね。で、命令違反に対する罰金と。今回の法案で、電動キックボードの悪質運転も講習命令と、それでも講習受けないという場合には罰金ですよね。

 青切符というのも答弁がありました。既に警視庁と大阪府警は、悪質な電動ボードの違反者に対しても青切符を発行する運用を始めていて、新たにそういう取締りをやるというわけでもないんです。しかも、青切符というのは、刑罰で禁止される違反行為であっても反則金を払えば刑罰を免れるということを保証する制度なので、これだけでは交通違反抑止効果は十分でないと言わざるを得ません。

 違反行為を繰り返す場合、交通違反点数制度による免許停止、取消しがあって、悪質な運転者を排除することができます。しかし、違反をしても取り消すべき免許がなくなれば悪質運転繰り返す者を排除ができなくなるんじゃないのか、むしろ現状よりも増える危険性があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(二之湯智君) 電動キックボードの違反行為は東京や大阪等の大都市に多く発生していることから、こうした都市部における対策が特に重要であると考えております。委員御指摘のように、電動キックボードの事故が増えることのないように、電動キックボードの守るべき交通ルールについての広報啓発や、悪質、危険な違反に対する取締りを徹底することが大変重要であると認識をしております。
 引き続き、関係省庁や事業者と連携して安全対策にしっかりと取り組むよう、警察を指導してまいりたいと考えております。

○田村智子君 今回、海外と比べて過剰な規制があるために手軽なパーソナルモビリティーが普及しない、だから規制緩和をという議論がこの法案の背景にあると私は理解をしています。しかし、先に爆発的に普及した海外ではどうなっているか。

 経済産業省、第三回多様なモビリティ普及推進会議で、ジェトロが「諸外国の電動キックボード関連規制」と題する資料を配付しています。アメリカなどの普及状況の説明で、各地の課題、発生している問題点についても記載があります。紹介してください。

○政府参考人(柴田敬司君) お答え申し上げます。
 委員言及のありました第三回多様なモビリティ普及推進会議、これ二〇一九年の十月に開催されたものでございますけれども、この中で、ジェトロの方から、アメリカ、ドイツ、フランス等の諸外国の電動キックボードに関する制度、状況についての報告がなされたということで、その中で挙げられた各国の課題、問題点につきましては、例えばアメリカに関しては、サンフランシスコ市では二〇一八年三月に複数事業者がシェアリングサービスを提供開始したが、ルール違反や危険性が問題となり規制に踏み切ったとの報告がございました。また、ドイツについては、ベルリン市では約九千台が流通、二〇一九年六月十五日から三か月間に七十四件の事故が起きており、多くが飲酒を伴うなど問題点となっていると。フランスについては、乗り捨てシェアリングサービスが普及、事故の多発や、ベビーカーや車椅子の通行を妨げる無秩序な駐車が課題となっているとの報告があったところでございます。

○田村智子君 そういう問題が多発して、アメリカのカリフォルニア州でも規制を強化しています。フランスでは、二〇一九年十一月に最高速度二十五キロに制限し、歩道の通行禁止、専用レーンか車道のみ走行可能としました。パリ市は、これに先立って二〇一九年七月に駐車スペース以外の駐車を禁止し、最高速度を二十キロ、混雑しているところは八キロとし、二一年には更に最高速度十キロにするなど、規制強化を強める方向に動いています。

 シンガポール、歩行者との接触事故が相次ぎ、駐車による混雑も深刻化し、規制強化に乗り出している。二〇一九年七月から車両登録の義務化、更に車検も義務化、二〇年一月から歩道の通行禁止、二二年一月から免許証ではないけれども記述試験を義務化し、合格には八割以上の点数を必要とする。韓国でも事故が多発をして、最近、十六歳、原付免許、以上とし、ヘルメット義務化をするなど規制を強化したばかりなんです。

 爆発的に普及した海外では、接触事故などのトラブルや駐停車の問題が深刻化して規制強化に向かっている。こういう海外の経験から、普及すればするほど規制が必要になってくるということが明らかだと思うんですけれども、このような海外事例を警察庁はまともに検証しているんでしょうか。

○政府参考人(楠芳伸君) お答えいたします。
 警察庁の有識者検討会におきましても、海外における電動キックボードに関する交通ルールや事故の発生状況について調査を行ったところでございます。今回の改正案では、その調査によって明らかになりました外国の制度も参考としつつ、我が国の実情に応じた交通ルールを定めることといたしたものでございます。

○田村智子君 私には、参考にしているとはちょっと到底思えないですよね。自民党のMaaS議員連盟や事業者から電動キックボード普及に向けた要望を受けて今回の規制緩和が進んでいるというふうにも私は受け止めています。

 電動キックボードの事故が更に増えるという懸念は、新聞各紙あるいは車の専門誌等、様々なところでこれまでも指摘をされてきました。二〇二〇年十二月に行われた自民党MaaS議連PTでは、事業者団体でさえ不適切な走行が減る見込みがありませんと指摘をされています。それでも普及を優先させて交通安全を後退させる、こういう規制緩和は私は認めるわけにはいかない。

 電動キックボードは自転車と違うということを、私、先日、内閣委員会としての試乗に参加をして、そう確信をいたしました。自転車は二十キロで走れるといいますけれども、サイクリングロードならともかく、日常使うときに二十キロで走り続けることはないですよ。私もママチャリで自宅周辺はしょっちゅう乗り回していますけれども、二十キロなんて出さないですよ、歩道で。歩道はもちろん二十キロ出しちゃいけないけどね。だけど、二十キロ出さないですよ、自転車普通使うときに。車体の重さも全く違って、私、その試乗のとき、向き変えようと思ったけれど、全く持ち上がりませんでした。これで違法駐車されていたら、通れないよって歩行者なったときに動かせますかって話ですよね。自転車じゃないですよ。
 自転車と同じ扱いにすること自体が私違うと思うんですけど、大臣、いかがですか。

○国務大臣(二之湯智君) 電動キックボードは、駅から目的地までの短距離移動の交通手段となり得るものでございまして、観光地等における移動手段として活用し得るものであることから、地方自治体や公共交通機関により電動キックボードの活用に向けた取組が行われております。製造事業者により三輪タイプの開発が進められておりまして、若年層に限らず高齢者も含めた幅広い年代での手軽な移動手段としての活用が見込まれております。そのため、一定の社会的有用性があると認識をしております。

 今回の改正案の内容は、道路交通法における原動機付自転車に関する規定の内容を踏まえつつ、特定小型原動機付自転車という車両の特性に応じてふさわしいルールを作成したものであり、単に規制を緩和したという御指摘は当たらないものと考えております。ただ、先生御指摘のように、交通安全ということの観点は忘れてはいけないと思います。

 いずれにいたしましても、引き続き、関係省庁や事業者と連携し安全対策にしっかりと取り組むよう、警察を指導してまいりたいと思っております。

○田村智子君 これはやっぱり私は、高齢者や子供さんや障害者の方の安全が本当にどうなるかなということをとりわけ危惧せざるを得ません。

 次に、自動運転についてお聞きします。
 今回、レベル4、運転者がいない状態での自動運転を可能とする法案です。

 昨年、東京パラリンピック選手村で、レベル2自動運転中のバスが視覚障害者のパラアスリートへの接触事故を起こしました。トヨタは、当初レベル4相当での運行を目指していたのですが、車両の前方を人が横切り、再発進する際の周辺の安全確認が不十分になるおそれが否定できずに、レベル2相当の自動運転に変更をして、さらに常時誘導員を配置し、バスに人が近づかないようにしていました。それでも、停止後の再発進直後に左側から歩いてきた選手と接触をしてしまった。事故後、トヨタは、選手村の交差点六か所に、事故前の三倍、計二十人の誘導員を配置するという厳重な体制で運転を再開したわけです。今回の改正に当たり、この事件についての検証はされたのかどうかなんですね。

 レベル4相当の自動運転では、事故が起きた際の救護義務や安全確保義務、これ特定自動運行主任者が果たすんだという、こういうふうに午前中答弁があったんですけれども、だけど、じゃ、自動運行主任者というのは乗車義務があるんでしょうか。法文のどこを読んでもそれは読めないんですけど、どうですか。

○政府参考人(楠芳伸君) お答えいたします。
 今回の改正案では、遠隔監視を行う特定自動運行主任者を配置する義務を課すとともに、特定自動運行主任者が、交通事故が発生した場合に消防機関に通報するなど必要な対応をしなければならないこととし、これに違反した場合の罰則を設けております。

 また、この対応が適切に実施されることを担保するための基準を定めた上で、これを履行するための措置を計画に記載させて、都道府県公安委員会がこれを審査することといたしております。

 さらに、許可を受けて実施する特定自動運行において交通事故があった場合には、必要に応じ警察署長が許可の効力の仮停止を行うほか、都道府県公安委員会が指示や許可の取消し等の行政処分を行うことといたしております。
 以上のような規定を設けることにより、人が乗車しない場合でも安全な運行を確保できるというふうに考えております。

 なお、改正案では、遠隔監視を行う特定自動運行主任者をこういった形で配置する措置に代えて、特定自動運行用自動車に乗車させるということも可能というふうな規定になっております。

○田村智子君 乗車は可能であって義務付けではないんですよね。それで果たして事故が起きたときにすぐに救護ができるのか、どこかから駆け付けてくるのを待つということですもんね。それから、そのことによってもたらされる交通の混乱、それについて誰が対処するのかということになると思うんですよ。

 つまりは、もうレベル4は深刻な事故は起きないという前提での法整備であるとしか私には思えないんです。制限した範囲でやる実証実験でさえ事故は発生したんですよ。これ自動車の、何というか、造りとしてはレベル4だというふうにトヨタは、レベル4をやるつもりだったんですもの、技術的には。制限した範囲でやったけれども、それでも事故は起きたんですよ。ということは、事故は起きないという安全神話ではなくて、自動運転ではない自動車とか歩行者が混在する空間、これ事故は避けられないという前提での法整備が必要だったというふうに思います。

 そうすると、やっぱりそれは、可能であるではなくて、そうやって対応する人を乗務させるということの義務付けが私は必要だと思うんですけど、いかがでしょうか。

○政府参考人(楠芳伸君) お答えいたします。
 深刻な事故は絶対に発生しないのかというお尋ねであると思いますけれども、今回の改正案では、道路運送車両法に基づいた技術上の基準を満たしたレベル4の自動運行装置を使用することを許可の基準といたしております。交通事故は様々な要因で発生するものでございますので一概に申し上げることは困難でございますが、この自動運行装置をその使用条件で使用している限りにおいては、基本的な交通ルールを遵守して安全に走行することが可能であるというふうに考えております。

 その上で、今回の改正案では、万一、特定自動運行中に交通事故が発生した場合に備え、遠隔監視を行う特定自動運行主任者を配置する義務を課すとともに、交通事故発生時に消防機関に通報するなど必要な対応をしなければならないことといたしております。

○田村智子君 これ、だから、人が乗っていなくてというのは、例えば子供だけが乗っているという場合だってあり得るということなんですよね。誰も義務付けないんだもんね、大人は乗らなきゃいけないという義務付けないんですものね。本当にそういう法整備でいいんでしょうかということを私はとても強く懸念いたします。

 それから、マイナンバーカードと運転免許証の一体化についてもお聞きします。
 マイナンバーカードと一体化を図る、そうすると、免許証は引き続き交付されるけれども、免許情報を書き込んだマイナンバーカードであれば免許証を返納することできるし、また免許証で発行しないこともできると。

 運転中、免許証所持義務、それから求められたら免許提示義務があります。運転免許証の表面には免許の種類、オートマチック限定かどうか、これもすぐ分かる。それから、眼鏡等、免許の条件も明記をされています。それは、もうぱっと出してぱっと確認できるという、容易に確認できるということだと思うんですけれども、いかがですか。

○政府参考人(楠芳伸君) お答えいたします。
 免許証には、警察官が自動車等の運転者から提示を受けた際に、その者が当該自動車等を運転するための資格を有する者であるかどうかを確認することができるようにするため、免許の年月日及び有効期間の末日、免許の種類、免許を受けた者の住所、氏名及び生年月日、免許の条件などを記載することとされております。

○田村智子君 今回、マイナンバーカードを免許証に代わって使うというときには、提示しただけでは分かりませんよね、視覚的には分からないわけですよね。何らかの読み込むものを、それじゃ、警察官みんなが持つんですかということにもなるんですよね、そんな読み込むものを。提示しただけでは分からないから、当然、その情報の確認で、免許情報どおりに運転しているかどうかという確認は、これ今より私時間が掛かる、むしろ効率が悪くなる。集中的な取締り、例えば検問、こういう場合に一層時間が掛かるというようなことも起こり得るのではないかと思うんですけど、いかがでしょうか。

○国務大臣(二之湯智君) ただいま交通局長が答弁したとおり、免許証と一体化されたマイナンバーカードの免許情報の読み取りにつきましては、それぞれの警察官が携帯端末を用いて行うこととしておりますので、取締り等に支障が生じないと考えております。

 また、マイナンバーカードと免許証の一体化により住所変更等の手続がワンストップ化された場合等には、免許保有者の利便性を向上させるとともに警察の業務の効率化にも資することから、法改正が成立した場合には、こうしたメリットが十分に発揮されるよう制度の円滑な運用に努めてまいりたいと思っております。

○田村智子君 これ、だから、まだほとんど普及していないような状態から、じゃ、全国の警察の方がそのカードリーダーをみんな持つんですかということになりますよね。検問やるときだけじゃないですもんね。まあちょっと私は刑事ドラマの見過ぎかどうか分かりませんけれども、何かの捜査していて、何となく不審だなと思ったところに、こんこんって、ちょっと免許証確認なんていう場面はよく出てくるんですけど、そういう人たちがみんな、今後はカードリーダーをみんなが持って、いや、マイナンバーカードを示されたら、それが本当にその人の免許証なのかどうかということも含めて確認するということになるんですか。みんなが持つんですか。

○政府参考人(楠芳伸君) お答えいたします。
 警察官が自動車等の運転者から免許証と一体化されたマイナンバーカードの提示を受けた際には、そのカードに記録された免許情報を携帯端末を用いて読み取ることといたしております。

 ただ、この携帯端末につきましては、この免許情報を読み取るだけのためということではございませんで、警察活動に使うために既に整備をされているものを活用するという形で進めたいというふうに考えております。このため、マイナンバーカードと免許証の一体化により取締り等に支障が生ずることはないというふうに考えております。

○田村智子君 じゃ、逆にあれですね、だから携帯端末で情報を送って、その情報が集中しているところからの連絡で確認するということになるわけなんですよね、ということですか。

○政府参考人(楠芳伸君) お答えいたします。
 免許証と一体化されたマイナンバーカードのICチップの部分に免許情報のうち必要な内容を記録することといたしておりますので、それを読み取ることによりまして、その者が運転をすることができる資格があるかどうかについては判断できるようにすることといたしております。

○田村智子君 じゃ、どこまでの確認かというのはちょっとよく分からないんですけれども、いずれにしても、ぱっと見てとは違うシステムになっていってしまうということですよね。ぱっと見て分かるということではない。

 逆に、今の聞いていて、私は、そうすると別の情報もすっとその警察のところに送られるということもあり得るんだなというのを感じました。そのICチップにある情報というのがどこまで限定的にその見た警察官に行くのか、それ以上の運転免許証の確認だけではない情報も逆に言うと警察官のところに行くという可能性は否定されるのかどうか、ここはどうですか。

○政府参考人(楠芳伸君) お答え申し上げます。
 免許証と一体化されたマイナンバーカードのICチップに免許情報を記録いたしますが、警察が読み取れるのはその免許情報の部分だけでございまして、委員御指摘のとおり、ほかの情報を読み取るといったことはございません。

○田村智子君 いずれにしても、マイナンバーカードの普及のために、道交法による免許証所持や提示の義務が果たされているかどうかのこの確認の手順を要は複雑化するというようなことは、私は本末転倒だと思います。一体どこにメリットがあるのかということを指摘して、質問を終わります。

○委員長(徳茂雅之君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、道路交通法等改正案に対して反対の討論を行います。

 反対の理由の第一は、電動キックボードの運転を免許なしで行えるようにし、自動車道や歩道でも通行可能とするからです。
 急速な普及に伴って、全国で電動キックボードの事故が急増しています。その背景には、歩道の通行などの通行区分違反、無免許運転などの違反行為の多発があります。

 本改正は、事故急増の背景である電動キックボードの違反行為を合法化するものと言わざるを得ません。

 現在求められているのは、規制を堅持し、その遵守を促すための取組の強化です。先行して電動キックボードが普及する海外では、歩行者との接触事故や駐車違反などが深刻となり、歩道の通行の禁止、免許の義務化など、規制強化に踏み出しています。事業者の利益を交通安全に優先することは許されません。

 反対の第二は、レベル4自動運転の実現のために、事故時の救護義務、安全確保義務など、現行運転者が負っている義務を大幅に緩和するからです。

 昨年のパラリンピック会場での自動運転実証実験の人身事故は、現在の技術水準では、歩行者などが入り交じる現実の交通環境で事故を完全に防ぐことはできないことを明らかにしました。事故を防げないのであれば、事故時の救護や安全確保をするために人間の同乗を義務とすべきですが、これを緩和するのは認められません。

 自動配送ロボットの通行も可能としていますが、歩道も通行可とします。現在の技術水準では十分な歩行者との衝突などは避け難く、安全性が担保されているとは言えません。交通への悪影響も懸念されます。

 マイナンバーカードの普及のため免許証の一体化を進めようとしていますが、交通取締りの実効性に悪影響を及ぼし、交通への影響も懸念されます。マイナンバーカードの普及のためにこのような措置をとることは許されない、このことを申し上げ、反対の討論を終わります。


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