国会会議録

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支援金書類不備救済を 中小事業者 何度も申請/田村氏が提案

 日本共産党の田村智子議員は29日の参院内閣委員会で、新型コロナの影響で減収となった中小事業者が一時支援金の申請をしても、書類の「不備」を理由に何度も支給を拒まれる「不備ループ」の解消を求めました。

 田村氏は「電子申請にこだわるがゆえに、申請に多大な労力を要し、『不備ループ』に陥る」として、「この制度は事業支援なのか、それともデジタル改革の実証実験なのか」と痛烈に批判。事業実態を書類で示すことが難しい場合は現地確認によって補う手だてをとるよう提案しました。

 また、田村氏は、申請時に法人か個人事業者かの区分で誤入力したらシステム上、訂正できず、新規申請するしか方法がないことを指摘。申請受け付けが終了している一時支援金では「不備」となってしまうことをあげ、救済措置を検討するよう求めました。

 江島潔経済産業副大臣は、現地確認について「対応者の主観に頼らざるをえなくなり、公平性が担保できない」などと答弁。また、救済措置については「想定していない」などと答えました。

 田村氏は、一時支援金に続いて、申請受け付けが始まった月次支援金についても、「『不備ループ』対応への反省もなく審査が行われれば、さらに問題を深刻にする」と指摘。支援金の審査・給付の委託事業者であるデロイトトーマツが申請者に、「給付要件を満たす対応をせず」不支給になった場合に支援金返還や新規申請停止の宣誓・同意書の提出まで迫っていることについて、「不備ループ」に苦しむ人を「不正」扱いする文書は改めるべきだと要求しました。



2021年7月30日(金)しんぶん赤旗
 

【第204回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 令和3年7月29日】

 

○田村智子君 最後に、前回取り上げた不備ループの問題を取り上げます。
 十五日の質問で、飲食店以外の事業者が、一時支援金を申請したのに、書類に不備があるというメールが延々と送られて、多くの事業者が不備ループに陥っているということを指摘しました。質問直後から私の事務所に、私も同じだというメール、これが次々と寄せられてくるんですね。
 これらの申請は、全て登録機関による事前確認を受けて申請しています。そうすると、その事前確認機関に登録したという行政書士の方からもメールが来ました。個人事業の整体院、事業実態を私が訪問して確認をした、だけども不備とされた、申請者は事業実態を示す領収書を送れと言われて備品となるモップなどの領収書を送ったけれども認めてもらえず、もう不支給になってしまいそうだというメールだったんです。
 足を運べば分かるんですよ、すぐに。だけど、それを書類で示すということが難しい場合はあります。だったら、何で現場確認の手だてを取らないんでしょうか。いかがですか。
○副大臣(江島潔君) コロナ禍でお困りの中小企業の皆さんに対して、中小企業庁としても一刻も早くこの一時支援金を支給をしたいと考えておりますんですが、一方で、御指摘のように、この書面による事業実態の確認が十分にできない等の理由によっていまだお届けできない事業者がいることも事実でございます。
 その上で、この御指摘の現地確認、それからヒアリング等によるこの事業実態の確認ということでありますけれども、これまず、そもそもその客観的な証拠に乏しいことから、この現地を確認した対応者の主観に、それをもしやるとすると頼らざるを得なくなってしまいまして、これは公平性が担保ができないというような問題がございます。
 加えまして、地域あるいは業種によらず、国内全域を今対象として迅速な給付を実施をするという、これが本制度の趣旨でございますので、今現在、数万件単位のこの申請が行われておりまして、加えて、このコロナ禍における移動の自粛などの制限もございます。こういう中で、この現地に赴いて事業実態を逐一個別に確認するということはちょっとなかなか現実的ではないというふうに考えています。
 このような背景から、どうしてもこの書面での審査によらざるを得ないという点を御理解をいただければと思います。
 ただ、地方自治体におきましては、より事業者に近い立場でその事業内容等を個別に確認をすることももちろん可能でございますし、また、地方創生臨時交付金なども活用をいただきながら、国の施策を補完をするという形で地域の実情を踏まえた様々な支援策が講じられているという、講じられることも期待をしております。実際に地方自治体においては様々な事業者支援がこのような形で講じられているということも承知をしているところでございます。
○田村智子君 今も、迅速にと。西村大臣もこの一時支援金については迅速な支給なんだということを強調されてきた。ところが、こういう書面だけで、しかも、電子申請、ここにこだわるがゆえに申請に多大な労力を要し、不備ループに陥ると。その解消を求めると、電子申請で証明できないから不支給決定になりかねないんですよ。
 これ、大臣、これちょっと、私、この制度はこうなっちゃうと本当に事業者支援なんですかと、もしかしてデジタル改革の実証実験になっているんじゃないのかと、こういうように言わざるを得ないような状況だと思うんですね。自治体の協力も含めてですよ、さっき、行けば客観的に分かるんですもの、分かるんですもの、そういう手だて取るべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) 先ほど来、経産、江島副大臣から答弁ありましたように、経産省において、まさに迅速な支給という観点からオンライン申請を採用し、そして、それぞれの、不備がある点を含めて真摯に取り組まれているものというふうに理解をしております。御指摘のような何か実証実験を行っているというものではありませんので。
 その上で申し上げれば、様々な御指摘もいただいておりますので、御指摘のように、必要な方にできるだけ迅速に届けると、支援を届けるということが重要であります。申請者の立場に寄り添って何か改善できる点があればこれは改善すべきだと思いますし、私の立場からも、気付いた点などありましたらこれを経産省にしっかりと伝え、そして適切に対応してもらいたいというふうに考えております。
○田村智子君 本当に改善してほしいんです。
 具体の改善をもう一点お願いしたいのは、これ、申請時に誤入力をしたら不備扱いになって訂正ができない、新規申請をやり直す以外に手だてがないんですけれども、既に一時支援金は申請期間終了しているので、救済が一切行われていないんですね。救済措置検討すべきではないのか。
 それから、月次支援金では、この誤入力申請の訂正、補正の手だて、これ取られるのかどうか、確認します。
○副大臣(江島潔君) 今委員から御指摘いただきましたこの申請区分でありますけれども、これ、事業者ごとに特性それから実態そのものが異なるということを踏まえまして、別々のこの区分を設けて今申請を受け付けております。事業者が申請する際の基礎となる区分でございます。したがいまして、この事業確認、事前確認などもこの当該区分に沿って行われておりますので、この申請区分を変更するという場合には、これはもう申請内容の修正ではなくて新たな申請として、登録確認機関による事前確認から改めて実施をするという、そういうような制度になっております。
 この一時支援金に関しましては、三月八日から五月三十一日まで三か月間の申請期間を設けておりましたので、この申請区分を変更したいという方が改めてこの新規の申請をする期間は十分に設けていたというふうに考えておりますので、このような背景を基に、改めてこの救済処置を設けるということは現在想定をしておりません。
 また、現在もその申請を受け付けている月次支援金でありますけれども、これは、申請者が区分を間違えるということを防止するために、間違いが生じる可能性がある項目、特にその主たる収入を雑所得や給与所得で確定申告した個人事業者という、この申請区分を選択をした場合には、申請区分の要件を満たすかどうか、この確認をするように画面上にポップアップで注意を促すというような仕組みも設けております。こういうような改善も進めていくことを通じて、今後のこの月次支援金に関しましてこの申請者自身が適切な区分で申請ができるように努めてまいりたいと思います。
○田村智子君 一時支援金の救済はやっぱり考えてほしいんですよ。そういう確認画面が出ないままやっちゃったわけですからね。
 それから、月次支援金について、一時支援金の不備ループ対応への反省もなく審査が行われれば更に問題を深刻にすると思います。申請しても音沙汰がなく、コールセンターに問い合わせたら、今回は審査を大変慎重にしているので時間が掛かりますと言われた、取引先の支払をこれ以上延ばせないという悲鳴の声がSNS上にも見られます。先日も指摘しましたが、デロイトトーマツは一件の不正を出さないために九十九件を切り捨てる、泣かせる、こういう過剰審査を、開き直っているんじゃないかというように思えてくるんです。
 申請者に提出を求めている宣誓・同意書、これ資料で配付しました。この中に、申請者が給付要件を満たすことを確認するに足りる対応を行わなかったことを理由として不支給となった場合には、それまでに受けた一時支援金、月次支援金の返還を遅滞なく行う義務を負う場合がある、新たに給付申請を行うことができなくなる場合があるというふうに記載されているんですよ。これ、書類を出しても出してもそれでは証明にならないという対応をされ苦しむ人たちを不正扱いするかのような文章ですね。不備ループのことを知って申請をためらうという声も現に起きているんです。
 ちょっと時間が来てしまいましたので、こういう宣誓は、私は改めるべきだというふうに思います。本当に事業者支援を今真剣にやらなかったらどうしようもない事態になってきますよ、日本の経済。西村大臣も、予備費四兆円と昨年度から繰り越した三十兆円の資金があると、こう言われている。だったら、真剣に迅速な支給を本当に行うように重ねて求めて、質問を終わります。


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