国会会議録

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土地利用規制法案に対する田村議員の質問/参院本会議

 日本共産党の田村智子議員が4日の参院本会議で行った土地利用規制法案の質問(要旨)は次の通りです。


 本法案は、政府が安全保障上重要とする全国の米軍基地、自衛隊基地、原発などの周囲約1キロメートル、また国境離島を「注視区域」「特別注視区域」に指定し、区域内の土地・建物の所有や利用に関する調査、利用の制限、「特別注視区域」内の不動産取引の事前届け出の義務付けなどを行うものです。

 日本国憲法は、自由に居住地を選択し、土地や建物を所有する権利を保障しています。この基本的な権利を、国家が「安全保障」の名のもとに直接制限する違憲立法です。

 本法案は、自治体からの不安の声を根拠としていますが、政府が根拠とした16件の意見書は、森林や水源地などが外国資本に買収され乱開発されるのではないか等の危惧です。漠とした不安に乗じて、国家が国民監視のフリーハンドを得るための立法ではありませんか。

 法案では、内閣総理大臣は、特別注視区域を含む注視区域の土地・建物の利用状況について「調査を行う」とし、所有権・賃借権を持つ者に加え、その他関係者も情報収集の対象としています。いったい誰を対象とした調査なのでしょうか。調査のために、内閣総理大臣が自治体や国の行政機関に情報提供を要請した場合、自治体等は、氏名、住所などを「提供する」としていますが、これは義務規定でしょうか。

 調査の目的は、重要施設等の機能を阻害する行為、その恐れのある行為を目的とした土地等の利用をやめさせることだとしています。「行為」の調査は日常的な行動監視が必須ではありませんか。

 調査にもとづき、利用をやめるよう勧告、命令することができるとしています。これは、特定の行為への措置に限定されるのか、それとも土地・建物の利用そのものをやめるよう求めることも含まれるのでしょうか。

 勧告に従わなかった利用者は、懲役2年以下または200万円以下の罰金が科せられますが、不服申し立ての規定がないのはなぜでしょうか。

 特別注視区域内の土地・建物の売買等契約について、契約当事者は内閣総理大臣に、氏名、住所、売買物件の所在地・面積、利用目的などの情報を、あらかじめ届け出ることを義務付けています。届け出を怠っただけで、懲役刑など刑事罰まで科すほどの問題とは何でしょうか。

 戦前戦中、要塞(ようさい)地帯法や軍機保護法などにより、軍事施設や軍需工場などの周辺で写真撮影やスケッチをしただけで、国民はスパイ扱いされ罰せられました。この法案はまさに不安に乗じた国民監視法であり、廃案にするために全力をつくします。



2021年6月5日(土)しんぶん赤旗
 

【第204回国会 参議院 本会議 第28号 令和3年6月4日】

 

○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案について質問いたします。
 本法案は、政府が安全保障上重要とする全国の米軍基地、自衛隊基地、海上保安庁の施設、原発などの周囲約一キロメートル、また国境離島を注視区域、特別注視区域に指定し、区域内の土地、建物の所有や利用に関する調査、利用の制限、特別注視区域内の不動産取引の事前届出の義務付けなどを行うものです。
 日本国憲法は、自由に居住地を選択し、土地や建物を所有する権利を保障しています。この基本的な権利を、国家が安全保障の名の下に直接制限する違憲立法であることを冒頭、指摘しなければなりません。拙速な議論は断じて許されないことを強調するものです。
 まず、立法事実についてお聞きします。
 衆議院の審議で、政府は、自治体からの不安の声があるとして十六件の意見書を根拠としましたが、それらは、森林や水源地などが外国資本に買収され乱開発されるのではないかという危惧、また過疎地域での人口減少の下での不安であり、本法案の根拠となり得ないことは明らかです。
 そもそも、外国資本による土地所有は、観光立国、インバウンドなどの経済政策の結果です。この法案は、外国からの投資の呼び込みという政府の経済政策の転換を目的としているのでしょうか。
 また、地方自治体の意見書に、基地周辺や国境離島の住民を対象に、土地、建物の利用状況を監視してほしいという要望があるのでしょうか。漠とした不安に乗じて、国家が国民監視のフリーハンドを得るための立法ではありませんか。小此木大臣の答弁を求めます。
 法案では、内閣総理大臣は、特別注視区域を含む注視区域の土地、建物の利用状況について調査を行うとし、所有権、賃借権を持つ者に加え、その他関係者も情報収集の対象としています。一体、誰を対象とした調査なのでしょうか。
 例えば、防衛省の周辺一キロメートルには、住宅、商業施設、大学、教会などもあります。所有者だけでなく、居住者、商業施設の従業員、大学の教員、学生、教会に礼拝に訪れる方などは含まれますか。私が例示したうち、調査の対象とならないことが法文上明らかとなる者はいるのでしょうか。
 調査のために内閣総理大臣が自治体や国の行政機関に情報提供を要請した場合、自治体等は、氏名、住所などを提供するものとするとしていますが、これは義務規定でしょうか。また、その他政令で定めるものとはどのような情報が想定されるのでしょうか。
 衆議院の審議で、小此木大臣は戸籍簿が含まれると答弁していますが、戸籍簿は身分関係を公証する書類です。土地所有者や賃借権者の親類縁者まで情報収集の対象とするのですか。
 調査の目的は、重要施設等の機能を阻害する行為、そのおそれのある行為を目的とした土地等の利用をやめさせることだとしています。
 行為の調査は、日常的な行動監視が必須ではありませんか。内閣府には地方組織は存在しません。実際には、警察や公安調査庁、自衛隊が収集する情報を活用するのですか。その際、重要施設等に設置された監視カメラでの顔認証による行動監視もできるのでしょうか。小此木大臣及び岸防衛大臣の明確な答弁を求めます。
 このように収集された情報は、内閣府で管理され、個人ごとのデータベース、個人情報ファイルとして分析の対象とするのではありませんか。本人から個人情報の開示、訂正、削除要求があった場合、応じますか。
 調査に基づき、土地等の利用目的が重要施設の機能を阻害する行為、そのおそれのある行為であると内閣総理大臣が認める場合、利用をやめるよう勧告及び命令することができるとしています。これは特定の行為への措置に限定されるのか、それとも土地、建物の利用そのものをやめるよう求めることも含まれるのでしょうか。
 阻害する行為、そのおそれのある行為とは何か。例えば、米軍基地に飛来する戦闘機やヘリコプターの撮影は、騒音や低空飛行など基地被害の把握のために市民団体や報道機関が現に行っています。部屋の窓にカメラを設置していることをもって阻害あるいはそのおそれと判断されることはありませんか。
 勧告に従わなかった利用者は懲役二年以下又は二百万円以下の罰金という刑事罰が科せられますが、不服申立ての規定がないのはなぜでしょうか。阻害行為ではないと主張する場合、どのような救済の仕組みがあるのでしょうか。
 勧告等による措置で損失が発生した場合、補償するとしていますが、その損失補償は当事者と内閣総理大臣との協議とされ、協議が調わない場合、双方が収用委員会に損失補償の裁決を申請できるとしています。不服申立ても第三者機関によるあっせんさえも条文上規定せず、一方的に国が損失の額まで決められることになれば、国家権力による一方的な私有財産の利用制限も可能となります。憲法が規定する財産権の保障との関係はどのように検討されたのか、以上、小此木大臣、お答えください。
 特別注視区域内の土地、建物の売買等契約について、契約当事者は内閣総理大臣に氏名、住所、売買物件の所在地、面積、利用目的などの情報をあらかじめ届け出ることを義務付けています。届出を怠っただけで、懲役六か月以下又は百万円以下の罰金という刑事罰まで科しています。
 我が国の土地、建物の売買は自由取引が原則であり、土地、建物を取得した場合の登記も、法的には義務付けられていません。
 では、特別注視区域に指定されると、なぜ売買契約の事前届出が義務付けられるのでしょうか。また、土地の所在地であり都市計画などの主体である自治体への届出ではなく、内閣総理大臣への届出とするのはなぜか、区域指定の要件、指定の期間はどのように定めるのか、事前届出を要する土地、建物の規模をどのように想定しているのか、そして、事前届出を怠っただけで懲役刑まで科さなければならないほどの問題とは何か、以上、小此木大臣の具体的かつ明確な答弁を求めます。
 私有財産の売買及び利用について、これほど厳しい規制を行おうというのに、その対象区域がどこになるのか、いまだ明確な答弁がありません。
 防衛省は、候補リストを作成しているが、安全保障上の懸念があるとして提示せず、公表する場合にも、一覧性のある公表にならないように配慮すると衆議院で答弁しました。法案では、注視区域、特別注視区域は官報によって公示するとしています。この規定と矛盾するのではありませんか。
 米軍基地や自衛隊基地周辺に居住する国民にとって、私有財産や日常生活にも重大な影響を与えることになります。速やかに候補リストを提示すべきではありませんか。防衛大臣の答弁を求めます。
 また、機能が阻害された場合、国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められる生活関連施設について、原子力発電所を挙げていますが、鉄道、ダムなどの水源地、電気、通信、水道、ガスなどの施設へと拡大することはないのか、小此木大臣、お答えください。
 戦前戦中、要塞地帯法や軍機保護法などにより、軍事施設や軍需工場などの周辺で写真撮影やスケッチをしただけで、国民はスパイ扱いされ罰せられました。また、国民の不安をあおり利用することで民主主義が壊される歴史は国内外で繰り返されています。この法案はまさに不安に乗じた国民監視法であり、廃案にするために全力を尽くす決意を述べ、質問を終わります。

   〔国務大臣小此木八郎君登壇〕
○国務大臣(小此木八郎君) 田村議員からいただいた御質問に対し、順次お答え申し上げます。
 まず、本法案は外国からの投資の呼び込みという政策の転換を目的としているのかという点について御質問をいただきました。
 経済活動のグローバル化が進展する中、外国資本による対内投資は、イノベーションを生み出す技術やノウハウをもたらすとともに、地域の雇用機会創出にも寄与するものであり、我が国経済の持続的成長に資するものと考えています。
 他方、本法案は、安全保障の観点から、重要施設の周辺等の土地の利用状況を調査し、重要施設等の機能を阻害する行為が認められる場合に利用規制を行うものであり、海外からの投資を規制することを目的としたものではありません。(発言する者あり)ありません。したがって、本法案は、外国資本による対内投資の促進といった政府の経済政策の転換を図ろうとするものではありません。
 次に、自治体の意見書における要望等について御質問をいただきました。
 御指摘のような基地周辺や国境離島の住民を対象に監視をすることを求める要望はありませんが、全国各地の地方公共団体からは、安全保障の観点から土地の管理を求める意見書が提出されております。
 本法案は、そうした社会的な要請も踏まえ、安全保障の観点から重要施設の周辺等の土地等の利用実態を調査し、重要施設等の機能を阻害する行為が認められた場合に土地等の利用規制を行うものとして取りまとめたものであり、御指摘のあった住民の方々を監視するものではありません。
 第三条には、本法案に基づく措置は、個人情報の保護に十分配慮しつつ、土地等が重要施設等の機能阻害行為に利用されることを防止するために必要最小限度のものとなるようにしなければならないと定めております。政府として、本法案の目的を逸脱して住民の方々の情報を収集することはありません。
 また、制度運用の適正さを確保する観点から、生活関連施設に関する政令の改廃、対象区域の指定、勧告の実施などについては、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で判断することとしております。
 したがって、国民監視のフリーハンドを得るための立法という御指摘は当たらないものと考えています。
 次に、土地等利用状況調査の対象者について御質問をいただきました。
 本法案に基づく調査は土地等の利用状況を把握するために行うこととしており、所有権、賃借権といった権原に基づく利用者の情報やその利用状況を把握することとしております。
 御指摘のあった住宅の居住者については、所有権、賃借権といった権原を有していなければ、その者が権原に基づく利用者と共同して機能阻害行為を行っている場合等を除き、調査の対象とはなりません。また、商業施設の従業員、大学の教員、学生、教会に礼拝に訪れる方についても同様に、土地等について権原を有していなければ、原則として調査の対象とはなりません。このような調査の対象者の範囲については、法案第六条から第八条までで規定しております。
 次に、利用者等に関する情報の提供について御質問をいただきました。
 本法案に基づく調査では、不動産登記簿、住民基本台帳、戸籍簿など、複数の公簿を収集し、土地等の利用者等を正確に把握することとしております。
 調査の一環として行う公簿の収集の実効性を確保するため、第七条第二項の規定により、内閣総理大臣からの情報提供の求めを受けた関係地方公共団体等に対し情報提供を義務付けております。御指摘のあった第七条第一項の政令で定めるものとしては、本籍、国籍、生年月日、連絡先等を規定することを検討しております。御指摘のあった戸籍簿については、例えば、不動産登記簿上の所有権の登記名義人が死亡していることが判明したときに、相続人を把握するために提供を求める場合もあると考えております。
 次に、本法案に基づく調査の内容及び手法について御質問をいただきました。
 本法案に基づく調査としては、不動産登記簿等の公簿等の収集、土地等の利用者等からの報告徴収、現地・現況調査がありますが、これらの調査は、いずれも内閣総理大臣、具体的には内閣府に新設する部局が行うこととしております。
 この調査は、注視区域内にある土地等の利用状況を把握するためのものであり、御指摘のあった日常的な行動監視を行うものではありません。その上で、本法案に基づく調査において、警察や公安調査庁が保有する情報を活用することや、それらの機関に情報の収集を依頼することは考えていません。
 次に、防衛関係施設を所管する防衛省については、例えば、機能阻害行為の兆候等に係る情報提供をいただくことや、現地・現況調査において必要に応じて防衛省及びその地方支分部局に協力を依頼することが考えられます。防衛省を含め、関係省庁等の協力の在り方など、具体的な調査の進め方については、法案成立後、施行に向けた準備を行う中で検討してまいります。
 なお、御指摘のあった、重要施設等に設置する監視カメラでの顔認証によって行動監視を行うことは考えていません。
 次に、本法案に基づく調査によって収集された個人情報の分析と開示請求等への対応について御質問いただきました。
 本法案に基づき収集した土地等の利用者等に関する情報については、内閣府に新設する部局が管理し、本法案の目的を達成するために必要な分析を行います。
 また、調査によって収集した個人情報について、本人から、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づき、開示、訂正又は削除の請求がなされた場合には、同法の関連規定に定めるところにより開示等が行われることとなります。
 次に、勧告及び命令の内容について御質問をいただきました。
 本法案に基づく勧告及び命令は、土地等が重要施設等の機能を阻害する行為の用に供されることを防止するために特定の行為の中止等の対応を取ることを求めるものであります。
 機能阻害行為は、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な類型が想定されることから、勧告及び命令の内容について一概にお答えすることは困難ですが、例えば、一般的な日常生活や事業活動の場として土地等を平穏に利用すること自体は、勧告及び命令の対象にならないと考えております。
 次に、重要施設の機能を阻害する行為について御質問をいただきました。
 重要施設に対する機能阻害行為については、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な態様が想定されるため、想定する行為の類型を網羅的にお示しすることは困難ですが、例えば、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置が該当し得るものと考えております。
 御指摘のあった注視区域内にある土地等において単に戦闘機やヘリコプターを撮影する行為であれば、機能阻害行為として本法案に基づく勧告、命令の対象にはならないと考えております。
 次に、勧告、命令の対象者に対する救済の仕組みについて御質問いただきました。
 本法案では、重要施設等の機能を阻害する行為としての土地等の利用に対し、中止等の勧告を行った上で、勧告を受けた者がその勧告に係る措置をとらなかった場合に命令を行うこととしております。この勧告には、罰則は設けておりません。また、行政処分にも該当しないことから、不服申立て等の対象にはなりません。
 一方で、命令については、不利益処分に当たることから、本法案に特別の規定は置いておりませんが、一般法である行政手続法に基づき、命令の相手方となる者に対してあらかじめ弁明の機会を付与した上で、その命令を行うことの当否を判断することとなります。その上で、命令に不服がある場合は、行政不服審査法に基づく不服申立てや行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟を行うことが可能であり、それらの枠組みによって対応することとなります。
 次に、損失補償、財産権との関係等について御質問をいただきました。
 本法案では、勧告や命令を受けた者が勧告等に係る措置をとったことにより損失を受けた場合に、通常生ずべき損失を補償することとしております。
 この損失補償については、内閣総理大臣と損失を受けた者が協議を行い、また、協議が成立しない場合には、第三者機関である収用委員会による裁決を申請することも可能としております。このため、一方的に国が補償の額を決めるとの御指摘は当たらないものと考えております。そして、本法案に基づく損失補償は、憲法第二十九条第三項とも適合するものであると考えております。
 次に、事前届出についての御質問をいただきました。
 安全保障の観点から特にリスクが高い特別注視区域にある土地等については、機能阻害行為の兆候を可能な限り早い段階で把握し、適切に対応する必要性が大きいものと考えます。
 このため、特別注視区域では、取引の事前届出を通じて土地等の所有状況を逐次把握し、機能阻害行為の着手、実行が可能となる契約締結時から、空白期間を設けることなく、本法案に基づく措置を適時適切に講じられるようにする必要があると考えます。
 我が国の安全保障のための措置は、国が責任を持って判断をし、実施することが必要であることから、この事前届出の受理を含め、本法案に基づく措置は内閣総理大臣が行うこととしております。
 特別注視区域の指定については、重要施設又は国境離島等のうち、その機能が特に重要なもの又は阻害することが容易であるものであって、他の重要施設や国境離島等による機能の代替が困難であるものについて行うこととしております。その指定に当たり、期間を定めることは想定しておりません。
 事前届出の対象となる土地等の規模については、第十三条第一項において、二百平方メートルを下回らない範囲で政令で定める規模以上のものとしております。政令で定める具体的な面積要件については、今後検討し、法施行までに決定する予定であります。
 事前届出を通じて必要な情報を確実に収集するため、届出義務に違反した場合には懲役刑又は罰金刑を科すこととしております。この罰則は、先ほどお答えした意義を有する事前届出の実効性を担保するために必要不可欠なものであると考えます。
 最後に、生活関連施設の対象となる施設の類型について御質問をいただきました。
 第二条第二項第三号に規定する生活関連施設については、具体的な施設の類型を政令で定めることとしております。
 現時点においては、原子力関係施設及び自衛隊が共用する空港を政令で指定することを想定しており、御指摘のあった鉄道施設、ダムなどの水源地、原子力発電所以外の発電所、通信施設、水道施設、ガス施設を指定することは想定しておりません。
 政令で指定する施設の類型については、安全保障をめぐる内外情勢等に応じ、引き続き検討してまいります。
 以上です。

   〔国務大臣岸信夫君登壇〕
○国務大臣(岸信夫君) 田村智子議員にお答えいたします。
 まず、重要施設等の機能を阻害する行為の調査についてお尋ねがありました。
 本法案に基づく調査としては、不動産登記簿等の公簿の収集、土地等の利用者等からの報告徴収、現地・現況調査がありますが、これらの調査については、内閣総理大臣の権限として行われ、内閣府に新設する部局が一元的に実施する予定と承知しております。
 これらの調査のうち、現地・現況調査に際しては、必要に応じて重要施設等の所管省庁及びその地方支分部局が協力することも想定されますが、具体的な協力の在り方については内閣官房において検討中と承知をしています。
 防衛省としては、本法案は、防衛関係施設の機能発揮を万全にする観点から有意義なものと、意義があるものと考えており、必要に応じて内閣官房、内閣府と適切に連携してまいります。
 最後に、注視区域及び特別注視区域に該当する自衛隊施設のリストの提示についてお尋ねがありました。
 注視区域及び特別注視区域に該当する自衛隊施設のリストは、周囲からの機能阻害行為を特に防止する必要があるとの防衛省としての評価を踏まえて、列挙した施設が一覧性をもって把握できるものとなります。
 このため、このリストを公表した場合、防衛省が特に守りたい自衛隊の施設の数や配置が総体的に把握され、自衛隊の能力をより容易に推察することが可能となるものであり、かつ、防衛省が全国で特に守りたい重要な施設の現時点の配置を示せば、我が国の防衛戦略構想の一端を示すことにもなりかねません。
 したがって、これら安全保障上の懸念を踏まえ、現時点の自衛隊施設の注視区域及び特別注視区域の候補リストを公にすることは差し控えます。
 また、御指摘の官報による公示との関係については、区域の指定に当たり、周囲からの機能阻害行為を防止し得るだけでなく、一覧性のある施設の公表にならないよう配慮するなど、適切に対応してまいります。

 

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