国会会議録

国会会議録
第204回国会 参議院 内閣委員会 (2021年6月10日)

【第204回国会 参議院 内閣委員会 第26号 令和3年6月10日】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 まず、先ほどの塩村議員に対する大臣の答弁を確認したいんです。
 塩村議員は、沖縄での基地周辺の座込みなど、そういう参加者が調査の対象になるかという質問をしました。大臣は、土地等の所有などの権原を有する者に限られると、調査の対象はとお答えになった。ということは、六条、土地等の利用の状況についての調査、これ現況調査も含まれますね。これは土地等の権原を有する者のみが対象であって、その他の土地等の利用者を対象とすることは六条に違反する調査だと、そういうことになるんですか。
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおりでございます。
○田村智子君 もう一度確認します。六条は条文上調査の対象を何も限定していませんが、この六条の調査というのは、土地の所有、賃借、こういう権原を持つ者だけの調査ということでよろしいんですね。(発言する者あり)
○委員長(森屋宏君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(森屋宏君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(木村聡君) 大変失礼いたしました。お答え申し上げます。
 御指摘ございました第六条に基づきます調査でございますけれども、土地等につきまして、所有権、賃借権等についての権原を持っていらっしゃる方を対象にするというのが基本でございます。
 ただし、ここはちょっと訂正をさせていただきたいんでございますけれども、例えば、土地等の利用者の方が法人でいらっしゃる場合、その法人の役員の方というのは、これは厳密な意味では、その役員個人としてはこれ権原を持っておられないんですが、そういう場合は六条に基づく調査になり得るものと考えているところでございます。
 一方で、先ほど御指摘等ございました、基地に対する反対等の活動をされておられる方、こういう方は通常、土地等に関する権原を持っておられない方というふうに受け止めておりますので、そういった方は六条の調査の対象にはならないと、こういうことでございます。
 以上でございます。
○田村智子君 これ、現況調査は六条に基づくという説明を受けているんですよね。現況調査、実際にどう使われているのか、その土地に行っての調査。そのときに、そこの人が、所有者なのか、賃借権を持つ人なのか、法人の役員なのかなんて分かりようがないじゃないですか。分かりようがないんですよ。現況調査、現地に行って、どういうふうに土地が使われているかという調査。
 それと、六条というのは、八日の日に山添議員質問しましたけれども、何の対象の限定も置いていないんですよ。土地等の利用の状況についての調査としか書かれてないんですよ。ここに現況調査が含まれると答えているんですよ。だから、答弁と条文が違うんですよ。もしもそう言うんだったら、条文にそう書くべきですよ、調査の対象を。書いてもいない。これ、本当にちょっと審議の前提を欠いているんですよ。どうやって現況調査やるんですか、これで。
 午前の審議でも防衛大臣が、注視区域と特別注視区域について、自衛隊の施設どうなんだ、どうなんだと詰められていく中で、審議会が決めるということまで言われたんですね。審議会にそんな権限ないですよ。ちょっと余りに不正確で不誠実で、条文にのっとってないんです、答弁が。ちょっとこれ本当に法案の審議の前提を欠いています。
 本当はもう止めてくれと言いたいところなんですけれども、今日はちょっと質問はやりますけれども、ちょっと次回の審議までに会議録精査してくださいよ。
 それから、現況調査というのが、じゃ、何なのか。現況調査って実は法文上も出てこないんですよ。だけど、皆さんのポンチ絵、その説明資料の中には現況調査という言葉出てくるんですよ。これが一体何を指しているのか、分かるように、次回までにきちんとした報告を本委員会に求めたいと思います。
○委員長(森屋宏君) 後刻理事会において協議いたします。
○田村智子君 では、私は、今日は、注視区域がどのように指定されるのかということですね。
 法案の立て付けをまず押さえておきたいんですけれども、まず第二条で重要施設それから国境離島等を定義する、その中から第五条にのっとって注視区域を指定し、さらに注視区域の中から第十二条にのっとって特別注視区域を指定するんですね。だから、まず重要施設というのが何かということが重要になってくるんです。
 この二条二項では、一で自衛隊の施設、安保条約の地位協定に定める米国の施設、つまり在日米軍の施設、二で海上保安庁の施設、さらに三としていわゆる生活関連施設というふうに置いているんですね。
 これまでの答弁では、その三の生活関連施設については、原子力発電所と、自衛隊との共用する空港と、それ以外は考えていないという答弁が繰り返されているんです。ここまで限定するのであるならば、なぜ三に原子力発電所、自衛隊との共用空港と、こういうふうにお書きにならなかったのか、なぜ条文で規定しなかったんでしょうか。
○政府参考人(木村聡君) お答えさせていただきます。
 法律に規定しております防衛関係施設と海上保安庁の施設は、安全保障の観点から普遍的な重要性を有するものだと考えているところでございます。一方、御指摘ございました生活関連施設、私ども重要インフラ施設と呼んでおりますけれども、こちらにつきましては、安全保障をめぐる内外情勢でありますとか施設の運営の在り方などに応じまして安全保障の観点からの重要性が変化し得るものと、このように考えてございます。
 このために、政府の方におきまして迅速かつ適切に類型の変更、これは追加であったり削除であったりということが考えられるわけでございますけれども、そういった変更が行えますように、法律の規定といたしまして、「その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるもの」という要件を設けさせていただきました上で、具体的な施設の類型は政令で定める仕組みということにさせていただいたということでございます。
 この仕組みの下では、例えば、安全保障の観点からの重要性が低下した施設の類型を機動的に政令指定の対象から外し、区域の指定を同時に解除いたしますれば、速やかに調査や利用規制等の対象外とすることが可能となると、こういうことでございます。
 以上でございます。
○田村智子君 それは、国際情勢や安全保障上の理由で拡大し得るという答弁なんですけれども。
 国民保護法第百二条は生活等関連施設を規定して、その施行令二十七条で具体的に発電所、変電所、ガス精製施設等、浄水場など水道施設、一日平均十万人以上が利用する鉄道施設、電気通信施設、国内放送の施設、港湾、空港、河川管理施設、危険物取扱所、これらを具体に指定をしています。
 既に安全保障上の理由でこれだけの施設を政府は生活関連等施設というふうに定めているわけですね。そうすると、今後これらを重要施設というふうにすることはないんでしょうか。
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 先生御指摘ございました国民保護法につきましては、これ有事を想定したものであると認識してございまして、平時をベースとしております私どもの法律、法案とは趣旨が異なるのかなというふうに認識をいたしているところでございます。
 したがいまして、生活関連施設、生活関連等施設と、微妙な呼び方の違いがあるわけでございますが、私どもの法案の中では、国民保護法にはございません、先ほども御答弁させていただきました「その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるもの」という要件を付加させていただいているところでございます。
 現時点におきましてこの政令で指定を考えておりますものは、御指摘ございました原子力関係施設と自衛隊が共用する空港と、この二つの類型を考えさせていただいているところでございますが、この先の安全保障の、めぐります環境の変化に応じますれば、その他のものにつきましてもこれ指定する可能性がないというわけではございませんけれども、いずれにしましても、そういう事態になりましても、法定しております審議会に付議をいたしますなど、適正な手続に従って慎重に判断をさせていただくと、こういうことでございます。
 以上でございます。
○田村智子君 今言われたとおり、国民保護法の方は有事の立法だと。今回、これは平時の土地等の利用状況の調査なんですね。
 ちょっと、大臣お答えいただきたいんですけど、だったら、条文上、原発と自衛隊共用空港と、こう書いて、それでいろんな情勢の変化が起きているんだったら、法改正で提案するのが筋なんじゃないでしょうか。
 これ、生活関連施設って非常に影響大きくなるんですよ。例えば鉄道、一日平均的な利用者十万人以上の駅は、これはホームドアの設置対象でもあるので、国交省が出している資料を見ると百二十五駅にも上るんですよね。この対象がどうなるかというのは国民に対して大変大きな影響を与えます。だから、国会審議は私は必要だと思います。
 なぜ条文で書かないのか。なぜ政令に委ねてしまうのか。いかがですか。
○国務大臣(小此木八郎君) 生活関連施設については、安全保障をめぐる内外情勢と施設の運営の在り方などに応じて安全保障の観点からの重要性が変化し得ます。
 このため、政府の責任において迅速かつ適切に類型の変更が行えるよう、法律の規定として、「その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるもの」という要件を設けた上で、具体的な施設の類型は政令で定める仕組みといたしました。
 この仕組みの下では、例えば、安全保障の観点からの重要性が低下した施設の類型を機動的に政令指定の対象から外し、区域指定を解除すれば、速やかに調査や利用規制等の対象外とすることが可能となります。
○田村智子君 これ全然おかしいんですよ。だって、予防的措置であって、しかも時間を掛けて調査をする対象ですよ。区域の周りの広大な区域を時間掛けて調査しなきゃいけないでしょう。そんな、そんなもう国会にかけるゆとりもないと。あり得ないですよ。あり得ないですよ。これ政令に委ねるなんて本当にあり得ないですよ、法の体系からいったって。
 ちょっと次行きます。二条二項一、自衛隊の施設、在日米軍の施設、これはつまり二条二項の一で言うところでは、全ての自衛隊の施設と在日米軍の施設が重要施設ということでよろしいですか。
○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。
 本法案第二条二項第一号に規定している防衛関係施設としては、自衛隊施設の全てが該当し、その数は、宿舎施設、公務員住宅施設を除くと約千三百施設でございます。
 また、米軍施設につきましては、地位協定第二条第一項(a)によるいわゆる米軍専用施設・区域の全てが該当し、その数は七十七施設でございます。
○田村智子君 全てが重要施設だと。そのうち、第五条で、周囲おおむね一千メートルの区域内で重要施設の施設機能を阻害する行為の用に供されることを特に防止する必要があるものを注視区域として指定することができるということなんですね。
 それで、この間、この入らない自衛隊の施設って何なんだという答弁については、自衛隊の宿舎が例として挙げられました。ここは対象外となるんじゃないのかと。米軍基地については、自衛隊施設の周辺区域の指定の考え方等を踏まえて指定していくという、米軍と、アメリカと協議の上という答弁もありました。
 それでは、この自衛隊の宿舎は対象外という考え方に立てば、米軍住宅の周囲というのも入らないという方向になるかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(青木健至君) お答え申し上げます。
 在日米軍施設・区域につきましては、自衛隊施設に関する指定の考え方等を踏まえつつ、管理者である米軍との間で施設の運用状況や重要性等の詳細を確認した上で区域の指定を行う必要がございます。このため、在日米軍施設・区域の指定の在り方について予断を持ってお答えすることは差し控えます。
 その上で、指定に際しては、米軍との間で施設の詳細を確認しつつ、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、政府の判断として、必要最小限の原則の下、真に措置が必要となる施設・区域を特定していくというふうに考えております。
○田村智子君 この米軍基地の周辺というのでどこが指定されるのかというのは、これ沖縄にとっては、午前中の伊波議員の質問を聞いても本当に重大問題なんですけれども、これは東京も人ごとではないと思っているんです。
 資料でお配りしました一枚目は、東京都内の在日米軍基地の一覧です。港区にある赤坂プレスセンター、これは星条旗新聞社、宿舎、ヘリポートが入っています。五市一町にまたがる横田飛行場、府中通信施設、多摩サービス補助施設、これゴルフ場、キャンプ場ですね。清瀬市の大和田通信所、硫黄島通信所、港区のニューサンノー米軍センター、これ宿舎。羽田郵便管理事務所。この中で、周囲が注視区域とはならないと考えられるもの、なかなかお答えにくいかもしれませんけれど、例えばゴルフ場、キャンプ場なんていうのは、これは除外して当然じゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
○政府参考人(青木健至君) お答え申し上げます。
 今お答えにくいというふうにおっしゃっていただきましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、在日米軍施設・区域の指定の在り方、これにつきましては、この段階で予断を持ってお答えすることは差し控えたいというふうに思っております。
○田村智子君 宿舎だけでなく、ゴルフ場、キャンプ場についても、なかなか対象にはなり得ないという答弁もできないということなんですよね。
 これ、私これまでの議論を聞いていても、全ての自衛隊の施設、在日米軍施設はまず重要施設なんですよね。その上で、機能を阻害する行為を特に防止する必要がある施設は周囲を注視区域にする。さらに、その中から、他の施設による機能の代替が困難、代替が困難という施設は特別注視区域に指定すると。
 そうなりますと、機能阻害を防ぐ特段の必要がない施設、その必要がある施設、とりわけ必要性が高い施設という三段階で自衛隊の基地と米軍基地を言わばランク付けすることになるんじゃないかというふうに思うんですけど、大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(小此木八郎君) この法案に基づく区域指定は、その機能を阻害する行為を防止することが必要な重要施設についてそれぞれの周辺を指定するものであって、自衛隊施設の機能ランクを付ける趣旨で行うものではありません。
 自衛隊の施設に関し、機能を阻害する行為の用に供されることを特に防止する必要があるとの要件に該当し得るものとして、部隊等の活動拠点となる施設、部隊等の機能支援を行う施設、装備品の研究開発等を行う施設、我が国の防衛に直接関連する研究を行う施設が注視区域の検討対象になるものと認識しています。
 また、機能が特に重要なもの又は阻害することが容易であるものであって、他の重要施設による機能の代替が困難であるものとの要件に該当し得るものとして、指揮中枢機能及び司令部機能を有する施設、警戒監視、情報機能を有する施設、防空機能を有する施設、離島に所在する施設が特別注視区域の検討対象になるものと認識しています。
 実際の区域指定については、法律の要件や基本方針の内容に照らして、経済的社会的観点から留意すべき事項も勘案しつつ、個々の区域を評価、そして新たに設置する土地等利用状況審議会の意見を伺った上で指定の要否、範囲等をそれぞれ判断してまいります。
○田村智子君 大臣はランク付けじゃないと言いますけど、防衛省が区域指定の候補リストの提示を拒んでいるのも、まさにその理由が施設ごとの機能の重要性を示すことになってしまうということを理由にしているじゃありませんか。事実上のランク付けだと認めているようなものですよね、防衛省は。
 そうすると、私は、米軍基地に対して、自衛隊はまだ自分たちの施設だから、この国の施設だから、そうやって司令機能があるとかいろいろ類型立てることができるかもしれませんけど、アメリカ軍の基地に対して、言わば施設の重要性のランク付けを内閣総理大臣が行うに等しいような区域指定を行う、これ、そんなことできるのかなというふうに思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(青木健至君) お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、在日米軍施設・区域の指定の在り方については予断を持ってお答えすることは差し控えますが、その上で、実際の指定に際しては、米軍との間で施設の詳細を確認しつつ、審議会の意見を伺った上で、その上で、政府の判断として、必要最小限の原則の下、真に措置が必要となる施設・区域を指定していくというふうに考えております。
○田村智子君 在日米軍は今、低空飛行とか夜間離発着訓練とか市街地でも行って、どんな危険な訓練しても、安全保障上米軍が必要だと判断すれば国内法はお構いなしだし、日米協定でさえもお構いなしという状況で、それに対して政府は事実上何の意見も言えない状況ですよね。政府が意見言って改善されるなんてことないような状況ですから。そうすると、区域指定の対象にならないという米軍基地が果たしてあるんだろうかと。私は、広範囲に特別注視区域に指定されることにならないかというふうに疑念も持たざるを得ないんですよね。
 資料の二枚目は、赤坂プレスセンター周囲一キロメートルを記したものです。これ、その一キロの中に、地名で言いますと、六本木と南青山のほとんどが入り、西麻布は全域が入り、南麻布、元麻布、広尾、赤坂も一部が入る。六本木ヒルズなど高層ビル、土地、建物の権原有する者、利用する者、膨大な人たちがいる、そういう地域になるわけですね。
 こういうところまで不動産売買の事前届出が義務付けられる特別注視区域に指定されるということはあり得るわけですよね、確認しますが。いかがですか。
○政府参考人(青木健至君) お答え申し上げます。
 実際の指定に際しましては、米軍からしっかりと運用状況を確認しつつ、政府として、法の趣旨、この今法案御審議いただいています法の趣旨に照らして、その妥当性につきまして様々な要素を総合的に勘案をしまして主体的に判断をするというふうにしております。
○田村智子君 あり得るんですよ。それで、アメリカ軍の運用状況をどこまで細かくそんな精査することができるかということですからね。
 それで、ただ、この注視区域、特別注視区域では、市街地をめぐって、経済的社会的観点からという要素が、基本方針について定める第四条の中で括弧の中に入って出てくるわけですよね。これ公明党からの要望で入った文言で、経済的社会的観点から、その周囲を特別注視区域に指定する機能を持つ施設であっても、特別注視区域に指定する機能を持つ施設であったとしても注視区域にし得るという答弁が八日の日には公明党の議員の質問に対して示されてもいます。
 ますます訳が分からないんです。この経済的社会的観点というのは何なんでしょう。条文上何の説明もありません。何を意味しているんですか。
○国務大臣(小此木八郎君) この法案自体が、安全保障と自由な経済活動の両立をまず図ることを大前提としているということ、度々申し上げてまいりました。注視区域又は特別注視区域の指定は、指定に伴う社会経済活動への影響を安全保障上の要請に基づく合理的かつやむを得ない範囲に限定する必要があると考えております。閣議決定する基本方針においては、そうした考えを明らかにするため、法第四条第二項第二号に規定する、おっしゃった経済的社会的観点から留意すべき事項を示すことといたしました。
 具体的な内容について基本方針で定める予定でありますが、現時点で、例えば、重要施設の周辺に密集市街地が形成されている場合、その区域における社会経済活動への影響、施設機能の阻害行為の兆候等の把握が困難であるかどうかといった重要施設の周辺の実情、重要施設自体の形状や周辺区域における地形、国有地の所在状況などを考慮し、区域指定の要否、区分、範囲を判断するという考え方を明らかにすることを想定しております。
 この経済的社会観点から留意すべき事項を踏まえて評価した結果として、土地等の取引に関する事前届出が必要となる特別注視区域の指定では、法定するその要件に該当する区域であっても注視区域として指定することがあり得るものと考えていると申し上げてまいりました。
 具体的な区域の指定については、施行後に、個々の重要施設の周辺や離島ごとに法律の要件や基本方針の内容に照らして評価し、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、必要最小限の原則を踏まえ適切に判断してまいります。
○田村智子君 これ、説明できないですよね。なぜこの地域が注視区域で、なぜここの地域が特別注視区域か、これ説明できなくなってくるんじゃないですか。結果で、結論的に言えば、アメリカ軍の意向等、米軍基地周辺でいえばアメリカ軍の意向等、それ以外のところでいえば内閣総理大臣のさじ加減だと言わんばかりですよね。
 それで、この法律、本当に安全保障上必要な法律だといいながら、基地機能のランク付けを言わば公にすることになってしまって安全保障上の問題が浮上してきていると、さらには、安全保障上とは異なる基準で特別注視区域が指定され得るという、この政策的にも法律としても、私は、ちょっと矛盾が余りにひど過ぎる、法体系として破綻しているんじゃないかというふうにちょっと率直に指摘せざるを得ないんですね。
 次に行きます。土地等利用状況審議会についてです。
 今言った基本方針で定めること等々も含めてなんですけど、生活関連施設をどうするのか、あるいは注視区域、特別注視区域の指定、その変更、それから勧告、これらは事前に土地等利用状況審議会の意見聴取が義務付けられています。これ、国民主権に関わる重要事項の意見聴取になるんですね。ところが、その委員は内閣総理大臣の任命だと。
 先日、吉川議員からも質問ありましたけれども、国会同意人事にしないのはなぜなんでしょう。
○政府参考人(木村聡君) お答えさせていただきます。
 委員の任命につきましては、本法律の趣旨、目的に照らしまして内閣総理大臣が責任を持って判断するものでございまして、国会同意人事とはさせていただいていないということでございます。
 なお、委員の任命に当たりまして国会同意を要するものは、内閣から独立した機関、これ会計検査院でございます。そして、いわゆる三条機関、これ公正取引委員会あるいは国家公安委員会などでございます。そして、いわゆる八条委員会のうち、常勤の委員がいるもの、行政処分に対する不服申立ての審査を行うものなどが一般的でありまして、この法案には適合しないものと考えているところでございます。
 以上でございます。
○田村智子君 そうなんですよ。結局、審議会を置いても総理の判断だからという答弁なんですよね。
 確かに国会同意人事を必要とする審議会等々見てみますと、審議会などを見てみますと、答申とか勧告、事前審査、不服審査、あっせん、こういう機能を持っているんですよ。一切そんな機能ないんですよ。審議会に意見をあらかじめ聞くという定義はありますけれども、その審議会の意見を尊重するともなければ、参酌するともないんですよ。ただ聞くだけなんですよ、あらかじめ聞く。
 国民の主権やプライバシー権に関わる法律です。しかも、実施に関わる事項は法律でほとんど何にも縛りを掛けずに全て政令に委ねている、あるいは内閣府令にまで委ねている。その審議会さえも意見聞くだけ、そのメンバーは総理大臣の任命。何ら民主的統制などないですね。内閣総理大臣の判断だけで幾らでもいろんなことができてしまう、そういう法案だと言わざるを得ないんです。
 最後に、残る時間、五年後見直しの問題での土地収用についてお聞きします。
 八日の審議では、土地収用が今後必要になってくるんじゃないかという質問に対して、今後の検討、五年後の見直しに向けてというような答弁がありました。これ、五年後に向けて土地収用について検討するということがあるんでしょうか。
○国務大臣(小此木八郎君) 土地収用の措置については、有識者会議の提言において、今般の制度的枠組みの実施状況、有効性等を見極めた上で、安全保障をめぐる国際情勢、諸外国の取組等も踏まえ、慎重に検討していくべきとされてまいりました。
 このため、本法案では土地収用は導入しないこととし、重要施設等の機能を阻害する土地等の利用に対し中止等の命令を行う利用規制の枠組みを採用いたしました。政府としては、土地等の利用状況の調査と利用規制を柱とする本法案によって、安全保障上のリスクとなる重要施設等の機能阻害行為の防止に努めてまいりたいと存じます。
 その上で、衆議院の内閣委員会の附帯決議において、「収用を含め、更なる措置の在り方について、附則第二条の規定に基づき検討すること。」とされたことも踏まえつつ、附則第二条に基づく五年後の見直しの中では、措置の要否を含め、更なる政策対応の在り方について検討していく必要があると考えております。
○田村智子君 否定はされないわけですね。
 法案の内容を知った市民団体からは土地収用の危惧の声が上がっています。
 茨城県百里基地の資料を最後のページで付けました。ここは滑走路の横に並行している誘導路がくの字に曲がっているんですね。国際的にもこういう誘導路を持っているのはここだけではないかというふうに思うんですけれども、なぜくの字になったのか。それは、農民が基地建設に反対して土地を売らなかった、そして今その運動を引き継ぐ皆さんの所有地として平和公園になっているからなんですね。
 土地所有そのものが基地の機能を阻害しているとみなされて収用の対象となることがないのか、済みません、ちょっと時間が来てしまったので、ちょっとその答弁をお願いします。
○国務大臣(小此木八郎君) この御指摘のあった経緯等は必ずしも明らかではございませんが、いずれにしても、仮に民有地を避ける形で重要施設が設置されたという経緯があったとしましても、その民有地が平穏に利用されているのであれば、その土地の存在自体を理由として隣接する重要施設の施設機能を阻害する行為の用に供し又は供する明らかなおそれがあるものとは認められず、機能阻害行為として本法案に基づく勧告、命令の対象とはなりません。
○田村智子君 この土地収用についてはちょっと次回も一言述べておきたいというふうに思いますが、戦前から戦後に大転換が法律上あるわけですから、そのことを踏まえた議論というのが必要だと思います。
 以上で終わります。


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