日本共産党の田村智子議員は5日の参院内閣委員会で、国家公務員の期末手当を引き下げる一般職給与法案について追及し、新型コロナ禍や物価高騰などのもと、賃上げこそ必要だと主張しました。
田村氏は日本国家公務員労働組合連合会が実施した昨年秋のアンケートで49・5%が「生活が苦しい」と回答していると紹介。アベノミクスの異次元金融緩和による円安や、ロシアによるウクライナ侵略などの非常事態のもと、「生活実態にも物価急騰にも対応していないのが今回の改定だ」とただしました。
二之湯智国家公務員制度担当相は、今回の措置は「妥当と考える」と強弁。田村氏は「本格的な賃上げをするつもりがあるのか」と批判しました。
さらに田村氏は、公務職場には時給で働き、3年ごとに求職活動をしなければならない非常勤職員が多数いることや、高卒の常勤職員の初任給が最低賃金を割り込む地域が増えていることを指摘し「労働法制の適用除外との理由で放置されているのは異常だ」と迫りました。二之湯担当相は「(非常勤職員の)処遇改善に努めたい」と述べました。
同委は同日、国家公務員の給与2法案と育児休業3法案を賛成多数で可決しました。日本共産党は一般職給与法案に反対し、特別職給与法案と育児休業3法案に賛成しました。
2022年4月6日(水) しんぶん赤旗
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
岸田総理は、昨年十一月に発表した経済対策の柱として成長と分配の好循環を掲げ、賃上げを推進すると表明されました。さらに、今年二月、物価高への対策としても賃上げを強調されました。大企業に恩恵の厚い賃上げ減税など、その政策には賛同しかねますが、少なくとも、OECD各国との比較でも異様なまでに賃金が上がっていないのが日本だという共通の認識があってのことだと思います。それだけに賃上げが急がれます。生活全般にわたる物価急騰という事態に、生活防衛のためには本格的な賃上げへと日本社会全体を動かしていくことが急務となっています。
ところが、その下で、公務員の給与は据置き、期末手当はマイナス改定をするというんですね。二之湯大臣は、衆議院での審議で、期末手当の〇・一五月分が全体として数千億円の規模になる、これが消費に回らないということが非常に厳しい経済の下で大きな影響を与えるのではないかという認識も示されました。そのとおりだと思います。
今回のこの法案、岸田政権の経済政策にも逆行するのではありませんか。
○国務大臣(二之湯智君) 今回の措置は、人事院勧告を踏まえて、民間との比較で国家公務員の給与を決定するものでございまして、これは国家公務員の適正な処遇の確保と国民の理解を得るために妥当なものだと思うわけでございます。
政府として民間の賃金水準の引上げにもしっかりと取り組んでいるところでございまして、民間の賃金水準が上がれば、改善されれば、それを受けてまた今後国家公務員の給与水準の改善も期待できることから、岸田政権の経済政策に逆行するとの御指摘は当たらないのではないかと思うわけでございます。
○田村智子君 日本国家公務員労働組合連合会が昨年九月から十一月に実施したアンケートでは、四九・五%が生活が苦しいと回答しています。本格的な賃上げをしてこなかった影響は、物価高騰の前から既に現れています。
今年六月期に支給される手当が〇・一五月分の引下げとなるだけではなくて、昨年十二月に支給した分の減額調整も行うというわけですよね。午前中にもありました。通常、人事院勧告を受けた給与法の改定は、遅くとも年内に行われてきました。今回のように、年度をもまたいで給与法を改定するというのは初めてのことだという答弁も午前中にありました。
なぜイレギュラーな時期の給与法の改定なのか。岸田内閣は、ボーナスのマイナス改定が経済に影響を与えないように経済対策をしてからだと、だから年を越えたんだという説明をしてこられましたけど、しかし、経済状況は昨年秋から更に深刻な事態を迎えているんじゃないでしょうか。ロシアのウクライナ侵略による物価高騰は、まだこれから始まるんですよ。アベノミクスの異次元の金融緩和策によって、円安はこのままでは出口も見えずに、長期にわたるインフレが強く懸念をされます。こうした非常事態とも言える下で昨年八月の人事院勧告にただ従うと、これでは私は政策がなさ過ぎると思います。
生活実態にも目を向けていない、物価急騰にも対応していない、それが今回の給与法の改定ではないですか。
○国務大臣(二之湯智君) 繰り返しになりますけれども、今回の措置は人事院勧告を踏まえた民間との比較で国家公務員の給与を決定するものでございまして、民間の給与、これは給与が上がる場合であっても下がる場合であっても、国家公務員の適正な処遇の確保と国民の理解を得るというために妥当なものと考えているところでございます。
政府といたしましても、民間の賃金水準の引上げや物価高騰対策などにもしっかりと取り組んでいるところでございまして、その実現に向けた各施策を講じることにより民間の賃金水準が改善されれば、それを受けて今後また国家公務員の給与水準の改善も期待できると考えておるところでございます。
○田村智子君 人事院勧告は、日本の雇用者人口の約一三%、七百七十万人の労働者に影響を与えると言われています。国と自治体の公務員だけでなく、公定価格で給与水準が示される保育士などの処遇にも直接影響を及ぼします。大臣の認識以上に経済へのマイナス効果がもたらされてしまうということを私は強く危惧しますし、果たしてこれで賃上げが本当に進んでいくのかなということの危惧も示さなければなりません。
繰り返しになりますけれども、今最もやらなければならない政策が賃上げです。その点で看過できないのが、地域によって最低賃金に達しない俸給表がそのままになっているということです。高卒の初任給が地域別最低賃金を下回る地域、これ国公労連のデータによれば三百六十一の市町村に及びます。
二〇一九年十一月、衆議院内閣委員会で我が党の塩川議員がこの問題を取り上げて、当時の人事院総裁は、最低賃金法の趣旨は国家公務員においても重要であると考えておりますと答弁しております。
人事院総裁にお聞きします。なぜ二〇二一年の俸給改定でこの問題を放置したのでしょうか。むしろ、最賃割れの地域は二〇一九年よりも広がってしまっているのではないでしょうか。
○政府特別補佐人(川本裕子君) お答え申し上げます。
枠組みとして、国家公務員は最低賃金法の適用を受けないこととされております。そのような中、国家公務員の給与は民間の水準と均衡を図りつつ、全国一律の俸給表とこれを補完する諸手当から成る給与体系が法定されており、適正な水準を確保するようにしています。
こうした枠組みの下で、近年、民間企業の初任給の上昇などを踏まえまして、初任給を含む若年層に重点を置いた改定を行って対応してきております。令和三年においては、月例給について、民間給与との較差が極めて小さく、俸給表等の適切な改定が困難であることから改定を行わないことといたしましたが、今後とも民間企業の状況等を見つつ、適切に対応していきたいと考えております。
○田村智子君 民間準拠と言いますが、最賃割れの給料なんというのは民間ではあり得ないですよね。やっちゃいけないことなんですよね。そういう地域が広がっているというのは、これ重大事態だということを重ねて指摘したい。これ、在り方見直さなければ駄目だと思いますよ。
それから、今年三月で定年退職した職員については、午前中の質疑で、昨年十二月に支給したボーナスからマイナス分、この返金は求めないというふうに答弁がありました。しかし、再任用によって四月以降勤務を継続する場合、公務員の身分は消滅して新規採用者として扱われ、給与も手当も大きな減額になるのに、昨年十二月分の手当減額調整、これをやるということになってしまうんですね。
既に支給済みの手当を後から減額調整するということ自体、これ民間企業だったら大問題だと思いますよ。まして、定年退職後に退職前の公務員の身分に付随する不利益措置を引き継ぐというのは、これ余りに不合理だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(堀江宏之君) 期末手当の支給額は、現行制度上、ボーナス支給の基準日より前の最大六か月間の在職期間を考慮して算出することとしております。したがいまして、この六か月以内に退職して再採用された場合、現在におきましても、退職前と再採用後の在職期間を通算するなど、身分の継続性を問わずに在職期間を評価してボーナスを支給しているところでございます。
今回の期末手当の減額調整に際しましては、このように、三月に定年退職し、その後再任用職員となるなど、在職期間が通算される場合には減額対象としたものでございます。なお、この措置につきましては、人事院の見解も踏まえたものでございます。
○田村智子君 これね、不合理としか言いようがないわけですよ。それでもいいんだと言い張るわけですね。
先ほど紹介した国公労連のアンケートで、再任用者の約七五%が生活が苦しいと回答しているんですよ。長きにわたる定員削減方針の影響で国家公務員の年齢構成にはゆがみが生じていて、経験のある職員層が急激に減少する時期を迎えています。再任用職員は業務上も今や不可欠の存在となっている。けれど、とてもこの処遇が下がるので、本当に生活苦しいというのはよく分かりますよ。そこで、その退職前の不利益を、退職後、再任用にまた引き継がせるというのは本当にやっちゃいけないことだと思いますよね。むしろ再任用職員の抜本的な処遇の改善、ここを検討すべきだということも指摘をしておきたいと思います。
もう一点、では、非常勤の職員については今回の手当の改定はどのように影響するのでしょうか。
○国務大臣(二之湯智君) 今回の給与法改正案に伴う非常勤職員の給与の取扱いにつきましては、法律成立後に内閣人事局が各府省に対して考え方をお示しできるよう、人事院とも相談しつつ現在検討中でございます。
検討の方向性といたしましては、基礎額や支給月数などで常勤職員と同等の取扱いをしている場合は今回の減額調整の対象としていく方針です。他方、これら以外の非常勤職員については、減額調整の対象とするのではなく、各府省において現場の実態に合わせた対応としていただきたいと考えております。
○田村智子君 つまりは、長く働いていて、その仕事も常勤の方と同じような仕事をやっている方は減額をしてしまうと。
非常勤の方々の処遇というのは各省庁に任されていて、昨年七月に人事院が非常勤職員の給与指針改正して、雇用期間や仕事の内容を参考にしつつ常勤職員の支給月数を基礎とするよう努めるというふうにしていますけれども、そもそも給料も手当も極めて安いと、低い処遇だというふうに指摘せざるを得ないんですよ。それで頑張って働いている方を、非常勤の方まで減額するのかということですね。私、あり得ないと思いますね。
非常勤職員の処遇については、私も毎年のように質問してきました。二〇一六年十一月には、期間業務職員へのボーナス支給をしていない省庁があるということも指摘をしました。その後、その省庁も手当が払われるようになったというふうに聞くんですけれども、勤務時間の調整などで月給分の方を減らしてボーナスでプラス・マイナス・ゼロとするので、年収としてボーナス分が増えたという扱いになっていないということも聞くわけですよ。だから、手当が支給されても、それで年収が、じゃ、増えるようになったかと言えば、そうなっていない職員がいるということなんですよね。それでも減額するのかということも、本当に私は不合理だと思いますね。
こういう官製ワーキングプアという言葉が表すような状況を改善するために、非常勤職員に対する給与やボーナス、ここの予算を増やしてもっと処遇を改善するということが求められていると思うんですけれども、大臣、もう一度、いかがでしょうか。
○国務大臣(二之湯智君) 非常勤職員は、常勤職員とは職務内容や勤務時間などに差があるために、ボーナスの支給月数においても、この差異を踏まえつつ常勤職員とのバランスを考慮することが重要だと思っております。
これに関して、昨年七月に人事院指針が改正され、職務、勤務実態、形態などが常勤職員と類似する非常勤職員のボーナスは、常勤職員のボーナスの支給月数を基礎として、勤務時間、勤務実績などを考慮の上支給することとされたところでございます。この人事院指針の改正を踏まえた取組状況については、必要に応じて人事院においてフォローアップがなされるものと認識をいたしております。
内閣人事局においても、各府省の非常勤職員の適切な処遇が確保されるよう、人事院と必要な連携をしてまいりたいと考えております。
○田村智子君 これ、内閣人事局の資料を見ますと、厚労省は今、非常勤の職員四万九千三百四十九人と、これ常勤職員よりも一万七千人以上多いんですよ。もちろんコロナの影響などで特別な臨時的な雇用というのがやられているかとは思います。それでも、非常勤職員なしには業務は成り立たない。法務省も、非常勤五万七千七百二十九人、これも常勤職員よりも多いんですよ。ほかにも、文科省、人事院、復興庁なども非常勤職員の方が多いというのが内閣人事局の示した資料から分かるわけですよ。こういう方々の処遇がどうなっているか、私は、是非調査なども行って、本当にどういう処遇で働いていらっしゃるのかということを見ていただきたいというふうに思いますね。
育休法についても質問をしたいと思いますので、次に進みます。
国家公務員の男性職員における育児休業の取得率は、昨年の人事院の調査で初めて半数を超えて五一・四%となったと。ここには防衛省や裁判所の職員が含まれていないという説明も受けています。防衛省なども含めた内閣府の調査では二九%ということなんですけれども、政府の男性育休取得の目標が三〇%なんです。そうすると、国家公務員はほぼ目標達成ということになるんでしょうか。現状の評価と今後の取組について簡潔に御答弁ください。
○政府参考人(堀江宏之君) 御指摘のとおり、政府全体の男性育休取得目標は、令和七年度におきまして三〇%でございます。現状、二九%でございますので、もう少しで達成というところでございます。
ただ、もちろん三〇%を達成すればいいというわけではございませんので、更に仕事と生活の両立支援を進める、あるいは業務の見直しを進める、マネジメントを向上させるによりまして、一層男性職員も育休を取りやすい環境整備を進めてまいりたいと考えております。
○田村智子君 明らかにこの一年で男性の育休取得率が大きく上昇したということは私も注目したいし、評価できる取組だというふうに思います。対象となる職員全てについて育休取得の意向を確認し、あらかじめ計画を作る、男性職員の育休取得率を管理職の人事評価の要素とするなど、本気で位置付ければ短期間で育休取得率を向上できるんだということを言わば実証しているというふうにも思います。
内閣人事局の職員へのアンケート調査の結果、これは令和元年度、二〇一九年度ですね、これ見て私、大変興味深いなと思ったのは、男性の育休取得について、これまでに取得したかという問いに、五割近くが利用しておらず、利用したいとも思わなかったと回答しています。三十歳未満でも四一・五%。ところが、今後取得したいかとの問いには、利用したくないは一七・三%、三十歳未満は九・五%にとどまるわけですね。利用したいという意欲が男性職員の中に広がっているということも、私は良い変化が生まれていると思います。しかし、利用したいができないと思うが二八・五%。その理由として、収入を減らしたくないが最も多く、次いで、残業が多い、業務が繁忙だと思われると。
給料が上がらない国になってしまったことの影響がここにも現れていて、まあ最初の質問に戻ってしまうんですけど、やはり給与や手当はマイナス改定ではなくて、本気の賃上げをやらなければ育休取得率の向上にもつながらないということも指摘しておきたいんですが、この残業や業務が忙しい、それで育休を諦める、取得できても期間が短い、ここはやっぱり解決が求められますよね。
この間、中央官庁で働く国家公務員の在庁時間調査についてはこの委員会で何度も審議になってきました。二〇二〇年十月、十一月、勤務時間外の在庁時間調査では、二十代総合職の約三割が過労死ラインの目安となる月八十時間を超えて、そのうち約半数が月百時間を超えていた。
こうした超過勤務の実態は解決に向かっているのかどうか。深刻な長時間労働、過密労働がそのままでは全ての対象者に育休取得の権利を保障するに至らないというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(堀江宏之君) 御指摘のとおり、二〇二〇年十月、十一月の在庁時間調査では、特に二十代かつⅠ種総合職の職員について、四十五時間、月四十五時間以上の在庁時間が三分の二以上、三分の二、それから八十時間超が三割、百時間超が二割弱という状況、長時間勤務が若手の総合職に偏っているという現状が明らかになりました。
御指摘のとおり、これを是正することは非常に重要でございますので、既存業務の廃止、効率化、デジタル技術の徹底活用、また、管理職のマネジメントの向上、それからテレワーク、フレックスタイムなどの柔軟に働ける環境整備、こういったことを進めまして、長時間労働対策をし、また、男性職員が育休を取りやすい環境整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○田村智子君 この在庁時間の調査というのは、今後も私たちに示されるものは出されてくるんでしょうか。これ是非検証していかなきゃいけないと思うんですけど、その点いかがですか。
○政府参考人(堀江宏之君) この在庁時間の調査は二〇二〇年の十月、十一月に行いました。実は、午前中の議論でも少し申し上げましたけれども、現在、私どもの勤務時間管理といいますのがシステム化が進んでおりません。したがいまして、このときの在庁時間調査というのは、毎日、五万人の職員に毎日エクセルに記入していただくという方式を取りました。非常に、正直言いまして手間の掛かる方式を取っております。その後、こういった状況、これで分かった状況を踏まえまして、超勤手当の対策も取りましたし、さらには、やはりこのような勤務時間管理ではいけませんので、勤務時間の客観把握あるいはシステム化を進めることとしております。ということでございますので、従来のような在庁時間の調査というのを今後また行うということは予定していないところでございます。
○田村智子君 それでは検証できないんですよね。こういう深刻な事態が改善に向かっているのかどうか、これ是非検討していただきたいと思います。
そもそも、やっぱり定員そのものを増やさなければ、これほどの長時間勤務を解消することできないわけです。その中で育休をということで今一生懸命進めていくと、職場の人間関係にも影響を与えかねないですよね。業務の忙しさから同僚の妊娠を素直に喜べない、いつからあの人産休に入るのかな、あるいはいつまで育休取るのかなと、業務への影響を考えてしまうんだ、そういう声も現場からは聞こえてくるわけです。
一方で、だから男性の育休なんて無理としないで、対象者全員に意向を確認し、計画を策定するというのはとても大切なことだと思います。妊娠が分かってすぐに申し出ることができれば、子供の出生までには半年以上の時間があるわけですから、育休期間中の体制を整える準備時間、これが得られるということになります。これ是非民間にも広げていくべき取組だと思うんですね。
では、その準備期間に代替職員をどうするか、こういうことも検討できると思うんですけれども、その代替職員の確保のための施策というのは講じられているんでしょうか。
○政府参考人(堀江宏之君) 制度上、育児休業期間中の職員の場合には代替職員の採用ができることとなっております。ただ、職場の状況は様々でございますので、上司においてしっかりと仕事の状況を踏まえまして、代替職員の採用で対応するのか、あるいは業務分担の見直しで対応するのか、さらには、例えば業務のスケジュール自体を見直す、様々な方法があると思います。職場の状況に合わせて管理職がしっかりと対応できるように努めてまいりたいと思います。
○田村智子君 是非、育休取得にやっぱり理解が広がるようにするには、人の手当て以外にないんですよね。定員そのものを増やすか、代替職員どうするか、こういうところを是非踏み込んでいただきたいと思います。
非常勤職員の育休取得の保障はどうなっているんでしょうか。期間業務職員の場合は、原則一年雇用で契約更新二度まで、三年が経過するとその職は公募に掛けられることになります。三年目に差しかかるような職員の育休、これどのように保障されるんでしょうか。
○政府参考人(堀江宏之君) 今回の改正案におきましては、任期中で公募を迎え再度再任用された場合、育児休業の取得回数の数え方について不利益とならない措置を講じております。
具体的には、育児休業の取得回数を数える際に、任期が満了することによって育児休業を終了し、再度採用された上で引き続き育児休業を取得する場合には、前の任期が満了するまでの育児休業を取得回数のカウントから除外するという規定を設けているところでございます。
これは、実質的には一回の取得にもかかわらず、途中で公募、任用が入ることによって二回と、二回のカウントとなってしまう不合理な結果を防ぐための措置でございます。これは、御指摘の三年目の任期で公募を迎えて再度任用された場合にも適用されるものでございます。
○田村智子君 制度上は保障するようにしますがということなんですけど、これが果たして本当にどこまで適用されていくかなんですね。
期間業務職員の三年で公募に掛けるというこの細切れの雇用については何度も質問してきました。二〇二一年七月時点で、非常勤職員約十六万人、常勤、非常勤合わせた職員数の三七・二%に上っています。先ほど非常勤の方が多い省庁があるんだというふうに指摘もしましたけれども、その非常勤の四七・八%が女性です。一年契約で、三年たったら、同じ仕事を希望しても自分の職場、求人募集されて、就職活動しなければ働き続けることができないと、もう一度雇ってもらえるという保障も分からないと。そうすると、妊娠、出産を理由とした雇い止めは許されないけれども、三年目で公募に掛けられるときに重なったら、果たしてもう一度雇ってもらえるのかということになると思うんですよ。まして男性が、女性の場合は、それは出産をするときにそれを妨げちゃいけないというのはありますけれども、男性は育休がこういう条件で取れますかということになってくると思います。
これ、内閣人事局は、昨年八月に、男性国家公務員の育休取得についてフォローアップ、公表しています。今後の取組として、職員アンケートなど通じて課題などを把握するとしていますが、これ非常勤の育休取得についても、私、調査をすべきではないかというふうに思うんですね。フォローアップ調査、今後もやるべきだし、非常勤についての調査も行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(堀江宏之君) まず、男性職員の関係でございますが、内閣人事局では、令和三年十二月に、国家公務員の働き方改革に関する職員アンケートを実施しております。この中で、男性職員に育児休業を取ってもらうための課題を把握し、さらに育児休業を取りやすい環境整備を進めたいと考えております。結果について、アンケート調査の結果について現在取りまとめ中でございまして、夏前には公表したいというふうに思っております。
なお、非常勤職員の育児休業の取得状況については、これまでも人事院さんの方で調査し公表されておりますので、まずは人事院において調査内容を検討していただければと考えております。
○田村智子君 是非、職員アンケートというのはとても大切だと思うんですね。その職場の人間関係含めてどうなっているかということはしっかり見ていくことが必要だと思いますので、非常勤職員も含めて職員アンケートという形での調査も是非とも行っていただきたいと思います。
最後、大臣にお聞きしたいんですけれども、今日質問したとおり、公務の職場というのはあたかも身分が安定していて給料も安定しているというふうに多くの国民が思っていると思います。しかし、その職場では、時給で働いて、これからゴールデンウイークにもなるわけですけれども、そうすれば収入が大きく減って、十年以上働いていても三年ごとに求職活動しなければならない、こういう非常勤の職員が大勢います。また、民間企業ならば雇用期間通算五年を超えれば非常勤は無期雇用に転換されるのに、公務職場にはそれさえありません。そして、常勤職員の中に最低賃金に届かない給料が許されてしまって、長時間労働も客観的な労働時間の把握がやっと始まったところだと。
こうした問題が労働法の適用除外だからという理由で放置され続けてきているんですよ。これ、異常だと思います。この点について大臣の認識を最後お伺いしたいと思います。
○国務大臣(二之湯智君) 今委員御指摘になりましたように、常勤職員と非常勤職員の処遇の差が非常に乖離が大きいということをお聞きをいたしたわけでございます。同じ職場で働く人に余りにもこの処遇の差があってはいけないと思うわけでございます。
内閣人事局におきましても、各府省の非常勤職員の適切な処遇が確保されますよう、人事院とも必要な連携をして処遇改善に努めてまいりたいと思っております。
○田村智子君 先ほど、国家公務員を目指す人が減っているんじゃないかという議論もありましたけれども、やっぱり長時間労働で大変そうということが大きな理由だと思います。また、その国家公務の仕事がどこを向いて誰のための仕事なのか。コロナ対応での布マスクなど、政権の意向で業務がゆがめられてしまったということも大きな影響を与えてきたんじゃないかと思います。
公務とは何か、やりがいのある職場としての労働条件はどういうものか。是非、今後こういう根本的な問題も本委員会で議論していきたいと思います。
以上で質問を終わります。