国会会議録

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子育て不利益ただせ/児童手当改定案 田村氏質疑/参院委で可決
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(写真)質問する田村智子議員=20日、参院内閣委

 中学生以下の子どもがいる世帯を対象とした児童手当制度の「特例給付」の対象を狭める児童手当法と子ども・子育て支援法の改定案が20日の参院内閣委員会で、自民、公明両党の賛成多数で可決されました。日本共産党や立憲民主党、国民民主党などは反対。共産党の田村智子議員は質疑で「子育てでの経済的社会的不利益の解消こそが必要だ」と述べ、児童手当の拡充や育児休業取得時などの所得保障を求めました。

 男性の育休取得を促す助成金創設に関し、田村氏はフランスを例に日本でも育休取得を拒んだ企業に罰則が必要ではないかと問題提起。行政の相談・指導体制の強化も求めました。

 国民健康保険の加入者には出産手当や育休給付金がなく、20~39歳の女性のうち国保加入者が15%(191万人)を占めている実態を指摘。「いかなる条件の女性も不利益にしてはならない」として出産・育休時の所得保障を求めました。

 坂本哲志少子化対策担当相が「さまざまな課題がある」と言い訳したのに対し、田村氏は「少子化対策という大きな立場での担当相だ」と検討を迫りました。

 また、教育費負担の重さなどを示し、16歳以降の子どもへの現金給付の必要性を強調し、「児童手当は拡充こそ求められる」と特例給付の所得制限を厳しく批判しました。

 田村氏は反対討論で、子育て支援は「大企業や富裕層への優遇税制を改め、社会全体の応分の負担で確保すべきだ」と主張しました。



2021年5月21日(金)しんぶん赤旗
 

【第204回国会 参議院 内閣委員会 第20号 令和3年5月20日】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 質問の順番を変えて、先に、この間質問してこなかった男性の育休の問題から質問をしたいと思います。
 先日の参考人質疑の中で、男性に対しても六か月の育児休業期間を設けている、法制度を持っているという国は先進国の中で日本だけだというふうに末冨参考人から指摘をされて、おおそうだったかというふうに私も改めて認識をしたんですけど、恐らく、先進国の中で日本だけということは、世界の中で国際的に極めてまれな充実した法制度だということなんだろうと思うんですね。しかし、その取得率が非常に悪くて、特にフランスなどと比べたら大きな開きが出てきているということですよね。
 まず大臣に、大きな認識として、やはり男性に対して育休の取得を促す目的の助成金の創出、これ行おうとしているということは、やはり育児休業を取得するということが、その期間だけでなく、男性にとって育児に参加をしていく、それが少子化対策にもつながっていくと、こういう認識の下での政策なのかどうか、まずそのお考えをお聞かせください。
○国務大臣(坂本哲志君) 父親が育児に関わることは、母親の子育て中の孤立感やそれから負担感、仕事と子育ての両立の難しさが軽減され、さらには子供を産み育てたいという希望をかなえやすい環境につながるものだというふうに考えております。
 理想の子供の数を持たない理由として、夫の家事、育児への協力が得られないからと挙げる割合は、特に第二子以降を希望とする場合の障壁というふうになっております。また、父親の育児への関わりについては、夫の休日の家事、育児時間が長いほど第二子以降の出生割合が高いという調査結果も出ているところであります。
 少子化社会対策大綱では、男女が共に子育てに参画していく観点から、男性の育児休業取得や育児参画を促進するための取組を総合的に推進する方向を示しました。
 これらを踏まえまして、厚生労働省において、男性の育児休業取得促進策について検討をいたしまして、男性の育児休業取得促進のための、子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設等を内容とする育児・介護休業法等の一部を改正する法律案を今国会に提出をし、御審議いただいているところであります。
 こうした取組も含めまして、少子化社会対策大綱に基づき、関係省庁と連携しながら、男女共に仕事と子育てを両立しやすい環境整備に取り組んでまいります。
○田村智子君 取れる条件のある人だけということをしていたらこれ広がらないですよね。それを環境整備だということだけでもいいのかということが問われると思うんです。
 私、やっぱりフランスってすごいんですよね。二〇〇二年から、出産直後、父親になるために二週間の育児休業を取る、こういう制度を始めて、これ、もはや当たり前になっているというんですよ。それで、今年の七月からは、二週間では足りないと、二十八日間にして、しかも子供が生まれた直後の七日間は義務付けるんです。取らなければならない。
 なぜそういう制度になっていったかというと、やはり女性というのは、妊娠中に子供がだんだんおなかの中で育っていって、気持ちの上でも準備が整っていく、母親になる準備が整っていく。もちろん、出産すれば戸惑うこといっぱいなんですけれども、少なくとも、赤ちゃんを受け入れて共に生活するという準備が妊娠という期間を通じて持てると。
 しかし、男性はそういう期間を持ち得ないままいきなり父親になると。まあ、そりゃそうですね、そうなるわけですよ。だから、生まれたばっかりの赤ちゃんと二週間共に過ごすことによって父親になるんだと。その最初に父親になるという経験をすれば、その後、長きにわたって育児に関わる関わり方が全く違ってくると。それが分かったので、二十八日間にするし、七日間は義務付けるし、何と、この義務付けを企業が断るようなことがあれば、日本円にして約九十万円の罰金を科すんですね。そこまで、やはり父親にしようという法制度を整えるということなんですよ。これは、このぐらいの取組が私は男性の育児休業だと。何か後ろですごくうなずいて、男性の職員の皆さんが聞いてくださっているんですけれども。
 じゃ、翻って日本はどうなのかなんですね。日本は、女性が産休を取らなきゃいけない、そういう期間に産休を取らせないということは労働基準法上違反になります。刑事罰の対象にもなります。これは母性保護という大変重要な意味合いがあって、刑事罰の対象にもなるんです。
 一方で、育児休業の取得を申請する、だけど、事業者の側が、いやいやちょっと休んでもらったら困るよと、人がうまく調わないからとこれを拒んでも、これは、民法上は裁判まで争えば違法となることもあるけれども、これ刑事罰の対象にはならない。労働行政の側も任意の指導にとどまるわけですよね。これ、民事で裁判までやって争うというのはなかなかなことですよ。子育てやりながらそこまで闘うということは、相当な頑張りを求められてしまうわけですよね。
 私は、これ助成金つくって、企業も応援して、代わりの人も雇えるようにというようなことも含めて、臨時的に雇えるようにということも含めて応援するというのは必要なことだとは思うんですけれども、やはり、権利として育児休業を申請したのにそれを拒否するということに対して、末冨参考人おっしゃっていたんですけど、罰する措置の方がもっと育休取得は進むのではないだろうかという御指摘があって、これ、なるほどなと思ったんですよ。
 申請しているのにその権利を認めない、その事業者に対して何らかの実効性のある措置をとるべきではないのか、場合によっては刑事罰も含めて。こういう検討は、厚労省でしょうか、いかがでしょうか。
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
 育児・介護休業法におきましては、育児休業、これは現在の原則一歳まで取れる育児休業も、それから、現在改正案を御審議をいただいております中に盛り込んでいる、子の出生後八週間以内に四週間まで取得することができる新しい柔軟な形での育児休業の枠組みの両方でございますけれども、事業主は労働者から育児休業申出があったときには拒むことができないというふうに規定しておりまして、育児休業を拒否することは法違反となります。
 育児・介護休業法におきましては、厚生労働大臣が法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に報告を求め、又は、これは法律に基づく形になりますが、助言、指導、勧告を行い、また、勧告に従わないという場合にはその旨の公表をするというような仕組みが設けられてございます。
 これまでのところ、育児・介護休業法関係で企業名公表まで至ったというケースはございませんで、勧告までの段階で、御指摘の育児休業を取らせてもらえないというような事案も含めて従っていただいているというのが現状でございまして、実際にその育児休業の取得を希望する方の希望が何か妨げられるということはあってはならないことでございますので、今後ともしっかりと法律の履行確保を図ってまいりたいと考えております。
○田村智子君 勧告まではやっているということなんですけど、これやはり権利としてどう保障していくかということを考えなければならないと思います。
 法制度上の穴もあるんですよね。例えば非正規の雇用者ですよ。有期雇用契約の場合に、育休が明けたときにも雇用契約があるということが、何というか、確認されるような労働者でなければ、育児休業を取れないんですよね。
 今、有期雇用の方というのは、一年超えて有期雇用契約結んでいる方というのは私は少数派だと思いますよ。ほとんどが三か月とか半年とか一年以内の雇用契約を繰り返し繰り返しやっているわけですよね。もうその人の仕事が臨時的なものでなければ、やっぱり非正規で働く方々が育児休業までどうやったら取れるのかということを本気になって考えていかなければ、非正規雇用の七割は女性ですし、男性の中の非正規の雇用者というのも増えているわけですから、こういうことも含めて是非検討いただきたいというふうに思うんです。
 それから、行政の相談、指導体制も十分とは言えないんですよね。以前には、セクハラだとかマタハラだとか、こういう産休、育休に関わるような、特に女性に関わるような労働の相談というのは、男女雇用機会均等室、担ってきました。しかし、今はほかの労働相談と一緒に受け付ける体制になっているんですね。労働局の雇用環境・均等部、均等室が対応しているわけですけれども、これ、女性活躍推進法の制定がされた二〇一六年には全国で十四人しか増えなかった。パワハラ対策が義務となった二〇二〇年にも三人しか増えなかった。これ、私、とても体制が十分と言える状況にはないというふうに思うんです。
 やはり、しっかり、男性にも育休ということであるならば、いろんな相談に乗って、どうしたら育休まで保障できるのかという、事業者にも相談に乗るとかいう体制の強化が求められると思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
 育児休業法などの法律の履行確保を担う都道府県労働局の体制整備、重要であることは御指摘のとおりでございます。
 雇用環境・均等部室、これはかつての雇用均等室を改組いたしまして、育児休業法や男女雇用機会均等法などの施行に加えまして、働き方改革を労働局において一体的に進めていく中核の部署として体制を拡充する形で設置をしたものでございますが、今、雇用環境・均等部室において育児休業法の履行確保も図っております。
 履行確保のその体制強化の状況について今厳しい御指摘も頂戴いたしましたが、私どもとしましては、必要な体制整備について引き続き努力を続けてまいりたいと考えております。
○田村智子君 これも、何か公務員の定員合理化の中で、いろんな部署がくっついたりするわけですよ。その中で起きたことだと私は思っているので、本当に体制の強化、是非進めてほしいと思います。
 育休、産休の取得については所得保障が重要になります。保育所に入れなかったときに育休の延長認められますけれども、このときも育休手当延長されます。当たり前のことです。そうじゃなければ安心して休めないですからね。一方で、国民健康保険の加入者は、出産手当はもちろん、育児休業の給付金もないんですね。
 フランスやドイツでは、出産手当に相当する所得保障は自営業者も給付を受けることができます。国民健康保険の被保険者は出産に伴う所得保障はなくても大丈夫という考え方に立っているのかどうか、やはり自営業、フリーランス、こういう方にもしっかりと所得保障していくこと必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(榎本健太郎君) お答え申し上げます。
 今委員の方から、国民健康保険には育休手当、あるいは出産手当金がないという御指摘を頂戴したところでございますが、国民健康保険の場合には、健康保険とは異なりまして、自営業の方、あるいは無職の方など非常に多様な、様々な就業形態の方々が加入しているという特色がございます。このため、労務に就けないときの所得補填であります出産手当金などにつきましては保険者による任意給付というふうにしているところでございます。
 その上で、恐らく委員のおっしゃりたいのは、こういったものを全国統一の制度として行ったらどうかという御意見かと受け止めさせていただきたいと存じますが、その点につきましてはやはり幾つか課題があるのではないかというふうに考えております。
 例えば、国民健康保険は、先ほども申し上げましたように、健康保険とは異なって、自営業、無職の方々など多様な就業形態の方々が加入する制度であると、そのため、労務に就けないときの収入減少の状況が非常に多様であります中で、どのような方を出産手当金によって生活保障をすべきか、あるいは、労務に就けないときの収入減少の状況が非常に多様でございますので、所得補填として妥当な支給額の算出をするのが非常に難しいといったこと、それからまた、給付を行うに当たりましては保険料を徴収する被保険者の方々の御理解が必要であるということ、それからまた、給付を行うために財源が必要でございますけれども、保険者によって財政的な余力が非常に異なっておる中で、何を財源としていくのか、どう確保していくのかといったような課題があるというふうに認識をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、短時間労働者の方々に対して被用者保険の適用拡大というのを現在進めているところでございます。これを着実に進めていくことが重要でございますので、これによって労働者の方々の保障の充実を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 以上でございます。
○田村智子君 これ、矢田議員も質問もされて、国会の中で何度も取り上げられている課題なんですけど、今の答弁だと、保険者の判断で、つまり自治体が条例などを作ればできますよって言いながら、これだけの課題があって難しいとおっしゃる。それは自治体だって同じじゃないですか。これだけの課題があるからやっぱり難しいよねと。事実、ないんですよ、そういう条例作っているところ。財源の手当てもないし。
 傷病手当も、条例があれば給付できるというふうになっているけれども、条例がないからこれ実際には払われてもいない。だけど、今、コロナ禍の中で自営業者が新型コロナウイルス感染症に感染しても所得保障がなくて休めないという問題点が指摘されて、国が財源の手当てもして、国保加入者のうち給与所得者に限定はされているけれども、全国で条例が今制定されているんですよ。給与所得者でない者についても条例で定めることもできるというふうに国は周知もして、実際に定めているという自治体も出てきているわけなんですよね。
 これ、欧米というか、世界では当たり前なんですけれども、少子化対策のときにやっぱりやらなきゃいけないのは、子供を産むということを女性の不利益にしてはならない。大原則なんですよ。子供を産むことによって働くことはできないですよ、一定期間。そのときにその方の所得の保障をどうするんですか、大丈夫ですよ、ちゃんと国が、国がというか、公的に保障しますよと、これやるのは当たり前のことだというふうに私思うんですけれども、どうですかね。
○政府参考人(榎本健太郎君) お答え申し上げます。
 今委員の方から、先ほど、傷病手当金というものもあって、そういったものに対しては今回コロナの対応に鑑みて一定の財政的な支援を今回特例的に行っているといったことを引いて、そういったようなことがこういった出産手当金などについてもやはり考える必要があるんではないかということだったというふうに理解させていただいております。
 ただ、この点につきましては、先ほども申し上げましたとおり、やはりこれを全国統一の制度として行うという点についてはどうしてもいろいろな課題が、検討すべきものが多いというふうに考えているところでございます。そういった中で、国から財政支援を行うということにつきましても、やはりどうしても慎重な検討が必要なものというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、たしか先ほどまだやっている自治体がないという御指摘がございましたが、各保険者における動向については引き続きしっかりと把握をしてまいりたいというふうに考えております。
○田村智子君 出産が多い年齢層である二十歳から三十九歳の女性で見てみると、国保の加入者は百九十一万一千人なんですね。同じ年齢層の女性は一千三百十四万一千人、ですから約一五%を占めているんですよ。ここに出産手当だけでなく育休給付もないと。そうすると、本当、自営業者の方お聞きしますと、産後の産休取らずに復帰したとか、その負担が重いゆえに二人目は諦めたとか、こういう話はいろいろ聞くわけですよ。
 国保に加入している働き方というのは、非正規だったりして社会保険入れてもらえなくてという方もいますよね。飲食業などのところの中でも、フリーランス扱いにしちゃって働かせている場合もあるわけですよ、社会保険入れたくなくてね。こういう、低所得で就労が安定しないために国保と健康保険の間を行き来する、こういう方もいらっしゃる。これも少子化に悪影響を与えているという指摘もあります。
 ドイツでは、保険になじまない給付として、被用者以外は全額国庫負担という制度にもしている。やはり、少子化担当大臣として、ここはやっぱり政府の大きな課題として、いかなる条件にある女性も子供を産むことについて不利益にしない、出産の手当とか育休のときの手当とか、これを保障する制度考えると、これ是非お約束いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂本哲志君) 国民健康保険の加入者に対します出産、育児に伴います所得保障につきましては、今厚生労働省から言われましたように、様々な課題があるものと承知しております。
 厚生労働省における議論の動向を注視してまいりたいというふうに思っております。
○田村智子君 最後、三十分ぐらいまだ時間があるんですけど、是非大臣にちょっとお願いをしたいのは、やはり個々の政策の説明でよしとしないで、やはり少子化担当大臣って省庁横断で少子化という対策をいかに取っていくかという大きな立場での特命担当大臣だというふうに思うわけですよ。ですから、残りのその三十分ほどの時間を是非大臣と政治家同士の議論をしたいんです。ある意味、もう皆さん、いろんな論点がはっきり言えば出尽くすような状態で、そうすると、やっぱり深い少子化対策として日本は何をすべきなのかという議論を国民は一番求めているというふうに思うんです。光栄なことにトリを務めることになりましたので、是非そういう議論をさせていただきたいと思うんですね。
 十八日の参考人質疑、やはり末冨芳さん、内閣府の子供の貧困対策に関する有識者会議の委員も務めておられたわけで、非常に指摘は厳しくもあり、非常に学ぶところが多かったです。
 チャイルドペナルティー、子育て罰ということも指摘をされて、この法案の審議の中で何人かの委員の方が指摘をされた言葉でもありますよね。さっきも言いましたけど、これは子供を持つ親が子供のいない成人と比較したときに社会的な不利益を受けてしまう、これをチャイルドペナルティーと呼ぶと。これは、主にこれまでは働く女性が受ける不利益として政治の場で議論されてきた、だけど根本的な解決の方向に向かわずに、むしろそのチャイルドペナルティーが男性にも広がっている、こういうふうに末冨参考人は指摘をされたわけですね。
 そうすると、少子化対策という政策立案の考え方、これも末冨参考人の指摘って私なるほどと思ったんですけど、子供・家族対策、子供と親、家族の幸せをどう実現するのか、産めよ増やせよみたいな少子化対策じゃなくて、現に今いる子供とその家族、親、この人たちが幸せを実感できる、そういうためにどういう政策が必要か。これ、とても大切な指摘だというふうに私は思ったんですね。
 やっぱり、経済的、社会的な不利益を取り除かずに、社会保障を支えるためだ、将来の経済の担い手として少子化対策が必要だということになると、これは当事者にとって、苦しいけれど頑張れになっちゃうんですよ。あなたたち、不利益はあるけれども頑張ってねということになってしまう。そうすると、若い人たちにとっては、結婚、出産、子育てへのためらいとか怖さにも今つながっているんじゃないかというふうに思うわけですね。
 だから、この社会的、経済的不利益、子供がいることで、子供のいない成人、大人と比べて不利益がある、これを解消する、この立場とても大切だと思いますが、大臣の見解、伺いたいと思います。
○国務大臣(坂本哲志君) 私たちとしては、そういうことも考えまして、結婚、妊娠、出産、そして子育て、それぞれのライフステージにおいて政策を充実させていく、そのために安定的な財源を確保していく、そういうことで、少しずつではありますけれども、予算も増加して、増強させているわけでありますので、総合的な子育て対策、そういったものが少子化対策に確実に結び付いていく、それを継続していくことが大事なことであるというふうに思っております。
○田村智子君 やっぱり、それは皆の共通認識だと思うんです。共通認識で、特に、これまでも議論あったとおり、やっぱりその不利益って何かといったら、子育てに係る費用が余りにも負担が重過ぎる、そこが、子供のいない大人と子供のいる大人とを比べたら、いろんな生活を我慢しなくちゃいけなくなる不利益になって、子育てに幸せ感が湧いてこないということにつながっちゃうということだと思うんですよね。
 だから、みんな、今度の児童手当のこの世帯年収一千二百万円以上のところで、じゃ、児童手当の特例給付もなくしますと言われたときに、なぜ、子供のいない成人との関係でのこういう経済的負担をどうするかって考え方に立たずに、子育て世帯の中だけでお金の付け替えをやるんだよという議論にやっぱりなっちゃうと思うんですよ。やっぱり政府の政策が、今私が指摘したような立場に立っていないというふうに思えるんですよね。
 現に、この法案に賛成という立場で参考人質疑で意見表明された方も、やっぱり待機児童解消の財源のためには収入の多い保護者は一定我慢することも必要だというようなお話をされたんですよ。とても頑張って頑張って子育てして、働きながら、男性としても育児休業も取った、だけど、やっぱり待機児童が大変という事態を見れば、一定僕たちが我慢をする、一定僕たちが負担をしなければと。
 それは、やっぱり子供を育てるということは、子供がない生活と比べれば、そうやって我慢や負担になっていくんだなということになってしまって、不利益の解消にならないんじゃないのかと、そういうふうに思うんですけど、いかがですか、改めて児童手当の今回の改定について。
○国務大臣(坂本哲志君) 少子化の背景には、先ほども言いましたけど、個々人の結婚や出産、そして子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っているというふうに思っております。
 子供についての考え方を見てみますと、未婚者、既婚者のいずれにおきましても、平均して二人程度の子供を持ちたいとの希望を持っていますが、子育てや教育にお金が掛かり過ぎる、これ以上育児の負担には耐えられない、さらには、仕事に差し支えるといった理由で希望がかなわない状況にあります。
 核家族の進展や共働き家庭の増加など家族の在り方や家族を取り巻く環境が多様化する中で、子育てに関する経済的負担や心理的、肉体的負担など様々な負担を軽減し、社会全体で子育てを支え、安心して子供を産み育てられる環境を整備することが重要であると考えております。
 私たちといたしましては、少子化社会対策大綱に基づきまして、安定的な財源を確保し、そして、待機児童の解消のための、今般策定いたしました新子育て安心プランの実施や、先ほどから出ています男性の育児休業の取得促進、さらには男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備、そして保護者の就業形態や就業の有無等にかかわらず子育て家庭の多様なニーズに対応する多様な保育、子育ての支援の提供などをライフステージに応じて総合的に対策を取り組むことが少子化対策につながっていくものだというふうに思っております。
○田村智子君 例えば、年収一千二百万円以上、子供のいる世帯といない世帯、いない人というふうに考えれば、これはやっぱり、それは生活全然違うし、お金の使い方全然違いますよね。それも全く同じように保障しろって求めているわけではないんだけれども、やっぱりそれは子供がいることへの不利益というのを抱えざるを得ない状態にあるんですよ。
 一千二百万円以上の人って、本当に裕福な高額所得者で全く困っていないかといったら、そんなことないと思いますね。いろんな御事情があると思いますよ。介護を抱えている方もいらっしゃるだろうし、本当、共働きで二重保育をやっていらっしゃる方とかも、そうでなきゃ稼げないような年収だったりもしますよね、うなずいていらっしゃるけどね。そう考えると、その負担というのは決して軽いものではないと思います。
 既にもう皆さんが指摘されていますけれども、やっぱり、しかもそういう中間所得以上のところ、ここの負担って重くされてきたというのも事実ですからね。民主党政権から安倍政権に替わって、高校授業料無償化の対象からも外される。高等教育無償化は最初から対象ではなくて、皆さん指摘された有利子の二種奨学金さえも対象じゃないと。認可保育所では、三歳まではもうこれ上限張り付きの保育料の負担でしょう。税や保険料の負担というのも、とても優遇されているというふうにはならないですよね。子供が十五歳までは扶養控除の対象にもならない。
 そうすると、今回の法改正というのは、やはり年収一千二百万ぐらいあれば子育ては自己責任だというメッセージになっちゃうと思うんです、先ほどもメッセージという質問ありましたけれども。その点いかがでしょうか。
○国務大臣(坂本哲志君) 高齢所得の方につきましては、負担能力に応じて税や社会保険料を御負担をいただいているところでございます。一方の方で、児童手当制度は、児童の健やかな成長に資することに加えまして、家庭等における生活の安定に寄与するという、二つの目的を併せ持っています。このため、比較的生活が安定していると考えられる年収一千二百万円相当以上の方への特例給付を見直すことが法の目的に反するものではないというふうに私たちも考えているところであります。
 多様化する子育ての家庭の様々なニーズに応えるためには、少子化社会対策大綱にもありますように、子育てについての第一義的責任を有する父母などの保護者が共に支え合いながら子育てを行う中で、その家庭を社会全体でバックアップしていくことが必要であり、子育てを自己責任で行うべきとは考えていないところであります。
○田村智子君 そう考えていないということが伝わるような、伝わるような政治や法制度にしていかなきゃいけないんですけど、そうなっていないというふうにちょっと言わなきゃいけないんですよね。
 これも既に指摘がされていますが、改めて確認しますけれども、今回これで法案が成立すれば、所得制限の範囲というのは今後は政令改正になるので、このように国会の委員会で法案審議ということはやらないでできていくということになると思うんですけど、いかがですか。
○政府参考人(嶋田裕光君) お答えいたします。
 今般の児童手当の給付の在り方を検討した結果といたしまして、年収一千二百万円相当以上の方の月五千円の特例給付を見直すこととしたところでございますが、所得上限の基準額につきましては本改正案においては政令で定める額とされておりまして、これは、現在の児童手当の本則給付とそれから特例給付とを分けている所得制限基準額、これはモデルの設定で年収九百六十万というラインがございますけれども、それと同様な形で規定をするものでございます。
 なお、今後、特例給付のみについて見直しを行うことは現時点では考えておりません。
○田村智子君 現時点では考えていなくとも、これ制度として聞いていますので、これ、法案、法律の条文上は所得制限を設けるという条文であって、それに対して附則の中で特例給付というのをつくっているので、今後、その特例給付に対して所得制限を今設けるというふうにしてしまったら、改定によってやってしまったら、今後はその範囲というのはもう政令の範囲ですよねと、改めて法案審議のような審議は必要なくなりますよねということを確認しています。
○政府参考人(嶋田裕光君) これは政令で決める、定めることとなりますので、政令による、改正による手続によるものだというふうに認識しております。
○田村智子君 だから、政令の改正は一々国会に提出して審議事項にならないので、今後は予算案の説明事項の中には入るでしょう、こうしますって、もし変わる場合。そうなれば、まさに今度は予算案という審議になりますから、財源確保という、そういう検討対象となる可能性が私高いと思うんですよ。児童手当がどうあるべきかという議論ではない、子供に対する普遍的な支援策とはどういうものかといって法案審議のように議論するという機会がなく、まさに金目の問題で対象を広げることになりかねないというふうに私思わざるを得ないんです。
 やっぱり全ての子供を対象とする児童手当、これは、子供の権利に根差した制度であって、一人一人の子供を育てることに対して社会全体で支えていくということを表す制度なわけですよ。だから、本来、私は、本法のその条文のところでの所得制限ということそのものを見直すことの方が求められているということも指摘をしておきたいというふうに思います。
 それで、これも今日も質問があったんですけど、やっぱり一回目の質疑のときに、子供の数の減少によって児童手当の額って減っていきますよねということで質問して、今日も質問ありました。二〇一七年度は前年度から二百三十億減り、それ以後、一年で三百億規模、四百四十億、三百二十億、たった四年間だけで一千三百億円も減ってきちゃったんですね。
 これ、児童手当だけじゃなくて、私たち、義務教育の先生の配置の問題なんかでもずっと問題にしてきたんですよ。児童の数が減るから先生の数も減りますよね、だから義務教育の国庫負担も減りますよねと。こうやって、ただただ子供の数が減ることに対して、その予算をまず、減るのが当たり前という考え方を立て付けにしちゃったんですよね。
 午前中の議論で、少子化対策で二・六兆円増やしましたというお話もあって、それ、高等教育の無償化等々の新たな制度をつくるから予算規模増えたと、消費税の財源とか持ってきてということはあるかもしれないんですけれども、考え方として、考え方として、子供の数が減ることについて、だから予算規模が減って、減った分はまずお返しすることがというか、減ったことを前提に予算編成するというやり方はちょっと変えていいんじゃないかと思うんですよ。
 子供の数が減っていくことが大問題なんだから、子供の数が減っていくことで減ってしまう分の予算というのは少子化対策に充てるという基本方針を私は政府は持つべきだと思いますね。それいかがですか。
○国務大臣(坂本哲志君) 子供の数は減っておりますけれども、予算の方は増やしております。平成二十五年度は約三・三兆円、それから平成三十年度は約四・六兆円、一・三兆円の増加でございます。そして、令和三年度は約五・九兆円でありますので、一・三兆円を増加させているところでございます。
 引き続き、安定的な財源を確保しつつ、少子化対策を全体として確実に進めてまいりたいというふうに思っております。安定的な財源、そしてそれはそのまま恒久的な財源でございますので、しっかりそこを確保してまいりたいというふうに思っております。
○田村智子君 私たち、よくその予算案を財務省から説明聞くときに、まずその予算の立て方の考え方というのを聞きますよ。そうすると、各省の前年度の予算を参考にして、そこから、例えば増やさないとか、あるいはこの分は増やしていいとか、こういうまず大きなスキームつくるじゃないですか。だから、そのスキームの考え方の中に、子供の自然減というのを減と考えないと。それは、その省庁の中で減らしちゃいけない、前年度の子供に使ったこのお金というのは減らしてはいけないというまず考え方に立つべきじゃないかということをお聞きしているんですよね。
 それで、そうやって新たな財源確保とかって、だから、何、増やす分の新たな財源確保というと、どこかに負担求めるわけですよ。消費税だ、何だというふうになっていってしまうじゃないですか。新たな財源じゃないですよ。元々、去年だってこの枠でやってきた、じゃ、この枠はまず確保しましょう、そういうスキームということを持ったらどうですかという提案なんですよ。与党だって賛成できるでしょう、これ。と思うんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(坂本哲志君) 先ほど言いましたように、平成二十五年度から比べますと、これは一・三兆円から一・三兆円で二・六兆円、予算そのものは、子供の数は減っているけれども増やしております。
 一方の方で、高齢化が進む中で、社会保障関係費全体の増加が進んでいるところであります。そういう中で、少子化社会対策大綱に基づきまして、安定的な財源、これをしっかりと財務省とも協議をしながら確保していくというのが私たちの方針でございます。
○田村智子君 その増やすというんですけれども、まず減らした上で、それで増やそうとするから、財源どこから持ってこようかなという話になって、いろいろいろいろ大変なことになるんじゃないですか。負担をどこに押し付けようかという話になってくる。だから、これは是非考えてください、与党も。まず減らさないと、少子化対策に充てるの当たり前というスキームとして是非つくっていかなければ、まともな少子化対策の予算なんて組めなくなってしまうというふうに思いますので、改めて強調しておきたいというふうに思います。
 それから、私、この間、本当、少子化対策というのは、いろんな研究がやられているんだなということも政府の様々な資料を見てよく分かりました。
 その中でもちょっと面白いなというふうに思ったのは、財務省の財務総合政策研究所の人口動態と経済・財政の変化に関する研究会、これ昨年十月二十日にスタートしているんですね。その座長である中央大学の山田昌弘教授の報告が、プレゼンテーションの資料を見るだけでも大変興味深いんですよ。これ、財務総合政策研究所のホームページから見ることもできますのでね。
 日本はなぜ少子化対策に失敗したのか、コロナ後の家族は変わるのかという刺激的なタイトルなんですけれども、先進国の中で少子化傾向を転換させたフランスや北欧などと、政策の比較だけではなくて、若者の意識とか恋愛行動とかセックスレスの問題とかも含めて比較をしているんですよ。本当、自由討議で皆さんと議論したいようなプレゼンテーションにもなっているんですね。
 この多岐にわたる問題提起の中から抜粋的に私が注目をしたところを紹介したいんですけれども、日本的特徴、少子化の日本的特徴というふうに指摘されているんですよ。結婚、子育てには生活上のリスクが付きまとい、リスク回避の傾向がある。そのこととつながっているんだけれども、子供の将来に対する責任意識の強さ、これが日本的特徴として指摘されているんです。なるほどと思いました。そこから、子供の将来に対する責任が強いから、子供に惨めな思いをさせたくない。
 欧米は、子育ての手間は子供が成人までだと。成人というのは十八歳ですね。高等教育費用の負担はしない。だから、子育て費用は子供が小さいうちで済む。多数の子供を育てても、成人までであれば予測が立つ。日本は高等教育などの費用は親負担が当然。子供に将来、より良い人生を送ってほしいポジティブ面、惨めな思いをさせたくないネガティブ面という親の感情に裏付けられていると。
 で、暫定的結論というのがあるんですけど、子供に惨めな思いをさせたくないという意識が続き、子供の経済、教育環境は親が整えなくてはならないという責任感がある。若年男性の経済的格差が拡大したままで、男性が主に家計を支えるという意識が続いたままで、特に親が未婚の若者を経済的に支えており、大きな経済成長が望めない限り、日本の若者は子供を多く産み育てようとは思わない。コロナ禍でこの傾向を増幅させる可能性があると。
 まず、この指摘について、大臣の見解、認識、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂本哲志君) 私も山田先生のこの講演の資料を少し見させていただきましたけれども、やはり親が過ごした生活よりも更に上位を子供に求める、そのことが非常に大きな負担にもなっているし、少子化へもつながっているということについては私もなるほどなというふうに思うところであります。
○田村智子君 まあ、子育て長過ぎるんですよね、本当に責任を持つ期間が長過ぎて、特に十八歳以降というのは本当に重くのしかかってくるわけですよ。
 資料でお配りしたのは、参議院がいろんな経済や政治の情勢について様々な研究とかコラムを出してくださっているものなんですけれども、子供の減少と相反する一人当たり教育費の増加、家計に占める教育費支出の推移をグラフにしているんです。このグラフは、教育費が家計に占める割合が、一九九〇年代の前半が言わばピークになってその後減っていくという資料になっているんですね。
 しかし、これが書いてあるのは、子供の数が減ったことが教育費の支出に占める割合を下げているのであって、一人に掛かる教育費を見てみると、一九七〇年には一人に掛かる教育費二・四万円、それから二〇一七年には三十七・一万円と増加し、約十六倍になっていると。それで、二枚目の方を見ていただくと分かるんですけど、今も、一人当たりにすれば年間に掛かる教育費というのは増える傾向が止まっていない。家計に占める割合が減っているのは、単に二人目、三人目を持つことをやめたということの表れでしかなくて、非常に重い教育費負担になってきているということなんですよ。
 やはり、これに応える施策が何なのか。もちろん様々な施策必要だと思うんですけれども、いろんな制度の改定を待っている余裕さえ私はないんじゃないかというふうにも思えるんです。特に、教育制度を変えていくというのはなかなかに時間も掛かる。そうすると、私は、一番は、この負担感に対して、大丈夫ですよ、子供を持つことはリスクじゃないですよというのには現金給付という制度は極めて有効であり重要であるというふうに考えますけど、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(坂本哲志君) 子育てや教育に掛かる費用負担の重さが子供を産み育てたいという希望がかなわない障壁の一つになっていることから、私たちといたしましては、幼児教育、保育の無償化、それから高校生への修学支援、高等教育の修学支援など、子育て世帯への教育、保育に関わる経済的支援を充実させてきたところであります。
 引き続き、少子化社会対策大綱に基づきまして、必要な安定財源を確保しつつ、少子化対策を全体として確実に進めてまいります。
○田村智子君 もう少し面白い議論をしたいなと思うんですけれども、大臣とね。
 高校授業料の無償化も中間所得層ぐらいだと思います。中間所得層よりちょっと上ぐらいからは外れちゃうわけじゃないですか。で、高等教育の無償化というのは、真に必要とする人を無償にするというふうに制度設計をされているので、そうすると、低所得というリスクを担っていれば受けられるんですよ。で、そうでなければ、そうでなければ高額な教育費負担というリスクを担わなければならないんですよ。どっちもリスクから逃れていないんですよ。低所得というリスクを担っている親たちか、それか高負担という、高等教育の重い負担というリスクを担っているか。どっちも、さっき言った、頭の方で言った、その子供のいない成人と比べて生活がこんなにリスクが高いぞと、こんなに負担感があるぞという状態にどっちもなっちゃうわけですよ、そうなると。ここに対してどうしていくかということなんですよね。
 だから、私は、本当は、その児童手当だって中学卒業で終わっちゃうんだけど、その後ですよ、本当にその負担感が増していくのは。ここに対する現金給付どうしていくのか。児童手当を、もっとそういう負担感をなくしていくような制度として立て直していくような、充実させていくような、そういう検討だって求められていくというふうにも思うんですけど、いかがでしょう。
○国務大臣(坂本哲志君) そういうことを考えながら、私たちとしては、結婚、妊娠、出産、そして子育て、さらには高等教育の支援、そういう総合的な対策をバランスよく実施していく、そしてその中で、現物給付あるいは現金支給、そういったものも組み合わせながら、制度として一つ一つ充実したものにしていく、そういう考えで少子化対策に結び付けているというところであります。
○田村智子君 そういう政策が、真に必要なとか一定のこの範囲を限定的にやった政策である限り、私は率直言って、この少子化止めるって本当に難しいことになっていくと思いますよ。今、二十代、三十代の若者は、加速度的に結婚や子育てを自分の人生にとってのリスクと考えざるを得ないような状況になっていると思います。
 先日、ある若い国家公務員の方とお話をしましたら、奨学金の返済総額七百万円だとお聞きしました。大学院まで進学して、専門性を身に付けてから国家公務の職場に来た方なんですよね。その返済が本当に大変だと。これ、私たちぐらいの世代だったら親が負担していた教育費だと思います、大学までって。それが、今の若い人たちは、自分自身が過去に受けた教育の費用をその教育が終わってから自分自身で負担し続けているんですよ。物すごくその負担が重くされてしまったんですよ。学費どんどん上げていって、払えなかったら奨学金の額増やしちゃったんですもの。本当にとんでもない政策だったというふうに思いますけど。
 そういう人たちが家庭を持ったら、自分が過去に受けた教育費の負担をしながら、今度は、その子供の教育費の恐らく十六歳、十八歳までも見て、将来の分まで準備しなきゃいけなくなるんですよ。これをリスクと考える若者がどこまで増えていくかという非常に深刻な問題です。そのことをよくよく見て、やはり低所得だけじゃない、中間所得層、それ以上、そこをも含めた、現金給付含めた様々な制度を講じることが本当に喫緊に求められている。
 時間来てしまったので、大臣とまたこういう議論を是非やりたいと思います。今日はここで終わりたいと思いますが、ありがとうございました。是非お願いしたいと思います。


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