国会会議録

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第204回国会 参議院 内閣委員会質問 (2021年6月3日)

【第204回国会 参議院 内閣委員会 第24号 令和3年6月3日】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 もう、ちょっと一般質疑の機会がほとんどないようで、私の事務所にコロナ関係でたくさん問合せや要望が寄せられていますので、私も最初にちょっとコロナの問題で質問をさせてください。
 まず、大阪府などの医療逼迫状況が引き続き深刻で、酸素吸入が必要となっているような方も入院ができずに在宅で入院を待つという状況が四月から続いています。地域の医療機関が自宅を訪問して、酸素吸入の処置、ステロイドの点滴など懸命に治療に当たっていて、我が党は質問や要請で診療報酬上の特例というのを求めてきました。しかし、実質的には院内トリアージ実施料三千円の算定にとどまっています。
 在宅酸素療法を必要とする患者さんを訪問している医療機関に状況を伺いました。訪問するたびに防護服の脱着だけで数十分掛かる。しかも、使い捨てだからPPEだけでも一回ごとに一千五百円程度掛かる。また、パルスオキシメーターは既に自治体の在庫が底をついていて、医療機関が購入したりレンタルをして患者さんごとに貸出しをしている。これも費用は持ち出しだというんですね。
 在宅時医学総合管理料での算定をというのが厚労省の説明なんですけれども、これは、最初に計画を立てても、そのとおりの訪問にならない場合が多々あるわけですね。急変の対応とか、電話に出ない患者さんを急に駆け付けて訪問することも必要となってくると。そもそも、本来入院で治療すべき患者さんをやむなく在宅で診ているという状況なんですから、医師が患者さんの居宅を訪問して、その後継続的な管理を行っているという実態があれば、もう在宅時医学総合管理料の算定を認めるべきだと思います。また、必要な備品、消耗品の費用や人件費が賄えるようにするなど、在宅のコロナ患者への診療に特例の対応、やはり必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(横幕章人君) お答えいたします。
 自宅等で療養される患者の方々の診療報酬でございます。
 従来、往診等の対象につきまして、通院が困難な方としておりますけれども、今般、新型コロナウイルス感染症の自宅・宿泊療養者の方々が含まれることを、まず本年二月、明確にしているところでございます。
 御指摘の在宅時医学総合管理料につきましても、診療に当たる医師が継続的な診療が必要と判断した場合であって、総合的な療養計画を作成して定期的に訪問し、総合的な医学管理を実施した場合には算定できるということになっております。
 その上でございますけれども、今の在宅時医学総合管理料の算定の有無にかかわらず、三年度予算での特例的な対応といたしまして、医療機関の感染症対策を評価し、在宅医療の際にも、本年九月までの間でございますけれども、一定の加算を算定できるというふうにしております。さらに、往診等につきまして、先ほど御指摘ありました院内トリアージ実施料に加えまして、緊急往診加算、これは緊急に求められて速やかに往診することを評価するものでありますけれども、これを算定できる。また、在宅酸素療法を実施した場合には、在宅酸素療法指導管理料というのがございます。これを算定できると。こういったことも現場の声を踏まえながら対応してきているところでございます。
 また、今申し上げたのは診療報酬でございますけれども、このほかに、緊急包括支援交付金、国費で設けておりますけれども、これを用いまして、これもさっきお話ございましたけれども、自宅療養の場合の個人防護具あるいはパルスオキシメーター、こういった経費を都道府県から支援することができると。また、都道府県から医療機関に対しまして診療報酬に加えて委託料を支払う、こういった場合もこの交付金を活用できるというふうにしております。
 こういったことを組み合わせまして、宿泊・自宅療養者の健康確保のための体制、しっかり構築してまいりたいと考えております。
○田村智子君 やっぱり在宅時医学総合管理料の算定で見てもらうのが一番シンプルなんですよ。できるだけ繁雑な作業にならないようにしていただきたいということも併せてお願いしたいのと、今、在宅酸素の吸入器、念入りな消毒も必要になっている。酸素濃縮器も不足していて、酸素ボンベだけ貸し出すなどの事態では、これ配送の手間も増えていると、医療機器メーカーからの請求も増えると。こういう様々な特例が必要だということは改めて求めておきます。
 もう一点、診療報酬の関係では、入院となった場合の救急医療管理加算、これ特例の点数が、幾つもの事務連絡に分かれていて、これが付きます、あれが付きますとなっていて、非常に分かりにくい状態になっていて、本来算定できるケースでも査定を受けるというケースが今相次いでいるんですよ。それで相談が来るわけですよ。
 医療機関、審査支払機関とも混乱をしている状況ですから、算定要件などを整理した上で、改めて徹底することも必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(横幕章人君) 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い、これまで、感染拡大の状況でございますとか医療現場の実態や御要望、こういったものを踏まえながら、これらに応じまして迅速に適時必要な対応を行ってきたところでございまして、これが累次の今御指摘ありました事務連絡という形になっております。
 これらを医療機関等の現場に理解していただくことがもちろん必要でございますので、分かりやすくまとめてお示しするといった工夫を講じてきておりまして、例えば、医療機関等に対しましてテーマごとにあるいは項目ごとに支援の全体像を整理してお知らせするといった形でありますとか、私どもの審議会、中医協でありますとか社会保障審議会の医療保険部会ございます、こういった機会に全体像を、診療報酬の臨時的な取扱いを整理してお示しすると、こういった工夫を行っているところでございます。また、個別の点数あるいは要件などにつきまして、その適否等に関して個別の問合せをいただく場合もございます。地方厚生局と連携して、できる限り丁寧に回答すると、こういった対応に努めているところでございます。
 引き続き、現場に理解いただいて、十分に対応いただけるよう工夫しながら、周知に努めてまいりたいと考えております。
○田村智子君 ワクチン接種の大規模接種会場の件は私も是非取り上げたいと思いまして、先ほどの答弁でなかなか難しいということだったんですけど、これ、全部の接種が終了して、予診票、そこには接種券がもう貼られているわけですけれども、これを全部回収して、そこでの事務作業が極めてアナログだったということで、私たち衝撃を受けたわけですね。予診票を一枚一枚手作業で市区町村ごとに分けていくと。
 それで、私も視察終わってすぐに厚労省に確認をいたしましたら、やっぱり必要な作業だと言うんですよ。しかし、矢田議員も言われたとおり、今後、職域とか大学で学生なども対象にとなると、もっとその、もっと広がっちゃうわけですよ。都道府県を超えて全国の自治体をこうやらなきゃいけないようなことになりかねないんですよね。
 手の足りないかかりつけ医のところも、これVRSでいうと非常に大変になってしまうなという、ちょっと改良がやっぱりどうしても必要だと思うんです。やったことないことをやるわけですから、それは当初、いろんな不具合が起きてしまうのはやむない部分もありますよ。不具合があると分かったら、それを改良しながらもうやっていくしかないと思うんですね。
 既に診療報酬などは電子請求が中心です。それで、国保連は、今回のワクチン接種も、結局予診票はOCR、画面読み取りで電子化して支払を行うというんですよ。結局OCR使うんですよ。だったら、その予診票に添付されている接種券には、さっきこやり政務官は受けなかった人もいるんだと言うんだけど、それ全部区別できるようになっているんです。この人は一回目、この人は二回目、この人は受けなかった、全部区別できるんです、接種券のコードを読み取れば。それに、その接種券では、自治体のコードも個人コードの組合せも可能なんですよ。だから、このOCR後に国保連で電子的な仕分けができるような、接種会場での仕分けが必要にならないような、そういうシステム開発はやっぱりやるべきだと思います。
 国保連に対して費用補助するということも含めて検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(宮崎敦文君) お答え申し上げます。
 先ほどの矢田委員と、こやり政務官との質疑でこやり政務官より御答弁申し上げたところに尽きるわけではございますけれども、実施主体であります全国の市町村の実務あるいは時間的な制約等々様々な要因を勘案して現在お願いしている、現在の仕組みをお願いをしているところでございます。
 もちろん、様々な現場の御意見聞きながら、直せるところは直していくというのは、これはこの仕組みに限らず今取り組んでいるところでございますので、効率化に向けて何かできるところについては取り上げていきたいというふうには考えてはいるところでございます。
 また、先ほどこやり政務官からの御答弁もありましたけれども、こうしたその事務的に係る部分、外部委託等も可能でございますので、そういうところに対しての経費の補助なども行いまして、効率的に、少しでも効率的に行えるようにしていった上で、一日も早く接種を終えるような仕組みを、取り組んでいるところでございます。
 御提案の国保連の関係について申し上げますと、国保連、四十七の都道府県に設置されておりますけれども、これらの国保連のシステム、いずれにしてもやはり改修が必要になってまいりますので、それについての一定の期間を要するということもございますし、実施主体である市町村に予診票を届けるということに関して申し上げますと、国保連側にそういうやはり仕分けの作業が生じてくるという部分もございます。
 そういう意味で、やはり簡単に修正できるというものでもないというところがございまして、現時点では、現場の混乱等々を考えますと、一日も早く接種を終えることができるようにするという意味で、今の取組を進めていくということで考えているところでございます。
 いずれにせよ、現場の声も聞きながら、自治体あるいは接種主体の方々と御協力いただいて、全力で現場を支援しながら進めてまいりたいと思っております。
○田村智子君 河野大臣には質問しないんですけど、こういうネックになりかねない事態ですので、是非監督をお願いしたいと思います。
 最後、もう一点だけなんですけど、モニタリング検査を是非うちでもというふうに手挙げが始まってきているんです。だけど、このモニタリング検査の予算執行が今五割近くまで達していて、六月中にも予算なくなるんじゃないかというような事態だという危惧があります。
 是非、今後もっと必要になるんです。やっぱり予備費による予算の確保などお願いしたいと思うんですけれども、端的にお願いします。
○政府参考人(渡邊昇治君) モニタリング検査につきましてお答え申し上げます。
 検査は二月の下旬から始まりまして、四月の下旬には一日当たり約五千件、今週は一日当たり約一万件近くを予定をしております。順調に伸びてきておりますけれども、この事業は、無症状の方の検査を行うことで、感染源の探知ですとかあるいは予兆の探知を行う事業でございまして、一定の期間続けることが重要だというふうに考えております。
 しかしながら、しかしながらですね、これは一定の期間続けることが重要でございますけれども、予算等の関係につきましては、この事業のこれまでの検証、評価をしながら今後のことを考えてまいりたいというふうに考えております。
○田村智子君 先日、尾身会長は、ここからはテクノロジーでどんどん抑えていくんだとおっしゃったわけで、これ是非、予算が終わったから終わりにしないでいただきたいということを言っておきたいと思います。
 では、済みません、法案に入ります。
 二年ごとに定年を一年ずつ延長するという法案ですけれども、定年を延長しても新規採用数は維持するという答弁が衆議院でもありました。そうすると、定員増は恒久的なものと理解してよろしいのかどうか。
○政府参考人(堀江宏之君) 行政サービスを将来にわたりまして国民に安定的に提供し、また行政の各部門が有する専門的な知識、経験を確実に引き継いでいけるよう、若手をコンスタントに採用していくことが重要であると考えております。
 そういった観点から、定年引上げ期間中の新卒採用が滞ることのないよう、一時的な調整のための定員を措置する必要があると考えているところでございます。
○田村智子君 河野大臣、一時的な調整というのがどのぐらいのスパンかということを私、大変危惧しています。今後十年程度の間に六十歳を迎える割合は非常に大きくなっていく、定年の延長しないとなかなか業務が維持できない部分がある、六十歳を超える職員に知識や経験を生かして若手の長時間労働の原因になっている業務を代替してもらって、若手の人材育成にも当たっていただくというふうにこれまで答弁を大臣されてきていまして、私もそれとても大切だというふうに思うんです。
 先日質問した在庁時間調査を見ても、やはり業務に対して人が足りないというのが実態だというところあると思うんです。ですから、定年延長という形であっても、増員によって根本的な解決をしていくということが必要になってくると思います。逆に、もし本当に一時的な定員措置ということになってしまえば、これ、定年退職によってベテランがどんどん減っていくと、逆に若手の業務負担が増えていくということにもなりかねないというふうにも思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) この一時的な調整のための定員、これの後年における取扱いにつきましては、令和十三年度の引上げ完了後の各府省の定年の状況あるいは業務の状況を見て、長時間労働が解消されていないような状況であれば、これはもう当然に必要な定員を措置してまいります。
○田村智子君 今の御答弁ですと、一時的というのも、定年が完成形になる十三年度ぐらいまでのスパンというふうに理解をします。是非定員増に向かうようにお願いしたいと思うんですね。
 それから、定年延長とともに、フルタイム勤務を希望しない職員に対して定年前再任用職員制度が創設されます。六十歳を超えたら短時間勤務にしたいという職員が、定年延長によってではなく再任用によって働くための制度だというふうに理解をします。現行の制度では六十歳が定年なので、これを超えて働く場合には全員が再任用、しかし、勤務条件はフルタイムも短時間勤務も選択ができるし、変更も可能なんですね。
 今回、法案成立後、定年が六十五歳になるまでは暫定再任用制度として存続がこの制度されるんですけれども、人事院の資料を見ますと、再任用職員のうち、定員が確保されないことが原因で、フルタイムを希望したんだけれども短時間勤務の職員となったという方は一五%を占めています。そうすると、職員のモチベーションを減ずることなく働けるよう、また若手の長時間勤務の解消のためにも、希望者はフルタイムで働けるような定員の措置というのも必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(堀江宏之君) 御質問は、現在の再任用あるいは今後の暫定再任用のお話かと承りました。
 現在、定年退職する職員が再任用を希望する場合、フルタイムを原則としておるところでございますけれども、様々な事情により、当初の希望と異なり短時間での再任用となっている事情がございます。先ほど御説明いたしましたけれども、全体的に見ますと、再任用されている方のうちで本当はフルタイムがよかったという方が六%程度いらっしゃるということになっております。
 改正法案におきましては、先ほど申し上げました暫定再任用制度として六十五歳までの間の再任用を措置しておりますけれども、各府省におきましては、暫定再任用制度におきましてもフルタイムを基本として運用し、また、職員に対しては勤務形態について理解、納得いただけるよう取り組んでいただきたいというふうに考えております。
○田村智子君 是非、フルタイムで働きたいという希望をかなえられるような定員の措置をお願いしたいと思います。
 それで、新しいこの定年前再任用職員制度は、これ定年前に一度退職をしてから短時間勤務としての採用となるんですね。そうすると、後からフルタイムで働きたいと希望しても、再任用職員である限りは不可能ということになってしまいます。しかし、体調が悪いから短時間勤務を希望して、定年前だけれどもと選択した人が、その後フルタイムで働きたいというふうに事情が変わるということはあり得るというふうに思うんですね。そうすると、短時間勤務とフルタイムの勤務を柔軟に選べるということが必要になってくるんじゃないかというふうに思います。
 経験ある高齢者にしっかり働いてもらうということを考えても、一旦、だから、退職して再任用だと、じゃ、フルタイムで働く場合にはもう一度正規に雇ってもらうみたいなことになると、これ新規採用と別のルートで柔軟な対応ということが求められてくると思いますし、あるいは今の暫定再任用制度のやり方を取り入れるなど、何かいろいろなやり方あると思います。
 是非フルタイムでというふうな希望がかなえられるようなことも考えていただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。
○政府参考人(堀江宏之君) お答えいたします。
 定年前の再任用短時間勤務につきましては、定年引上げ完成時には、六十歳の段階で六十五歳まで、五年間について職員に決めていただくということでございます。
 六十歳以降も希望すれば六十五歳まで働けるという前提の下で、御本人の希望で短時間勤務に移行しているという性格のものであること、それから、一旦短時間を選択した後、まあいろいろな事情あるかと思いますが、職員の希望どおりに柔軟にフルタイムへ変更などを可能としますと、長期的な人事計画というものが立てにくく、新規採用などの見通しも立てにくいというようなこともございます。
 そういうことでございますので、短時間勤務から常勤職員への異動という形はできないということにさせていただいているところでございます。
○田村智子君 是非今後検討していただきたいと改めて要求しておきます。
 それで、橋本行革以来、国家公務員の定員削減、これ若手採用の抑制という形で行われてきました。資料の一は人事院の資料なんですけれども、非常にもう人員体制、本当にいびつなんですね。特に地方機関では、三十代の構成割合が大きく落ち込んでいて、実人員まで減っているわけですよ。
 これで何が起きているかということで、国土交通省の地方整備局の問題を取り上げたいんです。
 当然、大規模災害時に派遣されて、被災状況の把握、被害の拡大や二次災害の防止、災害復旧など、こういう非常に重要な任務を負うのがこの地方整備局になるわけですけれども、資料の二を見てください。その人員の配置は、国土交通省発足以降、毎年二百人規模で削減が続いて、発足当初からもう二割減という事態になっているんですね。
 これ、災害時の対応に影響を与える事態が進んでいるのではないかということを大変危惧しますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(東川直正君) お答え申し上げます。
 昨今の激甚化、頻発化する自然災害に対応いたしまして、国民の皆様の命と暮らしを守るこの地方整備局の役割でございますけれども、ますます大きくなっているという認識でございます。
 一方で、地方整備局の人員体制は、平成十三年の国土交通省発足以降、約二割純減という状況でございます。災害につながる迅速な情報提供や、災害がいざ発生した際の機敏な初動対応など、国民の命と暮らしを守るための的確な対応を行う上で多くの課題に直面しているところでもございます。
 このような切迫した実情も踏まえまして、今後とも、テックフォースの派遣を始め、災害からの復旧復興や防災・減災、国土強靱化など、政府の重要政策を確実に実施していくため、国土交通省としても十分な人員体制を確保すべく最大限努力してまいります。
○田村智子君 もう少し具体に見たいんです。
 資料の三枚目、これ、地方整備局のさらに出張所の状況を示しています。出張所、二〇〇九年度は六百三十一か所、そのうち一人体制というところはゼロです。二人の体制が三十五か所。二〇一九年度でいうと、地方整備局の定員削減によって六百二十一か所に減少し、一人出張所が六十四か所、二人というところは百四十二か所。すると、二人以下というところは、二〇〇九年度は五・五%、それが三割を超えるんですよ、三三・二%。二〇二〇年度と二一年度は、百人ずつ増員されました。しかし、箇所数は六百七、一人出張所は四十五、二人体制は変わらず百四十二。そうすると、二人以下というところはちょっとだけ減って三〇・八%なんですね。
 この一人出張所というのは、所長さんが河川や道路の現場に出向くたびに事務所を閉めると。で、無人となる。一般の行政相談や各種申請の受付ができなくなる。この出張所というのは、まさに一番の最前線なんですよ。台風などの災害時には河川やダムの氾濫に備えて水位の監視をするし、それから工事の指揮命令などにも当たるし、いろんなところから人が派遣されたときも、一番現場を知っているのはこの出張所の職員だと思いますよ。ここが一人体制と。
 管理職ユニオンの皆さんの資料を見ますと、二〇一六年の四月から六月、西日本のある出張所では、現場に出るなどの理由で事務所を閉めた日は三か月間で五十一日に及んでいたということなんですよ。災害対応時に代替要員が足りない、住民や業者に複数で対応できず、コンプライアンス上問題、在庁時のセキュリティーの不備など、ユニオンは問題点を挙げて是正を訴えています。
 これ、緊急に位置付けて、国土交通省発足当時の同程度ぐらいまでやはり回復させることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(東川直正君) お答え申し上げます。
 地方整備局の出張所につきましては、委員御指摘のとおり、一人又は二人の出張所が三割を占めている状況にございます。このような中、地方整備局において十分な人員体制を確保することは極めて重要でございまして、前年度の百一名の純増に引き続き、令和三年度におきましても百一名の純増とさせていただいたところでございます。
 国土交通省といたしましては、防災・減災、国土強靱化の最前線を担う地方整備局につきまして、事務所、出張所も含めまして十分な人員体制を確保すべく、今後とも最大限努力してまいりたいと考えております。
○田村智子君 これ、最近の災害の発生状況を見ても、またその復旧のときに本当に国交省の人が足りないということは毎回災害のたびに私たち聞きますよ。ですから、一人体制はやっぱり解消すると、いつまでに解消するというような目標も持って私は定員増を要求していくべきだと思いますよ。
 大臣にもお聞きしたいんですね。これ、管理職ユニオンのアンケートを見ますと、管理職の皆さん、七割以上が、最大の問題は職員が少ないことだと、増員してほしいと、国交省の管理職ユニオンです、と回答をしているんです。国交労組にも状況をお聞きしましたけれども、人員不足かつ年齢構成のいびつの影響が顕著に現れていて、今、定年後再任用された職員が事実上係長の仕事をしている、係長ポストに事実上就いていると、あるいは、経験が十分ではない職員が係長に配属されている、こういう出張所も出てきているということなんですね。
 大臣、今国会で、定員増を求めた私の質問に、定員合理化による資源の再配分という考え方は必要だという趣旨の答弁をされたんですけれども、この地方整備局の実態を見ると、やはり総定員が足りていないと、資源の再配分ではちょっとどうしようもない状態ではないのかと言わざるを得ないんですね。一部を節約してほかの不足しているところに回すという今の定員査定の考え方では問題が解決しないというふうに思います。やはり定員増に、各部署が先を見越して定員増に踏み出すように、全体の定員の在り方、これ示すことがもう求められていると思いますけれども、河野大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 今年度もこの地方整備局の定員、百一名の純増にしておりますし、トータルの国家公務員の定員も今年度純増にしております。必要なところにしっかりと定員を割り当てる、そういう考え方でやってきております。
○田村智子君 定員合理化やりながらも、実態としては人手が足りないからこの間は定員増になっていると。そうすると、一体定員合理化計画って何なんだよということに私はなっているというふうに思うんですね。
 この間、超過勤務の問題は霞が関の働き方に焦点当たってきましたけれども、これは地方機関も同じだというふうに思います。中央省庁では河野大臣の指示の下で在庁時間調査も行われ、客観的な時間把握の取組も進められていますが、地方機関、これ、そういう取組が進んでいるだろうかということを大変危惧をしています。
 やはり、客観的な時間把握、それに基づく超過勤務手当の支払、また、超過勤務そのものを削減するための定員増、地方においてもしっかりと進めるべきだというふうに思いますが、これも大臣、御答弁いただければ。
○国務大臣(河野太郎君) 本府省においては、八月いっぱいに客観的なデータの把握をするように求めております。地方も同様に、できるところからしっかりと客観的なデータを集める、そしてそれに基づいて業務をしっかりと見直していく、そういうことは当然に行われなければならないと思いますので、そこは本省、地方かかわらず、やれるところはまずしっかりやっていきたいと思っております。
○田村智子君 是非、やりがい持って、モチベーションも高めながら国家公務員の皆さんが働けるように、私たちもまた引き続き要請もしていきたいと思います。
 終わります。


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